50 / 53
第一章
勝者
しおりを挟む
ん? それって確か誠至とショッピングモール行った時の服じゃ……
と、その時。
「んっはああああ!!? 何これ千秋ちゃん!? 女バージョン!? 髪長いしメイクしてるしワンピース着てるんですけど!! かんわいいいいい!!!」
まさしく狂喜乱舞、といった様子のレズっ子。
え、えええええ。
なんか色々変わりすぎじゃない??
てかさっき裸見たときもっと冷静だったじゃん……。裸体より女姿のが興奮してるってどゆこと??
「裸は神聖すぎてただ綺麗としか言えなかったけど……この姿は萌えが止まらないいいいいい」
なんだかよくわからないことを言いながら鼻息を荒くして写真を食い入るように見つめるレズっ子。
すると先輩がひょいと写真を上に持ち上げたため、身長差でこっからは全く見えなくなった。
「はっああああ……千秋ちゃん……」
「欲しいか?」
「欲しいいいいい」
「ふっ……じゃあわかってるよな?」
写真をピラピラしながらニタリと笑う礎先輩。
いやさすがにそんなんで釣れるわけ……
「ちなみに浴衣姿の千秋もあるぞ」
「乗った」
釣れるのかよ。
えっ? ねえおかしくない?? さっきまで先輩のこと殺そうとしてたんだよ??
なのにそんな写真如きで……。
写真と包丁を交換している先輩とレズっ子。どんな物々交換だよ初めて見たわ。
その写真には花柄ワンピース姿の私や浴衣姿の私が写っていて……。
ていうかさ、危うくスルーするとこだったけどさ。なに勝手に人の写真撮ってんだよ!!?
え!? どういう心境!? さも当然のように写真見せびらかしてたけどそれどっからどう見ても隠し撮りですから!!
こっわ。こっわ!!!
「それにしても千秋の裸……見たかったな……」
「ああ……さすがに恐れ多くて写真は撮れなかったわ……」
おいそこ。変態もほどほどにしとけよ。
全く、ストーカーが揃うとろくな事ないな……。
はあ……言いたいことは山程あるけどとりあえず今は早く家に帰りたい。
「ねえ、そろそろ足枷外してくれないかな?」
「ああそうだった」
思い出したように近付いてくるレズっ子。
ふう、何はともあれこれでやっとこの子から解放される。
そしてレズっ子がチャリ、と足枷に手をかけたその時――――
「でも、足枷を外すなんて一言も言ってないわよ?」
…………は?
いやいやいや。なに言ってんのこの子?
そういう流れだったじゃん。私を解放する流れだったじゃん。
「どういうことだ?」
「千秋ちゃんの写真に免じてあなたを消し去ることはしないわ。でもコレは別よ」
「それじゃあ割りに合わないだろうが」
「そうかもね。でも写真なんて、千秋ちゃんがここにいる限り撮り放題」
「……チッ」
先輩が苦々しく舌打ちをする。
うわぁ、先輩のそんな表情初めて見たな~~って言ってる場合か!!
まずいじゃんこれ!! やっぱり写真如きでそう上手くはいかないよね!! 知ってた!!
「しょうがない、この手は使いたくなかったが……」
するとまたもや先輩がニタリと笑う。
いやまたかよ。あんたどんだけ最終兵器持ってるの? そんなにあるなら勿体ぶってないで早く出せよ。
そして怪訝な顔をしているレズっ子に先輩が何やら耳打ちすると―――。
「あなた……っ、それは卑怯よ」
「そうかな? お互い様だろ?」
「くっ……」
レズっ子が苦悶の表情を浮かべる。
あーはいはいどうせ同じパターンでしょ。また期待させて結局は状況変わらないんでしょ。無駄な争いは勝手にやってくれ。私はもう知らん。
ゴロン、とベッドに寝っ転がる。そのまま目を瞑ろうとすると――――カチャ、と鍵の外れた音。ついでふわりと浮遊感が身体を支配した。
「!?」
「お待たせ千秋~これでやっと帰れるぞ~」
驚いて目を瞠ると、いつものわんこ顔がにっこりと微笑みかけてくる。
え!? 私解放されたの!? なんで!?
すぐさま視線を彼女へ走らすと、苦虫を噛み潰したような顔でこちらを見上げていた。
うえーまじか! マジで決着ついたのか! あんなに手強かったのに一体どうやったんだ!?
そう驚いている間も先輩は私を軽々と抱き上げたまま部屋を出ていく。そのままなんの障害もなくパタン、と外に出ることができた。
また最後の最後に何かくるかも! と身構えていた肩の力がようやく抜ける。
うわ、ほんとに脱出できちゃったよ。もう一生あの部屋で過ごすと思ったのに……。先輩すげえ……。
「一体彼女に何を言ったんですか?」
「ん? ちょっとな、脅してみた」
「……」
まあいいだろう。中身が気になるが今はとにかく疲れた。
はあ……緊張感が解けたせいか急激に眠気が……。
「なんだ千秋、眠いのか?」
「……ん」
「まだ薬抜けてないのかもな~」
あれ……? なんで薬使われたこと知って……
「――――おやすみ、千秋」
そして次に目が覚めた時、視界に映ったのは―――
「おはよう、よく眠れた?」
見知らぬ部屋と、満面の笑みを浮かべる先輩。
……ねえ、全く状況が好転していないと思うのは気のせい?
と、その時。
「んっはああああ!!? 何これ千秋ちゃん!? 女バージョン!? 髪長いしメイクしてるしワンピース着てるんですけど!! かんわいいいいい!!!」
まさしく狂喜乱舞、といった様子のレズっ子。
え、えええええ。
なんか色々変わりすぎじゃない??
てかさっき裸見たときもっと冷静だったじゃん……。裸体より女姿のが興奮してるってどゆこと??
「裸は神聖すぎてただ綺麗としか言えなかったけど……この姿は萌えが止まらないいいいいい」
なんだかよくわからないことを言いながら鼻息を荒くして写真を食い入るように見つめるレズっ子。
すると先輩がひょいと写真を上に持ち上げたため、身長差でこっからは全く見えなくなった。
「はっああああ……千秋ちゃん……」
「欲しいか?」
「欲しいいいいい」
「ふっ……じゃあわかってるよな?」
写真をピラピラしながらニタリと笑う礎先輩。
いやさすがにそんなんで釣れるわけ……
「ちなみに浴衣姿の千秋もあるぞ」
「乗った」
釣れるのかよ。
えっ? ねえおかしくない?? さっきまで先輩のこと殺そうとしてたんだよ??
なのにそんな写真如きで……。
写真と包丁を交換している先輩とレズっ子。どんな物々交換だよ初めて見たわ。
その写真には花柄ワンピース姿の私や浴衣姿の私が写っていて……。
ていうかさ、危うくスルーするとこだったけどさ。なに勝手に人の写真撮ってんだよ!!?
え!? どういう心境!? さも当然のように写真見せびらかしてたけどそれどっからどう見ても隠し撮りですから!!
こっわ。こっわ!!!
「それにしても千秋の裸……見たかったな……」
「ああ……さすがに恐れ多くて写真は撮れなかったわ……」
おいそこ。変態もほどほどにしとけよ。
全く、ストーカーが揃うとろくな事ないな……。
はあ……言いたいことは山程あるけどとりあえず今は早く家に帰りたい。
「ねえ、そろそろ足枷外してくれないかな?」
「ああそうだった」
思い出したように近付いてくるレズっ子。
ふう、何はともあれこれでやっとこの子から解放される。
そしてレズっ子がチャリ、と足枷に手をかけたその時――――
「でも、足枷を外すなんて一言も言ってないわよ?」
…………は?
いやいやいや。なに言ってんのこの子?
そういう流れだったじゃん。私を解放する流れだったじゃん。
「どういうことだ?」
「千秋ちゃんの写真に免じてあなたを消し去ることはしないわ。でもコレは別よ」
「それじゃあ割りに合わないだろうが」
「そうかもね。でも写真なんて、千秋ちゃんがここにいる限り撮り放題」
「……チッ」
先輩が苦々しく舌打ちをする。
うわぁ、先輩のそんな表情初めて見たな~~って言ってる場合か!!
まずいじゃんこれ!! やっぱり写真如きでそう上手くはいかないよね!! 知ってた!!
「しょうがない、この手は使いたくなかったが……」
するとまたもや先輩がニタリと笑う。
いやまたかよ。あんたどんだけ最終兵器持ってるの? そんなにあるなら勿体ぶってないで早く出せよ。
そして怪訝な顔をしているレズっ子に先輩が何やら耳打ちすると―――。
「あなた……っ、それは卑怯よ」
「そうかな? お互い様だろ?」
「くっ……」
レズっ子が苦悶の表情を浮かべる。
あーはいはいどうせ同じパターンでしょ。また期待させて結局は状況変わらないんでしょ。無駄な争いは勝手にやってくれ。私はもう知らん。
ゴロン、とベッドに寝っ転がる。そのまま目を瞑ろうとすると――――カチャ、と鍵の外れた音。ついでふわりと浮遊感が身体を支配した。
「!?」
「お待たせ千秋~これでやっと帰れるぞ~」
驚いて目を瞠ると、いつものわんこ顔がにっこりと微笑みかけてくる。
え!? 私解放されたの!? なんで!?
すぐさま視線を彼女へ走らすと、苦虫を噛み潰したような顔でこちらを見上げていた。
うえーまじか! マジで決着ついたのか! あんなに手強かったのに一体どうやったんだ!?
そう驚いている間も先輩は私を軽々と抱き上げたまま部屋を出ていく。そのままなんの障害もなくパタン、と外に出ることができた。
また最後の最後に何かくるかも! と身構えていた肩の力がようやく抜ける。
うわ、ほんとに脱出できちゃったよ。もう一生あの部屋で過ごすと思ったのに……。先輩すげえ……。
「一体彼女に何を言ったんですか?」
「ん? ちょっとな、脅してみた」
「……」
まあいいだろう。中身が気になるが今はとにかく疲れた。
はあ……緊張感が解けたせいか急激に眠気が……。
「なんだ千秋、眠いのか?」
「……ん」
「まだ薬抜けてないのかもな~」
あれ……? なんで薬使われたこと知って……
「――――おやすみ、千秋」
そして次に目が覚めた時、視界に映ったのは―――
「おはよう、よく眠れた?」
見知らぬ部屋と、満面の笑みを浮かべる先輩。
……ねえ、全く状況が好転していないと思うのは気のせい?
0
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
【ヤンデレ鬼ごっこ実況中】
階段
恋愛
ヤンデレ彼氏の鬼ごっこしながら、
屋敷(監禁場所)から脱出しようとする話
_________________________________
【登場人物】
・アオイ
昨日初彼氏ができた。
初デートの後、そのまま監禁される。
面食い。
・ヒナタ
アオイの彼氏。
お金持ちでイケメン。
アオイを自身の屋敷に監禁する。
・カイト
泥棒。
ヒナタの屋敷に盗みに入るが脱出できなくなる。
アオイに協力する。
_________________________________
【あらすじ】
彼氏との初デートを楽しんだアオイ。
彼氏に家まで送ってもらっていると急に眠気に襲われる。
目覚めると知らないベッドに横たわっており、手足を縛られていた。
色々あってヒタナに監禁された事を知り、隙を見て拘束を解いて部屋の外へ出ることに成功する。
だがそこは人里離れた大きな屋敷の最上階だった。
ヒタナから逃げ切るためには、まずこの屋敷から脱出しなければならない。
果たしてアオイはヤンデレから逃げ切ることができるのか!?
_________________________________
7話くらいで終わらせます。
短いです。
途中でR15くらいになるかもしれませんがわからないです。
蛇神様の花わずらい~逆ハー溺愛新婚生活~
ここのえ
恋愛
※ベッドシーン多めで複数プレイなどありますのでご注意ください。
蛇神様の巫女になった美鎖(ミサ)は、同時に三人の蛇神様と結婚することに。
優しくて頼りになる雪影(ユキカゲ)。
ぶっきらぼうで照れ屋な暗夜(アンヤ)。
神様になりたてで好奇心旺盛な穂波(ホナミ)。
三人の花嫁として、美鎖の新しい暮らしが始まる。
※大人のケータイ官能小説さんに過去置いてあったものの修正版です
※ムーンライトノベルスさんでも公開しています
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
ヤンデレ幼馴染が帰ってきたので大人しく溺愛されます
下菊みこと
恋愛
私はブーゼ・ターフェルルンデ。侯爵令嬢。公爵令息で幼馴染、婚約者のベゼッセンハイト・ザンクトゥアーリウムにうっとおしいほど溺愛されています。ここ数年はハイトが留学に行ってくれていたのでやっと離れられて落ち着いていたのですが、とうとうハイトが帰ってきてしまいました。まあ、仕方がないので大人しく溺愛されておきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる