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Ⅱ.入学編
???side≫???の狂気
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僕は今、怒りで目の前が真っ赤に染まっている。
何故だ、何故君が他の男に囲まれている?
美しく冷淡で、孤高な君。僕はずっとそんな君に恋焦がれていた。
それなのに、何故今回はそいつらと一緒にいるんだ。
君は僕と結ばれる運命なんだよ? だから毎回君を婚約者から引き離そうと、裏でいろんな工作をして断罪されるよう仕向けた。君は大した罪を犯していないのに酷い扱いを受け絶望していたね。そんな可哀想な君を僕が救ってあげる。そういう風にこの世界はできているんだ。
ああ、でも一度だけ、僕がどう頑張っても君が断罪されるルートにいかず、婚約者と結ばれそうになっちゃった時があったなぁ。
ごめんね? その時は思わず殺しちゃって。
だって君が他の男と結ばれるなんて耐え切れなかったんだもの。それに、君だって僕以外の男と結ばれるのは不本意だろう? まあその時は僕もすぐに君の後を追ったし、こうやって新しくやり直せることも知っていたからね。
今回はそうならないように上手くやろうと思っていた。
なのに、明らかに今までと違う展開に戸惑いを隠せない。
君の婚約者と義弟が君と同じ年に入学してきたのもおかしいけれど、何故今までは疎遠だったくせに今回はそんなに仲が良いんだ?
君達はあの田舎から来た男爵令嬢に夢中になるはずだろう? だから僕だって彼女を断罪されるよう仕向けるのに苦労はしなかった。
あの男爵令嬢のどこが良いのかは全くわからなかったが、そうやって彼女と僕が結ばれる運命を作り上げてくれることには感謝していたのに。
僕が見ている限り、あの男爵令嬢と男達が接点を持っても一向に靡く気配がない。
というか、今回のあの女はいつもと比べて馬鹿じゃないか? 今までもっと上手くやっていただろう。男達にどうやって取り入るか全てわかっているような振る舞いだったじゃないか。なのに気持ちだけ焦って行動が空回りしている。
そんなんじゃただでさえ彼女に劣っているというのに、そんな彼女から男達を奪うなんてことできない。
ああ、最悪だ。僕の計画が崩れていく。
──もういっそのこと、全員殺してしまおうか?
一瞬そう考えたが、駄目だ。どんなに思い通りにいかなくても、この学園には全員3年間通わないといけない。そう決められている。
もしそのルールを破ったら、きっともう一度この世界に生まれることはできないだろう。そうなれば、永遠に僕と君は一緒になれない。
そんなのは嫌だ。君は僕のものだ。それ以外の運命は、許さない。
……とりあえず3年は頑張るとしよう。もし3年後の卒業パーティーを終えて、僕が描いた通りの未来になっていなければ──その時は殺してしまおう。
君も、そうなることを望んでくれるよね?
何故だ、何故君が他の男に囲まれている?
美しく冷淡で、孤高な君。僕はずっとそんな君に恋焦がれていた。
それなのに、何故今回はそいつらと一緒にいるんだ。
君は僕と結ばれる運命なんだよ? だから毎回君を婚約者から引き離そうと、裏でいろんな工作をして断罪されるよう仕向けた。君は大した罪を犯していないのに酷い扱いを受け絶望していたね。そんな可哀想な君を僕が救ってあげる。そういう風にこの世界はできているんだ。
ああ、でも一度だけ、僕がどう頑張っても君が断罪されるルートにいかず、婚約者と結ばれそうになっちゃった時があったなぁ。
ごめんね? その時は思わず殺しちゃって。
だって君が他の男と結ばれるなんて耐え切れなかったんだもの。それに、君だって僕以外の男と結ばれるのは不本意だろう? まあその時は僕もすぐに君の後を追ったし、こうやって新しくやり直せることも知っていたからね。
今回はそうならないように上手くやろうと思っていた。
なのに、明らかに今までと違う展開に戸惑いを隠せない。
君の婚約者と義弟が君と同じ年に入学してきたのもおかしいけれど、何故今までは疎遠だったくせに今回はそんなに仲が良いんだ?
君達はあの田舎から来た男爵令嬢に夢中になるはずだろう? だから僕だって彼女を断罪されるよう仕向けるのに苦労はしなかった。
あの男爵令嬢のどこが良いのかは全くわからなかったが、そうやって彼女と僕が結ばれる運命を作り上げてくれることには感謝していたのに。
僕が見ている限り、あの男爵令嬢と男達が接点を持っても一向に靡く気配がない。
というか、今回のあの女はいつもと比べて馬鹿じゃないか? 今までもっと上手くやっていただろう。男達にどうやって取り入るか全てわかっているような振る舞いだったじゃないか。なのに気持ちだけ焦って行動が空回りしている。
そんなんじゃただでさえ彼女に劣っているというのに、そんな彼女から男達を奪うなんてことできない。
ああ、最悪だ。僕の計画が崩れていく。
──もういっそのこと、全員殺してしまおうか?
一瞬そう考えたが、駄目だ。どんなに思い通りにいかなくても、この学園には全員3年間通わないといけない。そう決められている。
もしそのルールを破ったら、きっともう一度この世界に生まれることはできないだろう。そうなれば、永遠に僕と君は一緒になれない。
そんなのは嫌だ。君は僕のものだ。それ以外の運命は、許さない。
……とりあえず3年は頑張るとしよう。もし3年後の卒業パーティーを終えて、僕が描いた通りの未来になっていなければ──その時は殺してしまおう。
君も、そうなることを望んでくれるよね?
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