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中編
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セリーナが去った後、グスタフの屋敷は活気を欠いていた。
かつて頻繁に訪れていた訪問客は顔すら見せないようになった。
投資や商売はセリーナに任せきりであり、その彼女がいなくなればグスタフを見限るのは当然だった。
グスタフには才能がなく、無駄に偉そうにするだけだったからだ。
「くそっ、また新たな取引の辞退か……。このままでは利益は減る一方だ」
彼女の能力によって成り立っていた仕事は急速に低迷していた。
そこに執事がやってきた。
「グスタフ様、セリーナ様がいなくなったことで財政は大幅に赤字になりそうです。早急に対策しなければ当家は破産します」
「どうにかならないのか?」
「我々では決められないような分野の話です。どの商会に投資するのか、新たな収益源を作り方等、我々ではとてもではありませんが無理です」
「そうか……。現状は把握した。だが安心しろ。俺は貴族だ。名声がある。信頼だってある。商売が上手くいかないなど、一時的な問題に過ぎない」
グスタフは自信満々に言ったが、執事は冷静に受け止めていた。
もうこの家で働くのは危ないと心の中で思っていた。
「せめて代わりになるような人材を用意してください」
「心当たりはないが、気に留めておこう」
「ありがとうございます」
このやり取りで近いうちに状況が改善する見込みがないと執事は判断した。
それにセリーナが築いてきた人脈を失い、それに相当する人脈を築くことができるとも思えなかった。
何よりもセリーナの能力を正しく理解せず軽んじてきたグスタフのことが信用できなかった。
「さて、誰か良い相手を探さないとな」
グスタフには危機感が足りなかった。
グスタフの家に一人の商人が訪れた。
彼はセリーナがいた頃からの長い付き合いだった。
セリーナが離婚により出ていったことは知っていたが、グスタフとは契約があったので今もまた彼を訪ねたのだ。
そうでもなければグスタフに会う理由がなかった。
彼はグスタフとの関係が終わることを理解しており、ならば最後に少々失礼な態度を取っても構わないかと考えていた。
「グスタフ様、久しぶりです。今日は少しお話をしたくて参りました」
「そうだな。当家の利益になる話だといいがな」
商人相手に偉そうな態度を取るは貴族にはありがちなものだ。
証人は不愉快であろうと利益になれば笑顔で接する。
表情と考えは別物なのだ。
そのことにグスタフは気づいていない。
「セリーナ様がいた頃は商談がスムーズに進んでいましたね。彼女の才能と人柄のおかげで、皆が儲かったものです」
グスタフはその言葉を聞き、表情を曇らせた。
「今は彼女がいなくなり、我々の間に不安が広がっています。今後どうするつもりですか?」
グスタフは自信満々に笑みを浮かべた。
「心配するな。俺がやれば大丈夫だ。セリーナがいたからこそ商売が成り立っていたのは分かっているが、俺にだってできるはずだ。必要なことは俺が自ら交渉すればいいんだ。俺は判断力に自信がある」
「ですがグスタフ様。商売は信用が大切です。セリーナ様のように振る舞うのは容易ではありません。彼女が築いた信頼関係は一朝一夕では取り戻せないのです」
グスタフは不愉快な表情になった。
「俺には他にも道がある。セリーナがいなくても俺は貴族としての名声を持っている。名声があれば商売も成り立つ。人は俺を尊敬し、俺の言葉を信じるだろう」
彼の言葉には自信と楽観が溢れていた。
これはもう手の施しようがないと商人は彼を完全に見限った。
「グスタフ様、名声だけでは商売は成り立ちません」
「俺がやってみせる。セリーナの代わりに俺が信頼を築いていく。彼女のようにはいかないかもしれないが、俺には別の方法がある」
ベルナールはため息をつきた。
「では当商会は今後の取引を見合わせます。契約が残っている間は契約に従いますが、契約の更新は致しません」
「……ふん、いいだろう。後悔しても知らんぞ」
「はい、それも覚悟の上です。リスクを取らない商人はいませんから」
グスタフは商人を見下していた。
その商人を味方にして利益を得ていたセリーナとは真逆の扱いだった。
ウェスリーはグスタフの周囲に何か変化が起きていることを感じ取っていた。
彼は貴族の一員として、日々の社交界の動きを敏感に察知することが求められており、グスタフとセリーナが離婚したことを噂で把握していた。
グスタフがセリーナによって財政的に余裕を持っていたことは少し頭があれば分かることだ。
その彼女を失った今、グスタフは没落するのではないかと考えた。
「このチャンスを活かすべきだな」
ウェスリーは複数の意味でそう呟いた。
「そのためにも情報が必要だ」
ウェスリーは自らの情報網を使ってグスタフやセリーナに関わることを調べることに決めた。
そしてその先のことまでも考えてしまった。
「セリーナが俺と婚約していればこんなことにはならなかっただろうな……」
ウェスリーには後悔があった。
彼はセリーナの才能や性格に心を奪われていた。
単なる美しい女性ではなく、将来を読む能力があり、頭の回転が速く、周囲を魅了する存在だった。
だが、彼女はグスタフと婚約してしまった。
グスタフの親が資金援助を約束し、金に目がくらんだセリーナの親が婚約を受け入れてしまったのだ。
婚約が決まってしまったのであればウェスリーは諦めざるを得なかった。
しかし、今やその関係は終焉を迎えた。
ウェスリーはセリーナが離婚した今、彼女に再びアプローチできるチャンスだと考えた。
彼女は彼の理想そのものだった。
もし彼女と結婚できれば愛と利益の両方を手にすることができる。
問題があるとすればセリーナの両親が金に弱いことくらいだった。
しかしその問題は金で解決できるということだ。
「今度こそセリーナを手に入れてみせる!」
ウェスリーは決意した。
彼はセリーナと会う機会を作るべく、持てる人脈を利用した。
数日後、セリーナの元に夜会の招待状が届いた。
美しい装飾が施された封筒を手に取った彼女は気乗りしなかったが、むしろ両親のほうが積極的だった。
「セリーナも良い出会いがあるかもしれない。家にいても出会いはないだろう。夜会で良い相手と出会い再婚を目指すべきだ」
「そうよ、出会いに期待すべきよ。できればお金のある人がいいわね」
両親の意図は明らかであったが、セリーナにとっても本当に良い出会いがあるのであれば夜会に参加すべきだと考えた。
そのような保証はないが、両親がこうも乗り気になってしまえば拒否することはできない。
「分かりました。夜会に参加します」
「おお、そうか。よく決めてくれた。良い出会いに期待しているぞ」
「セリーナのことだから殿方が放っておかないわよ」
明らかな上機嫌の両親とは逆に、セリーナは期待していなかった。
まるで両親のために夜会に参加するような気持ちになってしまい、前向きだった気持ちが後ろ向きになってしまった。
しかし、彼女は考え直した。
両親を理由に自分の幸せを諦めるべきではないと。
彼女は心の中で、新たなスタートを切るための一歩として、この夜会に出席すべきだと考えた。
「セリーナ、お前はもう独身だ。次の相手を探すべきだ。今回の夜会が上手くいかなくても次がある」
父親なりの励ましは励ましになっていなかった。
夜会の会場は華やかな装飾で彩られ、多くの貴族たちが集まっていた。
セリーナは緊張しながらも、心の中で期待を膨らませていた。
会場の一角でセリーナは偶然ウェスリーを見つけた。
彼もまた彼女に気づき、微笑みを浮かべながら近づいてきた。
「セリーナ、久しぶりだね」
「久しぶりね、ウェスリー」
セリーナは微笑み返ながら彼との再会を喜んだ。
二人は面識があり、セリーナは彼のことを好意的に捉えていた。
それは恋ではなかったが、人柄や能力を認めていた。
もしグスタフとの婚約がなければ彼と婚約していたかもしれないと考え、この場で出会えたことに運命的なものを感じてしまった。
二人は雑談や近況を話し始めた。
近況を話せば否応なくグスタフとの離婚にも触れなくてはならない。
セリーナは隠すようなことではないと考え、彼に全て正直に打ち明けた。
事情を知ったウェスリーはセリーナに優しい眼差しを向けた。
「それは本当に辛かっただろう。セリーナのような素晴らしい女性がそんな扱いを受けるなんて信じられない」
「そうなってしまったのも親がお金に目がくらんだからよ。私は売られたようなものだったの」
セリーナは少し涙ぐみながら心の内をさらけ出した。
「もし私がウェスリーと婚約していたら、こんな不幸な結婚にはならなかったのではないかと思うの」
その言葉はウェスリーへの告白のようなものだった。
セリーナの気持ちが明らかならウェスリーも迷わない。
「セリーナ、過去を悔やむ必要はないよ。今、君が新しい道を歩き始めることが大切だ。僕は君の力になりたいと思っている。君には幸せになる権利がある」
その言葉にセリーナは心が温かくなり、彼の優しさに感謝した。
「ありがとう、ウェスリー。あなたの言葉に救われるわ」
「だから婚約してくれないか? できれば早く結婚したいんだ」
ウェスリーの言葉がそこまでの意味だったとは知らず、セリーナは一瞬言葉を失った。
しかし彼の申し出を拒否する理由はない。
言葉の意味を理解した彼女は喜びながらも戸惑った。
「本気なの?」
「本気だよ。僕は後悔したくないんだ。だからセリーナと婚約したい」
ウェスリーのまっすぐな眼差しと言葉はセリーナの心に届いた。
「よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
こうして二人は婚約することに同意した。
そうなれば後は夜会を楽しむだけだ。
セリーナはグスタフとは楽しむことのなかった夜会をウェスリーと楽しんだ。
ウェスリーと一緒だから楽しいのだと、彼に惹かれていることを自覚したセリーナだった。
かつて頻繁に訪れていた訪問客は顔すら見せないようになった。
投資や商売はセリーナに任せきりであり、その彼女がいなくなればグスタフを見限るのは当然だった。
グスタフには才能がなく、無駄に偉そうにするだけだったからだ。
「くそっ、また新たな取引の辞退か……。このままでは利益は減る一方だ」
彼女の能力によって成り立っていた仕事は急速に低迷していた。
そこに執事がやってきた。
「グスタフ様、セリーナ様がいなくなったことで財政は大幅に赤字になりそうです。早急に対策しなければ当家は破産します」
「どうにかならないのか?」
「我々では決められないような分野の話です。どの商会に投資するのか、新たな収益源を作り方等、我々ではとてもではありませんが無理です」
「そうか……。現状は把握した。だが安心しろ。俺は貴族だ。名声がある。信頼だってある。商売が上手くいかないなど、一時的な問題に過ぎない」
グスタフは自信満々に言ったが、執事は冷静に受け止めていた。
もうこの家で働くのは危ないと心の中で思っていた。
「せめて代わりになるような人材を用意してください」
「心当たりはないが、気に留めておこう」
「ありがとうございます」
このやり取りで近いうちに状況が改善する見込みがないと執事は判断した。
それにセリーナが築いてきた人脈を失い、それに相当する人脈を築くことができるとも思えなかった。
何よりもセリーナの能力を正しく理解せず軽んじてきたグスタフのことが信用できなかった。
「さて、誰か良い相手を探さないとな」
グスタフには危機感が足りなかった。
グスタフの家に一人の商人が訪れた。
彼はセリーナがいた頃からの長い付き合いだった。
セリーナが離婚により出ていったことは知っていたが、グスタフとは契約があったので今もまた彼を訪ねたのだ。
そうでもなければグスタフに会う理由がなかった。
彼はグスタフとの関係が終わることを理解しており、ならば最後に少々失礼な態度を取っても構わないかと考えていた。
「グスタフ様、久しぶりです。今日は少しお話をしたくて参りました」
「そうだな。当家の利益になる話だといいがな」
商人相手に偉そうな態度を取るは貴族にはありがちなものだ。
証人は不愉快であろうと利益になれば笑顔で接する。
表情と考えは別物なのだ。
そのことにグスタフは気づいていない。
「セリーナ様がいた頃は商談がスムーズに進んでいましたね。彼女の才能と人柄のおかげで、皆が儲かったものです」
グスタフはその言葉を聞き、表情を曇らせた。
「今は彼女がいなくなり、我々の間に不安が広がっています。今後どうするつもりですか?」
グスタフは自信満々に笑みを浮かべた。
「心配するな。俺がやれば大丈夫だ。セリーナがいたからこそ商売が成り立っていたのは分かっているが、俺にだってできるはずだ。必要なことは俺が自ら交渉すればいいんだ。俺は判断力に自信がある」
「ですがグスタフ様。商売は信用が大切です。セリーナ様のように振る舞うのは容易ではありません。彼女が築いた信頼関係は一朝一夕では取り戻せないのです」
グスタフは不愉快な表情になった。
「俺には他にも道がある。セリーナがいなくても俺は貴族としての名声を持っている。名声があれば商売も成り立つ。人は俺を尊敬し、俺の言葉を信じるだろう」
彼の言葉には自信と楽観が溢れていた。
これはもう手の施しようがないと商人は彼を完全に見限った。
「グスタフ様、名声だけでは商売は成り立ちません」
「俺がやってみせる。セリーナの代わりに俺が信頼を築いていく。彼女のようにはいかないかもしれないが、俺には別の方法がある」
ベルナールはため息をつきた。
「では当商会は今後の取引を見合わせます。契約が残っている間は契約に従いますが、契約の更新は致しません」
「……ふん、いいだろう。後悔しても知らんぞ」
「はい、それも覚悟の上です。リスクを取らない商人はいませんから」
グスタフは商人を見下していた。
その商人を味方にして利益を得ていたセリーナとは真逆の扱いだった。
ウェスリーはグスタフの周囲に何か変化が起きていることを感じ取っていた。
彼は貴族の一員として、日々の社交界の動きを敏感に察知することが求められており、グスタフとセリーナが離婚したことを噂で把握していた。
グスタフがセリーナによって財政的に余裕を持っていたことは少し頭があれば分かることだ。
その彼女を失った今、グスタフは没落するのではないかと考えた。
「このチャンスを活かすべきだな」
ウェスリーは複数の意味でそう呟いた。
「そのためにも情報が必要だ」
ウェスリーは自らの情報網を使ってグスタフやセリーナに関わることを調べることに決めた。
そしてその先のことまでも考えてしまった。
「セリーナが俺と婚約していればこんなことにはならなかっただろうな……」
ウェスリーには後悔があった。
彼はセリーナの才能や性格に心を奪われていた。
単なる美しい女性ではなく、将来を読む能力があり、頭の回転が速く、周囲を魅了する存在だった。
だが、彼女はグスタフと婚約してしまった。
グスタフの親が資金援助を約束し、金に目がくらんだセリーナの親が婚約を受け入れてしまったのだ。
婚約が決まってしまったのであればウェスリーは諦めざるを得なかった。
しかし、今やその関係は終焉を迎えた。
ウェスリーはセリーナが離婚した今、彼女に再びアプローチできるチャンスだと考えた。
彼女は彼の理想そのものだった。
もし彼女と結婚できれば愛と利益の両方を手にすることができる。
問題があるとすればセリーナの両親が金に弱いことくらいだった。
しかしその問題は金で解決できるということだ。
「今度こそセリーナを手に入れてみせる!」
ウェスリーは決意した。
彼はセリーナと会う機会を作るべく、持てる人脈を利用した。
数日後、セリーナの元に夜会の招待状が届いた。
美しい装飾が施された封筒を手に取った彼女は気乗りしなかったが、むしろ両親のほうが積極的だった。
「セリーナも良い出会いがあるかもしれない。家にいても出会いはないだろう。夜会で良い相手と出会い再婚を目指すべきだ」
「そうよ、出会いに期待すべきよ。できればお金のある人がいいわね」
両親の意図は明らかであったが、セリーナにとっても本当に良い出会いがあるのであれば夜会に参加すべきだと考えた。
そのような保証はないが、両親がこうも乗り気になってしまえば拒否することはできない。
「分かりました。夜会に参加します」
「おお、そうか。よく決めてくれた。良い出会いに期待しているぞ」
「セリーナのことだから殿方が放っておかないわよ」
明らかな上機嫌の両親とは逆に、セリーナは期待していなかった。
まるで両親のために夜会に参加するような気持ちになってしまい、前向きだった気持ちが後ろ向きになってしまった。
しかし、彼女は考え直した。
両親を理由に自分の幸せを諦めるべきではないと。
彼女は心の中で、新たなスタートを切るための一歩として、この夜会に出席すべきだと考えた。
「セリーナ、お前はもう独身だ。次の相手を探すべきだ。今回の夜会が上手くいかなくても次がある」
父親なりの励ましは励ましになっていなかった。
夜会の会場は華やかな装飾で彩られ、多くの貴族たちが集まっていた。
セリーナは緊張しながらも、心の中で期待を膨らませていた。
会場の一角でセリーナは偶然ウェスリーを見つけた。
彼もまた彼女に気づき、微笑みを浮かべながら近づいてきた。
「セリーナ、久しぶりだね」
「久しぶりね、ウェスリー」
セリーナは微笑み返ながら彼との再会を喜んだ。
二人は面識があり、セリーナは彼のことを好意的に捉えていた。
それは恋ではなかったが、人柄や能力を認めていた。
もしグスタフとの婚約がなければ彼と婚約していたかもしれないと考え、この場で出会えたことに運命的なものを感じてしまった。
二人は雑談や近況を話し始めた。
近況を話せば否応なくグスタフとの離婚にも触れなくてはならない。
セリーナは隠すようなことではないと考え、彼に全て正直に打ち明けた。
事情を知ったウェスリーはセリーナに優しい眼差しを向けた。
「それは本当に辛かっただろう。セリーナのような素晴らしい女性がそんな扱いを受けるなんて信じられない」
「そうなってしまったのも親がお金に目がくらんだからよ。私は売られたようなものだったの」
セリーナは少し涙ぐみながら心の内をさらけ出した。
「もし私がウェスリーと婚約していたら、こんな不幸な結婚にはならなかったのではないかと思うの」
その言葉はウェスリーへの告白のようなものだった。
セリーナの気持ちが明らかならウェスリーも迷わない。
「セリーナ、過去を悔やむ必要はないよ。今、君が新しい道を歩き始めることが大切だ。僕は君の力になりたいと思っている。君には幸せになる権利がある」
その言葉にセリーナは心が温かくなり、彼の優しさに感謝した。
「ありがとう、ウェスリー。あなたの言葉に救われるわ」
「だから婚約してくれないか? できれば早く結婚したいんだ」
ウェスリーの言葉がそこまでの意味だったとは知らず、セリーナは一瞬言葉を失った。
しかし彼の申し出を拒否する理由はない。
言葉の意味を理解した彼女は喜びながらも戸惑った。
「本気なの?」
「本気だよ。僕は後悔したくないんだ。だからセリーナと婚約したい」
ウェスリーのまっすぐな眼差しと言葉はセリーナの心に届いた。
「よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
こうして二人は婚約することに同意した。
そうなれば後は夜会を楽しむだけだ。
セリーナはグスタフとは楽しむことのなかった夜会をウェスリーと楽しんだ。
ウェスリーと一緒だから楽しいのだと、彼に惹かれていることを自覚したセリーナだった。
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