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中編
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離婚が成立し、サブリナは実家に戻った。
慰謝料を手にしたものの、心に残る痛みはなかなか消えなかった。
彼女は心の痛みが癒えないまま日々を過ごしていた。
そんなある日、商人のデリックが彼女のもとを訪れた。
サブリナは乗り気ではなかったが、わざわざ用があるから訪ねてきたのだろうと考え、彼に会うことにした。
「サブリナ様、お目にかかれて光栄です。私はデリックと申します。ぜひ、あなたに素晴らしい投資の話をさせていただきたい」
デリックは自信に満ちた笑顔で言った。
商人なら当然の笑顔だった。
「話だけ聞くわ。どうするかまでは約束できないわよ? それでいいわよね?」
「はい、もちろんです。それで本題なのですが、外国との貿易に投資しませんか?」
「投資?」
「はい。貿易で得られた利益を出資者に分配します。外国との貿易は利益が大きいので多くの人の出資を募っているところです」
「そうなの。大変なのね」
サブリナは投資に興味がなかったこともあり、警戒心から乗り気ではないことをさりげなく伝えようとした。
「はい。そのためにどうしてもまとまった資金が必要なのです。そこで出資をお願いしたいのですが、いかがですか?」
「申し訳ないけど、私はその手の話には興味がないの」
サブリナは冷静に返した。
彼女は過去の経験から学んだことがあった。
アランとの関係が崩れたのは彼の裏切りによるものだった。
それにポリーの嘘を信じてしまったことも苦い経験だった。
それらの経験から言い分を鵜呑みにしないように決めていた。
デリックは少し驚いた様子だったが、すぐに表情を引き締めた。
「もちろんサブリナ様の判断を尊重します。しかし、機会を逃すのはもったいないと思いますよ」
彼は言ったが、サブリナはその言葉に耳を傾ける気にはなれなかった。
「投資の話には興味がありません」
彼女は毅然とした態度を崩さなかった。
デリックはしばらく黙って彼女を見つめたが、やがて大人しく引き下がることにした。
「わかりました。お話を聞いてくださってありがとうございました」
彼は微笑みながら言った。
サブリナは彼が去っていくのを見送り、少し安堵の息をついた。
このような人との対応は得意ではなく、気疲れしてしまった。
それに本当に価値のある話だったならチャンスを逃したことになる。
もし相談できる信頼できる人がいればいいのに、とサブリナは思った。
しかし、今は誰かを信じることができずにいた。
このままでは駄目だとも思った。
「どこかに信頼できて頼れる人がいないものかしらね……」
サブリナはつぶやいた。
彼女は自分のあまりにも都合のいい発想に苦笑した。
ある日、幼馴染のレナードがサブリナのもとを訪れた。
彼は彼女の離婚の噂を耳にし、心配して駆けつけたのだ。
レナードの顔には優しさと心配が浮かんでいた。
「サブリナ、大丈夫なのか? 離婚のことを聞いて心配していたんだ」
「心配いらないわ、レナード。もう終わったことだし、それほどショックも受けなかったわ。それに大切なことはこれからのことよ」
サブリナは微笑みを浮かべ、彼の心遣いに感謝しながら答えた。
レナードは彼女の姿を見て少し安心した。
「何か困ったことがあれば、いつでも力になるからな」
「ありがとう、頼りにさせてもらうわ」
レナードの優しい言葉にサブリナの心は温かくなった。
彼のように優しく信じられる人と結婚できていれば良かったのに、という考えがよぎった。
そのような考えは今すべきことではない。
せっかくレナードが目の前にいるのだから、サブリナは先日のデリックの件を相談することにした。
「早速相談したいのだけど、いい?」
「もちろんだとも。任せてくれ」
得意気になるレナードのことを可愛らしいとサブリナは思った。
「実はこの前ね、デリックという商人から投資の話を持ちかけられたの。外国との貿易に投資すれば利益が何倍にもなると言ったの。でも、どうしても信用できなくて断ったわ」
サブリナは躊躇いながら話を始めた。
レナードは彼女の話を真剣に聞き、眉をひそめた。
「それ、絶対に詐欺だよ。そんな話には気をつけるべきだ。最近は貴族をターゲットにした詐欺が増えてきているから注意が必要だ。サブリナの判断は間違っていないよ」
レナードは即座に言った。
「そうだったの? ただの怪しい商人ではなかったの?」
「外国との貿易は確かに上手くいけば利益も大きい。でもそれ以上にリスクもあるんだ。もし船が沈没してしまえば大損だよ。出資したお金は戻ってこないだろうね」
「それが詐欺になるの?」
「貴族を騙してお金だけもらって逃げるつもりだろうね。まともな商人なら面識のない貴族に話なんてもちかけたりしないよ」
「やっぱりそうだったのね」
サブリナは納得した。
レナードは話を続ける。
「デリックのような人間は魅力的な話で人を引き込むのが得意なんだ。話を鵜呑みにすると後で後悔することになるよ。サブリナの警戒心は悪くない」
サブリナはレナードの言葉に耳を傾けながら、彼の頼もしさを感じていた。
「ありがとう、レナード。あなたがいてくれて本当に心強いわ」
彼女は感謝の気持ちを伝えた。
レナードは微笑んだ。
「何かあったらいつでも頼ってくれ。俺はずっとサブリナの味方だから」
その言葉が彼女の心に光をもたらした。
サブリナは過去の痛みを乗り越える方法を見出した。
自分にとってレナードがどれほど大切な存在なのかを自覚した。
アランはサブリナとの離婚による慰謝料の支払いで金銭的に困窮していた。
彼の生活はかつての栄華とは打って変わり、支出を抑えなければならない日々が続いた。
さすがに日々食べるものに困るほどではなかったが、かつての優雅な生活が恋しいと思うほどには不自由な生活だった。
そんなある日、商人のデリックが彼のもとを訪れた。
「アラン様、素晴らしい投資の機会があります」
デリックは自信満々に語り始めた。
彼は外国との貿易に関する話を持ちかけ、利益が何倍にもなる可能性を示唆した。
アランはその言葉に心を惹かれ、次第に興味を持ち始めた。
「本当にそんなことが可能なのか?」
「もちろん可能です。貿易にはそれだけ夢がありますから」
アランは疑念を抱いたが、すぐに自分の状況を思い出した。
金銭的な苦境から抜け出すためのチャンスが目の前にあることに興奮を覚えた。
こうなればもう気持ちは止められない。
「わかった、俺もそのビジネスに参加しよう」
デリックは満足げに微笑んだ。
「アラン様の決断は賢明です。私たちのビジネスは間違いなく成功します」
その言葉にアランは安心し、これで苦しい生活とも縁が切れると考えた。
彼は大金を手にした後の使い道に思いをはせていた。
「期待している。頼んだぞ」
「はい、必ずや期待にお応えしましょう」
デリックは恭しく礼をした。
その後、アランはデリックに資金を託した。
いざ大金を渡したことで心の奥に不安が湧き上がった。
しかしリスクを受け入れなくてはチャンスをものにすることはできないと不安を振り切った。
もう後には退けないのだから自分の決断を信じるしかなかった。
慰謝料を手にしたものの、心に残る痛みはなかなか消えなかった。
彼女は心の痛みが癒えないまま日々を過ごしていた。
そんなある日、商人のデリックが彼女のもとを訪れた。
サブリナは乗り気ではなかったが、わざわざ用があるから訪ねてきたのだろうと考え、彼に会うことにした。
「サブリナ様、お目にかかれて光栄です。私はデリックと申します。ぜひ、あなたに素晴らしい投資の話をさせていただきたい」
デリックは自信に満ちた笑顔で言った。
商人なら当然の笑顔だった。
「話だけ聞くわ。どうするかまでは約束できないわよ? それでいいわよね?」
「はい、もちろんです。それで本題なのですが、外国との貿易に投資しませんか?」
「投資?」
「はい。貿易で得られた利益を出資者に分配します。外国との貿易は利益が大きいので多くの人の出資を募っているところです」
「そうなの。大変なのね」
サブリナは投資に興味がなかったこともあり、警戒心から乗り気ではないことをさりげなく伝えようとした。
「はい。そのためにどうしてもまとまった資金が必要なのです。そこで出資をお願いしたいのですが、いかがですか?」
「申し訳ないけど、私はその手の話には興味がないの」
サブリナは冷静に返した。
彼女は過去の経験から学んだことがあった。
アランとの関係が崩れたのは彼の裏切りによるものだった。
それにポリーの嘘を信じてしまったことも苦い経験だった。
それらの経験から言い分を鵜呑みにしないように決めていた。
デリックは少し驚いた様子だったが、すぐに表情を引き締めた。
「もちろんサブリナ様の判断を尊重します。しかし、機会を逃すのはもったいないと思いますよ」
彼は言ったが、サブリナはその言葉に耳を傾ける気にはなれなかった。
「投資の話には興味がありません」
彼女は毅然とした態度を崩さなかった。
デリックはしばらく黙って彼女を見つめたが、やがて大人しく引き下がることにした。
「わかりました。お話を聞いてくださってありがとうございました」
彼は微笑みながら言った。
サブリナは彼が去っていくのを見送り、少し安堵の息をついた。
このような人との対応は得意ではなく、気疲れしてしまった。
それに本当に価値のある話だったならチャンスを逃したことになる。
もし相談できる信頼できる人がいればいいのに、とサブリナは思った。
しかし、今は誰かを信じることができずにいた。
このままでは駄目だとも思った。
「どこかに信頼できて頼れる人がいないものかしらね……」
サブリナはつぶやいた。
彼女は自分のあまりにも都合のいい発想に苦笑した。
ある日、幼馴染のレナードがサブリナのもとを訪れた。
彼は彼女の離婚の噂を耳にし、心配して駆けつけたのだ。
レナードの顔には優しさと心配が浮かんでいた。
「サブリナ、大丈夫なのか? 離婚のことを聞いて心配していたんだ」
「心配いらないわ、レナード。もう終わったことだし、それほどショックも受けなかったわ。それに大切なことはこれからのことよ」
サブリナは微笑みを浮かべ、彼の心遣いに感謝しながら答えた。
レナードは彼女の姿を見て少し安心した。
「何か困ったことがあれば、いつでも力になるからな」
「ありがとう、頼りにさせてもらうわ」
レナードの優しい言葉にサブリナの心は温かくなった。
彼のように優しく信じられる人と結婚できていれば良かったのに、という考えがよぎった。
そのような考えは今すべきことではない。
せっかくレナードが目の前にいるのだから、サブリナは先日のデリックの件を相談することにした。
「早速相談したいのだけど、いい?」
「もちろんだとも。任せてくれ」
得意気になるレナードのことを可愛らしいとサブリナは思った。
「実はこの前ね、デリックという商人から投資の話を持ちかけられたの。外国との貿易に投資すれば利益が何倍にもなると言ったの。でも、どうしても信用できなくて断ったわ」
サブリナは躊躇いながら話を始めた。
レナードは彼女の話を真剣に聞き、眉をひそめた。
「それ、絶対に詐欺だよ。そんな話には気をつけるべきだ。最近は貴族をターゲットにした詐欺が増えてきているから注意が必要だ。サブリナの判断は間違っていないよ」
レナードは即座に言った。
「そうだったの? ただの怪しい商人ではなかったの?」
「外国との貿易は確かに上手くいけば利益も大きい。でもそれ以上にリスクもあるんだ。もし船が沈没してしまえば大損だよ。出資したお金は戻ってこないだろうね」
「それが詐欺になるの?」
「貴族を騙してお金だけもらって逃げるつもりだろうね。まともな商人なら面識のない貴族に話なんてもちかけたりしないよ」
「やっぱりそうだったのね」
サブリナは納得した。
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サブリナはレナードの言葉に耳を傾けながら、彼の頼もしさを感じていた。
「ありがとう、レナード。あなたがいてくれて本当に心強いわ」
彼女は感謝の気持ちを伝えた。
レナードは微笑んだ。
「何かあったらいつでも頼ってくれ。俺はずっとサブリナの味方だから」
その言葉が彼女の心に光をもたらした。
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アランはサブリナとの離婚による慰謝料の支払いで金銭的に困窮していた。
彼の生活はかつての栄華とは打って変わり、支出を抑えなければならない日々が続いた。
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「本当にそんなことが可能なのか?」
「もちろん可能です。貿易にはそれだけ夢がありますから」
アランは疑念を抱いたが、すぐに自分の状況を思い出した。
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その言葉にアランは安心し、これで苦しい生活とも縁が切れると考えた。
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