徒然怪奇譚~恋と怪奇と春の花~

どくだみ

文字の大きさ
上 下
35 / 48
第四夜:角部屋の女霊

角部屋の除霊

しおりを挟む
 その日の夕刻、七瀬は再び部長の部屋を訪れていた。
 皆目見当がつかなかったために、とりあえず放置していた一つの謎が、まだ未解決のままだったことを思い出したからだ。
 何故、あの幽霊は部長の部屋へと現れたのか。
 当の幽霊自身にもその答えは分からないようだった。南部長を襲った理由も、ただ単にそこにいて気に入らなかったから、という理不尽かつ単純なもの。二人の間に確執があった訳でもなければ、何か縁があった訳でもない。赤の他人と言っていい関係だ。
 そうなれば次に怪しいのは、部長の部屋ということになる。住人に瑕疵が無くとも、間取りや立地条件で幽霊を呼び込んでしまった……なんてことは、意外に少なくない話だ。建物に霊道が通っていた。すぐ隣が墓場だった。例を挙げて行けばキリがない。
 最初の怪奇現象は寝室で起こった。なら、寝室を見れば何か分かるかもしれない。その考えを部長に伝えると、彼女はためらうことなく肯いて、七瀬を招き入れてくれたのだった。

 幽霊がいなくなったことで、部屋の雰囲気も清涼なものに戻っていた。
 開け放たれた窓から外の新鮮な空気が入ってきている。部長曰く、気分を一新するための換気だそうだ。その甲斐あってか、数時間前まで漂っていた嫌な感じは、最早完全に払拭されていた。
 ちなみにだが、弱い幽霊くらいなら、換気をすることで部屋から追い出すことが可能だ。換気とは書いて字の如く、部屋の『気を入れ換える』ということ。淀んだ気を澄んだものに交換すれば、そこは幽霊にとって居心地の悪い場所になる。妙な執着心でもない限り、自ずといなくなってくれるのだ。
 大多数の人には、幽霊云々なんてのは眉唾物の話に聞こえるかもしれない。だが、科学的にも換気はいいことであるとされる。閉め切っているとすぐカビが生えてくる、風呂場や洗面所などの水回りは勿論のこと。普通の部屋でも、生活する内に色々な臭いが染み付いていくものだ。清潔感を保つためにも、換気は大切なのである。
 後半部分は、どこかで聞きかじった程度の知識だけれど。

「そういえば、もう気分は大丈夫なのか?」

 部長が言った。朝出会ったときは寝巻きのままだったが、今は着替えて、いつも通りの私服を着ている。

「大丈夫です。少し休んだらよくなりましたよ」

 実はまだ、絞められた首に若干痛みが残っていたりするのだが、心配をかけてもいけないので黙っておく。幽霊はもう消滅している訳だし、放っておいてもおよそ問題ないだろう。身体を休めればすぐに治る筈だ。
 とりあえず、今夜はゆっくり風呂に入ろうと思う。

 部長が寝室の扉を開けて、七瀬の方を振り向いた。

「入っていいぞ」
「えっと、じゃあ、失礼します」

 自分から頼んでおいて何を言っているんだという話だが、妙齢の女性の寝室に入るのは、少しばかり緊張した。
 勿論、部長に対してそういう感情がある訳ではない。しかし、“寝室”というだけで、どこか他人には触れ難い聖域のような感覚を覚えてしまうのだ。
 “親しき仲にも礼儀あり”という諺だってある。誰であれ、相手のプライベートな領域に立ち入る時には、気を配るのが常識というものだろう。

「私がいると邪魔になるか?」
「……そうですね、特には。むしろ付いていてくれた方がありがたいです。触られたくないスペースとかあるでしょうし」
「分かった」

 部長が肯いて、後ろ手に扉を閉める。
 部屋は住人の性格を表すそうだが、此処もまた御多分に漏れず、部長らしいさっぱりとした雰囲気だった。
 入って正面にはベランダへ続くガラス戸。左手にはベッドと、そのすぐ上に窓がある。対して右手には、それなりに大きな姿見が置かれていた。
 散らかりとは無縁の空間。スペースに余裕がある訳ではないものの、寝室全体が小奇麗に整えられて、清潔感に満ちている。
 一目見回しても、引っ掛かる所は一切無かった。霊道が通っている訳でもない。窓の外に墓場など、勿論在りはしない。幽霊を呼び込んだ原因は、部屋の作りではなさそうだ。

「何か見つかったか?」
「……いえ。今のところはまだ何も。部屋そのものに原因があるわけではなさそうなんですが」

 そうなると次に疑わしいのは、家具やその他の小道具ということになる。
 ふと、姿見に目が留まった。左右逆の寝室がそこには映っている。七瀬は身体を近づけ、鏡面に手を這わせてみた。鏡には魔力が宿る――なんていう話を聞いたことはあるが、目の前の姿見から特別何かを感じるわけでもない。
 これではないみたい――そう思って、七瀬が興味をなくしかけた時。
 ふと、鏡の中のある一点に目が止まった。

「――もしかして」

 ベッドのすぐ上にある窓と、この姿見とが、ちょうど向かい合わせになっていたのだ。
 トリックじみた一つの仮説が、頭の中で組み上がり始める。
 残された最後のピースが音を立てて嵌まった。そうして辿り着いた結論は、理不尽なまでの偶然によって成り立っていた。

「――部長」
「どうした」
「この部屋で初めて怪奇現象が起きた時、部長は月を見ようとしていたんですよね」
「ああ。それは朝にも話した通りだが――そのことが、何か関係あるのか?」
「あるのかないのか、今から確かめます。――それで部長、一つだけ頼みたいことが」

 まだ、それが真相であるという確証はない。今の段階では仮説に過ぎない。だからこそ、自分の考えていることが本当に成立するかどうか、確かめておきたかった。

「月を見ようとしていた時の様子を、出来るだけ再現して欲しいんです」
「あの時の――? まあ、構わないが……。思いだすからちょっと待ってくれ」

 暫く頭に手を当てて考え込んだ後、部長はおもむろに部屋の反対側へ向かった。そして、寝心地の良さそうなベッドに身体を預けて横になった。

「たしか、私はこうやって寝転がっていた筈だ。そして、月を見ようと思って上半身を起こした。……こんな風にな」

 説明に沿って起き上がると、そのままカーテンに手を伸ばす。

「……で、こう、カーテンを開いたんだ。それから私は電気を消そうとして振り返った。その時――」

 部長の指が、真っ直ぐに姿見を指し示た。

「鏡の中に何かが映っていた。黒い霧みたいな何かが」

 当時の光景が頭の中に甦ってきたのか、彼女は小さく身震いをして、話を終えた。

「ありがとうございます。……すいません、思いださせてしまって」
「いや、いい。何かを確かめるのに必要だったんだろ。――それで、何か分かったか?」
「はい。この部屋に幽霊がいた原因を、部長のおかげで特定出来ました」

 七瀬は言った。
 今しがたの実演は、七瀬の考えを裏付けるのに十分なものだった。部長の証言と状況とを合わせて考えれば、可能性はたった一つに絞られる。仮説が確信に変わった。

「これは――合わせ鏡です。合わせ鏡が、近くを彷徨っていた幽霊をこの部屋に呼び込んでしまったんです」

 ※

「合わせ鏡……って、ちょっと待ってくれ七瀬。それはおかしくないか」

 南部長が手を上げて、七瀬の説明を中断させた。

「合わせ鏡が何なのかは私にでも分かる。二枚の鏡を向かい合わせにした、あれのことだよな。鏡が鏡を映して、その繰り返しがどこまでも続いていくやつだ」
「そうですね。夜中の二時に合わせ鏡をすると魔物が飛び出てくる、とか、オカルト的な噂には尽きません」
「だけど、七瀬。この部屋にある鏡はあれだけだ。一枚ぽっちでどうやって合わせ鏡を――」

 そこまで言ったところで、唐突に部長は口を閉ざした。窓に視線を向ける。次いで、心中の驚きを表すかのように瞳が見開かれた。唇の間から、小さな独白が漏れる。

「――そういうことか」

 七瀬が気付いたことと同じことに、聡明な南部長も思い至ったようだった。

「なるほどな。だから、あのタイミング・・・・・・・だったのか」
「確認しますか」
「ああ。――二枚目の鏡がどこから出てきたのか、だが」

 確信に満ちた動きで、南部長はすぐ横の窓に手を当てた。

「この窓が鏡になった。だな? 七瀬」
「はい。間違いないと思います」

 七瀬が頷いた。
 こちら側が明るく、向こう側が暗い場合、ガラスは鏡のような働きをする。このことは、夜にカーテンを開けてみれば分かりやすいだろう。そこには夜闇に包まれた屋外ではなく、電灯に照らされた室内の光景が映っている筈だ。
 それと同じことが、この部屋でも起こった。

「月を見ようとカーテンを開けた……その瞬間に、この部屋の中で合わせ鏡が出来上がったんです。それが、あの幽霊を部屋に入れる原因になった」

 姿見と窓。本来ならこの二つは、向かい合わせになった所でどうにもなりはしない。
 しかし、夜ならば。窓ガラスは即席の鏡となって、意図せず合わせ鏡が生じてしまうのだ。簡単に作れるから過小評価されがちだが、合わせ鏡も立派な呪術の一つだ。幽霊の一体や二体、招き入れるだけの力はある。
 部長と幽霊の間には、本当に何の関係もないのだろう。寝室に偶然合わせ鏡が出来上がった時、偶然近くを幽霊が通りかかった。
 そうして幽霊はこの部屋に入り込み、今日の早朝、部長へ牙を向いたというわけだ。

「つまり――私はただ単に、運が悪かったんだな」
「はい。誰が悪いわけでも、なかったんです」

 偶然の重なりが引き寄せた不運。それが七瀬の辿り着いた結論だった。内と外とで分たれた明と暗。その違いが、何の変哲もない窓ガラスを、一瞬の間だけ鏡として存在せしめたのだ。
 もし、カーテンを開ける前に電気を消していたなら。
 もし、合わせ鏡が出来た時に幽霊が近くを通らなかったら。
 きっと何事もなく、部長は月を眺めていたのだろう。
 それは“理不尽”と言い換えることだって出来るかもしれない。
 何故なら彼女がしたことと言えば、ほんの少し月を見ようとカーテンを開けた、ただそれだけなのだから。
 どうして彼女に、責任を負わせられようか。

「……そうか」
「……大丈夫ですか?」
「うん……まあ、もう終わったことだ。アレコレ考えても仕方ない」

 部長はため息をついた。納得は出来ても、やりきれない思いがまだ残っていることが、傍から見ていてよく分かった。

「……よし。あの鏡を動かすぞ。もうこんなことになるのは勘弁だからな」

 膝と手を打ち鳴らして、部長が立ち上がった。

「手伝います」

 二人で力を合わせて姿見の向きを変える。二度と、この偶然が繰り返されないように。
 かくして南部長の平穏は、再び無事に確保されたのだった。

 ※

 七瀬が帰って三時間後、南理恵は壁にもたれ掛かって、一人スマートフォンの画面を眺めていた。
 そこに映っているのは、0から始まる11桁の数字。恋人の携帯の電話番号である。彼は今遠方に出掛けていて、ここ数日は会えない状況が続いていた。
 率直に言って寂しい。文芸部の親友たちでは、どうにも誤魔化せないタイプの寂しさだ。それでも、別に今生の別れではないのだからと自分に言い聞かせ、今日まで過ごしてきた。
 だが今、理恵は無性に恋人に会いたかった。彼の顔が見たい。そして思いっきり抱き締められたい。
 夜になったことで、死に触れられた昨夜の出来事を思い出してしまったのだった。七瀬と渚のおかげで幽霊はいなくなり、大元の原因も取り除いている。既に安全は、理恵の手の中に戻っていた。
 だからもう、怯えることはないと分かっているのに――今夜、ぐっすり眠れる気がしない。
 好きな人に。自分を守ってくれる人に、傍にいて欲しかった。
 指が受話器のマークに触れて、恋人へと電話がかかる。一回一回のコール音がとても長く感じた。息を止め、祈るような気持ちで、彼の声が聞こえてくるのを待った。
 そして。

『――もしもし、理恵?』

 数日ぶりに聞いたその声は、たちまち理恵の心を鷲掴みにしてしまう。彼女が待ちわびていた響きに間違いなかった。

「もしもし拓哉? 今、少し時間いいか。……ちょっと話したくなって」

 そう言うと、彼――本庄 拓哉は『勿論いいよ。何を話そっか?』と応えてくれた。
 暫くの間は、とりとめのないことを話して過ごした。彼が外出先でどんなことをしたのか、等といった他愛のない内容である。
 そうしている内に、理恵は昨夜のことを思い出した。
 自分が幽霊に襲われ、もうダメかと思ったあの時のことだ。彼が電話をかけてくれたおかげで、自分は部屋から逃げだすことが出来た。
 履歴が残っていなかったあたり、あの着信音は、恐怖から来た幻聴かもしれない。
 一応、確かめておこう。

「なあ拓哉。今朝の二時ぐらいに、何かしてたか?」
『二時? そのころはホテルで寝てたけど……何かって、例えば?』
「……私に電話をかけたりとか」
『理恵の迷惑になるじゃんか。俺はそんなことしないよ』

 それもそうだ、と思った。彼は自分の都合よりも、こちらのことを考えてくれる人だった。
 やっぱりあの着信は、気のせいか何かで――。

『――あ、いやでも、電話はかけたね』
「え?」
『夢の中で、だけど』

 電話をかける夢を見た……そういうことだろうか。

『俺もよく覚えていないんだけど、理恵に電話をかけなくちゃならない、って強く思ったんだ。それで理恵の携帯に電話をかけて……理恵が出る前に夢が終わった。気付いたら朝になってたよ』

 理恵は言葉を失った。履歴には残らない着信があった、ほぼ同時刻に、その相手は電話をかける夢を見ていたというのだ。
 単なる偶然とは思えなかった。
 拓哉が夢の中からかけた電話が、現実の携帯へと繋がった――そんなことを思い浮かべる。
 昨日までの理恵なら、あり得ないと一笑に伏していただろう。だが今日彼女は、怪奇の存在を知った。この世には、時に常識では考えられないことが起きると実感したのだ。
 理屈ではなく、直感的に。彼が助けてくれたのだと感じた。
 本人には自覚など無いのだろう。けれどもそんなことはどうでもいい話だった。
 彼が自分を守ってくれていた。そのことが、会いたい思いを加速させる。

「なあ、拓哉」

 気付けば、口にしていた。

「今から――私の所に来てくれないか?」

 堰を切ったように、彼への想いを唇が紡いでいく。
 止まらない。

「……会いたい。すぐにでも、拓哉に会いたいよ」

 迷惑だということは分かっていた。
 彼はついさっき、こちらに帰ってきたばかりなのだ。ゆっくり休んで疲れを取るべきなのだ。
 けれど、一度溢れた感情を再び元に戻すことは、不可能な話だった。

『――分かった。今からそっちに行くよ』

 理恵の口調に並々ならぬものを感じたのだろう。彼からの返事はたったそれだけ。
 アレコレと追及してこない優しさに、ますます愛しさが募る。
 電話が切れた。理恵は耳元からスマートフォンを離して目の前にもってきた。液晶に表示される恋人の名前、“本庄拓哉”の四文字。そこから彼の顔を思い浮かべるのは、彼女にとって造作も無いことだった。
 そうしていると、玄関のチャイムが鳴った。

 ――誰だろう?

 夜に訪ねてくる相手に心辺りは無い。拓哉にしては早過ぎる。通話が終わってまだ一分も経っていないのだから。
 玄関に向かい、念のためにチェーンロックをかけてから扉を開けた。
 直後、言葉を失う。

「――――え」

 そこには想い人の姿があった。照れ臭げな笑みを浮かべて、目の前に立っていたのだ。
 幼馴染、そして恋人として過ごしてきた二十年弱の月日が、彼は本物だと告げていた。それでもなお自分の目を疑ってしまう。
 会いたいと言ってからこんなにすぐ来てくれるなんて――まるで魔法みたいだ。

「――驚いた? 実は理恵から電話がかかってきた時、もうマンションの入口まで来てたんだ」

 拓哉は持っていた紙袋を掲げてみせる。

「お土産。早めに渡しとこうかなと思って――」

 正直なところ、彼がここにいる理由など何でも良かった。存在だけで十分心は満たされる。この瞬間、彼に関すること以外の全てが、頭の中から追い出された。
 チェーンロックを外す時間さえ惜しい。自身と彼とを分つ最後の鎖が解錠されるや否や、理恵は扉を開き、愛する人の胸元へと飛び込んだ。突然のことに彼は一瞬よろめいたが、すぐに体勢を立て直して、彼女の身体をしっかりと支えてくれた。
 わがままな自分も、欲深い自分も、まとめて受け止めてくれる人。
 思いきり抱きしめる。互いの口元が、互いの耳元にあった。

「それにしてもどうしたの? いきなり会いたいだなんて」
「……私にだって、そういう時があるんだ。……女なんだぞ」

 応える理恵の目元から流れ落ちた一滴の雫は、その存在を誰にも知られることのないまま、夜の闇へと溶けていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

アデンの黒狼 初霜艦隊航海録1

七日町 糸
キャラ文芸
あの忌まわしい大戦争から遥かな時が過ぎ去ったころ・・・・・・・・・ 世界中では、かつての大戦に加わった軍艦たちを「歴史遺産」として動態復元、復元建造することが盛んになりつつあった。 そして、その艦を用いた海賊の活動も活発になっていくのである。 そんな中、「世界最強」との呼び声も高い提督がいた。 「アドミラル・トーゴーの生まれ変わり」とも言われたその女性提督の名は初霜実。 彼女はいつしか大きな敵に立ち向かうことになるのだった。 アルファポリスには初めて投降する作品です。 更新頻度は遅いですが、宜しくお願い致します。 Twitter等でつぶやく際の推奨ハッシュタグは「#初霜艦隊航海録」です。

【完結】美しい人。

❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」 「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」 「ねえ、返事は。」 「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」 彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。

マンドラゴラの王様

ミドリ
キャラ文芸
覇気のない若者、秋野美空(23)は、人付き合いが苦手。 再婚した母が出ていった実家(ど田舎)でひとり暮らしをしていた。 そんなある日、裏山を散策中に見慣れぬ植物を踏んづけてしまい、葉をめくるとそこにあったのは人間の頭。驚いた美空だったが、どうやらそれが人間ではなく根っこで出来た植物だと気付き、観察日記をつけることに。 日々成長していく植物は、やがてエキゾチックな若い男性に育っていく。無垢な子供の様な彼を庇護しようと、日々奮闘する美空。 とうとう地面から解放された彼と共に暮らし始めた美空に、事件が次々と襲いかかる。 何故彼はこの場所に生えてきたのか。 何故美空はこの場所から離れたくないのか。 この地に古くから伝わる伝承と、海外から尋ねてきた怪しげな祈祷師ウドさんと関わることで、次第に全ての謎が解き明かされていく。 完結済作品です。 気弱だった美空が段々と成長していく姿を是非応援していただければと思います。

椿の国の後宮のはなし

犬噛 クロ
キャラ文芸
※4話は2/25~投稿予定です。間が空いてしまってすみません…! 架空の国の後宮物語。 若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。 有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。 しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。 幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……? あまり暗くなり過ぎない後宮物語。 雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。 ※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。

処理中です...