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第四夜:角部屋の女霊
除霊オペレーション(1)
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「つあっ……!」
突然、幽霊と繋がっていた指先に痛みが走った。
思わず七瀬が後ろにのけ反ったことで、幽霊との接続は途絶えた。同時に視界も元に戻る。網膜を満たしていた真っ暗闇の世界は雲散霧消して、代わりに部長の部屋の光景が舞い戻ってきた。幽霊の姿は変わらず目の前にあった。
『許さない』という恨みの込められた声も途切れる。だがそれでも頭の中には、その余韻がしつこく残っていた。
南部長が咄嗟に手を伸ばして、倒れ掛かった七瀬を支えてくれる。
「七瀬!」
名前を呼ばれてようやく七瀬は我に返った。
「おい、大丈夫か」
「……大丈夫、です。少し怖いものを見て、痛くなっただけです」
そう返事をしてから七瀬は自分の右手を見たが、特に変わった所はなかった。傷もついていなければ、指先が黒くなっていることもない。謎めいた痛みの原因――その痕跡は、一切残っていない。
ただ一つだけ言えるのは、あの痛みのおかげで、恐ろしい光景の流入を断ち切れたということだった。今思い出しても怖気が走る。幽霊の呪詛をあのまま聞かされ続けていたら、もしかすると気が狂ってしまったかもしれない。
今もまだ、いつもより寝過ぎた休日の朝のような、頭の奥におもりが詰まっている感覚がある。
「そうだ、渚ちゃんは……!」
「ここです、先輩」
渚の声が左側から返ってきた。そちらを向けば――当然と言えば当然なのだが――彼女の姿があった。
見る限り、何か怪我をしたとか、気分が悪いとかいう様子は無さそうで、取り敢えず安心する。
「渚ちゃんは大丈夫? 何もない?」
「はい、少し頭が重たいくらいです」
渚が言った。彼女もどうやら、七瀬と同じ感覚を覚えているようだった。
「……先輩、さっきのは何だったんですか? いきなり火花が弾けるような音がして、気づいたらこっちに戻っていたんですけど」
「僕も正直、何が起きたのか分からないんだ。だけどおかげで、彼女が成仏出来ないでいる理由には見当がついたよ」
虎穴に入らずんば虎児を得ず。
幽霊と繋がることは、ある種の危険性を孕む賭けだった。だが七瀬たちはそこから、幽霊の未練を予想するに十分な情報を手に入れることが出来た。
「部長」
「どうした?」
七瀬が名前を呼べば、部長もスッと目を細め、聞く体勢に入る。
「これからお話しします。今、僕たちが見た光景の、全てを」
※
「――そこにいる彼女……美沙さんはきっと、恋人だった人の事を許せないんだと思います。そのせいで、この世界に縛り付けられている……全て、推測に過ぎないことですが」
「そうか……」
七瀬が説明を終えると、部長は小さく息を吐いてから口元に指を当てて、何かを考え始めた。一瞬だけその視線が幽霊の方を向き、またすぐに元へ戻る。
「二人が見せられた光景からするに……そう考えるのが妥当だろうな。それ以外には考えられないと言ってもいいか。わたしがお前や渚の立場にいたとしても、凡そ同じ結論になる筈だ」
「はい。ただこれだと、一つだけ説明のつかないことがあって……」
「幽霊が私の部屋にいる理由、だな? 私もそこが分からない。二人が幽霊の記憶を視ている間、もう一度考えてみたんだが、やっぱり心当たりなんて無いんだ」
顔を見合せて、二人同時に首を横に振った。
幽霊が、何故部長の部屋に現われたのか。七瀬にもその答えは見当が付かなかった。
死人の理屈が、生きている人間のそれと違うのはまだ納得出来る。だがそうだとしても、その行動には何かしらの理由が伴う筈だ。
「浮気相手が部長だった、というのは万に一つもあり得ないですよね」
「当たり前だ。私は今の彼氏を信じているからな」
部長は即座に断言してみせた。幼馴染でもあるらしい恋人に対する、全幅の信頼がその口ぶりから感じ取れた。
「浮気相手の顔は私も見ていますが、部長さんとは雰囲気がまるで違いました」
渚が横からそう付け加える。
「こう言ったら何なんですけど、甘い言葉で気に入った男の人にすり寄って貢がせるような……それで飽きたらすぐに他へ乗り移るような……私が苦手なタイプです。全部、勝手な想像ですけど」
「僕も同じ印象を受けたから、きっと間違っていないと思うな。こういうの何て言うんだっけ……小悪魔?」
「ふむ、わたしの友達にそういう魔性の女はいないな。……ああ、ますます分からなくなってきた。私はこの幽霊と何の関わりも無い、その筈なんだ」
そう言って幽霊の方に視線を向けるが、相手からは何の返答も返って来そうになかった。ただそこに突っ立って、三人を、あるいはどこでもない場所を、見つめているばかりだ。
沈黙の表すところが、肯定か否定かすら判断出来ない。
南部長と幽霊の繋がりは、特に無いという可能性だってある。何かの偶然に偶然が重なって、幽霊がこの部屋に迷い込んだというパターンだ。
家はそれだけで結界の役目を果たす。それは外からの侵入を防ぐだけではない。中から外への移動も同様に妨げるのだ。
こいつが自分を閉じ込めた――幽霊がそのように勘違いをしたなら、部長を襲ったことにも一応説明がつく。
だがだとすれば、これは部長にとって理不尽極まりない悲劇ということになる。だが文句を言った所で、事態が好転する訳でもない。
「……これからどうするか、を先に考えた方が良さそうですね」
つまるところ、現状を受け入れることしか出来ないのだ。
「何か考えがあるのか?」
「一つだけあります。ただそれをするには、美沙さんが成仏することに同意してくれる必要があります」
“美沙”という名前に幽霊が反応を見せた。床を滑るようにして移動し、七瀬の方へ近づいてくる。咄嗟に身構えたが、幽霊は七瀬の目の前まで来ると、再び立ち止まった。
考えていることは分からないが、今の話に興味を持ったようだ。
「――美沙さん、でいいんだよね」
幽霊が首を縦に振る。
「率直に訊くよ。……美沙さんは、このまま成仏する気はある?」
言ってすぐに、言葉を間違えたかもしれないと気づく。
記憶を見た限り、自分達で彼女の未練を解消するのは無理そうだ。だから代わりに、成仏すると楽になれることを伝えて説得しようと思っていたのだが――さすがに直球すぎた。
これでは拒絶されてもおかしくない、と内心で後悔する。
しかし七瀬の予想はいい意味で裏切られた。
しばらく迷う素振りを見せた後幽霊は、肯いて了承の意を示してきたのだ。
※
「――と。こういう風にして、美沙さんを成仏させます」
渚、南部長、そして幽霊。この場にいる三人に、七瀬は自分が考えている方法を話した。
「先輩、それはダメです」
説明が終わるやいなや、渚がきっぱりと言った。
彼女の反対は、七瀬も想定済みである。誰か一人だけを危険には晒させない、それくらいなら一緒に――こう考えるのが上川渚という人間だ。
彼女を説得することが、作戦の第一関門だった。
「……勿論、危ないことは僕も分かってるつもりだよ。でもこれが一番確実なやり方じゃないかな」
「私もそう思っています。ただ、それをするのは別に先輩じゃなくてもいいじゃないですか。代わりに私が――」
「それは駄目」
「どうしてですか」
「単純に、僕の方が渚ちゃんよりも体力があるからね。頼りないかもしれないけど、こういう荒事は男の僕に任せて」
「でも、でも――」
引き止めたい。けれどそのための言葉が出てこない――渚はそんな様子で、視線を彷徨わせる。
彼女には悪いが、思いつく中ではこの方法が一番成功しそうなのだ。そこに多少のリスクは付き物。問題は誰がそれを背負うかということになるのだが……渚や部長に押しつけるのは、男として論外だろう。
「でも……やっぱり考えなおしてください。いくらなんでも危険すぎるじゃないですか……!」
しかし、渚も食い下がってくる。
「先輩の体に、幽霊を取り憑かせるなんて――」
突然、幽霊と繋がっていた指先に痛みが走った。
思わず七瀬が後ろにのけ反ったことで、幽霊との接続は途絶えた。同時に視界も元に戻る。網膜を満たしていた真っ暗闇の世界は雲散霧消して、代わりに部長の部屋の光景が舞い戻ってきた。幽霊の姿は変わらず目の前にあった。
『許さない』という恨みの込められた声も途切れる。だがそれでも頭の中には、その余韻がしつこく残っていた。
南部長が咄嗟に手を伸ばして、倒れ掛かった七瀬を支えてくれる。
「七瀬!」
名前を呼ばれてようやく七瀬は我に返った。
「おい、大丈夫か」
「……大丈夫、です。少し怖いものを見て、痛くなっただけです」
そう返事をしてから七瀬は自分の右手を見たが、特に変わった所はなかった。傷もついていなければ、指先が黒くなっていることもない。謎めいた痛みの原因――その痕跡は、一切残っていない。
ただ一つだけ言えるのは、あの痛みのおかげで、恐ろしい光景の流入を断ち切れたということだった。今思い出しても怖気が走る。幽霊の呪詛をあのまま聞かされ続けていたら、もしかすると気が狂ってしまったかもしれない。
今もまだ、いつもより寝過ぎた休日の朝のような、頭の奥におもりが詰まっている感覚がある。
「そうだ、渚ちゃんは……!」
「ここです、先輩」
渚の声が左側から返ってきた。そちらを向けば――当然と言えば当然なのだが――彼女の姿があった。
見る限り、何か怪我をしたとか、気分が悪いとかいう様子は無さそうで、取り敢えず安心する。
「渚ちゃんは大丈夫? 何もない?」
「はい、少し頭が重たいくらいです」
渚が言った。彼女もどうやら、七瀬と同じ感覚を覚えているようだった。
「……先輩、さっきのは何だったんですか? いきなり火花が弾けるような音がして、気づいたらこっちに戻っていたんですけど」
「僕も正直、何が起きたのか分からないんだ。だけどおかげで、彼女が成仏出来ないでいる理由には見当がついたよ」
虎穴に入らずんば虎児を得ず。
幽霊と繋がることは、ある種の危険性を孕む賭けだった。だが七瀬たちはそこから、幽霊の未練を予想するに十分な情報を手に入れることが出来た。
「部長」
「どうした?」
七瀬が名前を呼べば、部長もスッと目を細め、聞く体勢に入る。
「これからお話しします。今、僕たちが見た光景の、全てを」
※
「――そこにいる彼女……美沙さんはきっと、恋人だった人の事を許せないんだと思います。そのせいで、この世界に縛り付けられている……全て、推測に過ぎないことですが」
「そうか……」
七瀬が説明を終えると、部長は小さく息を吐いてから口元に指を当てて、何かを考え始めた。一瞬だけその視線が幽霊の方を向き、またすぐに元へ戻る。
「二人が見せられた光景からするに……そう考えるのが妥当だろうな。それ以外には考えられないと言ってもいいか。わたしがお前や渚の立場にいたとしても、凡そ同じ結論になる筈だ」
「はい。ただこれだと、一つだけ説明のつかないことがあって……」
「幽霊が私の部屋にいる理由、だな? 私もそこが分からない。二人が幽霊の記憶を視ている間、もう一度考えてみたんだが、やっぱり心当たりなんて無いんだ」
顔を見合せて、二人同時に首を横に振った。
幽霊が、何故部長の部屋に現われたのか。七瀬にもその答えは見当が付かなかった。
死人の理屈が、生きている人間のそれと違うのはまだ納得出来る。だがそうだとしても、その行動には何かしらの理由が伴う筈だ。
「浮気相手が部長だった、というのは万に一つもあり得ないですよね」
「当たり前だ。私は今の彼氏を信じているからな」
部長は即座に断言してみせた。幼馴染でもあるらしい恋人に対する、全幅の信頼がその口ぶりから感じ取れた。
「浮気相手の顔は私も見ていますが、部長さんとは雰囲気がまるで違いました」
渚が横からそう付け加える。
「こう言ったら何なんですけど、甘い言葉で気に入った男の人にすり寄って貢がせるような……それで飽きたらすぐに他へ乗り移るような……私が苦手なタイプです。全部、勝手な想像ですけど」
「僕も同じ印象を受けたから、きっと間違っていないと思うな。こういうの何て言うんだっけ……小悪魔?」
「ふむ、わたしの友達にそういう魔性の女はいないな。……ああ、ますます分からなくなってきた。私はこの幽霊と何の関わりも無い、その筈なんだ」
そう言って幽霊の方に視線を向けるが、相手からは何の返答も返って来そうになかった。ただそこに突っ立って、三人を、あるいはどこでもない場所を、見つめているばかりだ。
沈黙の表すところが、肯定か否定かすら判断出来ない。
南部長と幽霊の繋がりは、特に無いという可能性だってある。何かの偶然に偶然が重なって、幽霊がこの部屋に迷い込んだというパターンだ。
家はそれだけで結界の役目を果たす。それは外からの侵入を防ぐだけではない。中から外への移動も同様に妨げるのだ。
こいつが自分を閉じ込めた――幽霊がそのように勘違いをしたなら、部長を襲ったことにも一応説明がつく。
だがだとすれば、これは部長にとって理不尽極まりない悲劇ということになる。だが文句を言った所で、事態が好転する訳でもない。
「……これからどうするか、を先に考えた方が良さそうですね」
つまるところ、現状を受け入れることしか出来ないのだ。
「何か考えがあるのか?」
「一つだけあります。ただそれをするには、美沙さんが成仏することに同意してくれる必要があります」
“美沙”という名前に幽霊が反応を見せた。床を滑るようにして移動し、七瀬の方へ近づいてくる。咄嗟に身構えたが、幽霊は七瀬の目の前まで来ると、再び立ち止まった。
考えていることは分からないが、今の話に興味を持ったようだ。
「――美沙さん、でいいんだよね」
幽霊が首を縦に振る。
「率直に訊くよ。……美沙さんは、このまま成仏する気はある?」
言ってすぐに、言葉を間違えたかもしれないと気づく。
記憶を見た限り、自分達で彼女の未練を解消するのは無理そうだ。だから代わりに、成仏すると楽になれることを伝えて説得しようと思っていたのだが――さすがに直球すぎた。
これでは拒絶されてもおかしくない、と内心で後悔する。
しかし七瀬の予想はいい意味で裏切られた。
しばらく迷う素振りを見せた後幽霊は、肯いて了承の意を示してきたのだ。
※
「――と。こういう風にして、美沙さんを成仏させます」
渚、南部長、そして幽霊。この場にいる三人に、七瀬は自分が考えている方法を話した。
「先輩、それはダメです」
説明が終わるやいなや、渚がきっぱりと言った。
彼女の反対は、七瀬も想定済みである。誰か一人だけを危険には晒させない、それくらいなら一緒に――こう考えるのが上川渚という人間だ。
彼女を説得することが、作戦の第一関門だった。
「……勿論、危ないことは僕も分かってるつもりだよ。でもこれが一番確実なやり方じゃないかな」
「私もそう思っています。ただ、それをするのは別に先輩じゃなくてもいいじゃないですか。代わりに私が――」
「それは駄目」
「どうしてですか」
「単純に、僕の方が渚ちゃんよりも体力があるからね。頼りないかもしれないけど、こういう荒事は男の僕に任せて」
「でも、でも――」
引き止めたい。けれどそのための言葉が出てこない――渚はそんな様子で、視線を彷徨わせる。
彼女には悪いが、思いつく中ではこの方法が一番成功しそうなのだ。そこに多少のリスクは付き物。問題は誰がそれを背負うかということになるのだが……渚や部長に押しつけるのは、男として論外だろう。
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