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初めまして編
??視点 夢かうつつか
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落ちて落ちて落ちて。
どこまでも落ち続けた。
自分はどこへ行くのだろう。
自分とは何だったのだろう。
それ以前に、自分は何かになれたのだろうか。
自分はなぜ、こんなにも弱いのだろうか。
抗えない。
逆らえない。
飲み込まれる。
世界の因果に、押しつぶされる。
さようならは、言わない。
だって柄じゃないから。
だからせめて。
これだけは言わせて欲しい。
「また、会えますか?」
わかりきったその答えを。
今はまだ、口にしないで。
◇ ◆ ◇
「へぇ、この6人が?」
「そう、召喚した者達だ。」
「……そう。確かに只者じゃないね。…にしても、6人とも酷い有様だ。このままだと全員数分のうちに死ぬよ?」
「だからこそ、お前を呼んだのだよ。」
「え?ぼくに直して欲しいってこと?はぁ、それでぼくを呼んだってわけ。ふーん、ま、いいよ。なんか面白いことになりそうだし。これ、貸しだよ!」
「ああ。恩にきる、『回復』の神。ありがとう。」
「どういたしまして、陛下。……いや、『召喚』の神。」
◇ ◆ ◇
まぶしい。
何?何か、靄がかかってるみたいな。
何も、見えない…??
『前を見ろ。』
『下は見るな。』
『大丈夫だ、お前なら大丈夫』
…邪魔な霧。声の主が見えない。
でもどこか、懐かしい声。
貴方を知ってる。
思い出せない。
貴方は、誰??
……………
あれ?
今度は、キラキラまぶしい。
目が開けられない。
『大丈夫よ。貴方は私が守ります。』
『何があっても』
『だってそれが私の最後の…』
今度は女の人の声。
貴方のことも知ってる。
誰?
……思い出せない。
………………
あれ?また、変わった。
今度は暗い。
真っ暗闇。
でも、不思議と落ち着く暗さ。
『泣いちゃいけないよ。』
『何、心配ないよ』
『××は死なないから。』
男の人の低い声。
不思議。
貴方のことも知ってる。
貴方のことも思い出せない。
どうして??
何も何も、何もかも、思い出せない。
何も知らない。何も知らされていないから。
どうして?
何でこんなにも空っぽなの。
……違う。
わかってる。
思い出せないんじゃない。
思い出したくないだけ。
知らないんじゃない。
知らされてないんじゃない。
きっと、知りたくないだけ。
知ろうとしないだけ。
思い出そうとしていないだけ。
だから、空っぽのまま。
空っぽのまま、目が覚めた。
「やあ。初めまして。ようこそ異世界へ。」
目の前には、正真正銘の知らない人。
彼は後に国王だと名乗った。
周りには同世代らしき五人の少年少女。
ああ、思い出せない。
自分は何者なのかも。
何者だったのかも、わからない。
でも、きっといつかわかる。
そんな気がするから。
今はただ、前を向いていよう。
前を向いていないと、怒られる気がするから。
『前を見ろ。』
『下は見るな。』
『大丈夫だ、お前なら大丈夫』
目覚める前に見た、あの夢。
不思議な夢。
何故か、その言葉に背中を押された気がした。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
お読みいただきありがとうございます!
そんでもってすみません。
今回は後になって読むと「あー、そういうことか!」ってスッキリする感じのお話でした。
今読んでも「ふぁーん?ナンジャコリャ」だと思います。
ご、ごめんなさい……。
この作品は結構内容が深いんです。
許してくだせぇ。
どこまでも落ち続けた。
自分はどこへ行くのだろう。
自分とは何だったのだろう。
それ以前に、自分は何かになれたのだろうか。
自分はなぜ、こんなにも弱いのだろうか。
抗えない。
逆らえない。
飲み込まれる。
世界の因果に、押しつぶされる。
さようならは、言わない。
だって柄じゃないから。
だからせめて。
これだけは言わせて欲しい。
「また、会えますか?」
わかりきったその答えを。
今はまだ、口にしないで。
◇ ◆ ◇
「へぇ、この6人が?」
「そう、召喚した者達だ。」
「……そう。確かに只者じゃないね。…にしても、6人とも酷い有様だ。このままだと全員数分のうちに死ぬよ?」
「だからこそ、お前を呼んだのだよ。」
「え?ぼくに直して欲しいってこと?はぁ、それでぼくを呼んだってわけ。ふーん、ま、いいよ。なんか面白いことになりそうだし。これ、貸しだよ!」
「ああ。恩にきる、『回復』の神。ありがとう。」
「どういたしまして、陛下。……いや、『召喚』の神。」
◇ ◆ ◇
まぶしい。
何?何か、靄がかかってるみたいな。
何も、見えない…??
『前を見ろ。』
『下は見るな。』
『大丈夫だ、お前なら大丈夫』
…邪魔な霧。声の主が見えない。
でもどこか、懐かしい声。
貴方を知ってる。
思い出せない。
貴方は、誰??
……………
あれ?
今度は、キラキラまぶしい。
目が開けられない。
『大丈夫よ。貴方は私が守ります。』
『何があっても』
『だってそれが私の最後の…』
今度は女の人の声。
貴方のことも知ってる。
誰?
……思い出せない。
………………
あれ?また、変わった。
今度は暗い。
真っ暗闇。
でも、不思議と落ち着く暗さ。
『泣いちゃいけないよ。』
『何、心配ないよ』
『××は死なないから。』
男の人の低い声。
不思議。
貴方のことも知ってる。
貴方のことも思い出せない。
どうして??
何も何も、何もかも、思い出せない。
何も知らない。何も知らされていないから。
どうして?
何でこんなにも空っぽなの。
……違う。
わかってる。
思い出せないんじゃない。
思い出したくないだけ。
知らないんじゃない。
知らされてないんじゃない。
きっと、知りたくないだけ。
知ろうとしないだけ。
思い出そうとしていないだけ。
だから、空っぽのまま。
空っぽのまま、目が覚めた。
「やあ。初めまして。ようこそ異世界へ。」
目の前には、正真正銘の知らない人。
彼は後に国王だと名乗った。
周りには同世代らしき五人の少年少女。
ああ、思い出せない。
自分は何者なのかも。
何者だったのかも、わからない。
でも、きっといつかわかる。
そんな気がするから。
今はただ、前を向いていよう。
前を向いていないと、怒られる気がするから。
『前を見ろ。』
『下は見るな。』
『大丈夫だ、お前なら大丈夫』
目覚める前に見た、あの夢。
不思議な夢。
何故か、その言葉に背中を押された気がした。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
お読みいただきありがとうございます!
そんでもってすみません。
今回は後になって読むと「あー、そういうことか!」ってスッキリする感じのお話でした。
今読んでも「ふぁーん?ナンジャコリャ」だと思います。
ご、ごめんなさい……。
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許してくだせぇ。
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