鬼とか神とか鬼神とか、もうチートすぎるんですけど!おかげで今日も僕等は破茶滅茶です!!

水瀬 こゆき

文字の大きさ
上 下
1 / 6
初めまして編

陛下は残念なおっさんです。

しおりを挟む

 この世界は、大きく分けて三つの世界がある。
『神』と呼ばれる存在の住まう、天界。
『鬼』と呼ばれる存在の住まう、下界。
そして、人類と、天界や下界からやってきた『鬼』や『神』が共存する、地上界。

 それが俺、ユラハ・ルミエールの住む世界だ。
俺は人類だから地上界に住んでいる。
だが、地上界は長年抱えている問題があった。
それは、地上界で『神』と『鬼』が争いを続けていることである。
ただの喧嘩ならまだいいのだが、彼等は人類には無い、異形の力を持つ。その力は強大で、人間では立ち向かうことすら出来ないほどだ。
 そんな彼等が傍迷惑な事に地上界で争いをしているのだ。
他所でやってくれ!世界が滅びるわ!!と言いたくなるが仕方あるまい。
何しろ彼等が共存出来るのは地上界のみ。
天界や下界は、それぞれ『神』もしくは『鬼』でないと行くことのできない世界なのだから。
 さて、俺はユラハ・ルミエール。
この地上界一の大国、ツヴァルト王国の王族の血を引く公爵家の長男。
 自分で言うのも何だが所謂エリートなのだろう。
そんな俺は、日々そんな地上界の争いを何とかして止められないかと奮闘していた。

 が、しかし。

 俺はその日、唐突に呼び出された。
そして、呼び出した張本人である、ツヴァルト王国の国王は言った。
 「今日は急にすまないなぁユラハ。でも、大変なことが起こったんだ。致し方あるまい。」
 「はぁ…で、大変なこと、とは?」
 陛下は鷹揚に頷いて、大真面目な顔で

 「すまない、ユラハ。手が滑って、異世界人を数名召喚してしまった。」

 は??異世界人?召喚???ナニヲイッテルンダコイツハ。

 頭が真っ白になった俺は思わず本音を漏らした。

 「くそったれ!!!!」

 俺は悪く無いと思う。
だって陛下が悪い冗談言ったからだし。
 「で、だな。その異世界人6名を新しく宰相に任命しようと思うとだが。」 
 …ん?あれ、この流れはもしかして…
 「陛下、まさかとは思いますが…先程の手が滑って~のくだりは冗談では無いのですか?」
 「うん。」
 「うん。じゃねぇよくそったれ!!!!」
 「ごめん、ユラハ。やっちゃったぜ☆」
 「黙れ、このゴミ虫!!!」
 「ごっごごごごみむし!?!?」 
おっといけない。また本音が。
いや、でもこれも俺は悪く無いと思う。
何だか目の前の陛下おっさんが多少涙ぐんでいるように見えなくも無いが、決して俺は悪く無い。
そうだ、この機会に日頃の恨み辛みをぶつけてやろう!
 「あのですねぇ、陛下?俺はいつもいつも言っているでしょう。もう陛下の尻拭いは勘弁だ、と。それなのに!!このザマは何ですか、あぁん??」
 若干敬語が崩れた気はしないでも無いがそんなことはどうでも良い。
これは全て陛下おっさんが悪い!!
 「たまにはツヴァルトの偉大なる王としての威厳を見せてはいかがです。おい、おっさん聞いてんのか。」
 すると陛下は瞳を潤ませながら美し~い謝罪の礼を見せてくれた。
 「ごめんなさい。」
 たった18の少年?にこうべを垂れる大国の王。
何だこれ。まるで俺が悪役じゃ無いか。
 「で?さっきの話の続きですが…いささか無理がありますよ。異世界人にツヴァルトよ政治を任せるなんてふざけてんですかこの野郎。」
 「ごめんなさいごめんなさい。いや、でもな?その6人は全員かなり秀でた能力があってな?」
 先程から謝ってばかりだな、このおっさ…失礼、この国王。
 「そうですか、つまり彼等は全員有能な人材、と…いや、それにしても無理がありますよ。相手は異世界人ですよ?それに、現職の宰相たちのままでいいのでは?」
 現職の宰相は全員で七人いたはずだが、全員が全員、仕事のできる真面目な人だ。なにが不満だと言うのか。
 すると陛下は言いにくそうに、小声で打ち明けてくれた。
 「いや、なに、実はな…あやつら最近歳のせいか、変なことばかり口走るようになってな。」
 「それが何です。優秀さに変わりはありません。」
すると陛下はまた、言いにくそうに…
「その口走る内容がな、『最近、川の向こうに花畑が見える夢ばかりみるわい!ふぉーっふぉっふぉ!』とか、『あそこに半透明の人がいるんじゃが、皆んな見えとらんのか?』とかなんだが…」
 「辞めさせましょう今すぐに。」

 こうして、現職の宰相たちは引退が決まり、次の新宰相に異世界人6人が任命されたのだった。

 「あ、そうそう。あの6人だけだと不安なんでな、ユラハ。そなたに6人をまとめて欲しいのだ!と言うことで、今日付でそなたを宰相に任命する。」

 「んなアホな。」

 これが、新宰相ユラハ・ルミエールの誕生の瞬間であった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

処理中です...