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出会い編

あとで少し時間をください、アルカティーナ様。

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 「そうなんですか?考え方が一緒のようで、嬉しいですわ。」


 にこりとわらって見せます。
ですが、それとは正反対に内心は乱れに乱れています。
意味深な、先ほどのセリフ。
何だか凄く第六感に訴えるものがあるのです。

 リサーシャ嬢は、転生者?

ドクン ドクン ドクン
心臓って胸にあるんですよね?
なのにどうしてこんなに心音が近くから聞こえるのでしょう。
……彼女が転生者だったら、どうしましょう。
前世について語り合う?
それとも転生について語り合う??
彼女はこのゲームを知っている??
だとしたら、ストーリーを教えてもらって…?



 いいえ、それ以前に。

彼女はアルカティーナわたくしの味方?

それとも、敵?

敵だったなら、

貴方はわたくしから、幸せを奪いますか。



 一度考え始めると、それはもう止まらなくて。
色んな思考回路が怒涛のように流れ込んできては去って行き。
わたくしはそれが怖くなって。
逃げるように、未だにポッカーーーンとしているアメルダに話しかけました。

 「アメルダ嬢?大丈夫かしら、ぼうっとしているようですけど?」

 「はっ!ご、ごめんなさいアルカティーナ様。あ、別にリサーシャ様にびっくりしてたとかじゃないからねっ!!」

 手紙でもそうだったけれど、アメルダは相変わらずですね。
クスリと笑ってしまいました。
同時に、横からも笑い声が聞こえてきたので見ると、リサーシャ嬢がコロコロと笑っています。

 「あはは!アメルダ嬢は面白いですねー!生ツンデレは初めてだわ!!ね、アルカティーナ様?」

 「ええ、そうですわね。それにアメルダ嬢は凄く可愛いですわ。」

 「わかります!ツンデレ萌えですね!」

 「ツンデレ…もぇ……??あの、なんですかそれ。あ、単に気になっただけだからね!もっとおしゃべりしたいなんて思ってないからねっ!」

 「ふふ、やっぱり可愛いですわね。」

 素直じゃないのに凄く素直な彼女は本当に可愛いと思います。
 そう言えば、せっかくのお茶会なのにあまりお菓子をいただいていません。
今からでも遅くないですよね?

 丸テーブルの中央に置かれていたお菓子の乗ったプレートに手を伸ばしたアルカティーナは、ピタリとその手を止めた。
 なぜなら、その手を掴まれたから。
アルカティーナは自分の手をつかむその手を目で追って…小さく息を飲んだ。
 
 「あとで少し時間をください、アルカティーナ様。」

 耳元で囁かれたその言葉に、またしても息を飲む。
彼女、リサーシャ嬢が囁いたその言葉は。
あまりにも真剣な声色で。
今までアルカティーナ達をギョッとさせてきた「クセのある」性格が作り物なのではないかと疑念を抱くほどに、真面目な表情で。

 「…わかりましたわ。この後、クレディリア邸までお越しくださいな。そこでお話ししましょう。」

 だからこそ、そう答えてしまった。
半ば、諦めの境地で。

 一方リサーシャはとても嬉しそうだった。

 「本当ですか!?きゃー!嬉しいですっ!クレディリア公爵家の邸内に入らせていただけるなんてー!しかも美少女も一緒!!神様ありがとう!」

 もっとも、彼女のそのセリフに、脱力しそうになったのは暗黙の了解です。

 でも、お話といっても何を話すのでしょう。
やっぱり前世について?
でも、彼女が転生者だというのはあくまでもわたくしの予想。
もしかすると彼女は転生者でも何でもなくて、ただ前世について興味があるだけかもしれません。
どちらにしろ、大変な1日になりそうですね。

 だからせめて。今はお菓子に没頭することにしましょう。

 もふもふ、もぐもぐもぐ。

 …おいしぃ!!

もぐ、もふふふもふ、もふもふもぐもぐもぐ!!



その後、アルカティーナはお菓子をやけ食い?し、気がついた頃にはもう、お開きの時間になっていたのであった。


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