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幼少期編

心の準備が…。

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 御機嫌よう、皆様。
わたくしアルカティーナは只今7歳でございます。
わたくしは我ながら、前よりも聡明になったのですよ??
その証拠に、まずはこの世界の常識をお教えしましょう。

 まずは聖霊関係のお話です。
 「聖女候補」は自分に加護を与えた聖霊の持つ力を操ることが出来るらしいです。
 一方「聖女」は全聖霊の力を操ることが出来るらしいですね。
 これは、お母様から教えてもらった事実。

 そもそも、聖霊には属性というものがあるらしいんですよ。
そして属性ごとに人見知りレベルが異なるのだとか。
人見知りレベルの低い順、つまり懐きやすい順に言うと、
 木・光・火・風・土・水・闇  です。
聖霊は世界中に数多存在し、その数は総数およそ700と言われています。各属性につき100いる、と言ったところでしょうか?

大前提として聖霊はどういった存在なのか?
答えは簡単。
聖霊は、自然を操る力を持つ存在なのです!
例えば、風属性の聖霊が力を使ったら風が強くなったり弱くなったりする。
そんな感じで、聖霊とはつまり偉大な存在なんです!

 さて、そんな偉大な力を操ることの出来る「聖女候補」って、怖いとは思いませんか??
だって、「聖女候補」がもし嫌な人だったら、もしかしたらこの世界を崩壊させることだって出来るかもしれません。
だからなのでしょうけど、「聖女候補」は心の美しい女性でないとなる事は不可能なのだとか。
そう、女性限定です。
なぜか聖霊は男の人に懐かないのだそうです。
理由はまだ分からないのだそうです。

 そして、聖霊に関する重要な事実がもう一つ。
聖霊さんは自分から『呼ば』ないと、やってこないとナビが言っていたのを覚えていたりするでしょうか。
その『呼び出し方』についてなのですが…それは『聖歌』と呼ばれる歌を歌うことなのだとか。
 なんでも、聖霊は歌が大好きで、心の清らかな人の澄んだ歌声に惹かれて現れるそうです。

 これを知った当時三歳のわたくしは、その時「聖女候補」になるという夢を一旦諦めました。
だって、澄んだ歌声に惹かれて現れるのでしょう?
三歳児に、裏声は無理ですからね。
三歳児の歌なんて澄んでいるどころかまるでカエルの鳴き声。
聖霊なんて来るはずがないと断念したのですよ。
でも、七歳の今なら不可能ではないのでは⁉︎と言うことでわたくしは最近、お母様とのレッスンに「歌唱」も組み込んでいます!
内容はもちろん聖歌の練習。
どうやら、聖霊は属性によって姿が違うだけでなく、聖歌のこのまま分かれるそうな。
例えば闇の聖霊は『レクイエム』を歌うとやって来やすいらしい……。
なんとこの世界、『聖歌』にレクイエムが含まれるそうです。
なんか怖いですね。

 「でも、お母様?『聖女」様って過去に一度しか存在しなかったのですよね?なぜですか?」
七歳になっても、聖霊さんのことについては教えてもらっています。
聖霊は奥が深いようで、次から次へと新しい知識が舞い込んで来ます。
 「そうよ。私もよく知らないのだけど、『聖霊』はに『聖女』を選抜するんですって。だから聖霊の気分が乗らなければ『聖女』は選抜されないのだとか。気分屋さんなのね。」
 「へぇ~~。」
聖霊さんは気分屋さんなのですか。
あの見た目で、気分屋さん…うん、可愛いんですね。

因みに可愛いと言えばナビですよ、ナビ。
ナビもとっても可愛いんですが、あれからさらに新しい情報を得ることができました。
どうやら、天使の加護持ちが出来るのはテレパシーだけではないらしいのですよ。
まず、「回復」。
体力の回復・怪我の回復…などのまさに天使らしい魔法のような力です。
そして、「絶対服従」。
これは、無条件で相手に言うことを聞かせることができる…と言うこれまた魔法のような力です。
 そして、「テレパシー」。

 「こんな力、悪用されたらどうするんですか。ホイホイと加護なんて与えちゃダメなんですからね!」

 一度、ナビをそう注意したことがあるのですが。

 (わかってるー。だから僕、ティーナを選んだんだよーー。)

間延びた返事が返って来てガックリした記憶があります。
それに、ナビの言ってる意味もよくわかりませんでしたし。
 わたくしだって、人間です。
悪いことだって考えますよ??

 「そう言えばティーナ?貴方、いつになったら聖霊を呼び出すのかしら?」
 
 お母様の言葉にはっと現実に戻りました。
どうやら少しぼーっとしていたみたいです。
 「それは…そうですね。もう聖歌の練習もいっぱいしましたし。裏声も出るようになりましたからね。そろそろチャレンジしてみましょうか。」
するとお母様は嬉しそうに、そうなさい!と微笑んだ。
 「なら早速、明後日とかにしましょう?明後日ならルイジェルも学園がお休みだし、マリオスも家にいるのよ。」

  「急すぎませんかお母様…?心の準備が…。」
  「そんなもの明日なさい!」

  「…ですよねぇ~~。」

 どうやらお父様とお兄様は、わたくしが聖女候補にチャレンジするところを見たい!とお母様に迫ったそうだ。

 そんな家族からの要望を、断れるはずもなく。
わたくしはとうとうその日を迎えたのです。

誰か、助けてください?

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
今回は説明回でした。
会話少なくて読みにくいデス。
ゴメンナサイ…_:(´ཀ`」 ∠):
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