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5章

正しい処罰

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 狙いとしては……まあ考えるまでもないか? 俺たちを殺して今回の剣を有耶無耶にしようとしてるとかそんなんだろう。

「殺すつもりの攻撃だったが、どういうつもりだ?」

 多分予想通りだとは思うが、一応聞いておくとするか。

「どうもこうもねえだろうが、クソッタレがよお! ちっとばかし才能があるからってガキが調子に乗ってんじゃねえぞ!」
「てめえがいるせいで俺たちが罰則を受ける羽目になんだろうが。大人しく死んどけや」

 二人の言葉を聞き流して背後——先ほどまで俺が見ていた方にいるハチェットテイルたちへと視線を向ける。
 まだ魔物たちに攻撃を仕掛ける前だったが、ここまで騒げば流石にバレるようでこちらに向かって集団で走ってきている。

 こいつらをどうにかする無駄に話している時間はさほどないだろうな。
 だが、こいつらをどうするにしても、聞くことだけ聞いておかないと。

「ニドーレン監査官はどうした?」
「殺したに決まってんだろうが」
「……バカか? そんなことしたら問題になるに決まってんだろ」

 ギルドの人間を殺すとか、ギルド全体を敵に回すようなもんだぞ?

「そりゃあ証拠があればの話だろ」
「……なるほど。俺たちを犯人に仕立て上げる気か」

 まあ順当というか、普通なやり方だな。それを信じてもらえるかは別としても最低でも一時的に生き延びることはできる。

 それはいいとして、後はここにいないもう一人とソフィアに関してだが……

「お前がいなけりゃあこんなことにはならなかったんだぜ」
「あっちの女の方は安心しろ。おめえと違って殺しゃあしねえからよ。まあ、代わりに遊び相手になってもらうがなあ」

 聞く前に話してくれたな。でも、いないもう一人はソフィアを狙いにいったか。
 俺に二人ソフィアに一人ってのは、これまでの戦いは俺の方が動いていたからだろう。戦闘面ではソフィアの方が劣る。そう判断されたんだと思う。
 殺さないが捕まえるってことは毒の類を使われる可能性があるが、ソフィアには浄化があるから毒は無効化できる。後は純粋な技量に関してだが、あいつなら大丈夫だとは思う。こいつら雑魚だし。

 けど……急いだ方がいいか。こいつらは問題ないにしても、ハチェットテイルたちが向かえばどうなるかはわからない。

「努力不足を棚に上げての嫉妬か。……みっともないな」
「……だからよお……調子にのんじゃねえっつってんだろうがああああああ!」

 前門の虎後門の狼、か。まあ、後ろの猿どもはいいとしても、こいつらは虎にしては迫力がないな。
 今も剣を振りかぶって襲いかかってきてるし、弓はこっちを狙ってるが、なんら脅威に感じない。

 こいつらが二人いれば勝てると判断していたのは、『さっきまでの俺』の話だ。監査員もこいつらも、スキルを見られる心配をしなくていいんだったら、全力で戦える。まあ、手加減してた状態でもこの二人程度なら余裕だけど。

「《播種》」

 その一言で状況が一転する。

「イギイイイイイイ!?」
「ぎゃあああああ!!」

 俺の言葉と同時に放たれたスキルによって握っていた種は馬鹿二人の目を潰し、身体中に突き刺さる。

 それによって二人は絶叫を上げるが、俺はそれを無視してこちらに迫ってきているハチェットテイルたちに対しても同じようにスキルを使う。ひとまず目と関節をつぶしておけば逃げられる心配なはいはずだ。逃げられても森の中にいる限りは見つけ出せるが、それはそれでめんどくさいからできることなら逃げてほしくない。

「な、何しやがったっ……!」
「スキルを使っただけだ」

 たった二度。それだけのスキルでその場にいたすべての敵を行動不能にすることができた。
 いやー、『農家』ってすげえなー。これもう農家じゃねえ気もするけど、気のせいだな。

 にしても、こいつらが襲ってきてくれてある意味ではよかった。こいつらや監査員のニドーレンに戦い方やスキルがバレないようにするためにわざわざ接近戦を仕掛けようとしていたんだが、ニドーレンは殺されたわけだから見られる心配もないし、こいつらは殺すから見られても問題ないので、好きにスキルを使うことができる。楽でいいや。

「な、っめんじゃねえぞクソがき——」
「《生長》」
「があああああああっ!?」

 目が見えないながらも立ち上がろうとした根性には評価するが、そんな行動に意味なんてない。
 立ち上がろうとした馬鹿に対していつものごとくスキルを重ねることで、再び絶叫が木霊する。

「一応加減はしてあるよ。手持ちの残弾にも限りはあるわけだし、残しておかなきゃだからな。それに、ちょっと聞きたいこともある」

 殺そうと思えばすぐにでも殺せるが、ただ殺すんではもったいない。

「一応確認だ。俺たちを殺す気はあったんだよな」

 俺は馬鹿どもに近づきながらそう問いかけたのだが、馬鹿二人は答えることなく黙りこんでしまった。
 仕方ない。あまりやりたくはない方法だが……はぁ。仕方ない。

「ぎゃああああああああ! ああああああああっ!」

 先ほど立ち上がろうとした威勢の良い馬鹿の首を掴んで逃げられないようにし、顔に手を当ててその表面だけを溶かすように《肥料生成》を発動させる。

 威力の加減が難しいが、弱めることもできないわけじゃない。

 俺がスキルを使った瞬間、男の顔からは異臭がし始め、ドロドロと顔の皮膚が溶け始めた。
 その痛みがどれほどのものかは知らないが、自分で喰らいたくはないと思う程度には痛いだろうな。

 お手軽拷問——じゃなくて尋問スキル。それがこの《肥料生成》だ!

 ……絶対にこんな使い方は想定されてない気がするが、これも応用の一つだ。何も問題はない。

「は、はなずっ! はなずがらっ、やべろっ……」

 たった一度のスキルを食らっただけで男はみっともなく涙とか涎とかを流しながら口を開いた。

「で、どうだ。殺すつもりだったのか?」
「ぞ、ぞうだ……ごろずづもりだった……」

 うん。まあそれは聞くまでもなくわかっていた。何せ初っ端から頭を狙った攻撃してきたし。
 ただ、これは前提であって、本当に聞きたいのは他のことだ。

「まあ、だよな。じゃあ二つ目だ。お前らの裏に何かしらの組織や、唆した奴らはいるか?」

 そう。それが一番聞きたいことだ。ないとは思うが、唆した奴らがいるんだったらそいつらは俺の秘密のことを知ってる可能性がないわけでもないからな。

「い、いない。おれだぢのどぐだんだ」

 聞き取りづらいが、独断、かな? なら、〝俺だから〟狙ったわけじゃないのか。

「じゃあ最後だ。これに答えたら終わらせてやると約束しよう。——お前たち以外で、俺たちのことを狙ってる奴らはいるか?」
「い、いるっ……! 『灰蛇』と『Dイーター』! ぞれがら、ぞの周りのどりまぎだちだ」
「灰蛇とDイーターね。了解了解」

 二つも狙ってるとなるとめんどくさいな。これは本格的に首都から離れた方がいいか? 近いうちに俺の母親の実家に行ってみるつもりだったし、帰ってソフィアがBランクに上がったらすぐに移動できるように話をしておこう。

「ば、はなじだだろ! かいほうじでぐれっ!」

 今後のことについて考えていると、俺に掴まれたままの男が暴れ出した。

「安心しろ。俺はお前たちと違って約束は守る男だ」

 そういって笑いかけると、俺は男の顔に当てていた手でスキルを発動させた。

「ぎゃあああああああっ!? どぼじでええええええ!?」
「残念なお知らせだが、俺は〝解放する〟とは言っていないぞ」

 俺は「終わらせてやる」といっただけだ。
 なんかこういう考えは悪役っぽいが、この場合の悪役はこいつらの方で、俺は正義側……いや正義でもないけど、とりあえず被害者だ。襲われたから返り討ちにした。何も悪くない。

「アアアアアアアアアアッ!」

 これは先ほどまでの威力を弱めたお遊びじゃない。確実に殺すほどの強さだ。
 しかし、そのまま行けば完全に頭が溶けて消えるだろうという状況だったのだが、俺は咄嗟に手を離してその場を飛び退いた。
 なんでか。俺の手があった場所に何かが飛んできたのがわかったからだ。幸いというか、飛んできたのは武器の類ではなくただの小石だったが、明らかに俺を狙ったのは間違いない。

「お待ちください」

 咄嗟にポーチの中に手を突っ込んで種を取り出し、俺に攻撃をしてきた奴へとスキルを発動させようとしたのだが……

「だれ……ああ、生きていたんですね。殺されたと聞いていましたが」

 視線を向けた先にいたのは馬鹿の片割れでもソフィアの方へ向かった三人目でもなく、殺されたはずのニドーレンだった。

「ええ。これでもBランクですので、不意打ちを喰らっても致命傷を避けるくらいは。それに、一応治療系のスキルを持っていますので」
「そうですか。よかったです。——それで、止めたのはなぜでしょうか?」

 正直にいってこの人が生きていたことはどうでもいいが、俺の攻撃を止めたことに関してはその理由を聞かなくてはならない。

「止めなければ殺していたでしょう?」

 怪我が治ったといっても完治したというわけでもないんだろう。ニドーレンは脇腹を押さえながら渋面を作ってそう問いかけてきた。

 確かにその通りだ。俺はこいつを殺そうとした。
 だが、それは悪いことなんだろうか?

「ええ。ですが、それは悪いことですか? 命を狙われたのですから、殺すのは犯罪ではなく正当防衛なはずですけど?」

 殺されそうになったんだから返り討ちにする。だが、手心を加えれば後になって仕返しが来る。だからそれを防ぐために、後腐れがないようにするために殺す。当たり前のことだ。俺はそれをあのクソッタレな豚の時に学んだ。
 そしてそれはこの世界の常識でもあるはずだ。

「確かにその通りではあります。ですが、あなた方の場合は殺さずとも無力化できるでしょう? 現に、今彼らは動けないでいる。その状態で殺すのは過剰防衛ではありませんか?」
「人を殺しに来たと言うことは、こいつらは賊と同じです。賊に襲われた場合は命問わずだったと記憶してましたけど、違いましたか?」
「ですが、彼らはまだギルドの一員でもあります。最終的に死ぬのだとしても、正しい処罰を受けさせるべきです」
「……では、その『正しい処罰』とやらを受けた結果、こいつらが死なず、自由の身になったとしましょう。ですが、処罰を受けたことで逆恨みして俺たちを再び狙ってきたら?」
「その時は、残念ですが殺しても構いません」

 もう一度狙ってきたら殺してもいい、ねぇ……。
 自分は間違っていないとでも言うかのような顔をしたまま吐き出されたその言葉に、俺は思わず言葉に詰まってしまった。

 それは、こいつの言葉が正しいと思ってしまったから——なんかではない。
 こいつがあまりにも的外れなことを言っているからだ。そのせいで思わず笑いが溢れてしまうほどに、こいつの考えはズレている。

「……はっ。違う違う。その時は殺すなんてのは当たり前の話だ。俺が言ってるのは、もしこいつらが襲ってきて俺たちが殺されたらどうすんのかって聞いてんだよ」

 そう。俺がいってるのはそこだ。こいつは「襲われたらその時は~」なんていってるが、それで襲われて取り返しのつかないことになったらどうするんだって話だよ。
 復讐する奴なんて後先考えない奴はザラにいる。もしこいつらが生きて帰り、後々自爆特攻でもされてみろ。そしてそのせいで俺の仲間が死んでみろ。お前はどう責任を取るんだ?

「こいつらが逆恨みをしないことを信じるか? 罰さえ与えれば、その後は更生してくれるって本当に信じられるか? 俺にはどうにもそうとは思えないんだが、あんたはどうだよ」

 ニドーレン自身もこいつらが構成できるなんて信じることができないんだろう、顔をしかめて僅かに視線を逸らし、黙り込んでいる。

「こいつら程度なら何百人いたところで余裕だ。余裕で殺せる。だけどな、油断してたら万が一だってあり得る。その万が一でソフィアが死んだら、他の仲間が死んだら、あんたはどう責任を取るつもりだ?」
「……だとしても、ここで殺しを見逃すことはできません」

 誰かを助けたいって考えは、人間として褒めるべきことなんだろう。
 だが、こいつのこれはこの世界の人間としては馬鹿だと言われるようなものだ。
 助けることのできる人間を助ける。それは正しいことだし、人間として褒められるべきことだ。だが、誰も彼もをむやみやたらと助けるってのは違う。

 まあ、それをこいつに言っても意味のないことなんだろうけど。

「——はぁ。なら、わかったよ。そいつらはあんたに任せる。ただし……」

 このまま睨み合ってても仕方ないし、こいつの前で馬鹿どもを殺そうとすれば戦いになる。
 だからといって監査員であり仕事をしているだけのニドーレンを殺すことはできなくもないがしたくないので、仕方ないが俺は引くことにした。

 だが、それでも忠告だけはしておかなくてはならない。

「もし〝何か〟あったら、その時はそいつらもあんたも、必ず殺す。たとえギルドの敵になったとしてもな」

 言葉に威圧を乗せてニドーレンへとはなつと、ニドーレンはぴくりと動いて腰に差していた剣に手を伸ばそうとするが、それは途中で止まった。
 あくまでも俺と敵対する意思はないってことなんだろう。
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