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エルフの森の姉妹
489:親娘の話し合い
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牢屋を出た後は、氏族長であるケイノアの父親に会うべく俺たちが牢屋へと送り込まれる原因となった転移トラップの仕掛けてある館に向かった。
なお、現在いるのは俺たち三人とケイノアだけで、妖精達はお菓子をあげたら翅を生やしてどこぞへと飛んでいった。
ちなみに、羽根や羽ではなく、翅である。鳥系に生えているものではなく、虫っぽいものだ。とはいえ、つけているのが昆虫か人かでその印象はだいぶ違う。
妖精という割に人と対して変わらないなと思ってたのに翅が生えたので、思わず声を出して驚いてしまったが、妖精なのだから翅が生えること自体は不思議でもないのかと若干首を傾げながらも納得した。
「……来たか」
「ええ。事前に連絡役は送ったでしょ?」
軽く周りの建物なんかを見ながら歩いていると、見覚えのある建物の前で何人ものエルフが待っていた。
顔はみんな似たような顔つきをしているせいでよく見分けがつかないが、ケイノアとの話の様子と服装からして、こいつはあの氏族長なのだろう。
「退く気はあるか?」
「退く? 退くってなにをよ。ルールを破ってんのはそっちでしょ?」
娘であるはずのケイノアに対して威圧感たっぷりに問いかける氏族長だが、ケイノアはそんな父親を鼻で笑い飛ばす。
「まあ仕方ないわよね。あんた達は魔術至上主義なんて言ってるけど、実際はエルフ至上主義だもの。エルフ以外が自分の領地を闊歩ずるのは気に入らないでしょうね」
ケイノアの言葉に僅かに眉を寄せて不快げにする氏族長。周りの取り巻き達は何人かは同じように不快感をみせているが、それ以外はなにを言っているのかわかっていないようで、なに言ってるんだこいつは、とでも言うかのようにポカンとしている。
多分、ケイノアの言っていることは正しいのだろう。そしてそのことを氏族長含めて何人かは理解している。
が、それ以外の一般エルフは、本当に、純粋に魔術至上主義とエルフ至上主義との違いを理解できていないんだろう。
「あんた達は、種族差別するのはみっともないから、あえてエルフ至上主義だなんて言わないで魔術至上主義なんて言ってるだけ。どうせエルフ達に魔術で敵うものなんていないんだからと高を括ってるわけね。魔術の優劣によって身分を決めていれば、他種族を見下しても問題ないし、身内内でなにかしらの諍いが起こってもそれを抑える理由になる」
まあ、体の何割かは魔力で構成されているらしいし、大抵はエルフの方が魔術の素養が高いから、魔術の優劣で相手を判断するというのは自分たちが『上』にいるのにはちょうどいだろうな。
身内での問題にしても、最初から解決方法を決めておけば下手な問題は起こらないし。
「そして、同族以外に負けたエルフがいたら他種族のやつに劣っていると虐げられ、自分達がまとまっても対処できない相手には、あれは例外だから仕方がないだなんて訳のわからない言い訳をする」
ケイノアはそこで一旦言葉を止めるとゆっくりと首を横に振った。
「馬鹿らしい」
そして、ため息を吐いてから吐き捨てるようにそう言った。
「魔術至上主義を謳うんだったら、こいつらのことを認めなさいよ! 魔術の腕はそいつらよりも上でしょ? 少なくとも平均的なエルフよりは上だってのをあんた達は見たはずよ。それなのに解放するかしないかで悩むだなんて、なに言ってんのよ。魔術至上主義はどこへ行ったの?」
普段のケイノアらしくない真剣な様子で自身の父親に向かって語りかける。
「……言いたいことはそれだけか?」
だが、そんなケイノアの言葉も届くことはなく、ケイノアの父親は最初と変わることのない感情の見えない瞳で自身の娘と、その娘が引き連れている俺たちをみている。
「ええ。だからさっさとこいつらの滞在を認めなさい」
「……いいだろう」
自分がなにを言ったところで理解されないのは分かっていたのか、ケイノアはあっさりと返し、ケイノアの父親もそんな彼女の言葉に数秒の間を作ってからうなずいた。
「そ。なら──」
「ただし、こちらで用意した者と戦ってもらう。お前の言った通り、魔術至上主義らしくな。その者らに勝ったのなら認めよう」
話は終わったとケイノアが去ろうとしたが、だがそこで氏族長は俺たちへと視線を寄越しながらそう言った。
「なに言ってんのよ。こいつらは実力を証明したはずでしょ?」
「確認したのはその男の収納魔術だけだ。それとて、それら全員が収納魔術を使えるのであればあの量を持ち運ぶことも不可能ではない」
まあ確かに魔術ではエルフに劣る人間と獣人であったとしても、三人全員が収納魔術を使えれば、一部屋分の家具くらいなら運べるかもな。
「そんなことあると思う? 収納魔術に限らず空間作用系の魔術は使用者を選ぶわ。三人全員が使えるだなんて、どんな確率よ」
「使えぬことの証明など、できはしない。そんな偶然も、全く可能性が無いわけではない。それに、魔術具を使っている可能性もある。みたところ、それらは収納系統の魔術具を持っているようだしな」
「……呆れた。そこまでして認めたくないの?」
「私はただ、決まりに則って魔術で判断しようと言っているだけだ。何かおかしいか?」
「ええ。最初から最後まで、あんたの頭の中はおかしいわね」
ケイノアは、自分の父親であるにもかかわらずそんな風に言って呆れた様子を見せている。
よほど今の理屈というか、いいわけが気に入らなかったようだ。
「ま、でもいいわ。それで認めるってんなら話が早いわ」
「お前は、私が用意した者達にそれらが勝てるとでも思っているのか?」
氏族長はケイノアの軽い態度が気にいらなかったのか、今までよりもさらに額のシワを深くしてケイノアに問いかけた。
「当たり前でしょ? 伝言係から聞いてないの? こいつらは、正真正銘のバケモノよ」
だがケイノアはそんな父親の問いにも当然だとばかりに堂々と答えた。
バケモノ、か……。
まあ確かに常人離れした能力を持っているとは思うけど、それでもバケモノはひどくないか?
「バケモノ、か……」
「ええそうよ。私と同じくね。……で、どうするのよ。これから戦うの?」
「いや、こちらにも予定というものがある。一日置いた明日、行なうとしよう」
「ならそれまではどうするのよ。まさか行動を認めない、なんて言わないでしょうね?」
「お前の部屋の中だけであれば認めよう」
「それじゃあ牢屋に押し込められるのとたいして変わんないじゃない」
「文句があるのなら牢屋に行け。私はそれでも構わん」
そんな会話をしてから十数秒ほど睨み合うと、ケイノアは、ふんっと鼻を鳴らしてやかたのなかへと向かって歩き出した。
「ケイノア。お前は次期氏族長なのだ。もっとしっかりと周りを見ろ。人間や獣人などと共にいるなど──」
「おあいにくだけど、私は次期長になんてなるつもりはないわ。それに、周りが見えてないのはどっちよ」
すれ違う瞬間に氏族長はケイノアに向けて話しかけたが、その言葉は途中で遮られてしまった。
「あんた達、行くわよ」
そして背後へと振り返ると、立ち止まっていた俺たちへと呼びかけてから再び歩き出したので、俺たちはその後を追って館の中へと入っていった。
「姫様、おかえりなさいませ」
館の中を進んでいると一つの部屋の前で数人のエルフが待機しており、ケイノアがその部屋に近づくとそう言いながらお辞儀をした。
「お茶と軽く食べ物持ってきて」
ケイノアはそう言うと、それ以上は彼女らに構うこともなく扉をあけて部屋の中に入っていった。
俺たちもその後に続いて部屋の中に入ったのだが、その場にいたエルフ達の横を通り過ぎる際に、殺気とまではいかないが、悪意を感じる視線を感じた。
ここでは余程人間は嫌われているようだ。
「適当に寛ぎなさい」
ケイノアは自分のベッドに倒れ込むように座りながらそう言ったが、周りを見渡してみてもろくに座ることのできそうなものが置いていない。座るとしたら床だろうか?
「……寛げるものがない件について」
ケイノアの部屋の中は、お世辞にも片付いているとは言えず、机の上には乱雑に重ねられた紙の束。
床は本や木片が積み重なっており、足の踏み場があまりない。
後は、少しだけ片付いたベッドがある程度だが、それだってベッドの上は片付いているだけで、周りにはなにかしらの素材が置かれているし床には魔術も描かれている。
まるでどこかの研究室のようだ。
確かにケイノアは魔術の改良、作成を得意としているが、何だか想像していたのと違う。
「そんなの自分で用意しなさいよ。場所はその辺を適当に使っていいから」
そう言ってケイノアが指差した場所は比較的物が少なく、少し片付ければソファやなんかをおくことはできそうだ。
が、逆に言えば少し片付けなければなにもおくことができない状態だった。
俺は軽くため息を吐くと、イリンと環と共に床に落ちている紙や素材を片付けることにした。
「それにしても……お前、本当にお姫様なんてやってんだな。……似合わねえ」
床に落ちていたものを横に退かし、その場所にソファとテーブルを取り出したのでゆっくりできるようになったのだが、イリンと環は未だ床の片付けをしているので、俺だけ座ることもできずにそのまま片付けを続けることとなった。
そしてただ無言のまま片付けるのでは何なので、片付けを続けながらも適当にそんなことを言ってみた。
「うっさいわね。私だってそんな呼ばれ方したくないわよ。それに、姫様なんて言っても、なにもエルフの王族ってわけじゃないわ。村長の娘程度よ」
「規模的にはもう少し上な気もしますけどね」
「そうね。ざっと見ただけでも村って感じではないわよね」
イリンと環の言うように、この場所は到底『村』で済む規模の場所ではない。
俺たちはこの場所の全部を見て回ったわけではないし、流石に『街』とまではいかないかもしれないが、それでもそこそこの大きさがあるだろう。
「それでも精々が地方領主の娘でしょ? たいして変わんないわよ」
「だいぶ変わると思うけどな」
このエルフの森はいくつかの氏族に分かれてそれぞれが自身の領域を収めているので、『領主』と言う表現は正しいとも言える。
だが、たとえ地方だったとしても、領主の娘と村長の娘ではかなり違う。……と思う。実際に領主にも村長にもなったことないから知らないけど。
「そんなことよりも! 真面目な話をするわよ」
ベッドに寝転がりながら話していたケイノアは、体を起こしながらそう叫んだ。
「さしあたっては明日、あっちの用意した奴らと戦ってもらうことになったけど、適当にボコしちゃっていいわ」
「適当に、って……精鋭的なのを用意するとか言ってた気がするんだが……」
「そんなの、あんた達が相手なら精鋭も雑兵も変わんないわよ」
片付けの手を止めないまま呆れながら聞いていると、ケイノアは投げやりそう言った。
「基本のルールは魔術を用いた攻撃のみ可能。勝敗は降参、場外、判定によって決まるわ」
魔術至上主義だから魔術による攻撃のみなのか。勝敗の方は特に問題ないが、そこは注意しないとな。
「タマキは見た目がわかりやすいからなにも言う必要はないわね」
「単純に炎で戦えばいいんでしょ?」
「そうね。適当に燃やして終わらせればいいわ」
まあそうだな。環はなにも言わなかったとしても問題ない戦い方をする筈だ。だって純粋な魔術師型だし、普段の戦い方からして魔術を使っている。
一応杖術も多少は使えるはずだけど、実際に使ってるのを見たことがな……ああいや、一回イリンとの模擬戦で使ったことがあるか。でもそれだけだ。
だから環については魔術を用いた攻撃のみ、なんてルールは特に気にすることはないのだ。精々接近された時に気をつけるくらいか。
「アキト。あんたもいつも通り適当にやんなさい。場外を狙えば瞬殺でしょ」
「まあ、ぶつければいいだけだからな」
場外がありならば、俺は収納魔術の渦を相手にぶつければそれでおしまいだ。
収納魔術をぶつけられた相手はその効果によって弾かれる。
戦いの範囲がどの程度かわからないけど、仮に一度で場外にできなかったとしても何度も弾けばそのうち終わる。
「問題はイリンよ。まあ問題ってほどでもないんだけどね」
「攻撃をするときに身体強化の魔術を使っていればいいのですよね?」
イリンはそう言ってケイノアに問うているが、それは問うと言うよりも、確認の意味合いの方が強かった。
でも、牢屋でも言っていたし当然か。
イリンの言葉にケイノアも頷きながら答える。
「そう。強化して殴ればそれでおしまい。……あ、でも、一つだけ言っておくとしたら、殺さないでちょうだい。決闘である以上殺してもルール違反はないはずなんだけど、絶対に何か言ってくるから」
「殺さなくても文句言ってきそうだけどな」
殺したら文句があるのかもしれないが、戦いで殺さなかったとしても、後でなにかしらのイチャモンをつけて来そうだな。
当然、戦いで負けたのに殺さなかったことに、ではなく、自分が負けたのは相手がズルをしたからだ、みたいな文句だが。
「その辺はもう仕方ないわよ。精々明日は力を見せつけて圧倒的に勝つことぐらいじゃない?」
「そうすれば多少のやっかみは減る、か」
俺たちの話が途切れたのを狙ったようにドアが叩かれ、先ほどのドアの前に待っていたうちの一人であろうエルフが飲み物と果物の入った皿を持ってやってきた。
「姫様。お飲み物をお持ちしました」
「そこに置いときなさい」
ケイノアは俺が収納から出したテーブルを示したが、まだ机の上は片付いていないし、俺がテーブルを出さなかったらどこにおくつもりだったんだろうか?
「ああそれと、みんな解散していいわ。どうせ頼むことなんてほとんどないんだし」
「……かしこまりました」
部屋の隅で待機しようとしていた侍女達はケイノアの言葉に一瞬声を詰まらせたが、それは一瞬のことで即座に返事をしてお辞儀をすると、俺たちの様子を伺ってから部屋を出ていった。
「お疲れさまー」
「随分と適当だな。いいのか、あれで?」
そんな侍女達の背にかなり適当な感じで声をかけたケイノアだが、仮にも自身の侍女相手にそんな態度でいいんだろうか?
そのうち信頼とかを無くしてまともに言うこと聞かなくなるんじゃないか?
「いいのよ。どうせここでの話を聞いて向こうに知らせるように言われてるだろうし」
つまりはスパイか。俺たちの話を聞いて少しでもヒントが得られそうならそれを参考に明日の対策を練ると。
……ふむ。プライドが高そうだからそう言う小細工をしないとは思ってたけど、少し考え直す必要があるか?
そう思い、ちらりとテーブルの上に置かれたお茶と果物へと視線を向けた。
「……あんたなにしてんの?」
「いや、ちょっと毒の確認をな……」
もしかしたら何かの小細工をするかもしれないと思った俺は、出された食べ物には毒が仕込まれている、と考えてしまった。
これは以前教国でミアを護衛した時の名残というか経験から来るものだ。あの時は毎日毒を警戒しないといけなかったからな。
それは教皇を片付けた後も同じだった。
なにを考えてたのか知らないが、聖女に毒を盛ろうとした輩は少なくなく、大抵の毒では死なないとはいっても毒が全く効かないわけではないし、ミアのお付きであるメリル達はそんな毒でも死んでしまう恐れがあった。
だからそのために既存の広まっている毒以外の毒も調べられる確認用の魔術まで作ったのだ。
幸いに、と言うべきか時間は数ヶ月間もあったから何とかなった。
一度自分用に似たようなものは作ったわけだし、数は多くないが解毒の魔術具なんかもあるのだから、形にするまではそう難しいことでもなかった。
まあそんなわけで考えついてしまった以上は確認しないと言うのも何だか気持ち悪いが、一応実家である場所が出してきたものを調べるだなんてケイノアにいうのはちょっと気まずく、そんなふうに言葉を濁してしまった。
だが、俺の言葉に対してケイノアは何でもない風に頷いた。
「あー、そういえばそうね。無駄にプライド高いからしないって思ってた……そもそも意識になかったけど、状況的にはしてもおかしくないわよね。あー、うん。あるかも」
「あるのか」
「普段はそんなことしないでしょうけど、私が煽ったじゃない? 父親はなにもしなかったとしても、その取り巻きは別。私があそこまで言うんなら、もしかしたら~、って思うのはいると思うし、そんな奴らを確実に倒すためには~、なんて思う奴がいたとしてもおかしくないかなって思ったのよ」
そうだよな。上がやるつもりはなくても、下が勝手に動くことなんてよくあることだ。
「つまり毒があったらお前のせいか」
「いいじゃない。確認する方法はあるんでしょ?」
ケイノアはそう気楽に言ったが、それとこれとは違うだろ。
確認する方法があるけど、だからと言って確認しなくてもいいならそれに越したことはない。
「一応はな。でも毒なんてない方がいいだろ。それに、完璧だとは言い切れない」
「へぇ~? それ、ちょっと使ってみせなさいよ」
「お前、随分と適当に……まあ、今更か」
「そうね。だから早くしなさい」
今更こいつに常識を説いたところで聞き入れるような性格をしていないのは理解している。
だったら、そんな無駄なことに労力を使うよりも、もっと建設的なことに力を回すべきだ。
例えば、ケイノアの言ったように魔術を使って見せて、それをこいつに改良してもらうとか。
「はあ? なによそれ?」
そう思って俺は毒の確認用魔術を使ったのだが、ケイノアの反応はそんな呆れたようなものだった。
「なにって、毒の検査用の魔術だけど? ……問題があったか?」
「問題っていうか……無駄が多すぎよ。求める効果に対して複雑にしすぎ。何でこんなの作ってんのよ。みっともない出来ね。もっときれいに整えられるでしょ?」
……俺だって専門で学んだわけじゃないし、間違いはあるだろうと思っていた。何なら作ってる最中にこの辺ちょっとおかしいな、もっと効率よくできるんじゃないかと思っているところもあった。
が、それが限界だったのだ。
天才のケイノアからしたらみっともない出来だろうが、それでも頑張ったのだからあまり貶さないでほしい。泣くぞ?
「これはこうして、ここは削ってくのよ。で、そうするとこっちに空きができるからこことこっちをつなげて……」
ケイノアはそう言いながらその辺にあった紙と筆を使って魔術を書き記していくが、最初はその説明を目で追えていた俺も、何でそこがつながるのか、なんて次第に理解できなくなっていった。
「で、こうすると完成。使ってみなさい」
そうして書き終えた魔術を実際に使ってみると、俺が作った物に比べて十分の一以下の魔力量と手間で発動できるようになっていた。
あれだけ好き勝手言うだけあって、その能力は申し分ない。
自分では思いもしない出来を見せられると、悔しいって感情すら湧かないもんなんだな。
ちなみに毒はなかったので用意された果物達は美味しくいただいた。
なお、現在いるのは俺たち三人とケイノアだけで、妖精達はお菓子をあげたら翅を生やしてどこぞへと飛んでいった。
ちなみに、羽根や羽ではなく、翅である。鳥系に生えているものではなく、虫っぽいものだ。とはいえ、つけているのが昆虫か人かでその印象はだいぶ違う。
妖精という割に人と対して変わらないなと思ってたのに翅が生えたので、思わず声を出して驚いてしまったが、妖精なのだから翅が生えること自体は不思議でもないのかと若干首を傾げながらも納得した。
「……来たか」
「ええ。事前に連絡役は送ったでしょ?」
軽く周りの建物なんかを見ながら歩いていると、見覚えのある建物の前で何人ものエルフが待っていた。
顔はみんな似たような顔つきをしているせいでよく見分けがつかないが、ケイノアとの話の様子と服装からして、こいつはあの氏族長なのだろう。
「退く気はあるか?」
「退く? 退くってなにをよ。ルールを破ってんのはそっちでしょ?」
娘であるはずのケイノアに対して威圧感たっぷりに問いかける氏族長だが、ケイノアはそんな父親を鼻で笑い飛ばす。
「まあ仕方ないわよね。あんた達は魔術至上主義なんて言ってるけど、実際はエルフ至上主義だもの。エルフ以外が自分の領地を闊歩ずるのは気に入らないでしょうね」
ケイノアの言葉に僅かに眉を寄せて不快げにする氏族長。周りの取り巻き達は何人かは同じように不快感をみせているが、それ以外はなにを言っているのかわかっていないようで、なに言ってるんだこいつは、とでも言うかのようにポカンとしている。
多分、ケイノアの言っていることは正しいのだろう。そしてそのことを氏族長含めて何人かは理解している。
が、それ以外の一般エルフは、本当に、純粋に魔術至上主義とエルフ至上主義との違いを理解できていないんだろう。
「あんた達は、種族差別するのはみっともないから、あえてエルフ至上主義だなんて言わないで魔術至上主義なんて言ってるだけ。どうせエルフ達に魔術で敵うものなんていないんだからと高を括ってるわけね。魔術の優劣によって身分を決めていれば、他種族を見下しても問題ないし、身内内でなにかしらの諍いが起こってもそれを抑える理由になる」
まあ、体の何割かは魔力で構成されているらしいし、大抵はエルフの方が魔術の素養が高いから、魔術の優劣で相手を判断するというのは自分たちが『上』にいるのにはちょうどいだろうな。
身内での問題にしても、最初から解決方法を決めておけば下手な問題は起こらないし。
「そして、同族以外に負けたエルフがいたら他種族のやつに劣っていると虐げられ、自分達がまとまっても対処できない相手には、あれは例外だから仕方がないだなんて訳のわからない言い訳をする」
ケイノアはそこで一旦言葉を止めるとゆっくりと首を横に振った。
「馬鹿らしい」
そして、ため息を吐いてから吐き捨てるようにそう言った。
「魔術至上主義を謳うんだったら、こいつらのことを認めなさいよ! 魔術の腕はそいつらよりも上でしょ? 少なくとも平均的なエルフよりは上だってのをあんた達は見たはずよ。それなのに解放するかしないかで悩むだなんて、なに言ってんのよ。魔術至上主義はどこへ行ったの?」
普段のケイノアらしくない真剣な様子で自身の父親に向かって語りかける。
「……言いたいことはそれだけか?」
だが、そんなケイノアの言葉も届くことはなく、ケイノアの父親は最初と変わることのない感情の見えない瞳で自身の娘と、その娘が引き連れている俺たちをみている。
「ええ。だからさっさとこいつらの滞在を認めなさい」
「……いいだろう」
自分がなにを言ったところで理解されないのは分かっていたのか、ケイノアはあっさりと返し、ケイノアの父親もそんな彼女の言葉に数秒の間を作ってからうなずいた。
「そ。なら──」
「ただし、こちらで用意した者と戦ってもらう。お前の言った通り、魔術至上主義らしくな。その者らに勝ったのなら認めよう」
話は終わったとケイノアが去ろうとしたが、だがそこで氏族長は俺たちへと視線を寄越しながらそう言った。
「なに言ってんのよ。こいつらは実力を証明したはずでしょ?」
「確認したのはその男の収納魔術だけだ。それとて、それら全員が収納魔術を使えるのであればあの量を持ち運ぶことも不可能ではない」
まあ確かに魔術ではエルフに劣る人間と獣人であったとしても、三人全員が収納魔術を使えれば、一部屋分の家具くらいなら運べるかもな。
「そんなことあると思う? 収納魔術に限らず空間作用系の魔術は使用者を選ぶわ。三人全員が使えるだなんて、どんな確率よ」
「使えぬことの証明など、できはしない。そんな偶然も、全く可能性が無いわけではない。それに、魔術具を使っている可能性もある。みたところ、それらは収納系統の魔術具を持っているようだしな」
「……呆れた。そこまでして認めたくないの?」
「私はただ、決まりに則って魔術で判断しようと言っているだけだ。何かおかしいか?」
「ええ。最初から最後まで、あんたの頭の中はおかしいわね」
ケイノアは、自分の父親であるにもかかわらずそんな風に言って呆れた様子を見せている。
よほど今の理屈というか、いいわけが気に入らなかったようだ。
「ま、でもいいわ。それで認めるってんなら話が早いわ」
「お前は、私が用意した者達にそれらが勝てるとでも思っているのか?」
氏族長はケイノアの軽い態度が気にいらなかったのか、今までよりもさらに額のシワを深くしてケイノアに問いかけた。
「当たり前でしょ? 伝言係から聞いてないの? こいつらは、正真正銘のバケモノよ」
だがケイノアはそんな父親の問いにも当然だとばかりに堂々と答えた。
バケモノ、か……。
まあ確かに常人離れした能力を持っているとは思うけど、それでもバケモノはひどくないか?
「バケモノ、か……」
「ええそうよ。私と同じくね。……で、どうするのよ。これから戦うの?」
「いや、こちらにも予定というものがある。一日置いた明日、行なうとしよう」
「ならそれまではどうするのよ。まさか行動を認めない、なんて言わないでしょうね?」
「お前の部屋の中だけであれば認めよう」
「それじゃあ牢屋に押し込められるのとたいして変わんないじゃない」
「文句があるのなら牢屋に行け。私はそれでも構わん」
そんな会話をしてから十数秒ほど睨み合うと、ケイノアは、ふんっと鼻を鳴らしてやかたのなかへと向かって歩き出した。
「ケイノア。お前は次期氏族長なのだ。もっとしっかりと周りを見ろ。人間や獣人などと共にいるなど──」
「おあいにくだけど、私は次期長になんてなるつもりはないわ。それに、周りが見えてないのはどっちよ」
すれ違う瞬間に氏族長はケイノアに向けて話しかけたが、その言葉は途中で遮られてしまった。
「あんた達、行くわよ」
そして背後へと振り返ると、立ち止まっていた俺たちへと呼びかけてから再び歩き出したので、俺たちはその後を追って館の中へと入っていった。
「姫様、おかえりなさいませ」
館の中を進んでいると一つの部屋の前で数人のエルフが待機しており、ケイノアがその部屋に近づくとそう言いながらお辞儀をした。
「お茶と軽く食べ物持ってきて」
ケイノアはそう言うと、それ以上は彼女らに構うこともなく扉をあけて部屋の中に入っていった。
俺たちもその後に続いて部屋の中に入ったのだが、その場にいたエルフ達の横を通り過ぎる際に、殺気とまではいかないが、悪意を感じる視線を感じた。
ここでは余程人間は嫌われているようだ。
「適当に寛ぎなさい」
ケイノアは自分のベッドに倒れ込むように座りながらそう言ったが、周りを見渡してみてもろくに座ることのできそうなものが置いていない。座るとしたら床だろうか?
「……寛げるものがない件について」
ケイノアの部屋の中は、お世辞にも片付いているとは言えず、机の上には乱雑に重ねられた紙の束。
床は本や木片が積み重なっており、足の踏み場があまりない。
後は、少しだけ片付いたベッドがある程度だが、それだってベッドの上は片付いているだけで、周りにはなにかしらの素材が置かれているし床には魔術も描かれている。
まるでどこかの研究室のようだ。
確かにケイノアは魔術の改良、作成を得意としているが、何だか想像していたのと違う。
「そんなの自分で用意しなさいよ。場所はその辺を適当に使っていいから」
そう言ってケイノアが指差した場所は比較的物が少なく、少し片付ければソファやなんかをおくことはできそうだ。
が、逆に言えば少し片付けなければなにもおくことができない状態だった。
俺は軽くため息を吐くと、イリンと環と共に床に落ちている紙や素材を片付けることにした。
「それにしても……お前、本当にお姫様なんてやってんだな。……似合わねえ」
床に落ちていたものを横に退かし、その場所にソファとテーブルを取り出したのでゆっくりできるようになったのだが、イリンと環は未だ床の片付けをしているので、俺だけ座ることもできずにそのまま片付けを続けることとなった。
そしてただ無言のまま片付けるのでは何なので、片付けを続けながらも適当にそんなことを言ってみた。
「うっさいわね。私だってそんな呼ばれ方したくないわよ。それに、姫様なんて言っても、なにもエルフの王族ってわけじゃないわ。村長の娘程度よ」
「規模的にはもう少し上な気もしますけどね」
「そうね。ざっと見ただけでも村って感じではないわよね」
イリンと環の言うように、この場所は到底『村』で済む規模の場所ではない。
俺たちはこの場所の全部を見て回ったわけではないし、流石に『街』とまではいかないかもしれないが、それでもそこそこの大きさがあるだろう。
「それでも精々が地方領主の娘でしょ? たいして変わんないわよ」
「だいぶ変わると思うけどな」
このエルフの森はいくつかの氏族に分かれてそれぞれが自身の領域を収めているので、『領主』と言う表現は正しいとも言える。
だが、たとえ地方だったとしても、領主の娘と村長の娘ではかなり違う。……と思う。実際に領主にも村長にもなったことないから知らないけど。
「そんなことよりも! 真面目な話をするわよ」
ベッドに寝転がりながら話していたケイノアは、体を起こしながらそう叫んだ。
「さしあたっては明日、あっちの用意した奴らと戦ってもらうことになったけど、適当にボコしちゃっていいわ」
「適当に、って……精鋭的なのを用意するとか言ってた気がするんだが……」
「そんなの、あんた達が相手なら精鋭も雑兵も変わんないわよ」
片付けの手を止めないまま呆れながら聞いていると、ケイノアは投げやりそう言った。
「基本のルールは魔術を用いた攻撃のみ可能。勝敗は降参、場外、判定によって決まるわ」
魔術至上主義だから魔術による攻撃のみなのか。勝敗の方は特に問題ないが、そこは注意しないとな。
「タマキは見た目がわかりやすいからなにも言う必要はないわね」
「単純に炎で戦えばいいんでしょ?」
「そうね。適当に燃やして終わらせればいいわ」
まあそうだな。環はなにも言わなかったとしても問題ない戦い方をする筈だ。だって純粋な魔術師型だし、普段の戦い方からして魔術を使っている。
一応杖術も多少は使えるはずだけど、実際に使ってるのを見たことがな……ああいや、一回イリンとの模擬戦で使ったことがあるか。でもそれだけだ。
だから環については魔術を用いた攻撃のみ、なんてルールは特に気にすることはないのだ。精々接近された時に気をつけるくらいか。
「アキト。あんたもいつも通り適当にやんなさい。場外を狙えば瞬殺でしょ」
「まあ、ぶつければいいだけだからな」
場外がありならば、俺は収納魔術の渦を相手にぶつければそれでおしまいだ。
収納魔術をぶつけられた相手はその効果によって弾かれる。
戦いの範囲がどの程度かわからないけど、仮に一度で場外にできなかったとしても何度も弾けばそのうち終わる。
「問題はイリンよ。まあ問題ってほどでもないんだけどね」
「攻撃をするときに身体強化の魔術を使っていればいいのですよね?」
イリンはそう言ってケイノアに問うているが、それは問うと言うよりも、確認の意味合いの方が強かった。
でも、牢屋でも言っていたし当然か。
イリンの言葉にケイノアも頷きながら答える。
「そう。強化して殴ればそれでおしまい。……あ、でも、一つだけ言っておくとしたら、殺さないでちょうだい。決闘である以上殺してもルール違反はないはずなんだけど、絶対に何か言ってくるから」
「殺さなくても文句言ってきそうだけどな」
殺したら文句があるのかもしれないが、戦いで殺さなかったとしても、後でなにかしらのイチャモンをつけて来そうだな。
当然、戦いで負けたのに殺さなかったことに、ではなく、自分が負けたのは相手がズルをしたからだ、みたいな文句だが。
「その辺はもう仕方ないわよ。精々明日は力を見せつけて圧倒的に勝つことぐらいじゃない?」
「そうすれば多少のやっかみは減る、か」
俺たちの話が途切れたのを狙ったようにドアが叩かれ、先ほどのドアの前に待っていたうちの一人であろうエルフが飲み物と果物の入った皿を持ってやってきた。
「姫様。お飲み物をお持ちしました」
「そこに置いときなさい」
ケイノアは俺が収納から出したテーブルを示したが、まだ机の上は片付いていないし、俺がテーブルを出さなかったらどこにおくつもりだったんだろうか?
「ああそれと、みんな解散していいわ。どうせ頼むことなんてほとんどないんだし」
「……かしこまりました」
部屋の隅で待機しようとしていた侍女達はケイノアの言葉に一瞬声を詰まらせたが、それは一瞬のことで即座に返事をしてお辞儀をすると、俺たちの様子を伺ってから部屋を出ていった。
「お疲れさまー」
「随分と適当だな。いいのか、あれで?」
そんな侍女達の背にかなり適当な感じで声をかけたケイノアだが、仮にも自身の侍女相手にそんな態度でいいんだろうか?
そのうち信頼とかを無くしてまともに言うこと聞かなくなるんじゃないか?
「いいのよ。どうせここでの話を聞いて向こうに知らせるように言われてるだろうし」
つまりはスパイか。俺たちの話を聞いて少しでもヒントが得られそうならそれを参考に明日の対策を練ると。
……ふむ。プライドが高そうだからそう言う小細工をしないとは思ってたけど、少し考え直す必要があるか?
そう思い、ちらりとテーブルの上に置かれたお茶と果物へと視線を向けた。
「……あんたなにしてんの?」
「いや、ちょっと毒の確認をな……」
もしかしたら何かの小細工をするかもしれないと思った俺は、出された食べ物には毒が仕込まれている、と考えてしまった。
これは以前教国でミアを護衛した時の名残というか経験から来るものだ。あの時は毎日毒を警戒しないといけなかったからな。
それは教皇を片付けた後も同じだった。
なにを考えてたのか知らないが、聖女に毒を盛ろうとした輩は少なくなく、大抵の毒では死なないとはいっても毒が全く効かないわけではないし、ミアのお付きであるメリル達はそんな毒でも死んでしまう恐れがあった。
だからそのために既存の広まっている毒以外の毒も調べられる確認用の魔術まで作ったのだ。
幸いに、と言うべきか時間は数ヶ月間もあったから何とかなった。
一度自分用に似たようなものは作ったわけだし、数は多くないが解毒の魔術具なんかもあるのだから、形にするまではそう難しいことでもなかった。
まあそんなわけで考えついてしまった以上は確認しないと言うのも何だか気持ち悪いが、一応実家である場所が出してきたものを調べるだなんてケイノアにいうのはちょっと気まずく、そんなふうに言葉を濁してしまった。
だが、俺の言葉に対してケイノアは何でもない風に頷いた。
「あー、そういえばそうね。無駄にプライド高いからしないって思ってた……そもそも意識になかったけど、状況的にはしてもおかしくないわよね。あー、うん。あるかも」
「あるのか」
「普段はそんなことしないでしょうけど、私が煽ったじゃない? 父親はなにもしなかったとしても、その取り巻きは別。私があそこまで言うんなら、もしかしたら~、って思うのはいると思うし、そんな奴らを確実に倒すためには~、なんて思う奴がいたとしてもおかしくないかなって思ったのよ」
そうだよな。上がやるつもりはなくても、下が勝手に動くことなんてよくあることだ。
「つまり毒があったらお前のせいか」
「いいじゃない。確認する方法はあるんでしょ?」
ケイノアはそう気楽に言ったが、それとこれとは違うだろ。
確認する方法があるけど、だからと言って確認しなくてもいいならそれに越したことはない。
「一応はな。でも毒なんてない方がいいだろ。それに、完璧だとは言い切れない」
「へぇ~? それ、ちょっと使ってみせなさいよ」
「お前、随分と適当に……まあ、今更か」
「そうね。だから早くしなさい」
今更こいつに常識を説いたところで聞き入れるような性格をしていないのは理解している。
だったら、そんな無駄なことに労力を使うよりも、もっと建設的なことに力を回すべきだ。
例えば、ケイノアの言ったように魔術を使って見せて、それをこいつに改良してもらうとか。
「はあ? なによそれ?」
そう思って俺は毒の確認用魔術を使ったのだが、ケイノアの反応はそんな呆れたようなものだった。
「なにって、毒の検査用の魔術だけど? ……問題があったか?」
「問題っていうか……無駄が多すぎよ。求める効果に対して複雑にしすぎ。何でこんなの作ってんのよ。みっともない出来ね。もっときれいに整えられるでしょ?」
……俺だって専門で学んだわけじゃないし、間違いはあるだろうと思っていた。何なら作ってる最中にこの辺ちょっとおかしいな、もっと効率よくできるんじゃないかと思っているところもあった。
が、それが限界だったのだ。
天才のケイノアからしたらみっともない出来だろうが、それでも頑張ったのだからあまり貶さないでほしい。泣くぞ?
「これはこうして、ここは削ってくのよ。で、そうするとこっちに空きができるからこことこっちをつなげて……」
ケイノアはそう言いながらその辺にあった紙と筆を使って魔術を書き記していくが、最初はその説明を目で追えていた俺も、何でそこがつながるのか、なんて次第に理解できなくなっていった。
「で、こうすると完成。使ってみなさい」
そうして書き終えた魔術を実際に使ってみると、俺が作った物に比べて十分の一以下の魔力量と手間で発動できるようになっていた。
あれだけ好き勝手言うだけあって、その能力は申し分ない。
自分では思いもしない出来を見せられると、悔しいって感情すら湧かないもんなんだな。
ちなみに毒はなかったので用意された果物達は美味しくいただいた。
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