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獣人達の国
181:収納式人間ピンボール
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「何が……?」
「呆けてる暇なんてあるのかい?」
もう一度武器を振ってきたクーデリアに、俺は咄嗟に収納魔術の渦を作って防ごうとする。
「くっ!」
だが、俺の作り出した渦はまたも音を立てて砕け散ってしまった。
それでも俺はなんとか避け続け何があったのか、どうすればいいのかを考えだす。
……クソッ! 何でだ! 収納魔術は無生物ならなんでもしまうことができるはずだろ⁉︎ あいつの武器は生きてるとでもいうのかよ⁉︎
こんな世界なんだから生きてる武器ぐらいあるのかもしれないが、俺はそんな物を知らない。与えられた知識の中にもないんだからそうほいほいあるわけじゃないだろう。だからといって、そのあるかどうかわからないものがここにないとも言い切れないんだけどな。
だが恐らくはそうじゃないだろう。よく思い出すと、こいつはさっきあの武器を収納から取り出していた。収納には生き物を入れる事はできないんだから、必然的にあの武器は生きていない事になる。
だがあの武器は生き物と判定され、俺の渦に弾かれた。そうなると一つの予想ができる。多分だが、あの赤い光に包まれたものは生き物として認識されるんだろう。というよりもクーデリアの身体の一部って感じか?
まあいい。詳細はどうであれ、大幅に間違ってるって事はないはずだ。
だとしたら、砕けたのは収納魔術に込めた魔力不足が原因か? あいつの攻撃を受け止めた事で俺の供給する魔力以上に削られて、魔術が維持できなくなったって事だろうな。
実際攻撃を受けた瞬間に魔力を結構削られた。
「ハハッ! やっぱりだ! やっぱりあんたは良いね!」
「……何がだよ」
「まだ私と戦ってられることがだよ! 大抵は私の全力の一撃で動けなくなるからね!」
そりゃそうだろう。あんなのを受けようものなら確実に死ぬ。もしくはしばらくまともに動けなくなる怪我をするに決まっている。
俺だって渦で受けなきゃとっくに終わってる。それにいつまでも受け止められるわけじゃない。
今までの攻防──攻防と言うにはちょっと防戦一方だったけど、そのせいで俺の魔力は半分を切っている。今までここまで減った事はなかったのに、それが今起こっている事に焦りを感じている。
一応なんとかする方法は思いついたが、それでもその方法でクーデリアが納得するかはわからない。
とはいえ、このまま続けていても泥沼だ。
見てる限りじゃクーデリアを覆っている赤い光も最初に比べると弱まっているから、使える量に限りはあるのだろう。だが、向こうと俺、どっちが先に力尽きるかのチキンレースなんてやりたくない。
地面を収納して穴に落として蓋をするって方法も出来なくはないんだけど、それはこんなところで使いたくはないし、それをやったら多分クーデリアは死ぬ。……死ぬよな?
まあ死ぬと仮定して、その場合はとっても面倒な事になる。面倒という言葉では片付けられないくらいに。
だから、仕方がないが殺さない方法で勝たないとな。それで何か言ってくるようなら父親であるグラティース王にいえば何とかしてくれるはずだ。というか、なんとかさせる。
「それじゃあ、もう一回行くよ!」
またもクーデリアが俺の目の前に突然現れ武器を振るい、俺はそれをギリギリではあったが避けた。
しかしそれで終わらないのはこれまでの戦いで分かっている。確実に追撃が来る。
だが、俺が狙うのはそこだ。クーデリアが追撃を仕掛けるその瞬間。その時だけは彼女の姿を見失う事などない。
「ヤアア──キャアッ!」
クーデリアが武器を振るために、ダンッ! と力強く踏み込んだ瞬間、彼女は跳んだ。
なんだか似合わない悲鳴が聞こえた気がするが気にしない。
俺がやった事は単純だ。踏み込みの瞬間に足下に渦を作っただけ。それだけだ。
だが、収納の渦には生物を弾く力がある。それも単なる反射ではなく、加えられた力の倍の力で。
つまりは、クーデリアは本来なら踏み込みに使うはずだった力の倍の力で跳ぶことになったのだ。
そのせいで、彼女は俺の身長よりもはるかに高い見上げる様な位置にいる。
……にしても、かなり跳んだな。あれの半分の力とはいえ、そんな力で踏み込んでくるとかバカじゃないか? 一応この試合は意図的な殺しはなしだが、故意じゃなかろうとあんなもんを喰らえば誰だって死ぬわ。
そのまま場外になれば良いな~、なんて思っていたが、現実はそううまくはいかない。
どうやら不意の出来事であるにもかかわらず体制をコントロールし、ほぼ真上に飛んだようだ。流石のセンスだとしか言いようがない。
しかも、空に飛ばされた状態から姿勢を制御し、武器を構えている。落下を利用して俺を攻撃するつもりでいるらしい。
だが、そう思い通りにはさせない。
俺はクーデリアの落下予測地点に新たに渦を作る。
直前まで何もなかった場所に現れたそれを空中で回避する事は、流石の彼女でも無理だったようで、そのまま渦に衝突した。
そのまま何もしなければさっきのように落ちてくるが、今度は違う。
落下から弾かれて再び上昇したクーデリアの進行方向に、俺は新たに渦を作り出した。
「んぎっ──⁉︎」
背後に現れた渦にも反応できず、衝突した力の倍の力で再び弾かれる。後は同じことの繰り返しだ。
渦に弾かれたクーデリアの進路上に新たに渦を作って弾く。そうすればその力はどんどん大きくなりその内倒せるはずだ。
というか、常人ならもう死んでいる。一応探知も併用して確認しつつ、時折距離を開けたりして加減しながらやっているが、まだ耐えられているというのが驚きだ。
でも、そろそろ終わりにしないとだな。収納魔術は、作った渦に負荷がかかるとその分多くの魔力を消費する。
これだけの勢いの物をなん度も弾いている現在、俺の魔力はもう二割を切っている。もう大分空腹を感じてきたし眠くもなってきた。こんな状態で戦えばそのうちミスが出るだろう。
だから、俺は最後に渦の角度を斜めにして設置する。
その渦に激突したクーデリアは、会場の地面に激突しながらも、何度もバウンドして場外へと弾き出され、しまいには轟音をたてながら壁に激突した。
……やり過ぎたか?
「呆けてる暇なんてあるのかい?」
もう一度武器を振ってきたクーデリアに、俺は咄嗟に収納魔術の渦を作って防ごうとする。
「くっ!」
だが、俺の作り出した渦はまたも音を立てて砕け散ってしまった。
それでも俺はなんとか避け続け何があったのか、どうすればいいのかを考えだす。
……クソッ! 何でだ! 収納魔術は無生物ならなんでもしまうことができるはずだろ⁉︎ あいつの武器は生きてるとでもいうのかよ⁉︎
こんな世界なんだから生きてる武器ぐらいあるのかもしれないが、俺はそんな物を知らない。与えられた知識の中にもないんだからそうほいほいあるわけじゃないだろう。だからといって、そのあるかどうかわからないものがここにないとも言い切れないんだけどな。
だが恐らくはそうじゃないだろう。よく思い出すと、こいつはさっきあの武器を収納から取り出していた。収納には生き物を入れる事はできないんだから、必然的にあの武器は生きていない事になる。
だがあの武器は生き物と判定され、俺の渦に弾かれた。そうなると一つの予想ができる。多分だが、あの赤い光に包まれたものは生き物として認識されるんだろう。というよりもクーデリアの身体の一部って感じか?
まあいい。詳細はどうであれ、大幅に間違ってるって事はないはずだ。
だとしたら、砕けたのは収納魔術に込めた魔力不足が原因か? あいつの攻撃を受け止めた事で俺の供給する魔力以上に削られて、魔術が維持できなくなったって事だろうな。
実際攻撃を受けた瞬間に魔力を結構削られた。
「ハハッ! やっぱりだ! やっぱりあんたは良いね!」
「……何がだよ」
「まだ私と戦ってられることがだよ! 大抵は私の全力の一撃で動けなくなるからね!」
そりゃそうだろう。あんなのを受けようものなら確実に死ぬ。もしくはしばらくまともに動けなくなる怪我をするに決まっている。
俺だって渦で受けなきゃとっくに終わってる。それにいつまでも受け止められるわけじゃない。
今までの攻防──攻防と言うにはちょっと防戦一方だったけど、そのせいで俺の魔力は半分を切っている。今までここまで減った事はなかったのに、それが今起こっている事に焦りを感じている。
一応なんとかする方法は思いついたが、それでもその方法でクーデリアが納得するかはわからない。
とはいえ、このまま続けていても泥沼だ。
見てる限りじゃクーデリアを覆っている赤い光も最初に比べると弱まっているから、使える量に限りはあるのだろう。だが、向こうと俺、どっちが先に力尽きるかのチキンレースなんてやりたくない。
地面を収納して穴に落として蓋をするって方法も出来なくはないんだけど、それはこんなところで使いたくはないし、それをやったら多分クーデリアは死ぬ。……死ぬよな?
まあ死ぬと仮定して、その場合はとっても面倒な事になる。面倒という言葉では片付けられないくらいに。
だから、仕方がないが殺さない方法で勝たないとな。それで何か言ってくるようなら父親であるグラティース王にいえば何とかしてくれるはずだ。というか、なんとかさせる。
「それじゃあ、もう一回行くよ!」
またもクーデリアが俺の目の前に突然現れ武器を振るい、俺はそれをギリギリではあったが避けた。
しかしそれで終わらないのはこれまでの戦いで分かっている。確実に追撃が来る。
だが、俺が狙うのはそこだ。クーデリアが追撃を仕掛けるその瞬間。その時だけは彼女の姿を見失う事などない。
「ヤアア──キャアッ!」
クーデリアが武器を振るために、ダンッ! と力強く踏み込んだ瞬間、彼女は跳んだ。
なんだか似合わない悲鳴が聞こえた気がするが気にしない。
俺がやった事は単純だ。踏み込みの瞬間に足下に渦を作っただけ。それだけだ。
だが、収納の渦には生物を弾く力がある。それも単なる反射ではなく、加えられた力の倍の力で。
つまりは、クーデリアは本来なら踏み込みに使うはずだった力の倍の力で跳ぶことになったのだ。
そのせいで、彼女は俺の身長よりもはるかに高い見上げる様な位置にいる。
……にしても、かなり跳んだな。あれの半分の力とはいえ、そんな力で踏み込んでくるとかバカじゃないか? 一応この試合は意図的な殺しはなしだが、故意じゃなかろうとあんなもんを喰らえば誰だって死ぬわ。
そのまま場外になれば良いな~、なんて思っていたが、現実はそううまくはいかない。
どうやら不意の出来事であるにもかかわらず体制をコントロールし、ほぼ真上に飛んだようだ。流石のセンスだとしか言いようがない。
しかも、空に飛ばされた状態から姿勢を制御し、武器を構えている。落下を利用して俺を攻撃するつもりでいるらしい。
だが、そう思い通りにはさせない。
俺はクーデリアの落下予測地点に新たに渦を作る。
直前まで何もなかった場所に現れたそれを空中で回避する事は、流石の彼女でも無理だったようで、そのまま渦に衝突した。
そのまま何もしなければさっきのように落ちてくるが、今度は違う。
落下から弾かれて再び上昇したクーデリアの進行方向に、俺は新たに渦を作り出した。
「んぎっ──⁉︎」
背後に現れた渦にも反応できず、衝突した力の倍の力で再び弾かれる。後は同じことの繰り返しだ。
渦に弾かれたクーデリアの進路上に新たに渦を作って弾く。そうすればその力はどんどん大きくなりその内倒せるはずだ。
というか、常人ならもう死んでいる。一応探知も併用して確認しつつ、時折距離を開けたりして加減しながらやっているが、まだ耐えられているというのが驚きだ。
でも、そろそろ終わりにしないとだな。収納魔術は、作った渦に負荷がかかるとその分多くの魔力を消費する。
これだけの勢いの物をなん度も弾いている現在、俺の魔力はもう二割を切っている。もう大分空腹を感じてきたし眠くもなってきた。こんな状態で戦えばそのうちミスが出るだろう。
だから、俺は最後に渦の角度を斜めにして設置する。
その渦に激突したクーデリアは、会場の地面に激突しながらも、何度もバウンドして場外へと弾き出され、しまいには轟音をたてながら壁に激突した。
……やり過ぎたか?
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