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セントラルパーク
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歩き続けていると、前方に大きな森のようなものが見えてきた。人通りも多くなってきている。間違いない。あれがニューヨーク最大の公園、東京ドーム72個分の大きさを誇る(スマホにはそう書いてある)セントラル・パークだ!そしてついにその入り口にたどり着いた。とは言っても特に門らしい門があるわけではなく。受付っぽい人がいるわけでもない。そのへんは普通の公園と同じっぽい。そういうわけでいざ!公園内部へ!
正直に言うと、私はセントラルパークを何か自然のみを切り取ったようなあまり人の手の入っていないようなものを想像していたのだが、公園内部には普通に二車線の道路が整備されていた。もちろん車も普通に走っていく。だが、それも木々の風景に溶け込んで邪魔なものに感じない。むしろおしゃれだと思える。
『自然×都市風景、なかなか絵になるわね』
ベルはスマホのカメラで写真を撮りながら進む。ブログに載せるためだ。
『でもすごい…!本当に緑が豊か。大都会のど真ん中に本当に森があるようだ。
夢中になって進んでいると一軒のお店が現れた。
『わぁ、お洒落なカフェ…って看板にボートハウスって書いてある!』
ベルはベーカリーの店員の言葉を思い出し、店の中へ入って行きました。
中は高級料理店のような特別感に満ちていた。隣接した湖を一望できるテラス席には観光客や地元民らしき人がまばらに座っていて、まるで秘密基地のようだ。メニューをみると、パンケーキからアメリカン料理までかなりの種類があった…ここで朝食を摂ってもよかったかもしれない。
『この場所はぜひ記事にしたいわ…!』
ちょうどあまり人がいない時間だったため、女性ウェイターに取材をしたい旨を伝えると、いろいろと話を聞かせてくれた。
「このこの店は元々、ボートハウスがあった場所にレンガ造りの建物を借り受けて、1983年から営業されている歴史あるレストランなんです」
「そんなに長いんですね。そんなレストランの一番の人気メニューは…?」
「どれも人気だけどね。私のおすすめはこのパンケーキです」
そういいながらメニュー表を指差す。
「他にも、本格的なアメリカン料理など人気なメニューもたくさんあるんですが、最近ではSNSの影響で若い女性などに人気があります。」
「なるほど。他にこのお店の気に入っている所はありますか?」
「湖のみえるテラス席ですね。
都会の真ん中にある秘密のオアシスみたいな感じでとても気に入っているんです。」
『湖…そうだボート!』
「あの!」
思い出した衝撃でつい大きな声がでてしまう。こほん と咳払いを一つ挟んで何事もなかったように続ける。ウェイターの人が驚いた表情のままでいるが気にしない、気にしない。
「あの…ここはレストランとして営業されてボートハウスとしてボートのレンタルは行っていないんでしょうか」
「あ、あぁそのことですね…。もちろん行っていますよ。店に隣接しているボート乗り場かで貸出を行っています。」と案内してくれた。
レンタルボートの店員さんはいかにもアメリカ風の明るい男性だった
「おう!随分きれいな目をした姉ちゃんだ。取材でレイクの取材たぁお目が高いねぇ」
「レイク?」
「うん?知らないのか?レイクってのはこの湖の名前だよ。セントラルパークで唯一ボートに乗れるでかい湖なんだぜ」
レイク…Lake(湖)か…。随分そのままの名前だ。ちょっと面白い。
「ボートは一時間20ドルだ。値引きはしないよ」
「言われなくても値切りませんよ」
『話し慣れてる店員さんだな…。観光客相手に何回も説明するうちにちょっとテーマパークみたいな口調になったんだろうな。』
取材の面白い所は話を通して人や建物がその地で過ごすうちにどういう風に変わったのか真摯に伝わってくるところだ。
そして、その物の歴史そのものを記事にするのが私の仕事だ。
「言われなくても値切りませんよ。でも、そんな意地悪なこと言うならチップはなしでいいですよね?」
「おいおいそりゃー勘弁してくれよ」
店員が全身で『勘弁してくれ』のリアクションをとる。
「冗談ですよ」
きっちりと一時間分の料金とチップを支払うと「毎度あり!」という調子のいい声が響き渡った。
正直に言うと、私はセントラルパークを何か自然のみを切り取ったようなあまり人の手の入っていないようなものを想像していたのだが、公園内部には普通に二車線の道路が整備されていた。もちろん車も普通に走っていく。だが、それも木々の風景に溶け込んで邪魔なものに感じない。むしろおしゃれだと思える。
『自然×都市風景、なかなか絵になるわね』
ベルはスマホのカメラで写真を撮りながら進む。ブログに載せるためだ。
『でもすごい…!本当に緑が豊か。大都会のど真ん中に本当に森があるようだ。
夢中になって進んでいると一軒のお店が現れた。
『わぁ、お洒落なカフェ…って看板にボートハウスって書いてある!』
ベルはベーカリーの店員の言葉を思い出し、店の中へ入って行きました。
中は高級料理店のような特別感に満ちていた。隣接した湖を一望できるテラス席には観光客や地元民らしき人がまばらに座っていて、まるで秘密基地のようだ。メニューをみると、パンケーキからアメリカン料理までかなりの種類があった…ここで朝食を摂ってもよかったかもしれない。
『この場所はぜひ記事にしたいわ…!』
ちょうどあまり人がいない時間だったため、女性ウェイターに取材をしたい旨を伝えると、いろいろと話を聞かせてくれた。
「このこの店は元々、ボートハウスがあった場所にレンガ造りの建物を借り受けて、1983年から営業されている歴史あるレストランなんです」
「そんなに長いんですね。そんなレストランの一番の人気メニューは…?」
「どれも人気だけどね。私のおすすめはこのパンケーキです」
そういいながらメニュー表を指差す。
「他にも、本格的なアメリカン料理など人気なメニューもたくさんあるんですが、最近ではSNSの影響で若い女性などに人気があります。」
「なるほど。他にこのお店の気に入っている所はありますか?」
「湖のみえるテラス席ですね。
都会の真ん中にある秘密のオアシスみたいな感じでとても気に入っているんです。」
『湖…そうだボート!』
「あの!」
思い出した衝撃でつい大きな声がでてしまう。こほん と咳払いを一つ挟んで何事もなかったように続ける。ウェイターの人が驚いた表情のままでいるが気にしない、気にしない。
「あの…ここはレストランとして営業されてボートハウスとしてボートのレンタルは行っていないんでしょうか」
「あ、あぁそのことですね…。もちろん行っていますよ。店に隣接しているボート乗り場かで貸出を行っています。」と案内してくれた。
レンタルボートの店員さんはいかにもアメリカ風の明るい男性だった
「おう!随分きれいな目をした姉ちゃんだ。取材でレイクの取材たぁお目が高いねぇ」
「レイク?」
「うん?知らないのか?レイクってのはこの湖の名前だよ。セントラルパークで唯一ボートに乗れるでかい湖なんだぜ」
レイク…Lake(湖)か…。随分そのままの名前だ。ちょっと面白い。
「ボートは一時間20ドルだ。値引きはしないよ」
「言われなくても値切りませんよ」
『話し慣れてる店員さんだな…。観光客相手に何回も説明するうちにちょっとテーマパークみたいな口調になったんだろうな。』
取材の面白い所は話を通して人や建物がその地で過ごすうちにどういう風に変わったのか真摯に伝わってくるところだ。
そして、その物の歴史そのものを記事にするのが私の仕事だ。
「言われなくても値切りませんよ。でも、そんな意地悪なこと言うならチップはなしでいいですよね?」
「おいおいそりゃー勘弁してくれよ」
店員が全身で『勘弁してくれ』のリアクションをとる。
「冗談ですよ」
きっちりと一時間分の料金とチップを支払うと「毎度あり!」という調子のいい声が響き渡った。
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