旅する二人の小説家

夜船 銀

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ニューヨークの朝

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ニューヨークの景色はいつ見てもきれいだ、特に朝は。快晴の空をバックにどこからともなくコーヒーとトーストの焼ける香ばしい匂いが漂ってきそうに感じる。
ホテルの一室で椅子に腰掛け、ベル・ブラウンはニューヨーク・タイムズの記事を読んでいた。普段生活していると、どうも社会情勢に疎くなってしまうため、新聞はなるべく読むようにしている。仕事のネタにもなるしね。
しかし、今日はいい天気。絶好の取材日和だ。そう思い立って、ベルは立ち上がった。寝巻きから外出用にジーパンと薄めのTシャツに着替え、ボブカットの髪をとかし、顔を洗う。洗面台から顔を上げたとき、鏡の中の自分と目が合った。
西洋風の顔立ちに茶色がかった黒髪。そして、青みの強いアースアイ。アースアイは何色かの色が混ぜ合わさった瞳のことで、世界的に見ても珍しいらしい。私も自分と同じ目をした人には会ったことがない。小さいときはこれが原因でいろいろあったけど、今ではすっかり自慢の目だ。
身支度を終え、荷物をまとめると忘れ物がないか部屋を見渡す。小さい丸テーブルに椅子が二脚。それにベットが2つ置いてあるだけの小さい部屋だ。ベットの一つには未だ起きる気配のない『ねぼすけ』が横たわっている。
『まったく、こんないい天気なのにまた昼すぎまで寝ているつもりかしら』
やれやれとため息をつきつつベルは部屋を出ていった。
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