もしも『あれ』がこの世になかったら

もしも『桜』がこの世になかったら

もしも『桜』がこの世になかったら、春に花見ができないから団子を食べる食いしん坊が増えるだろう。そして食べ終わってお腹が膨れたらみんな眠くなって昼寝を始めちまう。まさに『春眠暁を覚えず』ってやつだ。

わしは友達と飲むのが大好きだから、桜の花見を酒を飲む口実にできなくなるのはちょっと困るなぁ。歳をくってくると友達と酒を飲むくらいが一番の楽しみなもんでね。

あぁ…。きみはあっちでも元気でやってるだろうか。わしも早くそっちできみともう一度会いたいけど、毎年桜が散った後に思うんだよ。来年の桜も見たいなぁって。それほどまでにあの花は美しすぎる。

「桜の木の下には死体が埋まっている」なんていったやつはきっと桜の美しさに嫉妬しちまったんだろうな。

わしはこの先向こう何年かはしぶとく生き残り続けると思う。そして、桜を見るたび、君を思い出すと約束しよう。