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死に戻り勇者、因縁と対峙す
どんなモンスターも協力すれば
しおりを挟む「わわわ、私がですかぁ!?」
「そうだ」
厄介なモンスター、ワモニグラ……それを撃退するためには、エフィの持つ『スキル』、【放水】がこの場では最適だ。
そのために、エフィには協力してもらわなければ。
「おいおい待て待て。エフィに戦わせるなんてそんなこと……」
「そそそ、そうですよ! 私に戦いなんて……」
「いや落ち着いて。エフィに戦わせるなんてつもりはないから」
慌てる二人。ヨルガからはやや不機嫌そうな雰囲気を感じつつ、二人を落ち着かせる。
戦いの経験なんてないエフィに、いきなりモンスターと戦わせはしない。それも、ワモニグラなんて厄介この上ないモンスターを。
「じゃあ、私の『スキル』が必要っていうのは……?」
「まずは、そこの穴に水を流してこんでほしい」
エフィに頼みたいこと。それは、危険性はないものだ。
ワモニグラが地中から出てきて、今潜っていった穴……その中に、【放水】により水を流し込むというものだ。
「わ、わかりました!」
こくこくと激しめに首を縦に振り、エフィは穴に向けて手のひらを向ける。手のひらから、水が流れ始める。
今までは、野菜や花を育てるために使っていたから、少量の水しか出していなかった。
だが、今回そのような配慮をする必要は、ない。
「エフィ、もっと勢いよく水を出して大丈夫!」
「は、はい!」
言って、エフィは見るからに気合いを入れ……手のひらから流れる水の量は、増えていく。
もしかしたらエフィ自身、これほどまでに水の量を増やして出すのは、初めてなのかもしれない。
「そうか、穴の中に水を流し込み、地面の中で窒息させようって魂胆か。なかなかエグいことを考えるな」
「エグい言うなよ。それに、そんなに簡単にはいかないと思うよ」
だんだん、エフィの手のひらから流れる水の勢いは強くなっていく。
このまま何事も起こらなければ、地中に水が溜まり潜っているワモニグラは、水の中で逃げ道を失い窒息してしまうことだろう。
だが、ワモニグラは賢い。こんな方法で、倒せるとは思わない。
「これは、ワモニグラをおびき出すための誘導みたいなものだ。そろそろ来るだろうから、注意してて」
「? おぉ」
このまま地中で息絶えてくれる程度の相手ならば、ここまで厄介と感じることもない。だが、ワモニグラの頭の回転をナメてはいけない。
そう考えているうちに、地面が揺れる……来るぞ。
「プゥルルル!」
「うぉっ、出た!」
少し離れたところに、ワモニグラが出現する。その体は濡れており、地中で溺れかけたのだろうことはわかった。
地面から出てきたワモニグラは息を荒くして、俺から見ても焦っていたのだろうことはわかる。
「よし」
「おい、なにか変わったのか?」
「少なくとも、もう地中に逃げられることはなくなった」
ワモニグラの厄介なところの一つは、地中に逃げること。これを解消するために、ディアの『精霊術』にお世話になったものだ。
そして、ワモニグラは地面からは決して全身を出さない。あいつはもう、動けない。
「ヨルガ、もう一度さっきの武器を作ってくれ!」
「俺に命令、すんな!」
そう言いながらも、ヨルガは地面に落ちていた小石を、棒状の武器に【形状変化】させる。
俺はそれを受け取り……ワモニグラに向かって、思い切りぶん投げる。
「プ……ッ!」
投げられた武器は、自分でも予想を超えた速度でワモニグラへと迫り……その胴体に、突き刺さる。
刺さった箇所は、人間で言えば脇腹の辺りだ……急所は、避けた。しかし、これでもう動けないだろう。
「ふぅ。まさか、あんなきれいに刺さるとは」
「……」
これならば、ワモニグラも頭に上っていた血が下がったはずだ。後は、軽く治療して野生に帰すか……
「お前、いったいなんなんだ」
「え……」
ヨルガに、そう問いかけられたのはいきなりの、ことだった。
「今の……モンスターへの、的確な対処。今の腕力……お前、何者なんだ」
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