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死に戻り勇者、第二の人生を歩む
高ランク冒険者
しおりを挟む思わぬ形で、コアプテラ討伐の報酬をいただくことになった。
「では、報酬を……」
「おい、ちょっと待て!」
「ん?」
コアプテラは討伐が難しい。コア系のモンスターであるし、空を飛んでいるからなかなかこちらの攻撃が当たらないのだ。
そんなモンスターを討伐したとなれば、それなりに報酬が貰える。さっそく報酬のやり取りを、といったところで、背後から声がかかった。
「んん?」
振り向くと、そこには三人の男女がいた。
「……誰?」
「え、知らないんですか?」
「えぇ」
三人の姿を見た受付の人は、ひどく驚いている。いや、受付の人だけじゃない。周囲の人たちもだ。
どうやら、相当な有名人らしいな。でも、俺は知らない。
「おいおい、俺たちを知らないのか? さては、よほどの世間知らずだな?」
「まあ、この町の人間ではないけど……」
「ふん、よそ者でも名前くらいは、知っているだろう。この冒険者名を聞けばわかるかな?」
なんだこいつ、やたら身振り手振りの大きな奴だな。ふむ、冒険者なのか。この三人は三人でチームを組んでいるってところか。
多分だが、今喋っている男がチームのリーダー。両隣に並ぶ女性二人が、彼のサポート役って感じかな。
「冒険者名ね」
「そう、その名も『銀の牙』だ! どうだ驚いたろう!」
堂々と、なんなら少しドヤ顔も含めて己の冒険者名を言う男。
しかし……残念ながら、そんな名前聞いたことがない。
「いや、知らない」
「! なっ……ほ、本当に世間知らずなんだなキミは!」
男は、俺が銀の牙の名前を知らなかったことにショック半分、怒り半分といった感じだ。
周囲の反応からして、かなりの知名度なのはわかるが……知らないものは、知らない。
「冒険者ってことは、受付さん、彼らのこと知ってるんですか?」
「! し、知ってるなんてものじゃないですよ!」
俺が急に話を振って、受付の人は驚いたようだが、すぐに首をぶんぶんと振る。
その度に二つのお山が揺れて、実によろしくない。
「彼ら、『銀の牙』は、この町でもトップに位置する冒険者です! わずか三人の人数ながら、高ランクAクラスの冒険者なんですよ!」
「ふーん……」
興奮気味な受付の人の言葉を受けて、それなりに納得する。そっか、高ランク冒険者なのか。しかもAクラス。
冒険者には、それに応じたランクがある。上からS、A、B、C、Dだ。一番上がなんでSなのかは知らない。
ランクごとに受けられる依頼が決まっていて、より上の依頼を受けるにはランクを上げるしかない。DランクはCランク以上の依頼を受けられないが、逆は大丈夫だ。
自分で冒険者チームを作りランクを上げていく者、基本ソロでチームクエストなどの時など他の冒険者チームに一時的に加入する者……がある。ちなみに、ミランシェは後者で、Aランク冒険者チームに入っても通用する実力者だ。
「そのAランク冒険者様が、俺になんの用?」
「ふ、ふーんって……それに、その言い方は……」
穏やかな空気ではない。だが、俺は、初対面の相手に喧嘩を売られる生き方はしていないつもりだ。
それなのに、いったいどういう要件なのか。
「そのコアプテラ、キミが討伐したというのは、本当か?」
「あー、まあ、そうだけど」
「そうか……実は、オレたちもそのコアプテラを狙っていてね。まさか先を越されてしまうとは」
コアプテラを狙っていた、か……確かに、Aランクの彼らなら、その資格がある。
だが、その狙いを俺が横からぶん取ってしまったと。
「まさか、狙っていた獲物を取られた腹いせでもするつもりか?」
「あ、アーロさん」
もしイチャモンをつけられたなら、非常に不本意だが……俺は、引くつもりはない。手柄をよこせと言われても、それを受けることはない。
若干の警戒を持ち、軽く腰を落とす。
「いや、待ってくれそうじゃないんだ。キミ、俺たちのパーティーに入らないか?」
「……はい?」
それは、イチャモンではなく……まさかの、勧誘だった。
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