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死に戻り勇者、第二の人生を歩む
再びセント町へ
しおりを挟む冒険者ギルドがセント町にあると聞いて、出発を決めた俺は、エフィにその旨を伝える。
「そうですね……でも、今から行って帰ってきても、結構時間かかりませんか?」
「俺一人なら、大丈夫だよ」
ポニーに乗っていけば数時間……ただし、徒歩では数日かかる距離だ。
……普通で、あれば。
「今日中には帰ってこれるよ」
「きょ、今日中ですか? またまたぁ」
エフィはどうやら、信じていないようだが。
それはそれとして、エフィは少し考える仕草を見せて……
「ずっと、コアプテラを置いておくわけにはいかないですもんね。いいですよ、私とおじいちゃんで店番してます」
「いいのか?」
「どうせ、いつかは行かないといけないんですし。早いうちに、処理してもらったほうがいいでしょう」
エフィから、出発の許可をもらった。これで、心置きなく出発することができる。
セント町へ向かっている間に、エフィとヤタラさんに負担をかけてしまう形になるのは申し訳ないが……俺が、急いで帰ってくれば、いいだけの話だ。
「じゃ、さっそく行ってきます」
「え、さっそくって、今からですか? ポニーは……」
「いや、走っていくよ。そっちのが、早いし!」
じゃ、と、俺はエフィに告げて……目的地、セント町へ向けて走りだす。
「キャッ」
「おぉおぉ」
全速力で駆け出したため、エフィとおばあちゃんを驚かせてしまったみたいだ。しかし、振り返るともう二人は豆のように小さくなっていたので……帰ってきたら、謝ろう。
久しぶりの、全力疾走だ。コアプテラを持ったままだから、当然その重さだけ遅くはなるが……それでも、ポニーに乗るよりもかなり時間を短縮できるはずだ。
「これなら……!」
景色が、みるみる変わっていく。野生のモンスターも目に入るが、そいつらに襲われる前に、その場を過ぎていく。
考えてみれば、勇者として旅をしていたときも、全速力を出したことはなかったな。基本団体行動だったし、一人で全力疾走する経験なんてなかったもんな。
なるほど、なにも気にしなければこんなに速いのか……これは、思っていたよりも……
「お、見えた!」
視界の先に、見覚えのある町。間違いない、セント町だ。
ラーダ村からセント町まで、その道はほぼ一本道だ。行き先さえわかれば、直線に走り続けるだけで目的地にたどり着ける。
さすがに一度通っただけでは、道は覚えられない。それでも、方角さえわかっていれば、行ける……!
「っ……ふぅ」
町の入口にたどり着き、俺は足を止める。コアプテラを引きずりながらの移動だったから、もう少し時間がかかると思っていたが……うん、予想よりも早く、つけたな。
さて、問題は……このまま、コアプテラを持って町中に入っていいかということだ。
「うーん……ま、なんとかなるだろ」
ここには冒険者ギルドがあるというのなら、討伐したモンスターを町中で見かけることだってあるはずだ。ならば、コアプテラを連れていたって、問題ないだろう。
コアプテラは、起きる様子はない。むしろ、なんだか余計に弱々しくなっているような、気がするのは……
「死んではいない、よな?」
ちょっとだけ心配になりながら、セント町へと足を踏み入れる。コアプテラを引きずっている男、それはやはり目立つようで、注目されてるなぁ。
さぁて、冒険者ギルドはどこにあるだろう。その辺の人に聞いてみるか。
「あの……」
「ひぃい!」
逃げられた。
「あのぉ」
「う、ひゃあ!」
また逃げられた。なぜだろう。
やっぱり、こんな大きな生き物を連れ回しているから、怯えられてしまったんだろうか。
「困ったなぁ。人がつかまらない」
その後も、周囲の人に声をかけてもみんな逃げていくばかり。ちょっとショックだ。
人がつかまらないのなら、知っている人のところに行くか。そう、ダガさんのところだ。
そう考えていたところで、複数の人が近づいてきた。まさか向こうから話しかけてくれるとは、ありがたい。冒険者ギルドの居場所を聞こう。
それは警備隊だった。
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