転生魔族は恋をする 〜世界最強の魔王、勇者に殺され現代に転生。学校のマドンナに一目惚れし猛アタックする〜

白い彗星

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転生魔王は青春を謳歌する

これからの予定

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 ファミレスでの食事。
 それぞれ、鍵沼はハンバーグステーキセット、あいはミートスパゲティ、俺はにぼしラーメン、そしてさなは魚の塩焼きを注文した。

 注文した品が運ばれてくるまでの間、俺たちは話に花を咲かせた。
 まあ、ほとんどが俺とさなに関してのものだったがな。付き合ってからの関係はどうだとか、普段どんなやり取りをしているのだとか、どこまでいったのだとか。

 どこまで行った、とは質問の意味がよくわからなかったので、この間の水族館デート以来二人で出掛けていない、と返答をしておいた。
 なぜかあいと鍵沼はため息を漏らし、さなに至っては顔が真っ赤だった。

 そんなこんなで、待つこと数分……

「お、きたきた」

「……なんだこれは?」

 いち早く反応した鍵沼が、振り返る。
 それを確認して、俺も同じ方向に視線を向ける。

 するとそこには、驚きの光景が広がっていた。

「き、機械が自動で……料理を持ってきた、だと?」

 てっきり、店員が料理を運んでくるのだと、思っていた。
 だがその認識は間違っていたことを、思い知らされた。

 そこにいたのは、機械……しかも、ひとりでに移動している。

「おい、あれはなんだ?」

「なんだ、って言われても……あ、もしかして真尾、配膳ロボット見るの初めてか?」

「すごいですよね。ほら、背中……? に、料理を乗せて運んでくれるんです」

「この注文パネルで注文したテーブルに、ちゃんと持ってきてくれるみたいだよ。
 なんて言ったっけ、ベル、ベラ……ベラなんとかって言ったっけ」

 料理を乗せたトレーを乗せた、機械……ベラなんとかは、迷わず俺たちのテーブルへと向かってきた。
 そしてテーブルの側で動きを止めると、顔のような位置にある画面に『料理をお取りください』と表示された。

 とりあえず、言われたままにするか……

「す、すごいな……人間の科学は、ついにここまで……」

「そうだねー。タッチパネルで注文して、機械が料理を持ってきてくれる。
 ソーシャルなディスタンス対策且つ人手不足対策なんだけど、逆に人があんまりいらなくなるのかもねぇ」

 ゴクゴク、とコップに注いでいた水を飲みつつ、あいは言う。
 ……危なかった、普通に人間の科学がなんて言ってしまった。あいはあまり深く受け止めなかったが。
 気をつけなければ。

 それぞれが料理を取ると、ベラなんとかの上部にあったボタンを押す。すると、ベラなんとかは移動を開始する。
 来た道を、戻っていく。おそらく、キッチンへ戻っていくのだ。

 ファミレス一つで、こうも新たな発見があるとはな。

「んじゃ、さっそく食おうぜ」

「そうね」

 それぞれ注文したものが違ったため、来る時間に差はあったものの、全員の料理が到着。
 そんなわけで、手を合わせ、昼食にとりかかる。

 ……うん、うまいな。それに、だんらんにも最適の場だ。
 他にも客はいるし、悪くはない場所だ。

「それで、これからどうするんだよ」

 ハンバーグステーキを食しながら、鍵沼は聞いてくる。
 これから、とは、このあとの予定のことだろう。

 元々これは、ダブルデートのつもりだ。ただしあいと鍵沼には知らせずに。
 なので、普通に遊ぶ形でいるわけだが……

 今のところ、カラオケにしか行ってないからな。しかも途中で切り上げたし。

「じゃあ、ここはどうかな」

 そう言って、あいが鞄からなにかを取り出す。
 それは、紙……なにかの、チケットか?

「ゲームセンターの割引チケットなんだー。それに、ここボウリングもできるんだよー」

「お、いいじゃん」

「ボーリング……」

 あいの提案は、ゲームセンターというものだ。
 近くに、そういう店があった気がする。がやがやして、あまり好ましくは思っていなかったが……

 普通のお出かけだと思っているあいは、なにか楽しめそうなものはないか、と用意してくれたのだろう。
 しかし、ゲームセンターであいと鍵沼の仲は深まるのだろうか?

「さなはどう思う」

「はい、いいと思いますよ」

 ふむ、さながいいのならばいいだろう。
 そのゲームセンターとやら、行ってやろうではないか。

 その後も、会話を続けながら、同時に食事も続けていく。
 学校では、ほとんどいつも四人で食事を共にしている。だが、休日に四人で、というのはまた、新鮮だ。

 ……さなと二人のデートも楽しかったが、これも悪くはない。

「でさでさ、もう少しで夏休みじゃん。そしたら、みんなで遊園地とか、夏祭りとか行ったりしよーよ。
 ……一応、鍵沼も誘ってもいいよ」

「なんだと? お前こそ、ハブにしてやろうか」

 ぎゃいぎゃいと騒ぐ二人。仲がいいんだか悪いんだか。
 夏休みか……そういえば、ホームルームでそんなことを言っていた気がする。
 さなと付き合うことになった嬉しさから、あんまり聞いていなかった。

 しかし、そうか……夏休み。学校が休みならば、毎日のようにさなと会うことも、できなくなる。
 ……今までであれば、そう考えていただろう。だが今は違う……恋人同士であれば、休みの日に会うことに、なんの問題もない。

 学校に拘束されない分、さなと二人の時間を増やすこともできる……というわけか。
 なんだろうな、それを意識したら、夏休みがすごく楽しみになってきたな。
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