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転生魔王は青春を謳歌する
ストレートな気持ち
しおりを挟む「でね、ここの機能がこうなってて、そしたらよりいっそう画質が綺麗に見れるようになってね……」
「そ、そうなんですねー」
さて、現在放課後……場所は、写真部の部室だ。
闇野との話し合い……というよりは一方的な話をされただけだが、それを終え、さなと他二人と昼食の時間を過ごし……
放課後。
写真部の活動は、ほぼ毎日ある。
とはいえ、少し前までは体育祭の練習に運動部のようなことをしていたため、本格的な活動は久しぶりだ。
まあ、本格的とは言っても、今までほとんどカメラ機材の説明を受けたり、部室内のものを撮ったりするくらいだったが。
今、あいがその犠牲にあっている。
「なぐも先輩、カメラ……写真関連の話になると、すごく饒舌になるよな」
「あはは、よほどお好きなんですね」
数日前まで、運動嫌い体育祭嫌いリア充死ね……と言っていたのと、同一人物とは思えない。
さなの言う通り、それだけ自分の好きなものには全力ということなのだろうが。
ただ、何度も同じ説明を受ける身としては、たまったもんじゃない。
あと本人は気づいてないのかもしれないが、好きなものについて話す時のなぐも先輩の顔は……
「変態みたいだ」
「?」
おっと、声に出ていたみたいだ。
自重しなければ。
状況を整理しよう……なぐも先輩はカメラの説明に夢中、あいはその被害を受けている、小鳥遊は職員室に用事があるのでまだ来ていない。
つまり、この場ではさなと二人だけで話をする、絶好の機会ということだ。
「さな」
「はい、なんでしょう」
俺は、最近別のことに気を取られ過ぎていた……
体育祭は学内行事だし仕方ない……それに、さなとの距離が縮まるようなイベントもあった。
結果的には、良かったと言える。
だが、鍵沼と小鳥遊……この二人のデートを尾行したり、二人の距離を縮めようとしたり。
最近は、そちらにばかり注意していた。
そうじゃないだろう。
俺は、さなの気を引かなければならない……ならないってのも、変な言い回しか。
ともかく、他人の恋愛にかまけている場合では、なかったのだ。
「さなは俺のことを、どう思っている?」
「……へ?」
初日の告白、そして一度だけのデート……それ以来、俺は行動という行動を、起こしていなかった。
これでは、いけない。
これまで俺は、さなの姿を目で追ってきた。
その容姿から異性には人気で、声をかけてくる男子も少なくはなかったのだ。
もちろん、さなが別の男とデートをする……なんてことは、なかったわけだが。
それでも、このまま停滞しているわけにも、いかない。
「俺はさなが好きだ、その気持ちは変わらない」
「は、は、は……はひ……」
「しかし、未だにさなに振り向いてもらえない。これでは、先へ進めない。
あ、別にすぐに答えをくれ、と言っているわけではない。
ただ、俺はあのデート以来さなに気持ちを伝えていなかったと思ってな。
もしかしたら俺の気持ちが冷めたと思われたのではないかと、ちょっと不安に思ったから、改めて気持ちをだな……」
「ちょちょちょ、ストーップ!」
今現在の俺の、ありのままの気持ちを改めて伝える……俺が考え付いたのは、これだった。
なので、早速実行していたのだが……
いつの間になぐも先輩の攻撃から逃れていたのか、あいが割って入ってきた。
「なんだ、あい。突然」
「なんだ、じゃないよ!
びっくりした! あーびっくりした!!」
ぎゃいぎゃいと騒いで、あいはびっくりしたと連呼する。
なんだというんだ、騒がしいな。
せっかく、気持ちをさなに伝えていたというのに……
「ん? さなどうした。
顔が真っ赤だが」
「今気づいたの!?
そりゃ真っ赤にもなるともさ!」
さなの顔は赤いし、あいの口調もちょっと変だ。
「こ、光矢くん、大胆……だね」
「んん?」
なぐも先輩は、なぜか手で顔を覆うようにしている。
ただ、指の隙間からこっちを伺ってはいるが。
「なんでわかってないの!? おかしいじゃん、今のやり取り全部!」
「おかしいのか?」
「おかしいというか……その……あんまり、気持ちがストレートすぎるというか……」
「ストレートに気持ちを伝えるのは、悪いことなのか?」
「そうじゃないんだけど~!」
あいは、頭をかきむしらん勢いで手を当て頭を揺らしている。
ハゲるぞ。
しかし、ふむ……ストレートな物言いが問題なのか。
このところ気持ちを伝えられてなかったから、この際全部伝えてやろうと思ったが。
「わかった。
これからは、ちょくちょく気持ちを伝えるようにしよう、さり気なく」
「なにがわかったの!?」
「あ、あの……お気持ちは嬉しいんですが、その……こんな、言葉責めみたいなことされると……」
「さなちゃんも落ち着こうよ! 別に言葉責めはしてないからね!?」
「いやぁー、今年の新入部員は賑やかでいいなぁ」
「笑ってないで止めてくださいよ!」
「……何事です?」
その後、真っ赤になって照れているらしいさな、なんとか中立を取ろうとするあい、それらを楽しげに見つめるなぐも先輩……部室に小鳥遊がやってくるまで、この光景は続いた。
まあ、今回はいきなりだったが……今後は、他のことにばかりかまけてもいられないな。
さなに、アピールだ。
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