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転生魔王は友達を作る
五人目の部員!
しおりを挟む「というわけで、新入部員の小鳥遊 さらさだ」
「ど、どうも……」
「……」
現在放課後、場所は写真部。
部室の扉を開け、注目が集まったところで、後ろに隠れていた小鳥遊を紹介した。
その説明はというと、体育の授業で仲良くなり、写真に興味があるようなので部室に連れてきた……というものだ。
多少無理があるか、とも思ったが……
「うわっ、ほんとに!?
っはぁ、光矢くんお手柄だよ!」
「え、えぇ」
その場で飛び上がり、喜びを全身で持って表現するなぐも先輩。
全然疑っていないな……まあ、それならそれでいいのだが。
さなとあいも、なぐも先輩ほどではないが喜びを表情に表している。
なんにせよ、これで……
「これで、廃部から回避されるぞぉ!」
「わー!」
「廃部……?」
わっと手を上げて喜ぶなぐも先輩と、あい。さなも、パチパチと小さく拍手をしている。
小鳥遊はというと、場の盛り上がりように目を丸くしている。
そういえば、小鳥遊には廃部の話を伏せていたな。
意図的に伏せていたわけでは、ないのだが。話すタイミングがなかった。
「五人集まれば廃部を免れる、という話だ。小鳥遊が来てくれたおかげで、廃部がなくなった。
あ、言っておくが、廃部を回避したくて小鳥遊を誘ったわけじゃないからな」
「わ、わかってます。
それに、この部活に入ると決めたのは、私ですから」
廃部を免れるため、人数合わせのために小鳥遊を誘ったわけではない。
ちゃんと、小鳥遊のサポートはするつもりだ。
それに、小鳥遊も写真に興味があるというのは、嘘ではない。
色恋の目的のためだけにここに来たわけではないというのは、ちゃんと確認した。
「私、この写真部の部長、安達 なぐも!
よろしくね!」
「た、小鳥遊 さらさです。
よ、よろしくお願いします」
なぐも先輩は、素早い動きでさらさの目の前へと移動し、その手を握りぶんぶんと振るう。
あまりの感激に、涙すら流している始末だ。
よほど、部員が増えたことが嬉しいのだろう。
自身の奇行な性格が災いし、数いた部員はみんなやめ……残ったのはただ一人。
そして、ここに来て続々と部員が入部してくれば、喜ぶのも無理はないか。
「いやぁ、これで廃部は免れたし、一安心一安心!
あ、ってことは、体育祭の部活対抗リレーでもう頑張る必要はないんじゃ……」
「そこはちゃんとやりましょうよ」
廃部を免れれば、体育祭で部としての成果を上げる必要もない……
ホントこの人、やりたくないんだな。部活対抗リレー。
「ま、やなことは後回し後回し!
とりあえず座って座って!」
「すごいテンション……」
今は楽しい話だけしていよう。そう言っているかのようななぐも先輩は、小鳥遊を引っ張り椅子へと座らせる。
そして、入部届を差し出していた。
「それにしても光矢クン、すごいねぇ」
「んん?」
いつの間にか、隣にあいが立っていた。
「なにがだ?」
「こんなにあっという間に、新入部員をつれてくるなんてさぁ。
しかも、あんなかわいい子!」
「言ったろ、たまたまだよ」
「ふぅん?」
体育の授業を通じて、というのは間違いではないが、実際の経緯は俺が話したものとは違う。
鍵沼へ近づくために、とは、それだけがすべてではないとはいえなんとなく言いにくいものだ。
まあ、なぐも先輩は理由がなんであれ、喜んでくれそうだし、さなもあいも気にしなさそうだが。
「こ、これからよろしくお願いします、安達先輩。
それと、えっと……」
「あ、自己紹介がまだだったね!
私は静海 あいだよ、よろしくね!」
「如月 さなです。
よろしくお願いしますね」
それぞれ、自己紹介をしていく。
俺はもうその必要はないので、これで全員が一通り自己紹介し終えたわけだ。
「……ん? どったの?」
「い、いえ」
ふと、小鳥遊があいのことをじーっと見つめていた。
その視線にあいは心当たりがないが……あぁ、そうか。
鍵沼の幼馴染の名前を聞かれたとき、名前があいだと答えたんだよな。
それで、気になっていると。
まあなんにせよ……これで、五人目のメンバーが、集まったというわけだ。
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