転生魔族は恋をする 〜世界最強の魔王、勇者に殺され現代に転生。学校のマドンナに一目惚れし猛アタックする〜

白い彗星

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転生魔王は友達を作る

デートの準備

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『明日、俺とデートをしよう』

 ……そのセリフを告げたあと、さなは真っ赤になっていった。
 そして、隣で聞いていたあいも、なぜか赤くなっていった。

 その後、さなを家まで送ろうとしたのだが……頑なに拒否されて、道を別れた。
 なので、俺はあいと一緒に家までの道を歩くこととなったのだが……

『光矢クン……なんか、すごいねいろいろと』

「……」

 感心したように、それとも呆れたように、そう言った。
 先ほどまでのやり取りを、今俺はベッドの上で、思い出していた。

 ベッドに寝転がり、天井を見つめる。
 天井にはなにもないが、こうしてぼんやりと眺めていると、さなの顔が浮かんでくるかのようだ。

「……だめだ、なにもしてないと、さなの顔ばかり考えてしまう」

 もちろんそれはそれで有意義な時間なのだが、そうもばかり言っていられない。
 明日は休日で、だからこそデートを申し込んだのだ。

 さなは終始顔を真っ赤にしていたが、別れ際に「あ、明日は、よろしくお願い、します……」と、消え入りそうな声で告げた。

 そして、つい先ほど来たメッセージが、これだ。

『デートのお誘い、ありがとうございます。
 ありがたい話ですが、私はデートというものが初めてで、右も左も分からない状態です。
 それでもよろしければ、ぜひともよろしくお願いします。
 つきましては、明日の待ち合わせ時間と場所を指定してもらえると、ありがたいです』

 ……すんごく堅苦しい。
 まあ、俺がいきなりデートに誘ったから、テンパってしまったのはあるのだろうが。

 デートのやり取りってこんなものなのだろうか?
 俺も初めてだからな……よくわからんが。

 とはいえ、待ち合わせ時間と場所。
 これは……駅前に……

「……で、送信と」

 時間と場所を提案し、それを送る。
 さて、次は着ていく服か。

 デートというものに、決まった服はない……が、やはりそれなりのおしゃれは必要だと聞く。
 今自分が持っている中で、一番いい服の組み合わせは……

 それに、どこに行くかの計画も立てておかないと。
 ただショッピングモールにでも行くのかそれとも……

「事前にもっと計画立てとくんだったか……」

 逸ったか……
 まあ、今思ってももう遅いことだ。
 すでに誘ってしまったわけで、今更取り下げることもできない。

 こうなれば、俺があっと驚くようなエスコートを用意して、さなを惚れさせてやろう。
 それくらいの意気込みで、望むとしよう。

「デートスポット……ふむ、食事、買い物、映画……
 さなの好きなものを知るのに、いいかもしれないな」

 デートとは、互いの好きなものを知ることができる機会だ。
 この機に、さなのもっといろんなことを知りたい。

 俺は片手でスマホを弄りつつ、明日の準備へと気合いを入れていく。
 少なくとも、恥ずかしくない恰好にしなければな。

 自分でも、驚くくらいに集中していたからだろうか……
 母から声をかけられるまで、デートの準備に没頭していた。

 明日のことが、今からドキドキして仕方がない。
 さなも、こんな風に感じてくれているなら……嬉しいな。

「真尾、あなた明日出かけるの?」

「あぁ、ちょっとデートに」

 晩飯時。聞かれたことに答えただけなのだが、母はひどく驚いた表情を浮かべていた。
 いや、そんなに驚くことだろうか?

 その際、母からデートの注意事項を事細かに聞かされた。
 女の子を待たせてはいけないとか、女の子へのエスコートがなにより大事とか、男は少し余裕を見せたほうが好まれるとか、相手を楽しませることを考えろだとか。

「それにしても、中学時代は友達さえできなかった真尾に、まさかデートの相手ができるなんて……!
 お母さん、見に行っていい?」

「絶対にやめてくれ」

 兎にも角にも、母からの助言はありがたく、受け取っておくとしよう。
 さて、明日はデート……決戦だ!
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