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転生魔王は友達を作る
部活対抗もあるよ
しおりを挟む「ははぁ、体育祭かぁ。そういえばそんな時期だよねぇ」
放課後、写真部の部室へと来た俺、さな、あいは、今日あった出来事を世間話として話す。
当のなぐも先輩は、話を聞いてはいるがなぜか、マネキンの頭を撫でている。
……やはり変な人だな。
「先輩は、運動は得意なんですか?」
「うーん、得意ってほどじゃないよ。あくまで人並み」
なぐも先輩は、苦笑いを浮かべる。
「ただ、助かったよ。
体育祭には、部活対抗リレーなんかもあるらしくてさ」
「……それは、もしも俺たちが入部せずに、なぐも先輩が一人だった場合は?」
「一人で走ることになってたかもね~」
去年、その前と、写真部には他にも部員がいたから、問題はなかった。
だが、今年はそうはいかなかったわけだ。
もしも俺たちが入部しなかったら、なぐも先輩は一人で、部活対抗の競技に出ていたかも、しれない。
なんともシュールな絵だ。
「その場合、さすがに出なくてもいいんじゃないかな」
「さあ」
小声で、さなとあいが会話をする。
今となっては、もう一人だけではないのだから、意味のない疑問だ。
「これでいい結果を残せたら、写真部のいい宣伝になるかもしれない。
へっへっへ……」
「先輩、笑い方……」
ここで目立てば、いい部活の宣伝効果になる……それは、確かにその通りかもしれないな。
そもそも写真部の認知度がどのくらいあるのかにもよるが。
なぐも先輩は人並みという。俺とあいもそれなりに動けるし……
後は、さなだな。
「わ、私も頑張らないと……」
同じように、自分で頑張らないとと感じたのか……一人、気合いを入れていた。
なんともかわいい光景だ。
その姿に、あいもなぐも先輩も微笑ましいものを見る目を向ける。
「ま、体育祭の話は置いておいて!
部活の話しよう!」
パン、と手を叩いて、話題を切り替える。
なぐも先輩はマネキンから離れ、適当に椅子に座る。
そして、紐をつけて首にかけていたカメラを、愛しそうに撫で付ける。
「カメラって、今部室に何台あるんですか?」
手を上げて、あいが聞いた。
「あー、ちょっと不安だよね。
でも大丈夫。今は私一人だけど、前まではそれなりに人がいたから」
「つまり、部活にはカメラが一台しかない、と心配する必要はないと」
「そゆこと!」
昨日まで部活には、なぐも先輩しかいなかった。
所属人数分しかカメラが支給されないのなら、カメラ一台の可能性もあり得たが……
以前まで、部員はいたのだ。
ならば、その部員の数に近いカメラが、残っている。
「昨日も言ったけど、カメラは部室にあるのを使ってくれてもいいし、自分が持ってるのでもいい。
カメラはものによるけど、結構高いから……なければ新しく買おう、なんて考えずに、遠慮なくここにあるの使ってくれて大丈夫だからね」
俺はカメラには詳しくないが、確かにカメラは高いイメージがある。
ウチにカメラはないから、ありがたく使わせてもらうとしよう。
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