転生魔族は恋をする 〜世界最強の魔王、勇者に殺され現代に転生。学校のマドンナに一目惚れし猛アタックする〜

白い彗星

文字の大きさ
上 下
8 / 114
転生魔王は友達を作る

告白の返事

しおりを挟む


 帰宅中。
 俺とさな、あい、そしてなぜかついてきた鍵沼……四人で、道を歩いている。
 思い返せば、こんな人数で誰かと下校すること、なかったな。

 最中は、主に鍵沼が喋りまくり、それにあいがツッコミを入れるか形だ。
 この二人、いがみあっていたが実は仲がいいのか?

「それにしても、真尾ー」

「なんだ肩を組むなうっとうしい」

 鍵沼は、俺の肩に手を回してくる。
 振り払ってやろうかこの野郎。

 鍵沼は、俺の耳元へと口を寄せる。

「気を付けろよー、如月さんは人気が高いからな」

「……まだ入学したばかりなのにそんなことがわかるのか?」

「わかるさ、見ろあの美貌を。中学ん時あんな子いたか? 学校外でも有名だしな。
 絶対数日のうちに告白されるぞ。現に、お前は入学前に告白したじゃないか」

「む……」

 さなが美人ゆえにモテるだろうというのは、わかる。
 鍵沼の言う通り、中学どころか魔王時代の前世含め、俺の胸をこうも高鳴らせた女はいなかった。

 それほどの人物なら、告白が殺到しても仕方ない。
 が。

「さな……」

「ちょーいちょいちょい!」

「?」

 俺がさなの名前を呼ぼうとしたところへ……鍵沼が、俺の口を塞ぐ。
 なにをするんだ、こいつは。

「あの、なにか……」

「いやいや、なんでもない!」

 名前を呼ばれたと感じたさなは振り向くが、なんでもないと鍵沼が誤魔化してしまう。
 ホントなにしてくれるんだこいつは。

「……なんのつもりだ?」

 ようやく口を解放され、俺は問う。

「真尾さ、さっき如月さんになんて言おうとしてた?」

「なんて、だと? もちろん、俺以外の男に告白されても、受け入れるなと……」

「はい、アウトー」

 やっぱり……と、顔が物語っている。
 鍵沼め、俺が言おうとしたことを予測していたのか?

 だとしても、なぜ俺の言葉を遮る必要がある。
 魔王であった俺の言葉を遮るなど、あの頃なら惨殺だぞ。

「なにがアウトだと?」

「その理由に気がついてないところも含めて、かな
 いいか真尾。真尾が今言おうとしたこと、如月さんには絶対言うな。絶対だぞ」

「……ふりか?」

「なんでそこだけノリがいいんだ!」

 鍵沼は、こほんと咳ばらいを一つ。

「いいか、告白を受けるか断るかなんて、本人にとっては重大イベントだ。
 なのに、他の男から俺以外の告白は受けるななんて……そんなの、とんでもねえことだ」

「そんなにか?」

「そうだよ! なにが悲しくて今日会ったばかりの、いきなり告白してくる変質者の言葉に従わなきゃならないんだ」

 こいつ、相変わらず失礼な奴だな。
 とはいえ……鍵沼は、人を見る目に関しては、感心するところがある。

 人間の感情に疎い俺にとって、必要なアドバイスをしてくれたことも、一度や二度ではない。

「逆に考えてみろ。お前が如月さんに、私以外の告白は断れって言われたら」

「もちろん断る。そもそもさなの告白以外など興味がない」

「……今のは俺が悪かったよ。
 お前、女関係になると拍車をかけてめんどくさくなるんだな」

「……それは、日ごろから俺のことをめんどくさいと、思っているということか?」

「……」

 こいつ、あからさまに目をそらして黙りやがったな。
 まあ、俺もこいつのことはめんどくさいと思っているから、おあいこか。

 しかし……今朝の告白の件といい、自分の気持ちを素直に伝えられないというのは……
 やはり人間というものは、面白いがめんどうだ。

「まあ、とりあえずはその、さなは俺のものスタイルをやめろ。
 それじゃ、如月さんだってお前にどんな反応していいか困るだろ」

「……そんなものか」

「急ぎ過ぎなんだよ、お前は。
 もうちっと肩の力抜けって」

 人との距離……それも、誰かを好きになったことなどないから、いまいちどうすればいいのかわからない。

 魔王だったころは、何人と側室もいたし、女の扱いには自信がある……つもりだったが。
 たった一人の少女に、これほど……

「なに話してたのよ、男同士で」

「男同士の話だから、お前には関係ねえよ」

 ……あいと鍵沼のように、気安く話せる関係……が、理想的なのか。
 二人は幼馴染というし、真似をしようにも一朝一夕でできるものでもない。

 先ほどから、おそらく俺に振り向き、チラチラと見ては顔をそらす……
 さなの、そのような挙動が続いたままでは、今後の関係にも支障をきたす。

「さな」

「は、はい!?」

 今度こそ彼女の名前を呼ぶ。
 さなは、わかりやすく肩を跳ねさせた。

 肩の力を抜け、か……
 鍵沼のアドバイスに習うのは癪だが、確かに俺は少々急ぎ過ぎていたのかもしれないな。

「今朝のことだが……いきなりで、すまなかったな」

「え……」

 まさか俺が、今朝のことを謝ると思っていなかったのだろう。
 さなは目を、丸くしている。

 あいも鍵沼も、なにも言わずに成り行きを見守っている。

「さなへの気持ちに偽りはないが、少々事を急ぎ過ぎたようだ」

「……」

「その、なんと言えばいいか……焦って答えを出さなくても、いい」

「……は、はい」

 こんなもの、だろうか?
 鍵沼を見ると、何度もうなずいている。とりあえずは、こういう言葉でよかった、か。

 さなは顔を赤く染めながらも、少し、安心したような、表情を浮かべていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。 次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。 時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く―― ――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。 ※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。 ※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。    42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。   下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。  約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。  それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。  一話当たりは短いです。  通勤通学の合間などにどうぞ。  あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。 完結しました。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

処理中です...