史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十章 魔導学園学園祭編

726話 クイズの時間

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 教室の扉を潜ると、そこは異空間でした。

  ナタリアちゃんたちのいる「オウガ」クラス。そこでの出し物は、異空迷路。
 その名の通り、異空間に作られた巨大迷路だ。ここを、制限時間以内にクリアすればゴールとなり、商品をもらうことができる。

「って、制限時間が三十分もあるなら結構余裕かもしれないね」

 まずは進み、道に沿って歩いていく。
 巨大な壁が左右へと伸びていて、確かに巨大迷路の名にふさわしいかもしれない。

 とはいっても、三十分もあるんだ。楽勝楽勝。

「それはどうかしらね」

「ひょ?」

 だけど、クレアちゃんは渋い顔をしてつぶやいた。

「この空間がどれくらい広いのかはわからないけど……これだけ大きな壁が伸びてるってことは、迷路自体本当に巨大ってこと」

 クレアちゃんの言うように、一度迷路の中に入ってしまえば周囲は壁に遮られてなにも見えない。
 見上げれば空はもちろん見える。でも、飛んじゃいけない以上空が自由でも意味はない。

 ……さっそく、分かれ道だ。

「そもそも、単純に考えて……どれだけ巨大かもわからない迷路を歩いてゴールしようってだけでも、結構時間かかると思うわよ。
 その上、罠もあるって言ってた。罠がなんなのかはわからないけど、場合によってはそれでさらに時間を取られる」

「な、なるほど」

 冷静なクレアちゃんの意見。そっかぁ、そっかぁ。
 そう聞くと、のんびり歩いていくわけにもいかないかな。じゃあ走っちゃう?

 でも……

「この分かれ道も、外れだった場合戻る時間も取られるから、よく考えないと」

 右と左と見るけど、どちらも同じような道に見える。「ま、無駄に時間使って考えてるよりも直感で進むのもありだけど」と続けるクレアちゃん。

 ふむ、直感か。
 確かに、どっちが正解か分からない分かれ道で迷っていても仕方ない気はする。どっちが正解かのヒントもないし……

「って、なんか看板が立ってるよ?」

「あらホント」

 分かれ道となっている壁に、なにか看板が立っている。地面に刺さり、なにか書いてあるようだ。
 私は看板に近づき、その文字を読む。

『魔導学園を首席で卒業し、"魔導賢者"と呼ばれている魔導士はグレイシア・フィールドである』

「マルなら右へ、バツなら左へ……だって。
 ふふん、私結構文字読めるようになったんだよ」

「今その自慢いるっ? ていうかそれ自慢っ?」

 看板に書いてあったのは、質問文だ。
 そして、その質問の答えによって曲がる道が決まる……そういうことか。

 なるほど、問題の答えに正解すれば正しい道を進むことが出来る。間違えれば……ってことだね。

「そりゃそっか、迷路って言ったらクイズありきだもんね」

「そういうもの?」

 ともあれ、これでどちらの道に進むことが決められるようになったのは大きい。
 勘で右左を選んでいても、すぐにだめになっちゃうだろう。

 問題があれば、その回答を導き出せばいい。そして、この答えは簡単だ。

「答えはマル! よって右へ!」

 そう、この問題の答えはマルだ。
 師匠がこの魔導学園を首席で卒業したことも、なんかすごい名前で呼ばれていたことも知っている。

 まあ、私も知ったのはこの学園に来てからだけど。

「こんな問題なら誰でもわかるんじゃない? 簡単にクリアできちゃうよこれなら」

「自分を棚に上げてすごいこと言うわね。
 ……でも、確かにこれくらいの問題ならこの国の人間はもちろん、他の国から来た人だって……」

 問題の難易度に思うところありながらも、私たちは先へ進む。
 しばらく進むと、また分かれ道が出ていた。

「さあて、次はなにかな……」

『魔導士の中で、選りすぐりの上級魔導士七名のことをなんと呼ぶか。"七帝しちてい魔導士"なら右へ、"七柱しちちゅう魔導士"なら左へ』

「急に専門用語出てきた!」

 文字を読んでいくと、そこに書かれていたのはさっきとはまるで違うものだった。
 師匠のことといい、魔導学園の出し物だから魔導に関するものだと思っていたけど……やっぱり、そうみたいだ。

 問題は、この話をどこかで聞いたことがあるって言うこと。どこだっけなあ……どこって、学園でだと思うんだけど。
 いつだったかなぁ。ずいぶん昔な気がするし。

「右ね」

「え」

 迷いなく、クレアちゃんは足を進める。

「なによその顔は。魔導士を目指している者からしたら当然の知識でしょ」

「……そ、そうだよね! 当然だよね! あははは!」

 くそう、誰だよこんな問題作ったやつ! ずいぶん前の設定持って来やがって!
 なんかかっこいいかなって思って名前だけ決めたけど、結局出すタイミング失ったから忘れ去られてちょうどいいからここで出しとこうとか思ってるんじゃないだろうな!

「……ちなみに、"七帝魔導士"よりも上の階級が、この世に四名しかいない"四柱しちゅう魔導士"。
 それら全ての魔導士の頂点に立つただ一人の存在が、あんたの師匠"魔導賢者グレイシア・フィールド"よ」

「ししし、知ってるよ! もちろん知ってるよ!?」

 見るな、そんな目で私を見るな!

 ……それにしても、クレアちゃんがいなかったら早々にここで立ち止まることになっていたかもしれない。
 いやあ、二人で来てよかったよ。

「魔導学園にいれば、とりあえず余裕でわかる問題ね」

「ちくちく刺すのやめてもらえませんかね」

 しょ、しょうがないじゃない。いろいろあったんだよ……魔導大会とか、魔大陸行ったりとか。いろいろあって、細かいことは忘れてたんだよ。

 そんなこんなで、またも分かれ道にたどり着く。
 しかも、今回は三本の道……つまり、三択クイズだ。
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