史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十章 魔導学園学園祭編

713話 胃袋をぎゅっと

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 学園祭の一日目が終わり、みんなでひとしきり話をした後に解散となった。

「とっても盛り上がりましたわねぇ」

 部屋に戻って、ノマちゃんと感想を言い合う。
 今日はノマちゃんのクラスには行かなかったけど、明日はクレアちゃんと一緒に行ってみるつもりだ。

 ノマちゃんの「デーモ」クラスは執事喫茶だ。
 多分、めいど喫茶とニュアンスは同じなんだろうなと思う。ただ、接客を主としているのが女の子ではなく、男の子なのだ。

 そして、その喫茶の評判はというと……

「もう、コーロラン様が素敵でたまりませんでしたわ。あのお姿だけで、ご飯三杯はいけますわね!」

「そ、そうなんだ」

 とりあえず、同じクラスのコーロランに大興奮なのがノマちゃんだ。
 王子様であるコーロランに執事服というものはよく似合うだろうし、なによりコーロランはノマちゃんの恋する相手だ。

 そういった意味でも、余計にかっこよく見えてしまっているのかもしれない。

「そういえば、学園祭歩いてるとちょくちょく評判が聞こえてきたかも」

 休憩時間学園祭を満喫していると、いろいろな話が聞こえてくる。
 その中で、ノマちゃんたちのクラスのことも聞こえてきた。

 特に、女の子の評判が良かったみたいだ。

「コーロランと、カゲくんもいるんだっけね」

「えぇ。カゲも、なかなかの人気でしたわね」

 王子様のコーロランと、白髪美形でノマちゃんの付き人カゲくん。
 二人とも、かなりの美形だ。そんな人たちが接客してくれるとなれば、そりゃ女の子は喜ぶだろう。

 特に、カゲくんは昔からノマちゃんの家に仕えていただけあって、接客の仕事はかなりのものだという。その上口調も丁寧だし、そういうお店じゃないのにカゲくんへの指名が続出したとか。

「わたくしも、頑張りましたのよ!」

 ノマちゃんは主に料理担当。会ったばかりの頃は、髪も人にやってもらうくらいだったけど……
 意外にも、料理は得意なのだという。曰く「いい女性は殿方の胃袋をぎゅっとするものですわ」らしい。
 ぎゅっとしちゃだめだと思う。

 そして、これもまた、他にも料理得意な子がいた……ラッヘだ。
 エルフで記憶を失ってしまった彼女だけど、クラスではうまくやっているらしい。

 そんなラッヘは、意外にも料理が得意だという。まさか記憶喪失になってから料理を覚えたわけじゃないだろうし……元からだろう。
 こう言っちゃなんだけど、あの性格からは想像がつかない。

「みんな張り切ってましたわ!」

「それはウチもよ。だから、フィルちゃんったらもう寝ているし」

「むにゃ……」

 私の膝の上に頭を乗せて眠るフィルちゃんは、部屋に戻ってくるなり眠ってしまった。
 あれだけ人波に揉まれて動いていたんだ。そりゃ疲れちゃうよね。

 頑張ってくれたし、ぐっすり休ませてあげよう。

「わたくしが訪れた時には、見かけることができなくて残念でしたわ」

「来てくれたんだね」

「えぇ。テリオットさんと一緒に行きましたわ」

 そうか、ノマちゃん来てくれたのか。私も応対したかったな。
 テリオットさんってのは……パーリャ・テリオットちゃん、だっけ。"魔死事件"で恋人の先輩を亡くした。

 一時は、同じ被害者のノマちゃんに複雑な視線を向けていたって聞いていたけど……一緒に学園祭を回るくらいに、仲良くなったんだね。

「私は明日、ノマちゃんのクラスび行くつもりだよ」

「まあ、それは楽しみですわね」

「うん。
 ……そういえば明日って言えば、サプライズゲストが来るらしいけど」

「そうですわねぇ……さすがに誰かまではわかりませんが、去年は有名な方が来たみたいですわよ」

 明日は、学外から有名な人が来る。サプライズっていうくらいだし、かなりの有名どころなんじゃないだろうか。
 ま、私としては学園祭が盛り上がってくれればいいんだけどね。

「あー、この楽しみがあと四日も続くなんて!」

 私は、うーんと伸びをする。
 フィルちゃんを乗せているから、起こさないように静かな動きしかできない。

 あー、なんか今まで感じた疲れとは違った種類の疲れがあるな……これが楽しいがゆえの疲れってやつだろうか。

「……なんだかフィールドさん、わくわくしていますわね」

「そりゃ、待ちに待った学園祭なんだし……」

「いえ、なんだかそれだけではないような気がして……」

 ……わくわくしてる、か。それは間違ってないけど、ノマちゃんってば鋭いなぁ。
 その理由は多分、あの写真のせいだ。結局、あのまま持って帰って来ちゃったけど。

 この学園祭に、師匠が来ているかもしれない。師匠に会えるかもしれない。
 写真の落とし主だと思われる師匠が、近くにいる。その可能性を考えるだけで、すごくわくわくするんだ。

「ま、ちょぉっとした理由があってね」

「理由、ですの?」

「まだ秘密だよー」

 まだ確証もないのに、口に出すことはできない。
 もし師匠が来ているなら、絶対に見つけ出してやる。

 ……あ、もしかして明日のサプライズゲストって、師匠だったりしないかな!?
 ありえなくはないでしょう……だって師匠は魔導学園の卒業生。それも首席だ。

 みんなが知っているくらいに有名人だし、どどんと来たらみんな驚くに違いない。
 うん、きっとそうだ。そうに違いない! きっとそうだよ!
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