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第十章 魔導学園学園祭編

673話 新しい仲間

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「やっほーエラン。なんだかお久しぶりだねェ」

 お昼休み。食堂にて私を見つけてやってくるのは、下半身がお魚のニンギョ族……リーメイだ。
 エルフと同じく、この国には一人もいなかった種族。なので、周囲からの注目は結構集めている。

 本人はそれをあまり気にしていないようだけど。

「リーメイ!」

 私もまた、リーメイに駆け寄る。リーメイとは最近会ってなかったから、どうしてるのかなと思ってたんだ。
 その隣には、ナタリアちゃんがいる。

「フィールドさん! それに皆さんも!」

 私たちを見つけ、明るい声が響く。確認しなくても誰か分かる。
 そこにはノマちゃんがいて、ぶんぶんと手を振っていた。

 さらに、その隣にきれいな金髪と長い耳を持った女の子がいて……

「ラッへ!」

「やー」

 ラッへがいた。エルフのラッへだ。
 こちらもまた、エルフだから周囲の注目を集めている。

 なんか、エルフのラッへと似た髪色のノマちゃんが並ぶと、絵になるなぁ。

「へー、二人とも学園の生徒になったのね」

「うん」

「ま、積もる話は食べながらにしましょう」

 食堂で空いている席を見つけ、確保。それぞれ料理を注文して、みんなで机に座る。
 私とクレアちゃんとフィルちゃん、ノマちゃんとラッへ、ナタリアちゃんとリーメイだ。

 おなじみのメンバーのようで、少しだけ違う。

「それぞれノマちゃん、ナタリアちゃんと一緒にいるってことは……」

「えぇ」

「ボクたちのクラスの新しい仲間さ」

 ふむふむ、なるほどね。

 ラッヘは、ノマちゃんやコーロランのいる「デーモ」クラス。
 リーメイは、ナタリアちゃんやコロニアちゃん、サリアちゃんのいる「ラルフ」クラス。

 そしてフィルちゃんは、私たちの「ドラゴ」クラス。見事に三つに分かれている

「三人が、それぞれ組分けされたわけだね」

「ただ、聞くところによるともう一人転入生がいるらしいよ」

「そうなの? なら、ルリーちゃんのクラスかしら」

 さらに、この三人とは別にもう一人が、この場にいないルリーちゃんや……ヨルのいる「ラルフ」クラスに来たらしい。
 結果、四人が四クラスに分かれたわけだ。

 そのもう一人っていうのも気になるけど……いや、それってもしかしなくても……

「わぁー、人間がいっぱイ」

 目を輝かせて周囲を見ているのが、リーメイ。
 休校中もたくさんの人に会ったとはいえ、それとは比較にならない人数がここにはいる。

 ちなみに、リーメイが食べているのは焼き魚料理だった。特になにも言うことはない。

「それにしても、制服よく似合ってるよ」

「えへへェ」

「ね、私は!?」

「ラッへももちろん」

 二人とも、学園の制服がよく似合っている。
 特にリーメイは、初めて会った時なんかおっぱいを貝殻で隠してるだけだったから……あのままだとどうしようかと思った。

 スカートは意味あるのだろうか、と思うけど。

「ね、私も私もー!」

 ばんざい、と手を上げるフィルちゃんは、他のみんなより小さいから当然制服もサイズが合わせてある。
 ちっこくてかわいいのだ。

 ここにいるみんな、エルフ族にニンギョ族に小さな子供……個性的な転入生だけど、うまくやっていけるだろう。

「もう一人の転入生ってのも気になるね」

「そのうち会えるわよ。ルリーちゃんと同じクラスなんだし」

「だね」

 食事を続けながら、みんなと話していく。
 ラッへやリーメイとは、魔大陸から帰る中でずっと一緒だった。そんな相手が、他の子と仲良く話しているのは微笑ましい。

 ところで、周りから視線を感じる……そりゃそうか。転入生三人が固まって一つの席にいたら、そりゃ注目されちゃうよね。

「リーメイもラッへも、学園生活はどんな感じ? まあまだ午前中が終わっただけだけど」

「そうだなァ……度々クラスメイトに囲まれて、なんだか人気者になった気分!」

「わかる!」

 それは、転入生の運命なのかもしれない。フィルちゃんもそうだった。
 休憩時間になる度に、転入生の席の周りにみんなが集まってくるのだ。

 まあフィルちゃんの場合は、魔導大会が始まるより前から教室に馴染んでいたため、それほどでなかったけど。
 それでも、制服かわいいと女子たちは盛り上がっていた。

「エルフだから、みんなからどう思われてるのかと思ったけど……みんな優しくて、安心した!」

 にこっ、と笑顔を浮かべるラッへ。
 記憶を失ったとはいっても、エルフ族が世間でどういう扱いを受けているのか……は覚えているらしい。

 だから不安だったと言うけど、みんな優しかったと。よかった。

「ナタリアちゃんがフォローしてくれたの?」

「多少はね。でもやっぱり、世間じゃエルフへの風当たりはよくなってきてるよ。グレイシア・フィールドの存在や、ウーラスト先生が学内でも評判がいいからね」

 やっぱり、みんなに好かれてるエルフの存在が大きいみたいだ。
 師匠にウーラスト先生。二人とも、エルフへの風当たりがってのを考えて行動していたわけじゃないと思うけど……結果オーライってやつだよね。

 二人に対しての好感度がそのまま、エルフ全体への好感度に影響している。
 でも、ナタリアちゃんの言うように……エルフ"への"風当たりは、なんだよね。
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