史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第九章 対立編

650話 すっごく楽しそうなイベント

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 非常に不服を申し立てたい私の噂が、上級生の間に流れているという話だ。
 これはいずれ払拭したいと思いつつ、レーレさんと話を続けていた。

「そうとも。私の協力によってあの剣は完成したと言っても過言ではない。あの、ま、まな……」

魔力剣マナブレードですか」

「それだ!」

 ゴルさんとの決闘で、活躍した魔導具。ピアさんに借りた魔力剣という名前の魔導具だ。
 刀身がない代わりに、周囲の魔力を吸収してそれを力に変える……というものだ。

 あれのおかげで、ゴルさんといい感じに戦えてたもんなぁ。魔導具もそうだし、それ以外のことだって。
 決闘の結果として私は負けたけど、みんなの協力があったからあそこまで戦えたんだ。

「あの、せっかく協力してもったのに、魔力剣壊しちゃって……」

「ん? あぁ、気にすることはない。むしろずっと部屋で眠っているより、日の目を見れただけ本望だろう」

 決闘の最中に壊れちゃった魔力剣。ピアさんも似たようなこと言ってたな。
 いやあ、あの頃は入学したばかりで大変だったけど……楽しかったなぁ。

 またあんな風に、戻れればいいけど。

「あいつに、剣状の魔導具を作りたいと相談された時は、実は嬉しかったんだ」

「嬉しかった、ですか?」

「あぁ。魔導士である以上、ほとんどの魔導士がこの魔導の杖を使うだろう? 杖に魔力を纏わせて剣のように扱いはしても、剣そのものを使う者は少ない。
 だから、魔導具とは言え剣の要素を持ったそれが衆目にさらされるのは、悪い気分じゃない」

 レーレさんは自分の杖を抜き、それを持つのとは逆の手で壁に立てかけてあった自分の剣を撫でる。
 いつも持っているというその剣は、お風呂を除いて肌身離さず持っているのだとか。

 さっきだって、食堂にも持っていくんだから驚いたよ。

「剣、か……」

 剣と聞いて思い出すのは、ダルマスだ。
 あいつも剣を扱っていて、魔導剣士というやつらしい。その名の通り、魔力と剣を同時に操る者。

 剣そのものを使う者は少ない……その言葉を証明するように、周りには剣を使う人が少ないことを思い出す。
 魔導具といった武器を使う人はいる。でも、剣は確かにあんま見ないなぁ。

 あのゴルさんだって、剣は使ってないんだもんな。

「じゃあレーレさんは、魔導剣士ってやつなんです?」

「まあ、まだまだ修行は足りないけどな。いずれは、魔導も剣も極めたいと思っている」

 一流の魔導士になるのは、並大抵の努力じゃいかない。
 一流の剣士になるのも、きっと並大抵の努力じゃいかない。

 その二つを組み合わせたのが、魔導剣士だ。
 魔導も剣も、どちらが使えるだけでも、どちらも使えるだけじゃだめだ。どちらも扱えるようにならないと、だめだ。

「私のクラスにも、魔導剣士として努力してる子いますよ」

「それは、もしかしてダルマス家の長男かい? ……確か、イザリ・ダルマスだったか」

「ありゃ、レーレさん知ってるんですか?」

「そりゃ、ダルマス家の長男ともなればな」

 ほほぉ……やっぱりダルマスのやつ、それなりに有名人なんだな。
 クラスじゃダルマスの取り巻きもいるし。まあ、本人が人気なのか、それとも家柄に取り入ろうとしているのか……そこは深く考えないようにするけど。

 魔導剣士として戦ったのはあいつが最初で、それ以外だとなかったかぁ。
 思い返せば、魔導大会でさえ魔導剣士はあんまいなかった気がする。

「彼は最近、どんどん力をつけてきていると聞く。いずれは手合わせしたいものだ」

「レーレさんも戦うの好きなんですね」

「あはは、キミほどではないとも」

 そういえば……ダルマスとは、秘密の鍛錬をしてたんだよな。
 ダルマスが私に、魔力の使い方を教えてくれと頼んできたのが始まりだ。私としても、頼られるのは悪くなかったし、魔力の復習ができるから悪いことではない。

 そっかぁ、力をつけてきているかぁ。いいじゃない。
 魔導大会で戦った時も、以前とは比べ物にならないほどに強くなっていたし。本当なら、あの日以降も鍛錬を続けたかったんだけど……

 ダルマスは、一人ででも鍛錬自体は続けてそうだけど。あいつ不良みたいな見た目して真面目だからなぁ。

「キミは、魔導剣士に興味はないのか?」

 レーレさんが、どこかわくわくした様子で聞いてくる。

「なくはないですけど……なんか、私には無理そうかなって」

「そぉか……」

 そりゃ、かっこいいとは思う。剣に魔法を纏わせて戦うのとか、かなり強そうだもん。
 同時に、とても繊細なものだ。私にはとても真似できない。

 杖を剣に見立てて振り回すのが、性に合っている。

「はぁ、本来ならばダルマス家の長男とも、手合わせる機会があったというのに。今年はどうなるのか」

「ん?」

 ふと、レーレさんが気になることを言った。
 ダルマスと手合わせの機会? 今年は? どういうことだ?

「なんかあるんですか?」

「ん、知らないか? 魔導学園では、それぞれの別学年による他学年試合があるんだ」

「他学年……試合……?」

 それは、魔導学園のイベントの一つだという。
 私のクラスとコーロランのクラスがやった、同じ学年同士の試合とは違う。他学年のクラスでの、試合。

 つまり、一年生である私のクラスと、二年生であるレーレさんのクラスや……
 三年生のゴルさんのクラスとも、試合ができるってこと!?

「はぁー……!」

「物凄くわくわくしているみたいだな」

 わくわくだって? そりゃあそうだよ!
 だって、他の学年なんて。ほとんど交流のなかった学年と、試合ができるんだよ!?

 すっごい楽しそう!!
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