史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第八章 王国帰還編

545話 クラスメイトと距離を取っているみたい

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 改めて話を聞くと……

 クラスメイトに会いに行ったヨル。クラスメイトが集まる中で、その関心はしかし隣にいたリーメイに向いていった。
 フードから覗く顔だけでも美女具合がわかるため、男子たちは見惚れ女の子たちはキャーキャー言っていた。

 そしてあれよれよとリーメイとショッピングをしようと、何人かの女の子が街へと繰り出した。
 かわいい服を合わせるため、全身を見てあらびっくり。そこにいたのは見たこともない種族でした。

 でも、驚きはしてもそれだけ。以降、普通に買い物を楽しんだとのこと。

「……ニンギョって珍しいからと隠してた私の苦労はなんだったんだ」

 どうやら、ニンギョはエルフのように人々から嫌われている、というわけではないようだ。
 見ての通り、みんな受け入れている。

「それにしても、ヨルってクラスの中でもそういう扱いなんだね」

「それはいったいどういうことだ!?」

 私とは違った形とはいえ、ヨルも離れてしまっていたのに……
 数日ぶりに帰ってきたヨルより、隣の美女にみんな興味津々だったと。

 あわれな……

「あの、私たち勝手なことをしてしまったでしょうか」

「んーん、そんなことないよ。むしろありがとうね。服とか、私が考えなきゃいけないことだったのに」

「やっぱり俺と態度が違う!」

 ヨルのクラスメイトの子たちに、悪意はない。むしろ良かれと思ってだ。
 そりゃ、身を隠していたその下は貝殻おっぱいなんだもんなぁ……恰好が心配になるどころではない。

 ……あれ、これ国に帰って来てからすぐに服を買わなかった私のせいか?

「みんな、いい人たちだっタ! 大好キ!」

「はぅう!」

 リーメイはこういう性格だ……お礼とか、そういうのは素直に伝えてくれる。
 それがまた、彼女たちの保護欲的なものを刺激するのだろう。

 とりあえず、お礼はまた後日するとしよう。
 ……あれ、私リーメイの保護者かな?

「みんな、今度はルリーちゃんもちゃんと連れてくるからね」

「! あ、はい」

 ヨルはルリーちゃんと同じクラスだ。なのでこの子たちは、ルリーちゃんのクラスメイトでもある。
 この場にいないルリーちゃんを、ちゃんとみんなに会わせてあげたい……そう思ったのだけど。

 どうしてか、みんなぎこちない笑顔を浮かべるばかりだった。

「?」

「ルリーは、クラスのみんなと距離を置いているんだ」

 もしかしていじめか? いじめなのか?
 そう思った私に耳打ちするように、ヨルが話しかけてくる。
 近いし耳がこしょばいしぶん殴りたいけど、内容が内容だけに許してあげよう。

 どうやら、クラスメイトからルリーちゃんがいじめられているというわけではなく……ルリーちゃん自らが、クラスメイトと距離を取っているみたいだ。
 その理由は、考えるまでもない。

 自分がダークエルフだから……認識阻害の魔導具を身につけていても、正体がいつバレないとも限らないから。
 必要以上に、人と関わり合っていないのだ。

「私たちの前では、そんな素振り……」

 見せないのに……と考えたところで、やめる。
 私たちと一緒にいるときは、ルリーちゃんの正体を知っている私やナタリアちゃんがいる。

 でも、クラスではルリーちゃん一人だ。
 そう考えると、必要以上に警戒してしまうのも、仕方ないのかもしれない。

「それで、エランくんは今夜はどうするんだ?」

 いろいろ考えていたところに、ナタリアちゃんが声をかけてきた。

 その問いかけに、私は『ペチュニア』に泊まることを伝える。
 今ナタリアちゃんの部屋はフィルちゃんとの二人だ。
 私とノマちゃんがフィルちゃんと過ごしていたことを考えれば、たとえば私が泊まるとなってもなんとかなるだろう。

 でも、私は『ペチュニア』に泊まることにした。
 ルリーちゃんやラッへを迎えに行ってまた戻ってくるのも手間だし……

「久しぶりに、あっちに泊まりたいし」

「そっか」

 学園に入学してから、ずっと寮で過ごしていたから……
 久しぶりに、別の場所でっていうのも悪くない。

 ま、久しぶりって意味では学園寮でもそうなんだけど。

「それに、いきなり私が泊まるってなっても準備とかできてないでしょ」

「それは気にしないでもいいけど……」

「ま、そういうことで」

 学園寮は、空いている部屋も多いのだとは思う。実家などに帰っている人もいるから。
 だから、別に誰かの部屋にお邪魔する必要はないのだけどね。

「なら、明日からはちゃんと泊まれるように、準備しておこうかな」

「あはは、期待しちゃおっかな」

 明日から、か……ずっと『ペチュニア』に泊まるわけにもいかないし、寮で寝泊まりすることにもなるだろう。
 そもそも学園も休校じゃなくなったらみんな戻ってくるんだろうし、外に泊まるのもそう長くはならないだろうし。

 明日がどうなるかはわからないけど、ナタリアちゃんの好意を無下にはしまい。

「じゃ、私たちは行くね」

「うん、また明日」

「……また明日」

 クラスメイトたちとも、この場にいる子とは話せたし……実に満足だ。
 それに、また明日なんて……こんな当たり前みたいな言葉にありがたみを感じるなんて、思わなかったな。

 ナタリアちゃん始めみんなの見送りを受けて、私とヨル、リーメイは学園を後にした。
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