史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第八章 王国帰還編

515話 メイドノマちゃん

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「うぅ、ぐすぐす……」

「ノマおねえちゃん、泣き止んでー」

 ……これはどういう状況だろう。
 目の前では、泣き続けているメイド服ノマちゃんと、ドレス王女様が座っている。
 そして王女が、ノマちゃんの頭を撫でているのだ。

 今私たちは、王の間から別室へと移動している。
 このソファーふかふかだなぁ……とかのんきに考えていられない状態である。

 ノマちゃんと王女様……二人が仲良いっぽいのは見ていてわかるけど……

「ノマちゃん、落ち着いた?」

「は、はい……ご迷惑を、おかけしましたわ……ふぇえ……」

「おねえちゃん鼻水鼻水」

 王女が、ノマちゃんの鼻にティッシュを当ててちーん、としている。
 どっちが年上!?

 どうして部屋を移動したかというと、それはまあ国王の計らいだ。
 泣きじゃくるノマちゃんを、落ち着いたところで慰めてあげるといいと。そして、王女も私に……というかノマちゃんに着いてきた。

 その様子からも、この小さな王女様はノマちゃんに懐いているのだと、わかる。

「ちーんっ」

 ……一応、向こうはヨルやリーメイに任せている。
 本当ならば、私も国王と話をしたほうがいいのかもしれないけど……ノマちゃんを、放っておけないし。私も、国王よりノマちゃんと話したかったし。

 ただ……


『なあに、俺にどーんと任せとけって!』

『任せとけっテ!』


 ……不安でしかない。

 とりあえずエレガたちは国王たちに引き渡したし。あいつらが悪者だってことも、ヨルが証明してくれるだろう。
 あの場に残って、洗脳されるかもしれない……という心配は、リーメイがいるから考えなくていいだろうし。

 それに、私としては……帰ってきてからいろいろと気になっているあれこれを、聞き出すチャンスでもある。
 国王や兵士に聞いても、うまくごまかされてしまうかもしれないし。その点ノマちゃんなら、その心配はない。

「はぁ、ふぅ……
 うん、大丈夫ですわ」

「そっか……」

 かれこれ十分以上はわんわん泣いていた気がするけど、それだけ心配してくれたんだとわかるのは悪い気はしない。
 同時に、心配させてしまったんだという気持ちにもなる。

 ともあれ、だ。

「えっと、改めて。ただいま、ノマちゃん」

「おかえりなさいですわ」

 まだしていなかった、ただいまの挨拶。
 ノマちゃんも、にっこりと微笑みおかえりと返してくれた。あぁ、こういうのいいなぁ。

 本当なら落ち着いてのんびりと時間を過ごしたいところだけど、今はそうもいかない。

「早速ノマちゃんに聞きたいんだけど……その服は、どうしたの?」

 私は、ノマちゃんが着ているメイド服に注目する。
 普通のメイドさんが着ているものよりスカートの丈が短く、ノマちゃんはおっぱいが大きいから胸元がけしからんことになっている。

 こんなメイドさんがご奉仕してくれたら、私はもうたまらん……じゃなくて!

「なんで、メイド服?」

「それは……ここで、働いているからですわ」

 私の質問に、ノマちゃんは当たり前のように答えた。

「働いて……」

「えぇ。それも、ただのメイドさんじゃありませんのよ。この、レーレ王女のお世話係なんですわ!」

「レーレ・ドラヴァ・ヲ―ムだよ!」

 お世話係、とノマちゃんは王女を示して……王女は、えっへんと胸を張る。
 王女のお世話係だから、メイド服が特殊なのかな……

「ちなみにこの服は、レーレ王女の趣味ですわ」

「趣味かよ!」

 いい趣味してんなこの子……!
 まあ、それは……とりあえず置いておこう。格好については、うんわかったよ。

「じゃあなんで、ここで働いているの?」

 そもそもの疑問だ。私はまさか、こんな所でノマちゃんに会えるとは思っていなかった。
 以前にも、王城でノマちゃんと会ったことを思い出す。あの時は、"魔死事件"のあれこれで……いろいろあったもんなぁ。

 今回は、どういう理由で?

「それは……」

「わたしがノマおねえちゃんを、気に入ったの!」

 答えようとするノマちゃんの隣で声を上げるのは、金色の髪の小さな王女様。
 まだ小さな子供だけど、どこか気品を感じされる。

 この子が、ノマちゃんを……

「えっと……レーレちゃん、だったよね」

「うん! レーレ・ドラヴァ・ヲ―ムだよ!」

 自分の名前が好きなのだろうか。さっきから名乗る度に、どやっとした表情を浮かべている。
 なんともかわいらしくは、あるよな。

 さて、この子レーレちゃんがノマちゃんを気に入った……
 つまり、ノマちゃんはレーレちゃんに雇われているってことなのか。

「話すと、長くなるのですが……魔導大会での騒動の最中、魔物に襲われている女の子を発見しましたの。
 その女の子と言うのが……」

「このわたし、レーレ・ドラヴァ・ヲ―ムだよ!」

 わかったからっ。

 ふむ、魔導大会での騒動の中……か。
 私たちが転送された後の出来事か、それとも私が気づかなかっただけか。まあそれはどっちでもいい。

 ノマちゃんがレーレちゃんを助け、その流れでノマちゃんを気に入ったレーレちゃんがノマちゃんを雇った……
 流れとしては、こんな感じか。

 レーレちゃん、魔導大会の会場にいたんだな。
 こんな小さい子だけってことはないだろうから、あの国王様も一緒だったんだろう。

「そっか……ノマちゃんがここにいる理由は、わかったよ。それとは他に、聞きたいことがあるんだけど」

「はい、なんでも聞いてくださいな」

 ん? なんでも?
 ……って言ってる場合じゃないな。私は首を振り、視線をレーレちゃんに向ける。

 この子の……この子の、家族についてだ。

「レーレちゃんと、あの国王って……何者なの?」

 なんで、ザラハドーラ国王が亡くなった後に、新しい国王の座に収まっているのか。
 なんで、そのことを誰も必要以上に、疑問に思わないのか。

 ドラヴァ・ヲ―ムとは……なんなのか。
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