138 / 373
揉みくちゃ博士
しおりを挟む
「もう嫌だ! 帰って母さんになんて言えばいいんだ! 僕は父さんが死ぬのを黙って見ていました、なんて言えないぞ! くそ!」
馬車の荷台で泣きながら駄々っ子のように暴れるヤイバに千切られた自分の触手を見て、ダンティラスはため息をついた。
ヤイバが暴れる度に荷台は壊れ、御者の地走り族は悲鳴をあげるが、ダンティラスにはどうしようもない。
「もう目が覚めたのであるか・・・。ヤイバ殿は実に厄介な魔法耐性を持っている。流石は魔法無効化の出来るヒジリ殿の息子であるな。吾輩は、もう君を拘束する事は出来ない。君を縛り付けていた触手を全て千切らてしまったからな」
泣きながらジタバタするヒジリの息子を見ながら、ダンティラスは心に引っ掛かるある事に気が付いた。
(ん? なぜこんな簡単な事に気が付かなかったのであるか・・・)
「落ち着いて話を聞いてくれぬか? ヤイバ殿。吾輩は、とある事に気が付いたのだがね」
「うぐ・・・。ぐすっ! なんですか・・・?」
腕で泣き顔を隠すヤイバは、苛立った声でダンティラスに返事を返す。
「君が生まれたのはいつであるか?」
「今よりも・・・。あっ!」
「気が付いて何より。そう、君の母上とヒジリ殿は、まだそういう関係になっていないのである。なのに君は消えたり、存在が書き変わったりしていないのだよ」
「では、父さんは・・・!」
「ああ、生きているのである」
「でも、あの凄まじい熱の中で! どうやって生き延びたというのですか?」
「それは吾輩に聞かれても困る。しかし彼は星のオーガ。我々の知らない力で、どうにかなったのやもしれぬ」
「そうだ! きっとそうだ!」
ヤイバはガバっと起き上って、涙を拭いた。
「父さんは生きている!」
頬を伝っていた涙は消え去り、ヒジリに似た顔を喜びに満たして、自由騎士はダンティラスをハグする。
「案外、城に帰れば何食わぬ顔をしているかもしれんな」
ダンティラスは、吸魔鬼である自分を恐れずに抱きついてくるヒジリの息子に驚きつつも共に喜んだ。
グランデモニウム王国と樹族国の国境前までつくと、御者は馬車を止める。
「着きましたよ! お客さん! それから荷台の修理代は頂きやすからね!」
ヤイバは革袋から金貨五枚を出すと御者に渡し、ダンティラスと気絶しているウメボシと、そしてサカモト博士を抱えて【高速移動】の魔法を脚にかけた。
「お客さん! 流石に金貨五枚は多すぎでやす!」
「いいんだ! 僕は今、嬉しくて仕方がないのです! そのお金は幸せな気持ちの御裾分けです! それに僕はフーリー家の一員でもある。お金には不自由していないんだ! だから貰っておいてください」
ヤイバは御者に手を振って別れを告げると、国境警備兵にグリフィンの紋章を見せた。
有名ではあるが、多くの者が初めて見るその自由騎士の紋章に、樹族の警備兵たちは驚いてヤイバに道を譲り、結界を解除する。
ヤイバは警備兵達に礼を言うと、急いでグランデモニウム王国に入境し、ゴデの街にある桃色城を目指して夜のゴブリン谷を移動した。
サヴェリフェ姉妹が寛ぐ居間に、ひしと抱き合うヒジリとマサヨシが突然現れた。
「ふぁ? ちょっと! なにやってんのよ! 二人とも! そういう関係だったの?」
タスネが、驚きとニヤニヤの混じった表情で二人を見つめた。
「ふむ・・・。確か私は邪神との戦いで、熱に焼かれて死んだはず。それにマサヨシも消滅したはずだが・・・」
「ちょっと~、離れてくださいよぉ~、ヒジリ氏~。何事~? 俺、ロリムチな女の子が好きなんでつけど~!」
オフッ! と笑ったマサヨシの細い目が、フランとイグナを捉えたので、ヒジリは忠告する。
「おっと! 彼女たちはダメだぞマサヨシ。イグナとフランは、私の将来の妻だ」
将来の妻と言われて気を良くしたイグナが、いつもよりは明るい声でヒジリに質問をした。
「お帰り、ヒジリ。何で転移魔法で帰ってきたの?」
「ん? ああ、色々あってね・・・。それにしてもなぜ助かったのか・・・。恐らくセイバーの開けた穴から、カプリコンが転送をしてくれたのだろう。そうだろう? カプリコン」
ヒジリは、星の外に浮かぶ宇宙船カプリコンに尋ねた。
「いえ・・・。転送記録はありません。おや・・・、気の所為でしたね。転送記録がありました。どうやら私が無意識のうちに、ヒジリ様を救出したようです。これは不味い・・・。亜空間での出来事には、干渉してはならないのですが・・・。これでは地球政府にどやされてしまいます」
「問題ない。厳密に言うと、あれは邪神が作り出した擬似亜空間だ。亜空間の膜で覆われているだけの実空間だ。ありがとう、カプリコン」
「いえ、ヒジリ様を助ける事が出来て光栄です。それから・・・、その・・・。今回の件をヒジリ様が、直接地球政府に報告して頂けると助かります」
人工知能とは言え、諸々の責任を回避したいのだろうとヒジリは察する。
「ああ、しておこう」
「邪神って、なぁに?」
フランがまず思い浮かべたのは、神話の時代にサカモト神と共に消えた邪神である。
「実はサカモト神の復活に成功したのだが、その時に邪神も復活させてしまってね。マサヨシが死んでしまい、私も邪神と同化して、逃げる事が出来なくなって死ぬ一歩手前だったのだ」
「え? それ本当の話? 怪我とか無いの? ヒジリ。大丈夫?」
タスネはヒジリの体の周りを忙しなく動いて、怪我がないかを見ている。
「あれ? なんか右腕がペラペラしてない?」
「ふむ、パワードスーツが補助して動いていたから、気が付かなかったが右腕が無いな」
「えええええ!!! 大丈夫なの!?」
「大丈夫だ、後で治す。パワードスーツだけ残して、腕だけ無いのも何だかおかしいが、まぁいいか・・・」
タスネは心配そうに中身のない腕部を見てから、涙目でヒジリに怒る。
「もう! いつも無茶ばかりして! 誰も知らない所で、邪神なんかと戦ってるし! 前にシオんとこでヒジリがいなくなった時を思い出しちゃったじゃない! 馬鹿!」
タスネはマサヨシを突き飛ばすと、ヒジリに抱きついた。
ヒジリは優しくタスネの頭を撫でる。
「すまない、そして心配してくれてありがとう」
ヒジリはタスネを抱きかかえると、頬にキスをした。
「あ!」
「あ!」
それを見たイグナとフランが不貞腐れて頬を膨らませた。
「お姉ちゃんは、ヒジリと結婚しないって言ってたのに、キスされるのはおかしい」
「そうよぉ!」
「し、知らないわよ。ヒジリが勝手にキスしただけだもん」
「おふぅ! ではヒジリの代わりに・・・、このマサヨシがっ! キスをしてしんぜようッ!」
マサヨシが大アリクイの威嚇のように両手を広げて、イグナとフランに迫った。
「キャー! マサヨシはヒジリの代わりになんかならないってぇ! イケメンになったとはいえ、やっぱり昔のマサヨシの顔がチラつくし~。性格も変わってないし~!」
フランはそう言って逃げていく。
「ではイグナちゃんに・・・。ニュー!」
マサヨシは口をタコのように尖らせ、イグナに近づく。
イグナは何度か魔法で抗っているが、マサヨシは魔法を無効化できるので効果がない。
ドアの近くまで追いやられ、イグナは通らない小さな声で叫ぶ。
「わわー! わわー! ヒジリ! マサヨシがーー!」
しかしヒジリは、まんざらでもないという顔をしてクスクスと笑っている姉の頬に、何度もキスをしていて気が付いていない。
「イグナちゃんのほっぺ! 頂きまんもすっすっすっすーー! 自前エコー!」
しかしイグナがさっと横に避けると、誰かがドアを開けて中に入って来た。
開いた扉にしこたま顔をぶつけて、マサヨシはドアと壁の間でサンドイッチとなる。
「父さん!」
わぁぁ! と泣きながらヤイバが、タスネごとヒジリを抱きしめた。
「良かった! やっぱり生きていた! 父さんは生きていましたよ! ダンティラスさん!」
後ろで静かに頷くダンティラスは微笑んでいた。
「流石は星のオーガである」
「父さん! どうやって生き延びたのですか?」
「君が開けた穴から、カプリコンが転移してくれたのだ。ある意味、君のお蔭で助かったともいえる、ありがとう。セイバー」
二人の会話を聞いて、フランがセイバーの青い鎧の胸に付いている自由騎士の紋章で確認する。
「え? セイバー? ヒジリを父さんって呼ぶなんてどういうことぉ? そういえば、セイバーの素顔を初めて見たけど・・・。えぇーーー! 顔がヒジリに似てる!!」
「ひどい、ヒジリ。隠し子がいたなんて・・・」
イグナがショックを受けて固まる。
「待て、イグナ。私に隠し子がいるような年齢に見えるかね?」
「今まで隠していてすみません、イグナさん、フランさん。僕はオオガ・ヒジリの長男、ヤイバです。未来からやって来ました。僕はリツ・フーリーの息子でもあり、闇魔女イグナと聖騎士フランの弟子でもあります」
「いいのかね? 正体をばらして」
「いいんです。僕は未来に帰りますから。そしてもう二度と、この過去の世界には干渉はしません」
「では二度と会えないのか? 寂しいな」
「二度とではないですよ、父さん。僕はあなたの息子として、生まれてくるのでまた会えます」
「それにしてもイケメンねぇ・・・。ハンサム系ヒジリを美少年系にしたらこんな感じかしらぁ。将来、こんなイケメンを弟子にとれるなんて、私は幸せ者だわぁ」
フランは赤い頬を押さえてうっとりしながら、ヤイバを見つめている。
魔性の瞳で見つめられてヤイバは、僅かに湧き起る劣情をすぐに抑え込んで、物憂げな顔をする。
「そうだ・・・。父さん・・・。マサヨシさんの事は、残念でした・・・」
「ああ、彼か・・・。確かに残念だったな。髪も生えてスッとしたイケメンになれたのに、性格が前のまんまで実に残念な男だった」
「いえ・・・、そうじゃなくて父さん・・・。あれ? そうやって茶化すって事は、マサヨシさんも生きているのですか?!」
「オッフッフッフ! 俺を誰だとお思いか? 俺を誰だとお思いかねー! 一応これでも星のオーガなのでつぞ! 不死身のマサヨシ、見参!」
鼻血をボタボタとこぼして威張りながら、扉の後ろからマサヨシが現れた。
「ああ! マサヨシさん!」
「おふぅ!」
鼻血が鎧に付くことも気にせず、ヤイバはマサヨシを抱きしめた。
「僕がこの世界に来た時、丁度マサヨシさんが消されるところだったんだ。もう胸が張り裂けそうになって・・・。未来でもマサヨシさんは簡単に復活したりするけど、あの虹色の泡の中じゃ、もう復活は出来ないんじゃないかって嫌な予感がして・・・」
「きっとセイバー・・・。じゃなくて・・・、ヤイバがあの穴を開けてくれたからでつ」
「うむ。マサヨシと私は、ヤイバに救われたようなもんだな。改めて言う。ありがとう、我が息子」
ヒジリはタスネを降ろすと、ヤイバとマサヨシをハグした。
「あらぁ~。男同士のハグもいいわねぇ。なんでだかわからないけど、この光景を見ながら、パンを十個ぐらい食べれそうな気分」
フランは鼻息荒くそう言う。
コツンとブーツが大理石の床を蹴る音がして、誰かが部屋に入ってきた。
「なんじゃい。キモイな、お前ら! オエッ!」
舌を出してえずくサカモト博士は、未だ気絶しているウメボシを脇に抱えて、ドアの近くに立っていた。
始祖の現人神は、タンポポの綿毛のようなフワフワの毛が頭の両サイドについており、それ以外がツルツルだった。
「ねぇヒジリ」
タスネがヒジリの尻を突っつくと、不意を突かれたヒジリはビクンと僅かに体を震わせて主を見る。
「な、何かね」
「あの団子鼻のおじいさんって、もしかして、ハイヤット・ダイクタ・サカモト神なの?」
「そうだが?」
タスネは可愛らしい目を更に丸くして驚き、すぐさま跪いた。
「あの・・・! 神様に会えてとても光栄です!」
「おほ! なんとも可愛らしい地走り族の娘じゃ。それにちゃんと礼儀を弁えておる。よし! 結婚してくれィ!」
「そ、それはちょっと・・・」
「ちぇ・・・。ところでヒジリとやら。どうやってあの擬似亜空間から、瞬時に脱出できたんじゃ? ワシの計算じゃと、閉じゆく擬似亜空間に開いた穴からデータ化して外に出るには、僅かに時間が足りんかったはずじゃが。それに邪神との分離はどうやった? お前さん、ワシみたいに邪神のナノマシンを、体のどこかに付けているかもしれんぞ」
「ナノマシンに関して問題があれば、カプリコンが直ぐに気が付く」
「マナ粒子に隠れていれば、見つけられんじゃろ・・・。ワシもそうじゃったからの」
「それは問題無い。邪神のナノマシンが付着していれば、私のナノマシンの中で、黒点のように映るからな。それに私のナノマシンが、マナを排除してくれると思う。博士は幾らかマナを受け入れているようだから・・・」
ヒジリが質問に答えていると、博士に抱えられているウメボシが静かに目を覚ました。
「博士・・・。質問の前に、まず言う事があるのではないでしょうか・・・」
「ん? ああ、そうじゃった、ウィ・・、ウメボシ」
博士はコホンと咳払いして頬を赤く染めた。
「そ、そのなんじゃ。・・・えっと・・・助けてくれてありがとうの。お前達」
その言葉を聞いたヒジリはにっこりと微笑んで、モジモジする博士に頷くと、手を差し出した。
「えーー! ワシもそのハグの輪の中に入れというのかー? 嫌じゃー! だったら、そこの地走り族達にハグされたーい!」
ウメボシを後ろに頬り投げて、タスネに突進しようとした博士の襟首を、ヒジリはパワードスーツだけになった腕をニューっと伸ばして掴むと、強引にハグの輪の中に引きずり込んだ。
「じゃわぁー! 嫌じゃ! むさくるしい男と、触れ合うのはいやじゃぁぁ!!」
輪の中でヒジリ達に頬ずりされ揉みくちゃになっていく博士は、死の間際に見た、サカモト粒子砲から放たれた虚無の渦を思い出していた。
(あの何もない空虚なる闇に比べたら、こいつらのキチャナイ頬ずりもありがたいものじゃな。科学者のワシが言うのもなんじゃが、こいつらに助けられたのも、運命の導きによるものじゃろう。もし運命の神がいて、ワシをこのように導いてくれたのならば、礼を言わねばならん。ありがとう)
馬車の荷台で泣きながら駄々っ子のように暴れるヤイバに千切られた自分の触手を見て、ダンティラスはため息をついた。
ヤイバが暴れる度に荷台は壊れ、御者の地走り族は悲鳴をあげるが、ダンティラスにはどうしようもない。
「もう目が覚めたのであるか・・・。ヤイバ殿は実に厄介な魔法耐性を持っている。流石は魔法無効化の出来るヒジリ殿の息子であるな。吾輩は、もう君を拘束する事は出来ない。君を縛り付けていた触手を全て千切らてしまったからな」
泣きながらジタバタするヒジリの息子を見ながら、ダンティラスは心に引っ掛かるある事に気が付いた。
(ん? なぜこんな簡単な事に気が付かなかったのであるか・・・)
「落ち着いて話を聞いてくれぬか? ヤイバ殿。吾輩は、とある事に気が付いたのだがね」
「うぐ・・・。ぐすっ! なんですか・・・?」
腕で泣き顔を隠すヤイバは、苛立った声でダンティラスに返事を返す。
「君が生まれたのはいつであるか?」
「今よりも・・・。あっ!」
「気が付いて何より。そう、君の母上とヒジリ殿は、まだそういう関係になっていないのである。なのに君は消えたり、存在が書き変わったりしていないのだよ」
「では、父さんは・・・!」
「ああ、生きているのである」
「でも、あの凄まじい熱の中で! どうやって生き延びたというのですか?」
「それは吾輩に聞かれても困る。しかし彼は星のオーガ。我々の知らない力で、どうにかなったのやもしれぬ」
「そうだ! きっとそうだ!」
ヤイバはガバっと起き上って、涙を拭いた。
「父さんは生きている!」
頬を伝っていた涙は消え去り、ヒジリに似た顔を喜びに満たして、自由騎士はダンティラスをハグする。
「案外、城に帰れば何食わぬ顔をしているかもしれんな」
ダンティラスは、吸魔鬼である自分を恐れずに抱きついてくるヒジリの息子に驚きつつも共に喜んだ。
グランデモニウム王国と樹族国の国境前までつくと、御者は馬車を止める。
「着きましたよ! お客さん! それから荷台の修理代は頂きやすからね!」
ヤイバは革袋から金貨五枚を出すと御者に渡し、ダンティラスと気絶しているウメボシと、そしてサカモト博士を抱えて【高速移動】の魔法を脚にかけた。
「お客さん! 流石に金貨五枚は多すぎでやす!」
「いいんだ! 僕は今、嬉しくて仕方がないのです! そのお金は幸せな気持ちの御裾分けです! それに僕はフーリー家の一員でもある。お金には不自由していないんだ! だから貰っておいてください」
ヤイバは御者に手を振って別れを告げると、国境警備兵にグリフィンの紋章を見せた。
有名ではあるが、多くの者が初めて見るその自由騎士の紋章に、樹族の警備兵たちは驚いてヤイバに道を譲り、結界を解除する。
ヤイバは警備兵達に礼を言うと、急いでグランデモニウム王国に入境し、ゴデの街にある桃色城を目指して夜のゴブリン谷を移動した。
サヴェリフェ姉妹が寛ぐ居間に、ひしと抱き合うヒジリとマサヨシが突然現れた。
「ふぁ? ちょっと! なにやってんのよ! 二人とも! そういう関係だったの?」
タスネが、驚きとニヤニヤの混じった表情で二人を見つめた。
「ふむ・・・。確か私は邪神との戦いで、熱に焼かれて死んだはず。それにマサヨシも消滅したはずだが・・・」
「ちょっと~、離れてくださいよぉ~、ヒジリ氏~。何事~? 俺、ロリムチな女の子が好きなんでつけど~!」
オフッ! と笑ったマサヨシの細い目が、フランとイグナを捉えたので、ヒジリは忠告する。
「おっと! 彼女たちはダメだぞマサヨシ。イグナとフランは、私の将来の妻だ」
将来の妻と言われて気を良くしたイグナが、いつもよりは明るい声でヒジリに質問をした。
「お帰り、ヒジリ。何で転移魔法で帰ってきたの?」
「ん? ああ、色々あってね・・・。それにしてもなぜ助かったのか・・・。恐らくセイバーの開けた穴から、カプリコンが転送をしてくれたのだろう。そうだろう? カプリコン」
ヒジリは、星の外に浮かぶ宇宙船カプリコンに尋ねた。
「いえ・・・。転送記録はありません。おや・・・、気の所為でしたね。転送記録がありました。どうやら私が無意識のうちに、ヒジリ様を救出したようです。これは不味い・・・。亜空間での出来事には、干渉してはならないのですが・・・。これでは地球政府にどやされてしまいます」
「問題ない。厳密に言うと、あれは邪神が作り出した擬似亜空間だ。亜空間の膜で覆われているだけの実空間だ。ありがとう、カプリコン」
「いえ、ヒジリ様を助ける事が出来て光栄です。それから・・・、その・・・。今回の件をヒジリ様が、直接地球政府に報告して頂けると助かります」
人工知能とは言え、諸々の責任を回避したいのだろうとヒジリは察する。
「ああ、しておこう」
「邪神って、なぁに?」
フランがまず思い浮かべたのは、神話の時代にサカモト神と共に消えた邪神である。
「実はサカモト神の復活に成功したのだが、その時に邪神も復活させてしまってね。マサヨシが死んでしまい、私も邪神と同化して、逃げる事が出来なくなって死ぬ一歩手前だったのだ」
「え? それ本当の話? 怪我とか無いの? ヒジリ。大丈夫?」
タスネはヒジリの体の周りを忙しなく動いて、怪我がないかを見ている。
「あれ? なんか右腕がペラペラしてない?」
「ふむ、パワードスーツが補助して動いていたから、気が付かなかったが右腕が無いな」
「えええええ!!! 大丈夫なの!?」
「大丈夫だ、後で治す。パワードスーツだけ残して、腕だけ無いのも何だかおかしいが、まぁいいか・・・」
タスネは心配そうに中身のない腕部を見てから、涙目でヒジリに怒る。
「もう! いつも無茶ばかりして! 誰も知らない所で、邪神なんかと戦ってるし! 前にシオんとこでヒジリがいなくなった時を思い出しちゃったじゃない! 馬鹿!」
タスネはマサヨシを突き飛ばすと、ヒジリに抱きついた。
ヒジリは優しくタスネの頭を撫でる。
「すまない、そして心配してくれてありがとう」
ヒジリはタスネを抱きかかえると、頬にキスをした。
「あ!」
「あ!」
それを見たイグナとフランが不貞腐れて頬を膨らませた。
「お姉ちゃんは、ヒジリと結婚しないって言ってたのに、キスされるのはおかしい」
「そうよぉ!」
「し、知らないわよ。ヒジリが勝手にキスしただけだもん」
「おふぅ! ではヒジリの代わりに・・・、このマサヨシがっ! キスをしてしんぜようッ!」
マサヨシが大アリクイの威嚇のように両手を広げて、イグナとフランに迫った。
「キャー! マサヨシはヒジリの代わりになんかならないってぇ! イケメンになったとはいえ、やっぱり昔のマサヨシの顔がチラつくし~。性格も変わってないし~!」
フランはそう言って逃げていく。
「ではイグナちゃんに・・・。ニュー!」
マサヨシは口をタコのように尖らせ、イグナに近づく。
イグナは何度か魔法で抗っているが、マサヨシは魔法を無効化できるので効果がない。
ドアの近くまで追いやられ、イグナは通らない小さな声で叫ぶ。
「わわー! わわー! ヒジリ! マサヨシがーー!」
しかしヒジリは、まんざらでもないという顔をしてクスクスと笑っている姉の頬に、何度もキスをしていて気が付いていない。
「イグナちゃんのほっぺ! 頂きまんもすっすっすっすーー! 自前エコー!」
しかしイグナがさっと横に避けると、誰かがドアを開けて中に入って来た。
開いた扉にしこたま顔をぶつけて、マサヨシはドアと壁の間でサンドイッチとなる。
「父さん!」
わぁぁ! と泣きながらヤイバが、タスネごとヒジリを抱きしめた。
「良かった! やっぱり生きていた! 父さんは生きていましたよ! ダンティラスさん!」
後ろで静かに頷くダンティラスは微笑んでいた。
「流石は星のオーガである」
「父さん! どうやって生き延びたのですか?」
「君が開けた穴から、カプリコンが転移してくれたのだ。ある意味、君のお蔭で助かったともいえる、ありがとう。セイバー」
二人の会話を聞いて、フランがセイバーの青い鎧の胸に付いている自由騎士の紋章で確認する。
「え? セイバー? ヒジリを父さんって呼ぶなんてどういうことぉ? そういえば、セイバーの素顔を初めて見たけど・・・。えぇーーー! 顔がヒジリに似てる!!」
「ひどい、ヒジリ。隠し子がいたなんて・・・」
イグナがショックを受けて固まる。
「待て、イグナ。私に隠し子がいるような年齢に見えるかね?」
「今まで隠していてすみません、イグナさん、フランさん。僕はオオガ・ヒジリの長男、ヤイバです。未来からやって来ました。僕はリツ・フーリーの息子でもあり、闇魔女イグナと聖騎士フランの弟子でもあります」
「いいのかね? 正体をばらして」
「いいんです。僕は未来に帰りますから。そしてもう二度と、この過去の世界には干渉はしません」
「では二度と会えないのか? 寂しいな」
「二度とではないですよ、父さん。僕はあなたの息子として、生まれてくるのでまた会えます」
「それにしてもイケメンねぇ・・・。ハンサム系ヒジリを美少年系にしたらこんな感じかしらぁ。将来、こんなイケメンを弟子にとれるなんて、私は幸せ者だわぁ」
フランは赤い頬を押さえてうっとりしながら、ヤイバを見つめている。
魔性の瞳で見つめられてヤイバは、僅かに湧き起る劣情をすぐに抑え込んで、物憂げな顔をする。
「そうだ・・・。父さん・・・。マサヨシさんの事は、残念でした・・・」
「ああ、彼か・・・。確かに残念だったな。髪も生えてスッとしたイケメンになれたのに、性格が前のまんまで実に残念な男だった」
「いえ・・・、そうじゃなくて父さん・・・。あれ? そうやって茶化すって事は、マサヨシさんも生きているのですか?!」
「オッフッフッフ! 俺を誰だとお思いか? 俺を誰だとお思いかねー! 一応これでも星のオーガなのでつぞ! 不死身のマサヨシ、見参!」
鼻血をボタボタとこぼして威張りながら、扉の後ろからマサヨシが現れた。
「ああ! マサヨシさん!」
「おふぅ!」
鼻血が鎧に付くことも気にせず、ヤイバはマサヨシを抱きしめた。
「僕がこの世界に来た時、丁度マサヨシさんが消されるところだったんだ。もう胸が張り裂けそうになって・・・。未来でもマサヨシさんは簡単に復活したりするけど、あの虹色の泡の中じゃ、もう復活は出来ないんじゃないかって嫌な予感がして・・・」
「きっとセイバー・・・。じゃなくて・・・、ヤイバがあの穴を開けてくれたからでつ」
「うむ。マサヨシと私は、ヤイバに救われたようなもんだな。改めて言う。ありがとう、我が息子」
ヒジリはタスネを降ろすと、ヤイバとマサヨシをハグした。
「あらぁ~。男同士のハグもいいわねぇ。なんでだかわからないけど、この光景を見ながら、パンを十個ぐらい食べれそうな気分」
フランは鼻息荒くそう言う。
コツンとブーツが大理石の床を蹴る音がして、誰かが部屋に入ってきた。
「なんじゃい。キモイな、お前ら! オエッ!」
舌を出してえずくサカモト博士は、未だ気絶しているウメボシを脇に抱えて、ドアの近くに立っていた。
始祖の現人神は、タンポポの綿毛のようなフワフワの毛が頭の両サイドについており、それ以外がツルツルだった。
「ねぇヒジリ」
タスネがヒジリの尻を突っつくと、不意を突かれたヒジリはビクンと僅かに体を震わせて主を見る。
「な、何かね」
「あの団子鼻のおじいさんって、もしかして、ハイヤット・ダイクタ・サカモト神なの?」
「そうだが?」
タスネは可愛らしい目を更に丸くして驚き、すぐさま跪いた。
「あの・・・! 神様に会えてとても光栄です!」
「おほ! なんとも可愛らしい地走り族の娘じゃ。それにちゃんと礼儀を弁えておる。よし! 結婚してくれィ!」
「そ、それはちょっと・・・」
「ちぇ・・・。ところでヒジリとやら。どうやってあの擬似亜空間から、瞬時に脱出できたんじゃ? ワシの計算じゃと、閉じゆく擬似亜空間に開いた穴からデータ化して外に出るには、僅かに時間が足りんかったはずじゃが。それに邪神との分離はどうやった? お前さん、ワシみたいに邪神のナノマシンを、体のどこかに付けているかもしれんぞ」
「ナノマシンに関して問題があれば、カプリコンが直ぐに気が付く」
「マナ粒子に隠れていれば、見つけられんじゃろ・・・。ワシもそうじゃったからの」
「それは問題無い。邪神のナノマシンが付着していれば、私のナノマシンの中で、黒点のように映るからな。それに私のナノマシンが、マナを排除してくれると思う。博士は幾らかマナを受け入れているようだから・・・」
ヒジリが質問に答えていると、博士に抱えられているウメボシが静かに目を覚ました。
「博士・・・。質問の前に、まず言う事があるのではないでしょうか・・・」
「ん? ああ、そうじゃった、ウィ・・、ウメボシ」
博士はコホンと咳払いして頬を赤く染めた。
「そ、そのなんじゃ。・・・えっと・・・助けてくれてありがとうの。お前達」
その言葉を聞いたヒジリはにっこりと微笑んで、モジモジする博士に頷くと、手を差し出した。
「えーー! ワシもそのハグの輪の中に入れというのかー? 嫌じゃー! だったら、そこの地走り族達にハグされたーい!」
ウメボシを後ろに頬り投げて、タスネに突進しようとした博士の襟首を、ヒジリはパワードスーツだけになった腕をニューっと伸ばして掴むと、強引にハグの輪の中に引きずり込んだ。
「じゃわぁー! 嫌じゃ! むさくるしい男と、触れ合うのはいやじゃぁぁ!!」
輪の中でヒジリ達に頬ずりされ揉みくちゃになっていく博士は、死の間際に見た、サカモト粒子砲から放たれた虚無の渦を思い出していた。
(あの何もない空虚なる闇に比べたら、こいつらのキチャナイ頬ずりもありがたいものじゃな。科学者のワシが言うのもなんじゃが、こいつらに助けられたのも、運命の導きによるものじゃろう。もし運命の神がいて、ワシをこのように導いてくれたのならば、礼を言わねばならん。ありがとう)
0
お気に入りに追加
216
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!
夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ)
安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると
めちゃめちゃ強かった!
気軽に読めるので、暇つぶしに是非!
涙あり、笑いあり
シリアスなおとぼけ冒険譚!
異世界ラブ冒険ファンタジー!
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる