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地球へ1

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 フーリー家の書斎でリツは羽ペンを滑らせて次々と書類にサインをしていく。

 手広く事業を進めているフーリー家はそれだけ気を遣う事も多い。素早く書類に目を通しながらも、中間業者が勝手に付け足した怪しい契約内容がないかのチェックを怠らない。

 突然彼女のサインをする手が止まった。

 故郷のツィガル帝国とヒジランドを頻繁に行き来する彼女は、馬車に揺られる事が多く疲れが溜まっている。自宅と桃色城を転移石で繋げばいいと言う者もいるが、いくらフーリー家が大金持ちでも大邸宅を何件も建てられる金額のマジックアイテムをおいそれと購入する事はできない。家長とはいえ個人で使えるお金には限りがあるのだ。闇魔法使いのイグナのように自分で稼いだ金を自分で管理するという自由はフーリー家にはない。

 体が少し休めと言っているのか、仕事に対する集中力が急激に下がり頭がぼんやりとしてくる。

 リツはペンをペン立てに刺すと目頭を押さえて徐に伸びをした。

「はぁ・・・。お父様が生きていた頃は毎日のんびりと本を読んで過ごせていましたのに・・・。鉄騎士団の団長とフーリー家家長の二足のわらじは流石にきついですわね。弟たちに幾らか分担させようかしら・・・」

 任すなら誰に何を任せるかと考えたが、リツはすぐにそれを頭の中で否定した。

 弟たちは有能ではあるがそれを相殺させる欠点もある。長男は冷静で頭も切れるが傲慢で敵が多い。次男は考えるのが嫌いな力馬鹿。三男は軍師として有能だが体が弱い。

「やはり、この家をきりもりできるのは私しかいませんわ」

 リツはため息をついた後に鉄騎士団のこれからを憂う。

 最近、チョールズ・ヴャーンズ皇帝陛下に痴呆の気が出てきたとの噂がある。

 先日も呼び出されたので、玉座の間に赴き用件を聞くと光側小国連合との国境付近で侵略行為があったので調査をしてこいという命令を受けた。

 一応小隊を送って調査をさせたが結局そのような痕跡はなく、近隣住民に話を聞いても光側が侵入した事など一度もないと言う。

「そもそも、帝国も光側の小国連合も神国ヒジランドと同盟国。光側と闇側を繋ぐヒジランドに相談もなく、大義のない侵攻などしようものなら神の審判が下ると考えますわ、どんな国だって」

 何より結果を報告した頃にはヴャーンズ皇帝は何も覚えておらず、そんな命令を出した記憶はないと怒る始末だった。

「今後も我が鉄騎士団が耄碌した皇帝陛下に振り回されるようなら困ります。何とかしないと」

 そう呟いた後、暫く無言になって仕事を終わらせるとリツは立ち上がって部屋の本棚を探りだした。

「確かこの辺りに薬草の本があったはず。えーっと・・・。これですわ!」

 分厚い薬草の本を見つけるとリツは机の上に置いて読み始める。

「老人ボケに効く薬草はオモイダシ草っと・・・。なんだか適当に付けた名前ですわね。脳の働きを良くして痴呆によく効くとあります。味は苦みが強く飲むのに一苦労すると。陛下は飲んでくださるかしら。そもそも痴呆の薬ですなんて言って出せば激怒するでしょうし。どうやって飲ませようかしら。頭が痛いですわね。まぁ薬草を採取してから考えましょう」





「ほう、興味あるな」

 なんにでも興味を示す夫がそう言わないはずがないと思っていたリツは、その通りになった事を喜んでウフフと笑う。薬草の本をヒジリの目の前で左右に振ると彼の顔も本についてくる。

「こだ!犬か猫に餌やる時みたいな事すんじゃねぇ!さっさと旦那様に本を渡せ!アホリツ!」

 ヒジリの横で秋の麦畑のような金色の瞳がリツを睨む。

「ガミガミ煩いですわね、ヘカ。今渡しますわよ。この本は我が家に代々伝わる一子相伝の書物。大事に取り扱ってくださいませ」

 リツは本を渡すと夫が本に目を通すのを待った。

「ほう、あらゆる薬草の説明の後に媚薬や毒薬、病気の薬の作り方まで書かれているな」

「ええ、セイバーの為に必要でしたの。一子相伝などと仰々しい事を言いましたが、宝物庫の中で埃を被っていまして見つけるのに一苦労しましたわ」

「弟君の病気は良くなっているのかね?」

「ええ、お蔭様で。運動ぐらいはできるようになりましたわ。それでも体力がありませんからすぐに疲れてしまいますけど」

 ヒジリは過去にセイバーの病気を治す提案をしたが、彼に断られている。自分の弱点は自分で克服するという彼の意志を尊重して手助けはしていない。

「それは良かった。ところでこの薬草だがね、どれもマナを帯びていて私は触れる事ができない。しかしながら生息域やどういった環境で生えているのか、薬の精製方法などを詳しく知りたいので、薬草を採取するなら一緒に連れて行ってくれないかね」

「勿論ですわ。今から出かけるのだけど準備はよくて?」

 馬車に揺られた疲れも吹き飛んだという感じでリツは喜んで出発の準備を促す。それをジト目で見るヘカティニスが口を尖らせて言う。

「いいな。おでは今日、お母ちゃんの手伝いがあるかだ一緒にいけない。旦那様に変な事すんなよ?」

「馬鹿な事を言わないで。ヒジリにはウメボシが常についてるから無理でしょ、そんな事」

 と言ってリツはウメボシを探すも彼女の姿を見つけられなかった。

「あら?ウメボシは?」

 ウメボシは時々、”めんてなんす“というものでいなくなる。今日がその日なのではと期待したが、すぐにその期待は消え去った。

「ただいまです、マスター」

 玄関から真面目そうな声が聞こえてきて、ウメボシの後を食材を持ったサヴェリフェ姉妹がゾロゾロとついて来る。

「おかえり、ウメボシ。暑い中、皆もお使いご苦労だったな。今から薬草をリツと採りに行くのだが、他に同行する者は?」

 ヒジリは姉妹を見るも、皆嫌そうな顔をしていた。

「貧乏だった頃、散々その手の事はしたから行きたくないわ」

 タスネは不満げに頬にほうれい線を描く。薬草やキノコを採って生活費の足しにしていた貧乏時代を思い出して身震いする。採ってきたキノコを酒場で二束三文で買い叩かれてガッカリした事が何度あっただろうか。

 他の姉妹も姉に同意して頷くと、居間を通り抜けて奥にある台所へと食材を置きに行った。

「そうかね。では行くか。ウメボシ、リツ」

 やはりウメボシは同行するのか、とリツが肩を落とすとヘカティニスがニヒヒと笑った。





 ウメボシはフーリー家に伝わる薬草の本を読みながらヒジリの後を飛んでいる。

「珍しく熟読しているな、ウメボシ。どうしてスキャニングで本の内容を読み込まないのかね?」

 ウメボシはギクっとして誤魔化す様に笑う。

「たまには直に読んでみるのも悪くないかなと思いまして・・・。(言えない、フーリー家の庭に生えるサルフグリの実で地球人に催淫効果のある薬が作れる事を。これだけはしっかりと記憶に刻み込んで後で・・・ふひひっ)」

 怪しく笑うウメボシに困惑しつつもヒジリはリツの乗るスレイプニルの横をヘルメスブーツで滑走する。

「ミト湖の北側に自生するのだったかな?オモイダシ草というのは」

「そうですわ。一年草ですから冬までならいつでも採れます」

「痴呆に効く薬か・・・。悪くない。しかし良いのかね?ヒジランドで独占販売しても。君の一族の利益になる薬になるのでは?」

「問題ありませんわ。フーリー家は財政に十分余裕がありますので。痴呆の薬の利益なんて爪の垢程度のものですの。それに夫である貴方を支えるのも妻の役目ですから」

 四十一世紀の誰もが大昔の地球に興味を持ち、憧れている。多様な文化、野蛮ではあるが物語性の強い歴史。そしてその中に神格化した日本人女性への幻想がある。奥ゆかしく健気なリツにヒジリは大昔の日本人女性の姿を見たような気がした。

「ありがとう、リツ」

 そう言って頬にキスをしてくる夫に微笑んでリツは心の中でガッツポーズを取る。

(好感度ポイントアーップ!)

 一行はミト湖の北にある湖畔に来ると辺りを探し始めた。ウメボシはまだ本を読んでウヒウヒと笑っているので二人だけで探す。

「ウメボシはあの本を相当気に入ったようだな」

「まぁ珍しい薬の精製法も書いてありますからね。きっとヒジランドの収入アップに繋がる薬を見つけて喜んでいるのかもしれませんわね(ウメボシが邪魔しないこの時間は貴重ですわ。もう少しヒジリに近づいて・・・)」

 リツは今日は鎧を着ていない。ここ最近は猛暑なので爽やかな水色のワンピースを着ている。そしてヒジリの近くで四つん這いになるとオモイダシ草を探す。

「ほぉ?なんだこの植物は。指輪のような葉をつけている!」

 ヒジリの声にリツは振り向いて何の植物なのかを確認する。

「これは輪っかの中に生える粘液のついたヒダで虫を捕まえる食虫植物ですわ。そこまで珍しい植物ではありませんことよ」

 ヒジリは地面に落ちている枯れた食虫植物の輪っかを拾い上げる。

「枯れると輪っかの中の粘毛はなくなって、本当に指輪のようになるのだな」

 そういってヒジリはリツの薬指に食虫植物の指輪をはめた。

 ヒジリにしてみれば悪戯のつもりでやったのだが、リツは感激している。

「まぁ!これを私に?嬉しい!貴方との良い思い出になりますわ」

「そ、そうかね。喜んでくれて嬉しいよ(こんなに喜ぶとは・・・。悪い事をした)」

 ヒジリは謝罪の意味を込めてリツの頬にキスをする。

 キスをされてリツは微笑んで目を細めた。

(ヒジリはここ最近、なんだかオーガっぽい雰囲気になりましたから、もしかしたら私の色仕掛けにも・・・)

 薬草を探す続きをしようとリツは再び四つん這いになった。

 丈の短いワンピースなので四つん這いになれば勿論下着は見えてしまうが、リツは頬を染めながらヒジリに臀部を見せるようにして探し回っている。

「リツ」

 ヒジリの声がすぐ近くで聞こえてきた瞬間、臀部に硬い物が当たった。

(え!嘘!い、いきなり!?ウメボシが近くにいるのに?)

「だ、駄目ですわ、あなた!こんな所で欲情されては困ります!」

 リツはニヤけながら振り返ると、地面に落ちていた丸みを帯びた枝の先が、薬草を探しているうちに尻に当たっていただけだった。

「尻が痒いのかね?」

(やだぁーーー!私ったらなんと恥ずかしい姿を晒してしまったのでしょうか!)

「浴場がどうとか言っていたが、風呂に入りたいとか?」

「な、何でもありません事よ!オホホ!さぁ薬草を探しましょう!」

 リツの大きな臀部と下着を見て僅かに浮かぶ劣情を振り払っていると、突然ヒジリの頭骨にカプリコンの声が響く。

「ヒジリ様、警戒を。ヴィランが私の惑星保護フィールドを突破してしまいました。地球へ連絡しようとしましたが、ジャマーが展開されており通信を妨害されております。ウィルスプログラムをどうやって私に侵入させたのかは判りませんが、惑星ヒジリにも直接的な干渉できないようにされております。連絡も暫くは途絶えます。復旧するまでの間、申し訳ありませんがどうかご自身で身をお守りください」

「ほう?惑星ヒジリに侵入できる者がまだいるのか」

 不法侵入者を防ぐために転送妨害フィールドが惑星ヒジリには張られている。それを掻い潜って侵入できる確率はほぼほぼゼロである。

 しかし侵入者は想定外の侵入をしてきた。

 強力な保護フィールドを自身の周りに張って、転送ではなく直接惑星ヒジリまで飛んできたのだ。

 ヴィラン遺伝子を持つ地球人は雷のような音をさせて現れた。

 地面に穴をあけて周囲に土や石を飛び散らして着地し、ヒジリを見てにやりと笑う。

「よう、惑星ヒジリの主」

 侵入者は薄型のパワードスーツの中から膨らんだ筋肉を見せつけるようにしてポーズをとっている。

「(パワー系か)中々強引な侵入方法だな。頭が悪くないと思いつかないやり方だ。大量の宇宙線を浴びたりデブリに衝突する危険を冒してやって来るなんて余程の馬鹿といえる。パワードスーツと保護フィールド発生装置の性能に感謝するのだな。もっとも、もう保護フィールドは使えないようだが?」

 フォースフィールドの上位版のようなそれは、宇宙空間でも地球上のような環境を作り出してくれるが、安定性と信頼性が低くいつ壊れてもおかしくないので誰も宇宙空間で使おうとは思わない。精々大気成分の違う高温の洞窟で使ったり、短時間の海底散歩に使ったりする程度だ。

「まぁな。根性よ、根性。俺は確かに頭は良くねぇよ。でもその俺に出し抜かれているマザーもカプリコンも俺よりアホだってこった」

「誰ですの?なんだか、以前私が倒した星のオーガに雰囲気が似ていますわ」

 神殺しの異名を持つリツは、過去に惑星ヒジリに来て環境に適応できなかったヴィラン遺伝子を持つ地球人を倒している。正確には偶然地表近くまで降りてきた遮蔽フィールドの影響で、その侵入者は免疫機能を破壊されて戦闘不能になったというのが正しい。

「俺か?俺の名はタケシだ。苗字は名乗らねぇぞ」

 ん?とヒジリは右眉だけを上げる。

「その名は以前侵入してきた地球人と同じだな。偶然か?」

「偶然ではありませんね。彼は以前侵入してきたヴィランと同一人物です。」

 ウメボシにそう言われてヒジリは網膜モニターに映る過去に侵入してきたヴィランの情報を探る。

「顔が違うようだが」

「はい、顔もパワードスーツも依然と同じではありません。考えられる要素は一つしかありません。彼はバグですね。タケシはリツ様に倒された後、地球での強制更生に抗って消滅させられています。この世にはもう存在はしておりません」

「つまり何らかの原因で彼は微妙に違った姿で再構成され、以前のように惑星ヒジリを目指したというわけか」

「そうだと思われます。他の可能性としては・・・」

―――ビシュ!―――

 ドリルのような投擲武器がフォースシールドを貫通してウメボシの目に命中し、彼女は地面に落ちた。

「ウメボシ!」

 ヒジリは慌てて彼女に駆け寄り、ウメボシの傷の状態を調べる。

「良かった。コアまでは到達していない。一時的に機能が停止しているだけか」

 安心した後に、ヒジリの体をゆっくりと怒りが駆け巡る。パワードスーツの薄い装甲が僅かに浮き上がって駆動音が鳴り響き、蒸気が放出される。

「お?お前怒ってるのか?感情制御チップはどうした?地球の規則では・・・」

 ヒジリは目に見えない速さでへらへらと笑うタケシに接近すると彼の頬を掴んでいた。

「オブッ?」

「君がバグなら手加減をする必要はないな」

 頬を掴んだまま持ち上げると、ヒジリは顔を掴んだままタケシを地面に叩きつけた。

「ぐはぁ!」

 地面に叩きつけられたタケシは肺から息を漏らして暫く動きを止める。しかし、またへらへらと笑うとヒジリのアイアンクローに抗うようにして立ち上がろうとした。

 が、弓なりに反った体勢をとるタケシの脚をヒジリが蹴って払ったので、タケシはまた地面に仰向けになって寝転がってしまった。

「君は私を怒らせる事をしてしまったのだよ。ウメボシは私にとってとても重要な存在でね。彼女を傷つけるのはタブー中のタブーだ」

「し、知るかよ、そんな事。厄介なアンドロイドを真っ先に狙うのは当たり前だろうが」

「君の言う当たり前こそ知った事ではないな。ここは私の星だ」

 ヒジリのアイアンクローが更に強まって、タケシの顔に凄まじい痛みが走る。

「いでで!くそ!お前は万能型だろうが!何でパワー型の俺より力が上回ってるんだよ!お、お前の強さはおかしいぞ!なんかチートシステムでも使ってんのか!だとしたら俺と同じ穴のムジナだぜ!感情抑制チップも外してるしよ、地球だと犯罪者だぞ!」

「問題ない。惑星ヒジリで私が何をしようが地球政府は口出しできないのだ。一応我が身の改造についても政府に問い合わせをしているが、私にやり方に口出しできる権限はないという返事があった」

「とはいえ汚いやり方で強くなってんだろうが、恥ずかしくないのか?え?おい!」

「残念ながらズルをして強くなったわけではない。私が強いのはこの星に鍛えられたからだ。最初から国滅級の敵と戦ったりしていたからな。今ある強さはそういった経験の積み重ねで培ったものだ。それから私は科学者でもある。パワードスーツの性能向上や新装備の取り付けも自分で出来る」

 ヒジリのパワードスーツから装甲が剥がれると、ビットとなってタケシの周りを囲んだ。装甲は光り輝いており、いつでもエネルギーを放出してお前を消し炭にしてやるぞと言ってるようだった。

「わ、わかった!わかったから手を緩めてくれ!俺は大人しく地球に帰る!もう勘弁してくれ!」

 ヒジリの圧倒的な強さを見てリツは思った。

(ヒジリは星のオーガの中でも圧倒的な存在なのかしら! 神の中でも上位の存在!)

 我が夫の強さにリツは益々惚れ惚れとして、両手を手の前に合わせて潤んだ目で見つめている。

 しかし突然ヒジリはまるで見えない槍に胸を突かれたかのように苦しみだす。

「ヒジリ!」

 リツはヒジリに駆け寄ると彼の様子を観察する。

 ヒジリは胸を押さえて苦しそうにし、冷や汗をダラダラとかいている。いつも涼しい顔をしている彼がこれほど汗を流すところをリツは見た事がない。これが異常な事だとすぐに解った。

 まだ痛む顔を押さえて、タケシは起き上がって苦しむヒジリを見下ろす。

「ひゅー!中途半端な万能型だろうと思って舐めてたらえらい目にあったぜ」

「ヒジリに何をしたの!」

「あー、そうだな。この星の住民に解りやすく言うとだな・・・」

 タケシは暫く首を捻って考えてるも何も良い例えが思い浮かばなかったのか、やっぱり考えるのは止めだと顔の前で手を振ってリツを見た。

「まぁ毒だな。よく効く毒のようなナノマシンを送り込んだのよ。ヒジリのようなお坊ちゃまはナノマシンが双方の認証無しに移譲はできないと思い込んでるからな。俺は特別な方法で強引にナノマシンを渡してやったわけだ。今こいつの体の中では自分のナノマシンと俺のナノマシンが殺し合いをしてるわけさ。で、ヒジリのナノマシンが負ければ彼は瞬時に体を病原体に侵されて死ぬ。抗体が無くなるようなもんだからな」

 目の前でもがき苦しむ夫を見てリツはどうしていいかわからず涙を零した。

「助ける術はあるのですか?」

 リツはタケシに背を見せて夫を庇うようにして聞く。一応聞いてみたものの、期待した返事が返ってくるわけがないからだ。

「ないな。彼自身がナノマシンに打ち勝つしか。しかし俺は事態が好転する前にヒジリを亜空間に捨てるぜ?」

「殺したところで、彼は何度でも生き返りますわ」

「殺すとは言ってねぇ。亜空間に捨てて行方不明にするって言ったんだよ。地球人が一番恐れるのは行方不明になる事さ。死んだ証明がないと生き返れない法律になっているからな。さぁそこをどけ。今のうちにヒジリを捨てる」

 タケシは何も無い空間に穴を開いた。開いた向こう側は暗く何も見えない。

「虚無の渦・・・?」

「虚無?ああ、これはサカモト粒子とは関係ねぇ。さぁヒジリをよこせ」

 リツは静かに立ち上がると戦闘スキルを何度か発動させる。

「今、私には鎧も武器も大盾もないですわ。貴方に勝ち目がない事も解っています。でも・・・それでも抵抗せずに言いなりになるのはオーガの性質上無理なのです。勝負して頂きます、星のオーガ、タケシ!」

 リツの予備動作のないタックルがタケシを吹き飛ばす。

「当たった!」

 攻撃が当たった事にリツは驚く。ヒジリへの攻撃が当たる事は滅多にないが、タケシはそうではなかった。

 しかし当たったとはいえ、ダメージを与えたようには見えない。

「おほー!パワードスーツがなければ 肋骨の二、三本はやられてたな!」

 体当たりをくらって離れた場所で尻もちをつくタケシは、立ち上がりながらくらくらする頭を振ってから拳を構えた。

 構えといっても我流の格闘術なので、リツには適当な構えに見える。

(ヒジリは幾らか複数の格闘術を自分なりにミックスした攻撃をしてきますが、この男の出鱈目な構えから何も読めませんわ・・・)

 困惑するリツの内心を読み取ったのか、タケシは首をグルグルと回して余裕な態度を見せた。

「お前が次に瞬きをした時、俺様の攻撃はお前に当たっているだろうよ」

「戯言ですわね」

 リツはバカにしたように笑って瞬きをしてみせた。十メートルの距離をコンマ数秒で詰めることは不可能だからだ。

 しかし彼の言動は戯言でもなんでもなく事実で、タケシの拳はリツの水色のワンピースの腹部に渦のようなシワを作っていた。

「うそ・・・。あの距離をどうやって」

 嘔吐しそうな胃のムカつきを抑えて、リツはタケシの腕を掴んだ。

「貴方に勝てなくとも腕の一本ぐらいは頂きます!」

 腕を掴んだまま、リツは足払いをしてタケシを転ばせると素早く腕ひしぎ十字固めの体勢にもちこむ。

「おお?下着が丸見えだなぁ?お嬢さんよぉ!俺さぁ、一回自然交配してみたかったんよ。相手してくれるか?」

 以前戦った時と同じ事を言うタケシをリツは鼻で笑う。

「貴方はヒジリと同じく星のオーガなのになぜか魅力を感じませんわね。どうしてかしら。そうね、きっと魂の質かしら?貴方の魂は穢れ過ぎている気がしますの」

 リツは腕を本気で折ろうと力を籠める。パワードスーツは衝撃や斬撃、突攻撃などには無類の強さを誇るが、緩やかな加圧や関節技などにはあまり性能を発揮しない。

(以前、ヒジリに教えてもらった情報が役に立ちましたわ)

 時々行うヒジリとの組み手の際に教えてもらった情報は今、タケシを苦しめている。

 ヒジリの回避力が尋常じゃない理由がこれなのだ。関節技にもちこまれると不利になるので動体視力と反射神経を鍛え、それを可能にする筋力の向上を目的としたトレーニングを彼はよくしている。

 膝を突き必死になってタケシのナノマシンに抗う夫を見てリツは心の中で励ます。

(負けないで、ヒジリ。私もなんとかしてこの男を倒してみますから!)

「くっそ!いてぇ!でもな!」

 タケシの茶色い地味なパワードスーツが駆動音を鳴らし始めた。と同時にタケシは腕の痛みを堪えながらも、巨体のリツを腕に絡ませたまま立ち上がる。

「俺をパワー系に選んでくれた両親に感謝だぜ!」

 腕に絡みつくリツを勢いよく地面に叩きつける。

 叩きつけられた時に肺の空気を全て吐き出してしまったリツは空気を吸おうと喘ぐ。

「くはっ!」

「お?それでも腕から離れないのか。いやぁ絶景だわ」

 ワンピースはめくれ上がって下着が丸見えのリツの臀部をまじまじとタケシは見つめた。

「変態・・・!」

 リツは腕をねじ切ろうと体を回転させながら力を籠めるが、空回りしてとうとうタケシに無理やり腕から剥がされてしまった。

 リツの首根っこを持って吊り上げるタケシは、彼女の指にはまっている木のような指輪を見つける。

「ほぉー、木の指輪か?中々渋い指輪じゃねぇか。向こうで苦しむ愛しい愛しいヒジリ様に貰った指輪か?」

 タケシの土色のグローブの指先がリツの指から指輪をもぎ取ろうとした。

「駄目!」

 リツは指輪をつけている手を後ろに回して隠す。

「まぁいいけどよ、いつまで耐えられるかな?首を吊られた状態じゃろくに防御もできんだろ?」

 タケシの重い一撃が、指輪を庇う無防備なリツの鳩尾に入る。

 ゴプッと音をさせて胃液を吐くリツにタケシは呆れて肩をすくめた。

「ほら、言わんこっちゃない。指輪なんて庇ってないでしっかり防御しないとよぉ」

「リツ・・・」

 意識が少し戻ってきたヒジリは、霞む目でリツを見る。

 リツは吊られながらも片手で拳を作ってタケシの顔を一発殴ると、お返しに何倍もの拳がリツの体に打ち込まれた。ぐったりしても彼女は片手を後ろに回したままだ。

(なんだ・・・?何を守っている?もしかしてさっきの食虫植物の指輪か?馬鹿な!それを守って何の意味がある!)

 幾らか人間らしさを身につけつつあるヒジリでも、時々この惑星の住人の感情的な行動が理解できない時がある。合理的思考がリツに対して指輪など気にせずに自身を守れと叫ぶ。

(あんな指輪など幾らでも代わりはあるだろう!なのに・・・)

 理解できないが、どこか胸が締め付けられるような苦しいような気持ちになり、体の痛みを忘れてしまうほどだった。

 立てた片膝に手を置いて力を籠めると立ち上がり、ヒジリはタケシを指さす。

「いい加減にしろ!タケシ!リツを放せ!」

「ちっ!遊び過ぎたか・・・。しかしその様子だとまだ完全に俺のナノマシンが体から抜けきってないな」

 他人のナノマシンが体に入るとウィルスのように複製を開始し、その次に元の宿主の体に合った体に作り替えようとする。この場合はヒジリの体をタケシのようにするという事だ。その際に抗体も破壊されるので、タケシのナノマシンに抗えなかった場合、全身が病原菌やウィルスの住処となる。

 今の状態ですら回復するには普通の怪我よりも時間がかかる。それでもヒジリは我が身にふりかかる小さくはない負担を無視して、リツを守ろうとフラフラと歩きだしたが、片膝をついて動きを止めてしまった。

「ええぃ!いつも肝心なところで!」

 その怒りは自分自身に向けられたものであった。拳を作ると腿を叩いて立ち上がる。

(微かに残るよく解らない記憶の中で、私はいつも失敗ばかりしていた。慢心してウメボシを守れなかった事も何度かあったではないか。さっきですらウメボシをタケシのフォースフィールド貫通武器から守れなかった。他にもイグナを目の前で死なし、主殿やダンティラスを救い出すこともできなかった。今度はリツか?)

 あまり汚い言葉を使わないヒジリだが、自分への苛立ちから”糞ったれ“という言葉が口から漏れ出る。

 感情の高まりで体内で拮抗し一進一退を繰り返していたタケシのナノマシンをヒジリのナノマシンが駆逐していく。

 地球人が感情をむき出しにする時は、もう次がない時であると認識するナノマシンは急激に治癒能力と異物排除能力を高め始めたのだ。

 今一度、ヒジリのパワードスーツの装甲が浮き上がり放熱した。活発なナノマシンの活動で体温が上がり、それを吸収して放熱する装置がついているからだ。

 怒りと熱で赤黒い顔をしたヒジリが突然跳躍する。

「リツを放せ!」

 空中に浮いたままスパイラルドロップキックの構えをとるヒジリに対してタケシは「そうはさせねぇ」と汚い声でがなった。

「嫌だな、こいつを解放したら盾に使えなくなるだろ。お前の強さは尋常じゃないんだ。これぐらいのハンデは貰わねぇとよ?」

 自分よりも大きいリツの体を持ち上げ盾のようにしてヒジリの攻撃に備えるタケシに更に怒りが湧く。

「小賢しいな、ヴィラン!」

 ヒジリの体の装甲が剥がれてビットとなってタケシの周りを浮いている。

「全方位からの攻撃を仕掛けるお前の方が余程卑怯だし、悪役のようだぜ?」

 いつでもリツを道連れにするぞと言わんばかりにタケシはビットや跳躍して浮いたままのヒジリを警戒する。

 四十一世紀の地球人はヒジリに限らず傲慢さがあったり油断があったりするが、戦いのスイッチが入ると話は別だ。

 じっとして耳を澄まし周囲のビットをなるべく視野に入れるタケシに隙が全くなくなった。

 ヒジリはそれでも一瞬の隙を探そうとタケシを見つめる。

(ええぃ。迂闊に攻撃すればリツを盾にするのは目に見えている。フェイントはどうだ?いや、地球人同士の戦いでそういった小賢しい手は効果が薄い。彼も動体視力は良いからな。ビットの光線の軌道を瞬時に読んでしまうだろう。どうする?今の状況は膠着状態を長引かせるだけだ)

 身に宿した怒りがその間にも抜けていく。冷静になれるので怒りの熱が抜けるのは一向に構わないが、感情に任せて動いた方が良い結果になる事もある。

 強引にリツを奪い返せば良かったかとヒジリは後悔して、タケシに首根っこを掴まれてぐったりしているリツを見る。

(あの感じからすれば大ダメージを受けているのは間違いない。早くリツを助け出さないくては。こういう時、私も魔法が使えればな・・・。もしタケシに魔法が効くならば【捕縛】でなんとかなったはずだ。。。。まてよ?捕縛・・・?)

 ヒジリは閃く。急いで亜空間ポケットからカードを取りだし、表面を指で撫で始めた。

 そんなヒジリをタケシはビットを警戒しながら見る。

「戦いの最中に何やってんだ?次の一手がないなら降参しろよ、ヒジリ」

 ヒジリがカードを撫でた指を擦り合わせると煙が出始めた。

「なんだ?」

 その煙はゆっくりとタケシの周りを漂う。そして煙を誘導するようにビットがタケシの周りを飛ぶ。

「何のつもりかしらねぇが、煙を俺に浴びせてどうしようってんだ?」

 しかしヒジリは何も言わず、指の間から煙を出し続けた。

「わけのわかんねぇ事してんじゃねぇぞ!」

 タケシが怒鳴ったその時、手足に異変を感じた。煙が体に纏わりついて硬化しだしたのだ。

「なんだぁ?」

「今頃気が付いたかね?やはりパワー系は頭が鈍いのだな。私なら煙を警戒して移動するが」

 ヒジリの自信に満ちた顔に苛立ち、タケシは地面に唾を吐く。

「この煙がなんだってんだ?」

「その煙は大昔の玩具をヒントに作ったものでね。その煙は何かに触れた瞬間に硬化するようにできている。ビットで空気の流れを作って誘導し、君だけに付着させたのだ」

 体を動かそうとタケシは指に力を入れたがびくともしない。それを確認したヒジリがゆっくりとタケシに近づいてきてリツを引き寄せて抱きしめた。

「リツ、大丈夫かね?」

 しかし返事はない。触って初めてリツが危険な状態だと知る。眼球モニターに彼女の怪我の状態が映し出されたのだ。

「内臓破裂、肋骨の骨折。よくもやってくれたな、タケシ。精々彼女を治す間の生を噛みしめるのだな。しかし、どうしたものか。ジャマ―を解除しろ、タケシ。カプリコンに彼女を治させる」

 動かなくなったタケシだが、口は動かせる。

「どうせ俺は消されるのだろう?だったらお前を助ける意味も義理もないな。愛しい人を死なせて泣き喚けよ。生き返らせたところでお前は一生偽者を傍に侍らせる事になるんだ。ギャハハ!」

「そう言うと思ったよ。ウメボシが回復するのは明日ぐらいか。仕方がない。君の違法なナノマシン譲渡システムを真似させてもらおう」

「はぁ?」

 ヒジリは体内でサンプルとして残しておいたタケシのナノマシンを解析しだした。網膜モニターに流れるプログラムを見て顎を撫でる。

「このシステムは君が考えたものではないだろう?」

「知るかよ。気が付いたら使えるようになっていたし、使い方も解ってたんよ」

「まぁいいさ」

 そう言ってヒジリはリツの唇に自分の唇を重ね合わせた。まだ完全にタケシのナノマシン譲渡法を解析できていないヒジリは自分のナノマシンを直接リツの体内に流し込んだのだ。

「ハッ!見せつけてくれるな、ヒジリ」

「そんなんじゃないがね。君のナノマシンのお陰で彼女は助かる。こうなったのも君のお陰だ、ありがとう」

 皮肉を言ってヒジリはリツを亜空間ポケットから取り出したエアマットの上に彼女を寝かせた。

「いいのかなぁ?お前のナノマシンをいきなり渡したら、体が耐えられなくなって死ぬんじゃねぇのか?」

「リツに渡したナノマシンはリセットしてある。ちゃんと主をリツだと認識して傷をすぐに治してしまうだろう」

「そんな事・・・!いや・・・、お前ならできるか・・・。くそったれが!さぁ殺せよ」

 ヒジリがタケシに近づき、掌を向けると、その掌から電流がバチバチと音を立てる。

「さようならだ、哀れなタケシ。平穏と暗闇の待つ向こう側へ戻るがいい」

「さぁそれはどうかな。またいつか偶然を装って俺は復活させられるかもな。なんせ俺たちは本当の意味で生きてはいないんだからよ。お前は本当の地球の姿を見た事あるか?俺は見たぜ?地球から離れる一瞬に見た地球はよ・・・。機械の・・・」

 ヒジリがタケシにとどめを刺す前に彼は突然光の粒となって消えた。

「間に合いました、ヒジリ様」

 落ち着いた紳士的な声が頭骨に響いた。

「タケシはどうしたね?カプリコン」

「勿論、消滅させました。彼は本来この世に存在していませんので」

「そうかね」

(タケシの最期の言葉はどういう意味だ?)

「ヒジリ様。我々はまたもや恥ずかしい姿を見せてしまいました。以前にタケシが現れた時の報告はどうやらマザーにまで届いていなかったようです。基本的にマザーは人類の存続に関わる事以外には介入しません。この件が人類の危機と判断していないのだと思います。しかし二度も似たような失敗をしてしまうとは私及び地球政府の落ち度です。これらの失敗はやがて大きなミスへと繋がり人類の脅威になる可能性もあります。今回の件はマザーの耳に届くよう強く要望しておきます」

「ああ、そうしてくれたまえ。悪いがウメボシの回復を頼む」

「リツ様はよろしいのですか?」

「彼女には既に初期化したナノマシンを移してある。カプリコンの急激な回復で不具合が起こる可能性を回避したい」

「エリートオーガは確か、ナノマシン適合が高い種族でしたね」

「うむ。元々身体能力や治癒能力は地球人よりも高い。なのでもう回復が始まっている。近くの村に着く頃には治っているだろう」

「ウメボシなのですが、彼女はサカモト博士やヒジリ様の独自の改良やセキュリティガードで深い部分の回復は私の手には負えません。回復を促す措置だけをしておきました」

「十分だ。それにしても薬草を採りに来ただけなのに大事になった」

「改めて謝罪をさせていただきます。申し訳ありませんでした。ヒジリ様の体調を回復しますよ、勿論BPはこちらが負担します。それに帰るのであれば転送しましょうか?」

「いやいい。今の私やリツの体はナノマシンが安定していない。回復も転送も遠慮しておく」

 ヒジリはウメボシを脇に抱えてリツを担ぎ上げる。

「一気にゴデの街に帰っても良いのだが、闇樹族の村で休憩させてもらうか」

 内臓破裂で浮腫んでいた彼女の顔は既に元通りになっていた。

「ナノマシンの適応具合が凄まじいな。もうここまで回復したのか。それにしても必死になって私を守ろうとしてくれたのだな、私と私との絆を」

 リツの指にはまっている指輪を見ると、目から零れ落ちなかった涙が鼻の中を伝って落ちてくる。ヒジリは鼻を軽く啜って、帰路にある闇樹族の村を目指した。
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