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密約
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従属効果がある魔法の首輪をつけたサイクロップスは、自分より遥かに小さい魔法傀儡に苦戦して、苛立ちのあまり咆哮し、口端から泡の飛沫を飛ばす。
「ウゴォォォ!!」
シズクを追い回して、狂ったように棍棒を振り回す一つ目巨人のせいで、グランデモニウム王国軍にも被害が出始めた。
巨大な棍棒を咄嗟に回避したオーガの戦士が舌打ちをして、垂れた黄色い前髪を後ろに撫でつける。
「チィ。貴族様はいつになったら、あの一つ目野郎を下げてくれるんだ? このままじゃ戦いにもなりゃしねぇ」
すると同じく隣で回避していたオークの戦士が、愚痴をこぼした。
「樹族国の王は前線まで出てくるのに、うちの狂王は全てを貴族に任せて、城で高みの見物か。なんかむかつくなぁ、スカールさんよぉ」
「能力持ちで長寿型のエリートオーク様は狂ってやがるからな。今頃は玉座で酒でも飲みながら、魔法水晶を覗き込み、俺らの活躍に狂喜乱舞している頃だろうさ。いい加減、力こそ全てという信条にも、苛立ってきたぜ。要は根性論だろ? 作戦も糞もねぇ。オーキン、なんか良い作戦でも捻りだせよ」
オーガにそう言われたオークは、下あごから伸びる牙を見せつけ、怒りを露わにする。
「オーガのお前がそれを言うのか! 一番、闇側のポリシーを貫いている種族のくせによー。それにアホの俺が作戦なんか立てられるわけねぇだろ」
「違いねぇ」
味方に被害を及ばすサイクロップスの攻撃を避けながら、余裕で会話ができるこの二人は、それなりの実力者である。それでも、怒り狂う巨人に手も足も出ない。
彼らの横を通り抜けた―――、無謀にも梯子を担いで砦に猛進したゴブリンたちが、棍棒の餌食になって飛んでいくさまを見て、二人は砦の壁の上で笑う樹族に憎しみの視線を向けた。
「なんだ、あいつ。盾で矢を往なしてやがる。【弓矢そらし】の魔法をかけずに、あそこにつっ立ってんのかよ。阿呆なのか? おい、誰か、大弓持ってねぇか? あいつを打ち抜いてやるぜ」
打ち抜くどころではない。小さな樹族が大矢を受ければ、肉塊になるだろう。
「オデ、持ってる。オデ、弓使いだかだ」
オデ、が名前なのか一人称なのかわからないオーガが、同族に大弓を投げて渡し、すぐに丸太のような大矢も何本かバラバラと投げた。
「ナイス、オデ!」
どうやらオデは名前だったようだ。グランデモニウム王国のオーガにオデという名前は多い。アーチャーのオデに頼んで、砦上の樹族を射抜く事もできたが、それではスカールの気が収まらなかった。
大矢を構え、常人では引き絞れないような太い弦を軽々と引いて、スカールは砦の防壁の上に立つ、フルアーマーの樹族を狙った。
「流石に大矢は、パリィできねぇぞ! 糞樹族さんよ! 血霧になって死ねや!」
サイクロップスを翻弄する魔法傀儡が、一瞬こちらを見たような気がしたが、スカールは構わず矢を放った。
―――が。
そのまま飛べば、間違いなく樹族を屠れた大矢は、最悪なタイミングで射線に入ったサイクロップスのこめかみを貫いてしまったのだ。
サイクロップスはよろよろと前後左右に揺れた後、頭から砦の壁に倒れた。当然、砦の壁はそれなりに崩れ、損害が出したが、大した事はない。
「なにやってんだ、スカール!」
オーキンに尻を叩かれ、責められたスカールは、慌てて言い訳を始めた。
「いや、俺のせいじゃねぇんだ。あの魔法傀儡だ。あいつが大矢の射線内に入るよう、サイクロップスを誘導しやがった」
オーキンは疑いの目をスカールに向けるが、考えを改める。
「む・・・。確かにあの魔法傀儡ならやりかねねぇな。考えてみりゃあ、今まで一つ目をドタバタさせていたのも、我が軍に被害を出す為だったんだ。それにしても、気に食わねぇ。砦の上の樹族見てみろよ。大笑いしているぞ。クソむかつくぜぇ!」
「ありゃ、ただの戦士じゃねぇな。多分、ロードだ。自己回復する術を持っているから、敵の攻撃を恐れねぇんだ」
二人の後ろに立つ黒髪のオーガが、瓶底眼鏡を中指で上げながら、そう言った。
「なに? ロード? 聞いた事ねぇ職業だな。知っているのか!? ベンゾウ」
ベンゾウと呼ばれた知性的なオーガは、静かに頷いた。
「あぁ。簡単に言えば君主だ。まぁ必ずしも、本来の意味での君主とは限らないけどな。周囲に命中率や貫通率、防御率アップの支援効果を及ぼす厄介な職業だぞ」
それを聞いたオーキンが、悔しそうに指を鳴らす。
「だから、砦の上でああやって立ってやがるのか。さっきからゴブリンどもが、壁に梯子をかけるのに手間取ってるわけだ」
悔しそうに地団駄を踏むオーキンに、ベンゾウは「まぁまぁ」となだめた。
「そう悔しがるな。前向きにいこうや。あれが聖騎士だったら、もっと悲惨だぞ。ロードは聖騎士の下位互換みたいなもんだからな。聖騎士は蘇生の祈りまで覚えてしまうが、ロードは中位の回復までだ。あいつらにダメージを与えても、聖騎士ならば広範囲の回復を行って、全てを無かった事にしてしまう」
ベンゾウの言葉に、「おう、そうだな!」と答える者はその場にはいない。当たり前だ。ロードよりも厄介な魔法傀儡が、破城槌を押す一団に狙いを定めたからだ。
「おいどうする! あの傀儡、砦門の方へ向かってるぞ!」
スカールが梯子係のゴブリンの支援に行くべきか、破城槌の一団の支援に行くべきか迷っていると、ベンゾウが呼び止めた。
「一つ手がある。戦士の中でも体術が得意なスカールは、魔法傀儡の注意を引いてくれ。攻撃しようとするなよ。奴はカウンターを必ず命中させてくるからな。それからオーキン! 後方のバートラの傭兵ゴブリンたちに、サイクロップスの体をよじ登って、砦内に侵入しろと伝えてくれ」
「よしきた!」
オーキンは重たそうな下腹部を揺らしながら、暗殺専門傭兵が控えているゴブリン谷に向かって走った。走るオーキンは心の中でつぶやく。「ベンゾウがいてくれて助かった」と。
誰もが力押しを考えるグランデモニウム王国において、ベンゾウのような知性派は貴重だからだ。貴族ですら、こういった指揮をとる者はいない。
「俺一人で魔法傀儡の相手をするのか? ベンゾウ」
スカールが不安と不満の入り混じった顔で言うので、ベンゾウは安心させる為に、優しい声で答える。
「あぁ。手練れのお前が相手をすれば、他への被害が少なくて済むからな。俺は魔法傀儡をずっと観察していてわかった。奴は基本的に敵を直接殺さない。手足を折って動けなくするようにしているだけだ。恐らくマスターが甘ちゃんなんだろうな。俺たちの性質を知らない余所者なんじゃねぇかな? 怪我人を出せば、救護班が現れて、救出に手間取っている間に、前線の戦力が落ちると考えているんだろうよ。普通の戦なら、救護班を守りながら戦うらしいからな。だが俺たちは違う。仲間の死や負傷なんか気にせず、前に進む」
それでもスカールは不満げだ。
「とはいえ、俺は一人で魔法傀儡と対峙するんだから、シャーマンやドルイドに援護するよう頼むぞ。特にスタミナ回復を重点的にな。敵は無尽蔵に動くが、俺はそうじゃねぇ。あと魔法の集中砲火を受ける可能性があるから、魔法防御アップの護符があったら、貸してくれ」
「魔法は問題ない。砦から魔法が放たれた形跡がないからな。俺が思うに、奴らは如何に浪費せずに、今年の一日戦争を終わらせるか、に集中してんだ」
「ふん、相変わらず樹族は陰険だぜ。じゃあ、いっちょ魔法傀儡様と戦ってきますか」
「戦うなと言っただろ。相手をするだけだ。奴の周りでワーワー喚くだけでもいい。魔法傀儡が攻撃を仕掛けてきたら、上手く往なせよ、スカール。お前はそういうのが得意だろ?」
「へいへい、やりますよ。やりゃあいいでしょ(簡単に言ってくれるぜ)」
そう言うと、スカールはオデに借りた大弓を返そうとしたが、かのオーガはボサボサ髪を振り乱しながら、魔法傀儡のいる場所へ突進していた。
「あーもう。オデの馬鹿が。アーチャーが最前線に出るなんて前代未聞だぞ。それに弓無しでどうやって戦うつもりだ」
スカールは大きなため息をつき、大弓と大矢を持って、オデを追いかけた。
砦の上で勝手にスカウトやアーチャーに指示を出して、壁を登ってくるゴブリンの頭上に石を落とすカズンは、そろそろムダン卿から、労いの言葉を貰えるのではないかと思い、そわそわしながら、伝令が来るのを待っていた。
が、やって来たのがワンドリッター卿だったので存外に驚く。普通、武将はこんな危険な場所へ直接やって来ないはずだが、と。
「ワ、ワンドリッター閣下。危険ですので、お下がりください。敵には大矢を持った者もおります。あれは【弓矢そらし】でも防げません」
「カズンこそ、どうやって、大矢を躱すつもりでいたのだ?」
ウルグ・ワンドリッターは、全く怯えていない。どんな矢も防ぐ、何かしらのマジックアイテムでも持っているのだろう。彼の視線の先は、やはりアンドロイドのシズクだ。
「あれは素晴らしい魔傀儡だな。機工士でもないレッサー・オーガが作り、操っているというのは、ムダンの嘘だろう? 貴様がノームの知り合いを頼って、作り上げたのだ。違うか?」
そこまで言われて、カズンはワンドリッターの意図を汲み取る。そして無礼を承知で―――、卿の質問を回避する為に、逆に質問で返した。
「閣下は、あのオートマタを御所望で?」
「あぁ、欲しいな。自分だけではない。どの武将も欲しがっている。欲しがってないのは、領地から出る事のできない辺境伯と、超遠距離型の攻撃魔法が使えるコーワゴールド家ぐらいだ。彼らは毎年起こる茶番戦争に、参加しなくても良い事になっているからな」
茶番戦争。自分と同じ意見であるワンドリッター卿に、カズンは少し親近感を感じた。
「しかし、閣下。あれは一機しかない貴重品です。しかも、レッサー・オーガのモズクの指示にしか従いません」
カズンの肩に、ワンドリッターの腕が乗っかり、顔がぐっと近くなった。
「結果がどうであれ、貴様は奴隷の活躍で間違いなく、騎士に返り咲くだろう。だが、その後には残酷な試練が待ち構えている。荒れ果てた領地はどうする? 水飲み百姓しかおらぬ田舎でどう金を稼ぐのだ。いくら優秀な部下がいたところで、これはどうしようもない現実ぞ」
買収か、とカズンは心の中で呟き、すぐさまムダン卿とワンドリッター卿を秤にかけた。武闘派だが人柄も良く、人望の厚いムダン卿か、権力と金に固執し、それに心血を注ぐワンドリッター卿か。
自分の領土の君主はムダン卿であるが、果たして彼が支援をしてくれるだろうか? 真っすぐな性格ゆえ、自助努力を怠る者には厳しい。カズンは思わず、声を漏らさずにはいられなかった。
「取っ掛かりさえあれば・・・」
最初の資金さえあれば、以降は何とかできる自信はある。勿論、冒険者時代に稼いだ金はあるが、それはあくまで個人レベルでの規模。狭い領地とはいえ、百人ほどの領民を抱える主としては、心もとない金額である。
たとえなんとかなっても、良くて現状維持。一番高い可能性は、そのまま税金を領民から取る事もままならず、ムダン家に上納金を納められずに衰退し、領地を返上する未来。
「そう、何事も最初が肝心なのだ。貴族になっても領地の経営が上手くいかず、没落していった者を私は何人も見た。カズンよ、また冒険者に戻るのは辛かろう? チャンスを活かす気はないか?」
少し籠ってはいるが、芯の通る低い声は、まるで悪魔の囁きのようだった。実際、黒騎士という見た目が、禍々しい印象を与えてくる。その悪魔は更に喧噪の中、耳元で囁いた。
「何も難しく考える事はない。私は貴殿という金鉱脈に、少しばかりの投資をするだけなのだから」
「しかし結果的に、得られるもの何もないかもしれませんぞ、閣下」
「いや、貴殿ならやってくれるだろう。あの異世界人の秘密を暴くのだ。魔傀儡を自在に操る為の秘密をな。命令権を奪って私に譲渡してくれれば良い。失敗し、あのレッサー・オーガが廃人になったとしても、それはそれで良い。ムダン家の戦力を削ぐ事になるのだからな」
どう転んでも、ワンドリッターに損はないという事かと、カズンは複雑な気分になる。だが自分もこの交渉で相手のペースに飲まれる気はない。
「それでは私の貴重な奴隷が無駄になってしまいます、閣下。モズクのような逸材は、あと200年は生まれてこないでしょう」
カズンが兜の下でクククと笑っている事に、ワンドリッターは気づいた。
「フハハハ。足下を見よって。だが、嫌いではないぞ、貴殿のような若造は」
「それで、どんな支援をして頂けるのでしょうか?」
「金貨千枚枚と奴隷売買ギルドへの加入を認めてやろう。普通であれば、ギルドメンバー全員の承諾が必要だが、私にはそれ以上の強権がある」
「金貨千枚! それに奴隷売買の権利!? 我が小さな領地に、それは破格過ぎますゆえ、悪目立ちます! しかも、我が領民を奴隷として売れば、ムダン卿が黙っていないでしょう」
「何も領民を奴隷にする必要はない。最初は貴殿に、こちらで調達した奴隷を横流してやろう。それを高値で他へ売ればよい。右から左へ流すだけの簡単な仕事だ。花売りが路地裏で、花を売るより簡単な仕事だろう? 奴隷売買の一連のやりとりを理解して軌道に乗ったなら、あとは貴殿自身が上手く立ち回ればよい」
あの魔傀儡にそれだけの価値があるのは、十分に理解できるが、カズンは幾らかワンドリッターに疑念を抱いていた。裏切りや策略で有名な彼の一族を、信用すべきかどうか。
好条件を与えたにも関わらず、憂うさまを見せるカズンに、ウルグは今一度囁く。
「チャンスは一度限りだ。騎士カズン」
「それよりも閣下。ここは戦場。少々、油断し過ぎでは?」
カズンはワンドを抜くと、肩を組むウルグにその先端を向けた。
咄嗟にウルグ・ワンドリッターは飛びのく。
「貴様、チャンスをくれてやったのに、それでもムダンに忠誠を誓うというのか! 戦いのどさくさに紛れ、この誘い話を手土産に、私の首をギャンに持っていくつもりだな?!」
ウルグもワンドをホルダーから取り出そうとしたが、焦りのあまりワンドを落としてしまう。急いでメイスの柄を掴もうとしたその時。黒革の小手越しに激痛が走る。
「ぎゃあああ!!」
ただの痛みではない。即座に吐き気や眩暈が襲ってくる猛毒の一撃。ウルグの装備の中で、唯一防御力の低い手甲に、ダガーが深く突き刺さっていたのだ。
「だから言ったでしょう、閣下。ここは戦場であると」
カズンは、ワンドリッターの影に潜もうとするゴブリンに【閃光】の魔法を浴びせて影を消し、一時的な盲目状態にして、動きを止めた。そして、その脳天にメイスの一撃を与え、暗殺者のゴブリンを仕留める。
「すぐさま解毒の祈りを・・・。ですが、私の力では毒の進行を止める事しかできません。野営地に戻り、妻のスカンから上位解毒の祈りを受けて下さいませ。私も少ししてから野営地に向かいます。それからこの様子では既に、バートラのゴブリンたちが、砦に侵入している事でしょう。ですので、私が全力で野営地まで護衛致しましょうぞ。我がギルドマスター」
カズンからギルドマスターと呼ばれ、ウルグは顔を上げて笑った。
「ハッハ! 密約は成立したようだな。しかも命まで救われたとなると、これでギャンに疑われることなく、貴殿が騎士に戻れるよう推薦できる」
解毒の祈りによって、一時の健康を得たウルグは、ニヤリと笑いカズンと共に、円卓のある野営地へと走った。
「ウゴォォォ!!」
シズクを追い回して、狂ったように棍棒を振り回す一つ目巨人のせいで、グランデモニウム王国軍にも被害が出始めた。
巨大な棍棒を咄嗟に回避したオーガの戦士が舌打ちをして、垂れた黄色い前髪を後ろに撫でつける。
「チィ。貴族様はいつになったら、あの一つ目野郎を下げてくれるんだ? このままじゃ戦いにもなりゃしねぇ」
すると同じく隣で回避していたオークの戦士が、愚痴をこぼした。
「樹族国の王は前線まで出てくるのに、うちの狂王は全てを貴族に任せて、城で高みの見物か。なんかむかつくなぁ、スカールさんよぉ」
「能力持ちで長寿型のエリートオーク様は狂ってやがるからな。今頃は玉座で酒でも飲みながら、魔法水晶を覗き込み、俺らの活躍に狂喜乱舞している頃だろうさ。いい加減、力こそ全てという信条にも、苛立ってきたぜ。要は根性論だろ? 作戦も糞もねぇ。オーキン、なんか良い作戦でも捻りだせよ」
オーガにそう言われたオークは、下あごから伸びる牙を見せつけ、怒りを露わにする。
「オーガのお前がそれを言うのか! 一番、闇側のポリシーを貫いている種族のくせによー。それにアホの俺が作戦なんか立てられるわけねぇだろ」
「違いねぇ」
味方に被害を及ばすサイクロップスの攻撃を避けながら、余裕で会話ができるこの二人は、それなりの実力者である。それでも、怒り狂う巨人に手も足も出ない。
彼らの横を通り抜けた―――、無謀にも梯子を担いで砦に猛進したゴブリンたちが、棍棒の餌食になって飛んでいくさまを見て、二人は砦の壁の上で笑う樹族に憎しみの視線を向けた。
「なんだ、あいつ。盾で矢を往なしてやがる。【弓矢そらし】の魔法をかけずに、あそこにつっ立ってんのかよ。阿呆なのか? おい、誰か、大弓持ってねぇか? あいつを打ち抜いてやるぜ」
打ち抜くどころではない。小さな樹族が大矢を受ければ、肉塊になるだろう。
「オデ、持ってる。オデ、弓使いだかだ」
オデ、が名前なのか一人称なのかわからないオーガが、同族に大弓を投げて渡し、すぐに丸太のような大矢も何本かバラバラと投げた。
「ナイス、オデ!」
どうやらオデは名前だったようだ。グランデモニウム王国のオーガにオデという名前は多い。アーチャーのオデに頼んで、砦上の樹族を射抜く事もできたが、それではスカールの気が収まらなかった。
大矢を構え、常人では引き絞れないような太い弦を軽々と引いて、スカールは砦の防壁の上に立つ、フルアーマーの樹族を狙った。
「流石に大矢は、パリィできねぇぞ! 糞樹族さんよ! 血霧になって死ねや!」
サイクロップスを翻弄する魔法傀儡が、一瞬こちらを見たような気がしたが、スカールは構わず矢を放った。
―――が。
そのまま飛べば、間違いなく樹族を屠れた大矢は、最悪なタイミングで射線に入ったサイクロップスのこめかみを貫いてしまったのだ。
サイクロップスはよろよろと前後左右に揺れた後、頭から砦の壁に倒れた。当然、砦の壁はそれなりに崩れ、損害が出したが、大した事はない。
「なにやってんだ、スカール!」
オーキンに尻を叩かれ、責められたスカールは、慌てて言い訳を始めた。
「いや、俺のせいじゃねぇんだ。あの魔法傀儡だ。あいつが大矢の射線内に入るよう、サイクロップスを誘導しやがった」
オーキンは疑いの目をスカールに向けるが、考えを改める。
「む・・・。確かにあの魔法傀儡ならやりかねねぇな。考えてみりゃあ、今まで一つ目をドタバタさせていたのも、我が軍に被害を出す為だったんだ。それにしても、気に食わねぇ。砦の上の樹族見てみろよ。大笑いしているぞ。クソむかつくぜぇ!」
「ありゃ、ただの戦士じゃねぇな。多分、ロードだ。自己回復する術を持っているから、敵の攻撃を恐れねぇんだ」
二人の後ろに立つ黒髪のオーガが、瓶底眼鏡を中指で上げながら、そう言った。
「なに? ロード? 聞いた事ねぇ職業だな。知っているのか!? ベンゾウ」
ベンゾウと呼ばれた知性的なオーガは、静かに頷いた。
「あぁ。簡単に言えば君主だ。まぁ必ずしも、本来の意味での君主とは限らないけどな。周囲に命中率や貫通率、防御率アップの支援効果を及ぼす厄介な職業だぞ」
それを聞いたオーキンが、悔しそうに指を鳴らす。
「だから、砦の上でああやって立ってやがるのか。さっきからゴブリンどもが、壁に梯子をかけるのに手間取ってるわけだ」
悔しそうに地団駄を踏むオーキンに、ベンゾウは「まぁまぁ」となだめた。
「そう悔しがるな。前向きにいこうや。あれが聖騎士だったら、もっと悲惨だぞ。ロードは聖騎士の下位互換みたいなもんだからな。聖騎士は蘇生の祈りまで覚えてしまうが、ロードは中位の回復までだ。あいつらにダメージを与えても、聖騎士ならば広範囲の回復を行って、全てを無かった事にしてしまう」
ベンゾウの言葉に、「おう、そうだな!」と答える者はその場にはいない。当たり前だ。ロードよりも厄介な魔法傀儡が、破城槌を押す一団に狙いを定めたからだ。
「おいどうする! あの傀儡、砦門の方へ向かってるぞ!」
スカールが梯子係のゴブリンの支援に行くべきか、破城槌の一団の支援に行くべきか迷っていると、ベンゾウが呼び止めた。
「一つ手がある。戦士の中でも体術が得意なスカールは、魔法傀儡の注意を引いてくれ。攻撃しようとするなよ。奴はカウンターを必ず命中させてくるからな。それからオーキン! 後方のバートラの傭兵ゴブリンたちに、サイクロップスの体をよじ登って、砦内に侵入しろと伝えてくれ」
「よしきた!」
オーキンは重たそうな下腹部を揺らしながら、暗殺専門傭兵が控えているゴブリン谷に向かって走った。走るオーキンは心の中でつぶやく。「ベンゾウがいてくれて助かった」と。
誰もが力押しを考えるグランデモニウム王国において、ベンゾウのような知性派は貴重だからだ。貴族ですら、こういった指揮をとる者はいない。
「俺一人で魔法傀儡の相手をするのか? ベンゾウ」
スカールが不安と不満の入り混じった顔で言うので、ベンゾウは安心させる為に、優しい声で答える。
「あぁ。手練れのお前が相手をすれば、他への被害が少なくて済むからな。俺は魔法傀儡をずっと観察していてわかった。奴は基本的に敵を直接殺さない。手足を折って動けなくするようにしているだけだ。恐らくマスターが甘ちゃんなんだろうな。俺たちの性質を知らない余所者なんじゃねぇかな? 怪我人を出せば、救護班が現れて、救出に手間取っている間に、前線の戦力が落ちると考えているんだろうよ。普通の戦なら、救護班を守りながら戦うらしいからな。だが俺たちは違う。仲間の死や負傷なんか気にせず、前に進む」
それでもスカールは不満げだ。
「とはいえ、俺は一人で魔法傀儡と対峙するんだから、シャーマンやドルイドに援護するよう頼むぞ。特にスタミナ回復を重点的にな。敵は無尽蔵に動くが、俺はそうじゃねぇ。あと魔法の集中砲火を受ける可能性があるから、魔法防御アップの護符があったら、貸してくれ」
「魔法は問題ない。砦から魔法が放たれた形跡がないからな。俺が思うに、奴らは如何に浪費せずに、今年の一日戦争を終わらせるか、に集中してんだ」
「ふん、相変わらず樹族は陰険だぜ。じゃあ、いっちょ魔法傀儡様と戦ってきますか」
「戦うなと言っただろ。相手をするだけだ。奴の周りでワーワー喚くだけでもいい。魔法傀儡が攻撃を仕掛けてきたら、上手く往なせよ、スカール。お前はそういうのが得意だろ?」
「へいへい、やりますよ。やりゃあいいでしょ(簡単に言ってくれるぜ)」
そう言うと、スカールはオデに借りた大弓を返そうとしたが、かのオーガはボサボサ髪を振り乱しながら、魔法傀儡のいる場所へ突進していた。
「あーもう。オデの馬鹿が。アーチャーが最前線に出るなんて前代未聞だぞ。それに弓無しでどうやって戦うつもりだ」
スカールは大きなため息をつき、大弓と大矢を持って、オデを追いかけた。
砦の上で勝手にスカウトやアーチャーに指示を出して、壁を登ってくるゴブリンの頭上に石を落とすカズンは、そろそろムダン卿から、労いの言葉を貰えるのではないかと思い、そわそわしながら、伝令が来るのを待っていた。
が、やって来たのがワンドリッター卿だったので存外に驚く。普通、武将はこんな危険な場所へ直接やって来ないはずだが、と。
「ワ、ワンドリッター閣下。危険ですので、お下がりください。敵には大矢を持った者もおります。あれは【弓矢そらし】でも防げません」
「カズンこそ、どうやって、大矢を躱すつもりでいたのだ?」
ウルグ・ワンドリッターは、全く怯えていない。どんな矢も防ぐ、何かしらのマジックアイテムでも持っているのだろう。彼の視線の先は、やはりアンドロイドのシズクだ。
「あれは素晴らしい魔傀儡だな。機工士でもないレッサー・オーガが作り、操っているというのは、ムダンの嘘だろう? 貴様がノームの知り合いを頼って、作り上げたのだ。違うか?」
そこまで言われて、カズンはワンドリッターの意図を汲み取る。そして無礼を承知で―――、卿の質問を回避する為に、逆に質問で返した。
「閣下は、あのオートマタを御所望で?」
「あぁ、欲しいな。自分だけではない。どの武将も欲しがっている。欲しがってないのは、領地から出る事のできない辺境伯と、超遠距離型の攻撃魔法が使えるコーワゴールド家ぐらいだ。彼らは毎年起こる茶番戦争に、参加しなくても良い事になっているからな」
茶番戦争。自分と同じ意見であるワンドリッター卿に、カズンは少し親近感を感じた。
「しかし、閣下。あれは一機しかない貴重品です。しかも、レッサー・オーガのモズクの指示にしか従いません」
カズンの肩に、ワンドリッターの腕が乗っかり、顔がぐっと近くなった。
「結果がどうであれ、貴様は奴隷の活躍で間違いなく、騎士に返り咲くだろう。だが、その後には残酷な試練が待ち構えている。荒れ果てた領地はどうする? 水飲み百姓しかおらぬ田舎でどう金を稼ぐのだ。いくら優秀な部下がいたところで、これはどうしようもない現実ぞ」
買収か、とカズンは心の中で呟き、すぐさまムダン卿とワンドリッター卿を秤にかけた。武闘派だが人柄も良く、人望の厚いムダン卿か、権力と金に固執し、それに心血を注ぐワンドリッター卿か。
自分の領土の君主はムダン卿であるが、果たして彼が支援をしてくれるだろうか? 真っすぐな性格ゆえ、自助努力を怠る者には厳しい。カズンは思わず、声を漏らさずにはいられなかった。
「取っ掛かりさえあれば・・・」
最初の資金さえあれば、以降は何とかできる自信はある。勿論、冒険者時代に稼いだ金はあるが、それはあくまで個人レベルでの規模。狭い領地とはいえ、百人ほどの領民を抱える主としては、心もとない金額である。
たとえなんとかなっても、良くて現状維持。一番高い可能性は、そのまま税金を領民から取る事もままならず、ムダン家に上納金を納められずに衰退し、領地を返上する未来。
「そう、何事も最初が肝心なのだ。貴族になっても領地の経営が上手くいかず、没落していった者を私は何人も見た。カズンよ、また冒険者に戻るのは辛かろう? チャンスを活かす気はないか?」
少し籠ってはいるが、芯の通る低い声は、まるで悪魔の囁きのようだった。実際、黒騎士という見た目が、禍々しい印象を与えてくる。その悪魔は更に喧噪の中、耳元で囁いた。
「何も難しく考える事はない。私は貴殿という金鉱脈に、少しばかりの投資をするだけなのだから」
「しかし結果的に、得られるもの何もないかもしれませんぞ、閣下」
「いや、貴殿ならやってくれるだろう。あの異世界人の秘密を暴くのだ。魔傀儡を自在に操る為の秘密をな。命令権を奪って私に譲渡してくれれば良い。失敗し、あのレッサー・オーガが廃人になったとしても、それはそれで良い。ムダン家の戦力を削ぐ事になるのだからな」
どう転んでも、ワンドリッターに損はないという事かと、カズンは複雑な気分になる。だが自分もこの交渉で相手のペースに飲まれる気はない。
「それでは私の貴重な奴隷が無駄になってしまいます、閣下。モズクのような逸材は、あと200年は生まれてこないでしょう」
カズンが兜の下でクククと笑っている事に、ワンドリッターは気づいた。
「フハハハ。足下を見よって。だが、嫌いではないぞ、貴殿のような若造は」
「それで、どんな支援をして頂けるのでしょうか?」
「金貨千枚枚と奴隷売買ギルドへの加入を認めてやろう。普通であれば、ギルドメンバー全員の承諾が必要だが、私にはそれ以上の強権がある」
「金貨千枚! それに奴隷売買の権利!? 我が小さな領地に、それは破格過ぎますゆえ、悪目立ちます! しかも、我が領民を奴隷として売れば、ムダン卿が黙っていないでしょう」
「何も領民を奴隷にする必要はない。最初は貴殿に、こちらで調達した奴隷を横流してやろう。それを高値で他へ売ればよい。右から左へ流すだけの簡単な仕事だ。花売りが路地裏で、花を売るより簡単な仕事だろう? 奴隷売買の一連のやりとりを理解して軌道に乗ったなら、あとは貴殿自身が上手く立ち回ればよい」
あの魔傀儡にそれだけの価値があるのは、十分に理解できるが、カズンは幾らかワンドリッターに疑念を抱いていた。裏切りや策略で有名な彼の一族を、信用すべきかどうか。
好条件を与えたにも関わらず、憂うさまを見せるカズンに、ウルグは今一度囁く。
「チャンスは一度限りだ。騎士カズン」
「それよりも閣下。ここは戦場。少々、油断し過ぎでは?」
カズンはワンドを抜くと、肩を組むウルグにその先端を向けた。
咄嗟にウルグ・ワンドリッターは飛びのく。
「貴様、チャンスをくれてやったのに、それでもムダンに忠誠を誓うというのか! 戦いのどさくさに紛れ、この誘い話を手土産に、私の首をギャンに持っていくつもりだな?!」
ウルグもワンドをホルダーから取り出そうとしたが、焦りのあまりワンドを落としてしまう。急いでメイスの柄を掴もうとしたその時。黒革の小手越しに激痛が走る。
「ぎゃあああ!!」
ただの痛みではない。即座に吐き気や眩暈が襲ってくる猛毒の一撃。ウルグの装備の中で、唯一防御力の低い手甲に、ダガーが深く突き刺さっていたのだ。
「だから言ったでしょう、閣下。ここは戦場であると」
カズンは、ワンドリッターの影に潜もうとするゴブリンに【閃光】の魔法を浴びせて影を消し、一時的な盲目状態にして、動きを止めた。そして、その脳天にメイスの一撃を与え、暗殺者のゴブリンを仕留める。
「すぐさま解毒の祈りを・・・。ですが、私の力では毒の進行を止める事しかできません。野営地に戻り、妻のスカンから上位解毒の祈りを受けて下さいませ。私も少ししてから野営地に向かいます。それからこの様子では既に、バートラのゴブリンたちが、砦に侵入している事でしょう。ですので、私が全力で野営地まで護衛致しましょうぞ。我がギルドマスター」
カズンからギルドマスターと呼ばれ、ウルグは顔を上げて笑った。
「ハッハ! 密約は成立したようだな。しかも命まで救われたとなると、これでギャンに疑われることなく、貴殿が騎士に戻れるよう推薦できる」
解毒の祈りによって、一時の健康を得たウルグは、ニヤリと笑いカズンと共に、円卓のある野営地へと走った。
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