上 下
61 / 282

少し成長したサーカ

しおりを挟む
 このパーティの燃費の悪さはなんだろうか。用意していた食材が凄い速さで減る。作った鶏の香草焼きがもうない。一人二羽ずつ食べた事になる。

 ・・・そう、前から薄々気が付いていたが、皆大食いなのだ。

 亜空間ポケットにあったチキンやら野菜やらの半分は、もうすでに彼らの胃袋に収まっている。

(サーカですら大食いを隠そうとしない)

 俺は焚火の向こうで器用にナイフとフォークを使って、骨から肉を分離する彼女をぼんやりと見ている。分離した肉を美味しそうな顔をして咀嚼している。

(もりもり食べてくれるのは良い事だ。料理人冥利に尽きるじゃないか)

 次に俺はトウスさんを見る。彼は強力な顎で、骨ごとバリバリと鶏肉を食べている。豪快だ。

 ピーターは、俺が見ると餌を取られそうになった犬みたいな顔をしたので見るのをやめた。昼間に死にかけたのだからしょうがない。治癒の祈りを受けた者は、大幅に回復する代わりに腹が減る。なので腹が減っているだろうし、そのせいで気も立ってる。

 メリィは良く煮込んだ野菜たっぷりのチキンスープを飲んで「美味しいね~」と俺に笑顔を向けている。顎からスープが滴っていたのでハンカチで拭いてあげた。

 リュウグは無表情で食べている。多分両親の事を考えているのだろう。あれは料理を味わってない顔だ。まぁ仕方ないか・・・。

「それにしても、通報してから騎士が来るのが早かったな」

 皆が夢中になって晩御飯を食べてくれるのは嬉しいが、会話がないのは寂しいので話題を振った。

「使い魔がいれば連絡を取るのは容易で早い。その後にどの騎士団がやって来るのかが問題だった。神学庁にはモティの息がかかった者が多い。その息のかかった者が根回しをして、神殿騎士や神官戦士が来ていたら、面倒くさい事になっていただろう。まぁシルビィ隊の隊員が来てくれて、何も疑う必要はなくなったがな」

「へー。サーカには使い魔がいるのか?」

「ああ。最近になって土の精霊を使い魔にした。戦闘では弱くて使えないが、土のある場所に具現化するから遠く離れていても、シルビィ様に報告ができるようになった」

「まじか。使い魔見せてくれよ」

「いいだろう」

 サーカは汚れた手を俺の渡した紙ナプキンで拭くと指を鳴らした。

 すると土から子犬ぐらいの小さなゴーレムがむくむくと現れた。

「ビキビキィ」

 オッサンみたいな声でゴーレムはそう言った。くっそ可愛くねぇわ・・・。

「どうだ、可愛いだろう?」

 土でできているので、食事中のサーカはゴーレムを触ろうとはしないが、愛おしそうに見つめている。

「え? ああ・・・。そうだな」

 よく読むラノベには、パーティに幼竜だったり小動物系のモンスターが、マスコットキャラクター的な感じでいるが、こいつはどう足掻いても無理だ。顔がないからだ。しかも声がオッサンだし。

「あ、ありがとうな。もういいぞ」

 サーカは満足そうに頷くと、ゴーレムを土に返した。

「皆も使い魔っているのか?」

「使い魔はメイジや召喚士だけだよぉ」

 サーカに物知らずだと罵られる前に、メリィが教えてくれた。

「なーんだ。じゃあ俺には使い魔は無理か。でも可愛らしくて賢い動物とかが、パーティにいたら和むかもな」

「オビオは、股間に可愛いモンスターがいるじゃん」

 飯時に下ネタぶっこんでくるなよ、ピーター。

「あれ、可愛いかなぁ? デスワーム並みにでかいで」

 リュウグが余計な事を言ったので、ピーターが絶望的な顔をして立ち上がった。

「オビオは、いつリュウグちゃんにピーーーを見せたんだよ!」

「見せてねぇし。服の上から想像して言ってんだろ」

 こないだ夜這いをしてきた時に、俺のナニを下着の上から観察してやがったのか、リュウグは。エロノームめ。あれ、エロノームってなんかエピローグと似てるな・・・。今夜あたり俺のエロいエピローグが始まるって事?

「まぁデカいなりして、モノが小さかったら恥ずかしいわな。オーガにしては普通くらいだろ」

 トウスさんも話に加わらなくていい。大人なんだから話題の方向修正をしてくれよ。

「オビオの股間についてるものの話ぃ? ふわっふわで柔らかかったよぉ?」

 メリィさんの言葉でピシリと空気が固まる。

「おびっ、おおびゅっ、どぴゅっ、おび、オビオはキリマルと戦う少し前までメリィに、へへへ変な事させてたからな!」

(どぴゅってなんだよ。動揺するとサーカはとんでもねぇ言葉を発するな・・・)

「だからあれは演技だって言ってんだろ」

「演技で咥えさせる奴がいるか!」

「めんどくせぇな! これだよ、これ! これをメリィに食べさせてたの!」

 俺は亜空間ポケットから魚肉ソーセージを出す。地球から持ってきた最後の一本だ。

「いやらしい奴め・・・。そんな張形を持ち歩いているのか!」

「張形? 張形って・・・。ああ・・・あれか・・・。馬鹿! そんなんじゃないわ! これは食べ物! たーべーもの! この場に下ネタ嫌いのタスネ子爵がいたら、俺ら全員怒られてるぞ!」

 俺は憤慨しながら貴重な最後の一本を剥いて、魚肉ソーセージを齧った。食べ物と証明するためにだ。

「それ、美味しかったよぉ」

 メリィさんが物欲しそうにして俺のソーセージを見ている。

「齧りかけだけど、一口食べる?」

「ありがとうぉ」

 メリィさんは髪を耳にかけてソーセージを齧った。鶏肉の脂で艶々になった唇が、ソーセージを吸いながら齧り取るので、ピーターが前屈みになって座った。

「美味しい!」

 ああ、ほんわかした笑顔、可愛い。

「な? 食う?」

 俺はサーカにもソーセージを向ける。

「いらん。まぁそういう事にしておいてやろう」

 何が、そういうことにしておいてやろうだよ。ったく。

「それにしても神聖国モティの誰が俺らを狙っているんだろうな・・・。盗賊団を雇ってまで俺らに差し向けるなんて、ばっかじゃなかろうか。雇い賃だけでも結構な金額になるだろうに。そこまでして対費用効果はあるのかな?」

 俺は一本足の魔法のテーブルに、ソーセージを置いて丸太で作った椅子に座る。

「どうだろうな・・・。まぁでも法王フローレスが、我らのようなどこにでもいそうなパーティなど気にする事はないだろう。彼は現人神様しか見てない気がする。なので恐らくではあるが、もう少し下位の司祭が我らを狙っているのではないかな。忙しい法王と違って、端の者にまで目を光らせる暇ぐらいはある誰かだ」

「厄介な奴らだなぁ」

「彼らが樹族国に拠点を置く、騎士修道会のように清貧を貫いていれば、私も尊敬したのだがな・・・。神聖国モティのように利権に塗れた奴らが、どんなに清い言葉を吐こうが空々しく聞こえる」

 同意だ。サーカは神自体は信じているが、人の作り出した宗教をあまり信用していないようだな。

「モティの奴らめ、いつかケジメつけさせてやっからな・・・。まぁこの話は、この辺にしてと・・・。明日は途中の村に寄ったらまた食材を買わないと。皆、滅茶苦茶飯を食うからな」

「俺らはそんなに食ってるか? まぁあれだ。オビオの料理は美味しいから、皆手が止まらねぇんだよ」

 トウスさんはいつも俺を喜ばせる。俺ってもしかしてチョロい?

「さて腹もくちくなったし、ベッドの用意するかな・・・。そういやリュウグは野宿用の寝具あるの? 確か無限鞄持ってたよな? 寝袋とか入ってる?」

「ないねん・・・。持っててんけど、朝起きて顔を洗いに川に行って、帰ってきたら盗まれてなくなっててん。だからオビオに会うまでの何日かはマントに包まって、震えながら寝てたんや」

「そっか。じゃあエアベッドでサーカと一緒に寝なよ。俺はトウスさんみたいに焚火の近くで寝るし。明日、寝袋買おう」

「え? そんな、悪いわ。騎士様の湯たんぽクマちゃんがいなくなるやん」

 おい! それ言っちゃ駄目!

「なななな、なんでその事をリュウグが知っているのだ・・・・!」

 サーカが俺の事をクマちゃんって呼ぶのは、2人きりの時だけなんだぞ!

「さぁ~。なんでやろな~」

「おおおお、オビオォ! お前が喋ったのか!」

 おわぁ! 【雷の手】を発動させるな! っていうか昼間に結構魔法を使ってたけど大丈夫か? 幼児化するんじゃないの?

「ふえぇぇ!」

 ほーらみい! 言わんこっちゃない!

「クマちゃんが一緒じゃなきゃやだ!」

 ぎょっとした顔でリュウグがサーカを見ている。

「なに? どうしたの? これが本来の騎士様なん?」

「いや、なんといえばいいのか。こういう体質というか。魔法が尽きると弱気になって、幼児化するんだ、サーカは」

「へぇ・・・。じゃあ騎士様・・・。いや、サーカちゃん。お姉ちゃんもオビオと一緒に寝てええかな?」

「駄目!」

「でもお姉ちゃん、寝袋持ってないねん。今日だけやから。な? お願い」

 リュウグは手を合わせてお願いしている。しかしサーカは口を尖らせて黙っている。

「サーカちゃん、リュウグちゃんね、ベッドを貸してあげないと寒くて、死んじゃうかもしれないよぉ? だから今日だけ一緒に寝てあげようね?」

 メリィが優しくそういうとサーカは渋々承諾した。

「今日だけだから・・・」

「メリィお姉ちゃんも一緒に寝ていい? みんなで寝たら楽しいかもしれないよ?」

 ピーターがそれを聞いてガタっと椅子を引いて立ち上がった。

「じゃあ僕も」

「ピーターはだめぇ! だってお尻触るんだもん!」

 ピーター君、サーカにおもっくそ拒否られてるし。笑える。日頃の行いって大事だな。早く俺のように紳士になれよ?

「ちぇーー! いいなぁ! オビオは・・・」

 拗ねて椅子に座ってから、なぜかピーターは俺を邪悪な顔で睨んだ。

 俺に八つ当たりすんなよ。その顔、段々面白く思えてきたよ。

「じゃあメリィはエアベッド膨らましといて。まぁ放り投げれば勝手に膨らむけど。俺は食器を洗って、片付けたりしないと駄目だから先に寝ててよ」

「は~い。サーカちゃん、川に行って歯を磨こう?」

 メリィはサーカに手を差し出した。

「うん!」

 お、メリィに心を開いたか? 手を繋いで行ってしまったぞ。

「よしよし、サーカも成長してきたな。前は俺だけに心を開いていたのに・・・。あれ? なんだろう? ちょっと寂しい・・・」

「ほな、その心の隙間、私で埋めたろか?」

 リュウグが生意気な事を言うのでからかってやる。

「埋められるのか? 寧ろ俺が埋められるだろうか? その小さな胸に顔を・・・」

 チャキっと音がしてリュウグのリップルレーザー銃が火を噴いた。幾ら発射速度が遅いとはいえ、刹那の種割れ覚醒をして、回避していなければ俺は死んでいただろう。

 そしてその夜、キャッキャウフフのハーレムを期待したベッドの上で、俺のエロいエピローグ(略してエロローグ)が始まる事はなかった。

 なぜなら女子同士が固まって、眠たくなるまでお喋りが続いたからだ・・・。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった

さくらはい
ファンタジー
 主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ―― 【不定期更新】 1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。 性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。 良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。

公国の後継者として有望視されていたが無能者と烙印を押され、追放されたが、とんでもない隠れスキルで成り上がっていく。公国に戻る?いやだね!

秋田ノ介
ファンタジー
 主人公のロスティは公国家の次男として生まれ、品行方正、学問や剣術が優秀で、非の打ち所がなく、後継者となることを有望視されていた。  『スキル無し』……それによりロスティは無能者としての烙印を押され、後継者どころか公国から追放されることとなった。ロスティはなんとかなけなしの金でスキルを買うのだが、ゴミスキルと呼ばれるものだった。何の役にも立たないスキルだったが、ロスティのとんでもない隠れスキルでゴミスキルが成長し、レアスキル級に大化けしてしまう。  ロスティは次々とスキルを替えては成長させ、より凄いスキルを手にしていき、徐々に成り上がっていく。一方、ロスティを追放した公国は衰退を始めた。成り上がったロスティを呼び戻そうとするが……絶対にお断りだ!!!! 小説家になろうにも掲載しています。  

スクールカースト最底辺の俺、勇者召喚された異世界でクラスの女子どもを見返す

九頭七尾
ファンタジー
名門校として知られる私立天蘭学園。 女子高から共学化したばかりのこの学校に、悠木勇人は「女の子にモテたい!」という不純な動機で合格する。 夢のような学園生活を思い浮かべていた……が、待っていたのは生徒会主導の「男子排除運動」。 酷い差別に耐えかねて次々と男子が辞めていき、気づけば勇人だけになっていた。 そんなある日のこと。突然、勇人は勇者として異世界に召喚されてしまう。…クラスの女子たちがそれに巻き込まれる形で。 スクールカースト最底辺だった彼の逆転劇が、異世界で始まるのだった。

異世界で婿養子は万能職でした

小狐丸
ファンタジー
 幼馴染の皐月と結婚した修二は、次男という事もあり、婿養子となる。  色々と特殊な家柄の皐月の実家を継ぐ為に、修二は努力を積み重ねる。  結婚して一人娘も生まれ、順風満帆かと思えた修二の人生に試練が訪れる。  家族の乗る車で帰宅途中、突然の地震から地割れに呑み込まれる。  呑み込まれた先は、ゲームの様な剣と魔法の存在する世界。  その世界で、強過ぎる義父と動じない義母、マイペースな妻の皐月と天真爛漫の娘の佐那。  ファンタジー世界でも婿養子は懸命に頑張る。  修二は、異世界版、大草原の小さな家を目指す。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─ これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

処理中です...