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本物のオーガ
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ブラッドまでの道のりは長いが、俺はリュウグの話に夢中で退屈はしていなかった。
「え! まじ? じゃあ材料を入れれば、料理をしてくれる機械があるの?」
「そやで。だからオビオみたいに料理する必要はないんや。なんでノームの女は料理なんてしいひん」
誰でも同じ料理を作れてしまうのは、それはそれで面白くないんだよなぁ。地球で嫌って程経験済みだわ。
「他にはどんな発明品があるの?」
「反重力で浮く飛空艇もあるで」
「すげぇ! 動力は?」
「人力や。人が自転車のペダルを漕ぐんやで」
「超変換効率太陽エネルギーによる、斥力発生装置じゃないのかよ! 逆に人力の方が難しいだろ!」
「そんなんしたら、おもろなくなるやろ! 足りないところは魔法で補うんや。一漕ぎのエネルギーを、マナの力で何万倍にも増幅してやるんやで! その方が面白い!」
全自動で料理を作る方が、面白くないだろ・・・。
「でも人力である必要はないじゃん」
「あほか! 自転車漕いで『あああ!私、今空を飛ぶエネルギーを発生させりゅぅぅ! ブヒィィ!』ってなるのがええんやないか!」
俺も料理を作ってる時はそんな感じだから、気持ちは解らんでもないが、ブヒィィ! ってなんだよ。
トウスさんがヤスリで爪を研ぎながら肩を竦めた。
「お前ら、何語喋ってんだよ・・・」
うお、しまった。リュウグとの会話に夢中になり過ぎた。他のメンバーにしてみれば専門用語を使い過ぎて、俺とリュウグの会話は理解不能だったか・・・。
まさかこの星にこれほどまで、科学の発展した種族がいるとは思わなかったからな。まぁ鉄傀儡が存在しているのだから当然か。
「ははは、ごめん。でもさ、こんなに技術力のある国が、なんで世界を征服してないのか不思議でしょうがないよ」
「ノームは良くも悪くも他国に関心がないからな。でも時々気まぐれのように他国に現れて、変な機械で支援してくれるからどの種族からも好かれている。それに神話の時代以降、ノーム国は他国を侵略した歴史がない。ノームに敵対する国はゼロなのだ」
サーカが窓の外の景色を眺めて、退屈そうにして会話に入ってきた。
「じゃあリュウグの一家は、ノームにしては珍しいんだな。ポルロンドまで旅行しにきたって事は、他国に関心があったからじゃん」
「そやな・・・。もしかしたらうちの先祖に、地走り族がおったんかもしれん」
「だったらぁ、親戚かもしれないねぇ~」
メリィがにっこりしながら、リュウグの顔を覗き込む。
すると急にリュウグはプスプスと笑い始めた。昨日の夜を思い出しているのかもしれない。
俺はリュウグがなぜ笑ったのかを、他人に追求される前に話題を変えた。
「地走り族とノームは、子供を作れるのか?」
「作れるで。でも基本的に、交配可能な種族間で生まれる子供はどちらかになる。中間はないんや」
「へ~、そうなんだ。あ、そろそろお昼だな。揺れる馬車の中だし、気軽に食べられる総菜パンでいいよな?」
「総菜パンがなんかは知らんけど、美味しかったらなんでもええで」
美味しいに決まってんだろ。俺は亜空間ポケットから丸パンを出した。
「なんだ、普通のパンじゃん」
ピーターががっかりそうな顔で鼻を穿っている。汚いな・・・。
「まぁ食ってみろって」
ドライイーストなんて販売してないから、俺が干しブドウを水につけて、発生させた酵母で作ったんだぞ。
皆、皿に山盛りのパンに手を伸ばす。
「普通のパンでも、オビオのパンは一級品だから俺は嬉しいぜ」
トウスさんはそう言ってパンを齧った。
「うぉ! 中からベーコンと潰した茹で卵の餡が出てきた! うめぇ!」
「私のは、辛くて茶色いシチューペーストのようなものだ」
サーカは辛いのに弱いのか、舌を出して手で仰いでいる。
「それはカレーっていう辛いシチューだ。苦手だったのか?」
「辛いのは苦手だが・・・。でもまた食べたくなる不思議な味だな」
気に入ってくれて良かった。辛さに苦戦するサーカ可愛い。綺麗な顔が崩れるのは、なんかグッとくるものがある。
「僕のはベーコンポテトサラダが入ってた! パンにポテトサラダなんて・・・、と思ったけど。食べるのを止められない・・・。くそ!」
ほほほ、悔しかろう? ピーター君。炭水化物と炭水化物。意外といけるんです。
「わあ、私のは甘辛いミンチと玉ねぎが入ってる。美味しいぃ!」
美味かろう、美味かろう。そのミンチは一粒一粒が柔らかくなるように圧力鍋で煮たんだ。味付けは砂糖と醤油だけ。ちょっと獣臭かったから、生姜とローリエを入れた。
「パンに具材を入れる発想が素晴らしいな。それにサンドイッチよりも食べやすい」
サーカが褒めてくれている。最近褒めてくれるようになってきたな。でもそれは俺が、サーカにとってお気に入りの大きなクマちゃんだからなんだよなぁ・・・。
パンだけだと喉が詰まるかもしれないので、俺は魔法瓶に入れておいたミルクコーヒーを渡す。
ノーム国には似た物があるのか、リュウグは魔法瓶の側面にあるタッチパネルを押して、蓋を開けてミルクコーヒーを飲んだ。皆もそれを見て真似して飲む。
「わ! なにこれ、不思議な味やな。ちょっと苦くてコクがあっていい香りがして甘くて・・・」
「珈琲な。本当はもっとミルクや砂糖を控えるんだけど、皆この方が好きみたいだし」
「あちぃ! おい! オビオ! 俺の瓶だけサラマンダーでも入れてんだろ!」
ピーターは舌を火傷して俺を恨み、邪悪な顔を見せている。
「駄目だよぉ、ピーター。そんな悪い顔してると、運命の神様に見放されるよぉ」
メリィが優しく注意すると、ピーターは嘘くさい笑顔をした。
「これでいいかな? メリィさん」
「いいよぉ」
いいんかい! どう見ても不良品を売りつけようとする、訪問販売員みたいな怪しい顔してんだろ。
「この瓶、いいな・・・」
トウスさんが魔法瓶をまじまじ見ている。やらんぞ。もう予備はあと一本しかないからな。
「ふたを閉めておけば、一日経っても熱いままだぞ。いいだろ」
「すげぇな!」
やらんからな。
急に馬車が急停車して、珈琲が零れそうになったが、ピーター以外は無事だった。
「あちぃ!」
熱い珈琲のついた顔を外の空気で冷やそうと思ったのか、ピーターは客車のドアを開けて飛び出していった。
が、すぐに怯えて馬車に戻ってきた。
「どした?」
「はわわわ、外に盗賊団がいる!」
「なんだと?」
サーカが外に出て様子を確かめようとドアに手をかけたが、御者の地走り族の男が慌てて客車に入ってきて、頭を抱えた。
「てててて、鉄騎士と盗賊団が戦っている!」
「はぁ? ここは樹族国だぞ! なぜツィガル帝国の鉄騎士なんかがいるんだ!」
「知りませんよぉ! 騎士様どうします?」
「盗賊も鉄騎士も我らに気付いてないようだな。暫くは様子見だ。お前たち、急いで食事を済ませろ」
サーカがそう言うと、皆は慌ててパンを頬張った。もっと味わって食べて欲しかったな・・・。
「あの鉄騎士とかいうの、滅茶苦茶つえぇな。無双状態じゃないか」
俺は外に出ると、たった一人で奮戦する鉄騎士の動きを見て興奮した。
無双ゲームでも見ているかのようだ。千切っては投げ、投げては千切って。まぁ実際は千切ってなんかいないけどな。バトルハンマーで敵の手足の骨を粉砕している。
盗賊の始末が終わったら、鉄騎士の敵意は俺たちに向くかもしれないのだが、恐怖よりも鉄騎士の凄さが勝っていた。俺は大きな騎士から目が離せなくなっていた。
とにかく、スタミナが無限なのかってほど鉄騎士は動きを止めない。大盾で盗賊たちを跳ね飛ばし、力の強い象人のパンチを、バトルハンマーで迎え撃って拳を叩き潰す。囲まれている状態で乱戦のようになっているにもかかわらず、的確に敵の攻撃を、盾や防具の硬い部分で防ぐ。
そして何より俺や皆が驚いたのが、戦いながら魔法を発動して、周囲の敵を凍らせてしまった事だ。
「ば、バカな・・・。鉄騎士なのに魔法が使えるだと・・・? しかも練度が桁違いだ・・・。メイジ顔負けの威力だな・・・。化け物だ!」
「ほんまや・・・。オーガやのに魔法が得意やなんて、おかしいやろ!」
リュウグは頭に被っているコーンハットから、眼鏡を取り出して装着し、鉄騎士を観察している。コーンハットが無限鞄なのと、眼鏡が望遠レンズがのように伸びた事に、俺は驚いたけどな。
「鉄騎士はオーガなのか・・・。フルアーマーにフルフェイスだと、中身が誰だかわかんねぇな」
「当たり前やろ。鉄騎士団は殆どオーガや。しかもエリート種ばっかりやで。普通のオーガよりも強い」
青い鎧の鉄騎士は、見ている間に百人ほどの盗賊団の三分の二を倒してしまった。
「オビオとは大違いだな」
ピーターは青ざめた顔をしながらも、俺をからかっている。
「そのエリート様がこっちに気付いたら、俺たちは終わりだな? 鉄騎士って敵なんだろ?」
「ひぃ!」
ピーターは恐怖のあまりメリィの尻を揉もうとしたが、俺はその手を掴んで揉ませなかった。
「その癖を直せよ。なんで恐怖すると、女子の尻を揉もうとするんだ?」
「あああ、あれだよ! ほら! 死に際の生殖本能ってやつ!」
「いつも生殖本能剥き出しだろうが」
ピーターが悪さをしないように抱っこすると、俺はまた鉄騎士を観察した。
エリートオーガってでけぇな。身長3メートルぐらいあるだろ。しかもあのガタイの良さ・・・。鍛えていない俺がツクシだとすると、向こうはクマだ。
あの鉄傀儡はもう少しで盗賊団を全滅させるぞ・・・。果たして俺たちのような中堅クラスのパーティに、打つ手はあるだろうか・・・。
「え! まじ? じゃあ材料を入れれば、料理をしてくれる機械があるの?」
「そやで。だからオビオみたいに料理する必要はないんや。なんでノームの女は料理なんてしいひん」
誰でも同じ料理を作れてしまうのは、それはそれで面白くないんだよなぁ。地球で嫌って程経験済みだわ。
「他にはどんな発明品があるの?」
「反重力で浮く飛空艇もあるで」
「すげぇ! 動力は?」
「人力や。人が自転車のペダルを漕ぐんやで」
「超変換効率太陽エネルギーによる、斥力発生装置じゃないのかよ! 逆に人力の方が難しいだろ!」
「そんなんしたら、おもろなくなるやろ! 足りないところは魔法で補うんや。一漕ぎのエネルギーを、マナの力で何万倍にも増幅してやるんやで! その方が面白い!」
全自動で料理を作る方が、面白くないだろ・・・。
「でも人力である必要はないじゃん」
「あほか! 自転車漕いで『あああ!私、今空を飛ぶエネルギーを発生させりゅぅぅ! ブヒィィ!』ってなるのがええんやないか!」
俺も料理を作ってる時はそんな感じだから、気持ちは解らんでもないが、ブヒィィ! ってなんだよ。
トウスさんがヤスリで爪を研ぎながら肩を竦めた。
「お前ら、何語喋ってんだよ・・・」
うお、しまった。リュウグとの会話に夢中になり過ぎた。他のメンバーにしてみれば専門用語を使い過ぎて、俺とリュウグの会話は理解不能だったか・・・。
まさかこの星にこれほどまで、科学の発展した種族がいるとは思わなかったからな。まぁ鉄傀儡が存在しているのだから当然か。
「ははは、ごめん。でもさ、こんなに技術力のある国が、なんで世界を征服してないのか不思議でしょうがないよ」
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サーカが窓の外の景色を眺めて、退屈そうにして会話に入ってきた。
「じゃあリュウグの一家は、ノームにしては珍しいんだな。ポルロンドまで旅行しにきたって事は、他国に関心があったからじゃん」
「そやな・・・。もしかしたらうちの先祖に、地走り族がおったんかもしれん」
「だったらぁ、親戚かもしれないねぇ~」
メリィがにっこりしながら、リュウグの顔を覗き込む。
すると急にリュウグはプスプスと笑い始めた。昨日の夜を思い出しているのかもしれない。
俺はリュウグがなぜ笑ったのかを、他人に追求される前に話題を変えた。
「地走り族とノームは、子供を作れるのか?」
「作れるで。でも基本的に、交配可能な種族間で生まれる子供はどちらかになる。中間はないんや」
「へ~、そうなんだ。あ、そろそろお昼だな。揺れる馬車の中だし、気軽に食べられる総菜パンでいいよな?」
「総菜パンがなんかは知らんけど、美味しかったらなんでもええで」
美味しいに決まってんだろ。俺は亜空間ポケットから丸パンを出した。
「なんだ、普通のパンじゃん」
ピーターががっかりそうな顔で鼻を穿っている。汚いな・・・。
「まぁ食ってみろって」
ドライイーストなんて販売してないから、俺が干しブドウを水につけて、発生させた酵母で作ったんだぞ。
皆、皿に山盛りのパンに手を伸ばす。
「普通のパンでも、オビオのパンは一級品だから俺は嬉しいぜ」
トウスさんはそう言ってパンを齧った。
「うぉ! 中からベーコンと潰した茹で卵の餡が出てきた! うめぇ!」
「私のは、辛くて茶色いシチューペーストのようなものだ」
サーカは辛いのに弱いのか、舌を出して手で仰いでいる。
「それはカレーっていう辛いシチューだ。苦手だったのか?」
「辛いのは苦手だが・・・。でもまた食べたくなる不思議な味だな」
気に入ってくれて良かった。辛さに苦戦するサーカ可愛い。綺麗な顔が崩れるのは、なんかグッとくるものがある。
「僕のはベーコンポテトサラダが入ってた! パンにポテトサラダなんて・・・、と思ったけど。食べるのを止められない・・・。くそ!」
ほほほ、悔しかろう? ピーター君。炭水化物と炭水化物。意外といけるんです。
「わあ、私のは甘辛いミンチと玉ねぎが入ってる。美味しいぃ!」
美味かろう、美味かろう。そのミンチは一粒一粒が柔らかくなるように圧力鍋で煮たんだ。味付けは砂糖と醤油だけ。ちょっと獣臭かったから、生姜とローリエを入れた。
「パンに具材を入れる発想が素晴らしいな。それにサンドイッチよりも食べやすい」
サーカが褒めてくれている。最近褒めてくれるようになってきたな。でもそれは俺が、サーカにとってお気に入りの大きなクマちゃんだからなんだよなぁ・・・。
パンだけだと喉が詰まるかもしれないので、俺は魔法瓶に入れておいたミルクコーヒーを渡す。
ノーム国には似た物があるのか、リュウグは魔法瓶の側面にあるタッチパネルを押して、蓋を開けてミルクコーヒーを飲んだ。皆もそれを見て真似して飲む。
「わ! なにこれ、不思議な味やな。ちょっと苦くてコクがあっていい香りがして甘くて・・・」
「珈琲な。本当はもっとミルクや砂糖を控えるんだけど、皆この方が好きみたいだし」
「あちぃ! おい! オビオ! 俺の瓶だけサラマンダーでも入れてんだろ!」
ピーターは舌を火傷して俺を恨み、邪悪な顔を見せている。
「駄目だよぉ、ピーター。そんな悪い顔してると、運命の神様に見放されるよぉ」
メリィが優しく注意すると、ピーターは嘘くさい笑顔をした。
「これでいいかな? メリィさん」
「いいよぉ」
いいんかい! どう見ても不良品を売りつけようとする、訪問販売員みたいな怪しい顔してんだろ。
「この瓶、いいな・・・」
トウスさんが魔法瓶をまじまじ見ている。やらんぞ。もう予備はあと一本しかないからな。
「ふたを閉めておけば、一日経っても熱いままだぞ。いいだろ」
「すげぇな!」
やらんからな。
急に馬車が急停車して、珈琲が零れそうになったが、ピーター以外は無事だった。
「あちぃ!」
熱い珈琲のついた顔を外の空気で冷やそうと思ったのか、ピーターは客車のドアを開けて飛び出していった。
が、すぐに怯えて馬車に戻ってきた。
「どした?」
「はわわわ、外に盗賊団がいる!」
「なんだと?」
サーカが外に出て様子を確かめようとドアに手をかけたが、御者の地走り族の男が慌てて客車に入ってきて、頭を抱えた。
「てててて、鉄騎士と盗賊団が戦っている!」
「はぁ? ここは樹族国だぞ! なぜツィガル帝国の鉄騎士なんかがいるんだ!」
「知りませんよぉ! 騎士様どうします?」
「盗賊も鉄騎士も我らに気付いてないようだな。暫くは様子見だ。お前たち、急いで食事を済ませろ」
サーカがそう言うと、皆は慌ててパンを頬張った。もっと味わって食べて欲しかったな・・・。
「あの鉄騎士とかいうの、滅茶苦茶つえぇな。無双状態じゃないか」
俺は外に出ると、たった一人で奮戦する鉄騎士の動きを見て興奮した。
無双ゲームでも見ているかのようだ。千切っては投げ、投げては千切って。まぁ実際は千切ってなんかいないけどな。バトルハンマーで敵の手足の骨を粉砕している。
盗賊の始末が終わったら、鉄騎士の敵意は俺たちに向くかもしれないのだが、恐怖よりも鉄騎士の凄さが勝っていた。俺は大きな騎士から目が離せなくなっていた。
とにかく、スタミナが無限なのかってほど鉄騎士は動きを止めない。大盾で盗賊たちを跳ね飛ばし、力の強い象人のパンチを、バトルハンマーで迎え撃って拳を叩き潰す。囲まれている状態で乱戦のようになっているにもかかわらず、的確に敵の攻撃を、盾や防具の硬い部分で防ぐ。
そして何より俺や皆が驚いたのが、戦いながら魔法を発動して、周囲の敵を凍らせてしまった事だ。
「ば、バカな・・・。鉄騎士なのに魔法が使えるだと・・・? しかも練度が桁違いだ・・・。メイジ顔負けの威力だな・・・。化け物だ!」
「ほんまや・・・。オーガやのに魔法が得意やなんて、おかしいやろ!」
リュウグは頭に被っているコーンハットから、眼鏡を取り出して装着し、鉄騎士を観察している。コーンハットが無限鞄なのと、眼鏡が望遠レンズがのように伸びた事に、俺は驚いたけどな。
「鉄騎士はオーガなのか・・・。フルアーマーにフルフェイスだと、中身が誰だかわかんねぇな」
「当たり前やろ。鉄騎士団は殆どオーガや。しかもエリート種ばっかりやで。普通のオーガよりも強い」
青い鎧の鉄騎士は、見ている間に百人ほどの盗賊団の三分の二を倒してしまった。
「オビオとは大違いだな」
ピーターは青ざめた顔をしながらも、俺をからかっている。
「そのエリート様がこっちに気付いたら、俺たちは終わりだな? 鉄騎士って敵なんだろ?」
「ひぃ!」
ピーターは恐怖のあまりメリィの尻を揉もうとしたが、俺はその手を掴んで揉ませなかった。
「その癖を直せよ。なんで恐怖すると、女子の尻を揉もうとするんだ?」
「あああ、あれだよ! ほら! 死に際の生殖本能ってやつ!」
「いつも生殖本能剥き出しだろうが」
ピーターが悪さをしないように抱っこすると、俺はまた鉄騎士を観察した。
エリートオーガってでけぇな。身長3メートルぐらいあるだろ。しかもあのガタイの良さ・・・。鍛えていない俺がツクシだとすると、向こうはクマだ。
あの鉄傀儡はもう少しで盗賊団を全滅させるぞ・・・。果たして俺たちのような中堅クラスのパーティに、打つ手はあるだろうか・・・。
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