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カルト教団と修道騎士 7
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広い集会所を走る間、キリマルはトウスさんと戦いながらも隙を見て、サーカを攻撃していた。
「そら!」
キリマルはパーティの中でも、剣が得意なトウスさんのフェイントを織り交ぜた攻撃をヒラヒラと躱し、素早い動きでサーカを狙う。
しかしサーカも盾で弾いて、詠唱が不必要なコモンマジック【魔法の矢】を撃つ。
至近距離から即時発動した魔法だから、躱せるはずがないと思ったが、キリマルは後方に素早くバックステップして、自分に追いつく魔法の矢を刀で叩き落した。
「どうなっているのだ、あの刀は!」
サーカが悔しそうな顔してから自分の盾を見る。妖刀アマノジャクの攻撃を防いだ盾は切り傷が付き、あと数回で壊れてしまうだろう。いつも無表情なサーカの顔に一筋の汗が見えた。
「くそ! あの野郎、サーカを狙ってるとは思えないな。後ろで着替えてるメリィさんを狙っているんだ」
サーカもそれに気が付いているのだと思う。時折後ろを気にしながら【物理防壁】を唱えた。バリアが自分とメリィさんを包む。
「そんなもの妖刀の前では無意味だぜ? おっと!」
剣と爪と時折、牙で連撃を仕掛けるトウスさんの攻撃を、やつは簡単に避ける。
トウスさんは力も素早さも体力もある。スピード型とパワー型を足した、理想の戦士と言っていい。
キリマルはいつまでも攻撃を回避し続けられないぞ。
「よし、なんとか間に合った」
俺が戦いの繰り広げられている場所に到着すると、サーカが片眉を上げてこちらを見た。
「なにをしに来た? オビオ。普段の雑魚戦と違って、お前の出番はないぞ」
「それはどうかな。それにしてキリマルは素早いな・・・。あの素早さを食い止めるには【捕縛】とか、お前の得意な土魔法の【蔦縛り】か?」
「そんなものはとっくにやっている。周りの騎士もな。だが奴はトウスを盾にするような動きをしたり、どういう仕組みかはしらんが魔法を無効化したりと、隙を見せない」
話をしている間にも、菜の花騎士団が接近戦に持ち込もうと、じわじわと戦う二人を取り囲むようにして近づいている。が、近づいた途端、数人があっさりと斬り殺されてしまった。
「くそ! 何人かやられたぞ!」
「馬鹿が、後ろに下がれ! 菜の花騎士団! 聞いているか! 副団長!」
サーカがそう叫ぶも副団長は無視している。
「あれ、でも騎士減ってなくね?」
「・・・ん? あぁ、そういう事か。あいつら身代わり人形を持っているのだな。じゃあ今、斬られた奴は死んでいない。代わりに懐に入れた藁人形が壊れたはずだ」
何それ。メッチャ便利なアイテムじゃん。俺も今度買っとかないと。
「でも次はないんじゃ・・・」
「うむ、高価なマジックアイテムだからな。菜の花騎士は、王国騎士団所属とはいえ、精々買えて各々一個だ」
そのせいか・・・。騎士の動きに戸惑いが感じられる。
「もういい! 下がれ、役立たず!」
サーカの怒声が飛ぶと、副団長も接近戦は通じないと理解したのか、合図を出して下がり始めた。
その崩れた輪の隙間から、キリマルが真っ直ぐに滑るような速さで、またサーカを狙って走って来る。
いや違う、今度こそメリィを狙っているんだ!
サーカや俺の目の前で、狂気の殺人鬼は軌道を変え、まだもたもたと装備を装着している彼女に斬りかかった。
あっという間の出来事で俺もサーカも対応できない。電光石火とはまさにこの事なんだろう。だが【物理防壁】が少しは時間を稼ぐはず。その間に・・・。
「無駄ァ!」
【物理防壁】を切り裂いて、キリマルは突きの姿勢のままメリィに突っ込んでいく。
「さっきから獅子人の傷が回復してんだが、お前の奇跡のせいか? うっとおしいぜ、尼さんよ!」
違うな、それは俺の【再生】の魔法のお陰だ。
「ああーっと! キリマルがメリィを襲うーー! しかしそれを、サーカが盾で防いだーー!」
しかしサーカはそうはしていない。
もしかしてヤンスさんの歌の効果は、実現可能な範囲でしか効果がないのか?
サーカとキリマルは、距離が少し離れている。寧ろキリマルとの距離は俺の方が近い。俺に守らせるべきだったんだ。
キリマルがメリィさんに迫る一秒ほどの間で、俺の中の何かが弾けた。お! 種割れか? まぁこれは俺の勝手なイメージなんだが、アニメの見過ぎだな・・・。
足が素早く動いて、斜め後ろでメリィさんに襲い掛かるキリマルの背中に、八極拳の鉄山靠のような体当たりを食らわせる。
「なに?」
大男である俺からの体当たりを受けて、ザトウムシのようにヒョロヒョロと手足の長いキリマルは、吹き飛んで地面に這いつくばった。吹き飛びはしたが刀はしっかりと握っている。
くそ、刀を落としてくれれば良かったのに。
すぐに立ち上がって顔に血管を浮かせて怒る細身の男は、俺に向けて刀を上段に構えてた。クソこえぇ。
「お前は最初か最後に殺すと決めてたんだがよぉ、気が変わった。今殺してやるぜぇ。クハハハハ!」
上段の構えのまま床を滑るようにして、殺人鬼は一気に間を詰めてくる。
「あぁーっと! キリ・・・」
―――ビュッ!
―――ゴン!
「ぎゃっ!」
実況をしようとしたヤンスさんの口に、マグカップが当たった。
キリマルが予め床から拾っていたものを投げて、実況の邪魔をしたのだ。
痛みで口を押さえるヤンスさんは、これで暫くは実況ができないぞ・・・。あのチートのようなサポートがなくなるんだ・・・。いよいよ、やべぇ・・・。
「ヒャァッハーーー!」
脳天唐竹割りのような攻撃に、俺は小盾を向けてタイミングよく弾こうとした。
良いタイミングだ! これなら防げる!
「なーんてな」
キリマルは急に構えを変えて俺の腹を突いた。スッと妖刀は俺の腹に吸い込まれて突き抜けていく。
「うわぁぁぁ! いってぇ!!」
だが、これも想定内。と強がっているが気を失いそうな程痛い。が、耐えられないこともない。
「うぉぉぉ!」
俺はキリマルをそのまま抱きしめた。すると指輪の力で情報が流れ込んでくる。
種族、宇宙の理に囚われし者。なんだそりゃ? 人間だろそこは。いや、人間じゃねぇ、キリマルは悪魔だ! 力12・・・。俺と同じか。意外と力がないんだな。じゃあトウスさんと渡り合えていたのは妖刀のお陰か。妖刀に右手が触れていれば、アマノジャクの力も視れたのに、残念だ。
「オビオ!」
サーカが俺を心配して見ている。涙目だ・・・。意外だな。そこまで俺を心配してくれてるのか、嬉しい。
キリマルが現状を楽しむような声で喚いた。
「さぁどうする、騎士さん達よぉ。今が絶好のチャンスだぜ? 魔法を撃ったらどうだ! だが、この状況で攻撃魔法なんて撃てばよぉ! 俺を抱きしめているオビオまで魔法が及ぶぜ! そしたら大事な仲間を殺す事になるなぁ? ピンク頭のお嬢ちゃんよ! ヒハハ!」
鎧を着終えたメリィさんが祈りを開始した。俺を癒すつもりか。でもお腹に刀が刺さった状態で意味あるのかなぁ、それ。
「回復は止した方が良いと思うがな。ここまでオビオに近いと、俺まで回復する可能性があるぜぇ? いいのか? 獅子人が俺に与えたダメージまで回復しちまうぞ。そうなったら俺は、この気色の悪い抱擁を逃れて真っ先にお前を斬るぜぇ、尼さんよぉ。ハハ!」
それを聞いたメリィさんは、迷った末に祈りを止めてしまった。正解だ。こんな奴、回復なんかしなくていい。
こら! キリマルの糞野郎! 大口開けて笑いながら、刀をグリグリすな!
力が抜けそうになる。それにしても俺はよく耐えてるな・・・。ピーター・・・、まだか・・・。あいつ逃げたんじゃないだろうな・・・。駄目だ・・・。もう力が入らない・・・。
俺は決死の覚悟で行った抱擁を解くと、キリマルに縋る様な形で床に膝を突いた。
「オビオォ!」
サーカが泣きながら近づいてこようとしている。駄目だ・・・、来るな・・・、殺されるぞ。くそ、視界が朧だ。キリマルめ、俺の肝臓グリグリしやがって・・・、普通なら激痛でショック死だぞ。
「あーあ! 嬢ちゃんがワンドを構えるから・・・。オビオは死んでしまったぜ? いやまだ死んでないか! 中々しぶといな! ヒャハハハハ! んぐ!」
やっとか・・・。ピーター!
キリマルは、ピーターがパチンコで飛ばした例のクッキーを口に咥えている。
「モグモグ・・・。なんだこれは・・・。美味くて思わず食っちまったわ。クッキーか? ありがとよ、ちっこいの! 苦し紛れの攻撃だったんだろうが、俺に栄養を与えただけだぜ? ヒヒヒ! さぁそろそろとどめを刺してやるよ、オビオ。肝臓を刺されると、痛くて辛れぇもんなぁ?」
トウスさんの吠える声が聞こえる。キリマルに襲い掛かったんだ。あの吠え方は相当怒ってるぞ。
「おお、怖い声だな! どのみちオビオはあと少しで死ぬ。致命傷だ。祈りも間に合わないだろうよ! 残念だったなぁ! キヒヒヒ!」
消えそうな意識の中で、トウスさんの吠える声と剣戟の音、そしてサーカが啜り泣きをする声が聞こえた・・・。
「そら!」
キリマルはパーティの中でも、剣が得意なトウスさんのフェイントを織り交ぜた攻撃をヒラヒラと躱し、素早い動きでサーカを狙う。
しかしサーカも盾で弾いて、詠唱が不必要なコモンマジック【魔法の矢】を撃つ。
至近距離から即時発動した魔法だから、躱せるはずがないと思ったが、キリマルは後方に素早くバックステップして、自分に追いつく魔法の矢を刀で叩き落した。
「どうなっているのだ、あの刀は!」
サーカが悔しそうな顔してから自分の盾を見る。妖刀アマノジャクの攻撃を防いだ盾は切り傷が付き、あと数回で壊れてしまうだろう。いつも無表情なサーカの顔に一筋の汗が見えた。
「くそ! あの野郎、サーカを狙ってるとは思えないな。後ろで着替えてるメリィさんを狙っているんだ」
サーカもそれに気が付いているのだと思う。時折後ろを気にしながら【物理防壁】を唱えた。バリアが自分とメリィさんを包む。
「そんなもの妖刀の前では無意味だぜ? おっと!」
剣と爪と時折、牙で連撃を仕掛けるトウスさんの攻撃を、やつは簡単に避ける。
トウスさんは力も素早さも体力もある。スピード型とパワー型を足した、理想の戦士と言っていい。
キリマルはいつまでも攻撃を回避し続けられないぞ。
「よし、なんとか間に合った」
俺が戦いの繰り広げられている場所に到着すると、サーカが片眉を上げてこちらを見た。
「なにをしに来た? オビオ。普段の雑魚戦と違って、お前の出番はないぞ」
「それはどうかな。それにしてキリマルは素早いな・・・。あの素早さを食い止めるには【捕縛】とか、お前の得意な土魔法の【蔦縛り】か?」
「そんなものはとっくにやっている。周りの騎士もな。だが奴はトウスを盾にするような動きをしたり、どういう仕組みかはしらんが魔法を無効化したりと、隙を見せない」
話をしている間にも、菜の花騎士団が接近戦に持ち込もうと、じわじわと戦う二人を取り囲むようにして近づいている。が、近づいた途端、数人があっさりと斬り殺されてしまった。
「くそ! 何人かやられたぞ!」
「馬鹿が、後ろに下がれ! 菜の花騎士団! 聞いているか! 副団長!」
サーカがそう叫ぶも副団長は無視している。
「あれ、でも騎士減ってなくね?」
「・・・ん? あぁ、そういう事か。あいつら身代わり人形を持っているのだな。じゃあ今、斬られた奴は死んでいない。代わりに懐に入れた藁人形が壊れたはずだ」
何それ。メッチャ便利なアイテムじゃん。俺も今度買っとかないと。
「でも次はないんじゃ・・・」
「うむ、高価なマジックアイテムだからな。菜の花騎士は、王国騎士団所属とはいえ、精々買えて各々一個だ」
そのせいか・・・。騎士の動きに戸惑いが感じられる。
「もういい! 下がれ、役立たず!」
サーカの怒声が飛ぶと、副団長も接近戦は通じないと理解したのか、合図を出して下がり始めた。
その崩れた輪の隙間から、キリマルが真っ直ぐに滑るような速さで、またサーカを狙って走って来る。
いや違う、今度こそメリィを狙っているんだ!
サーカや俺の目の前で、狂気の殺人鬼は軌道を変え、まだもたもたと装備を装着している彼女に斬りかかった。
あっという間の出来事で俺もサーカも対応できない。電光石火とはまさにこの事なんだろう。だが【物理防壁】が少しは時間を稼ぐはず。その間に・・・。
「無駄ァ!」
【物理防壁】を切り裂いて、キリマルは突きの姿勢のままメリィに突っ込んでいく。
「さっきから獅子人の傷が回復してんだが、お前の奇跡のせいか? うっとおしいぜ、尼さんよ!」
違うな、それは俺の【再生】の魔法のお陰だ。
「ああーっと! キリマルがメリィを襲うーー! しかしそれを、サーカが盾で防いだーー!」
しかしサーカはそうはしていない。
もしかしてヤンスさんの歌の効果は、実現可能な範囲でしか効果がないのか?
サーカとキリマルは、距離が少し離れている。寧ろキリマルとの距離は俺の方が近い。俺に守らせるべきだったんだ。
キリマルがメリィさんに迫る一秒ほどの間で、俺の中の何かが弾けた。お! 種割れか? まぁこれは俺の勝手なイメージなんだが、アニメの見過ぎだな・・・。
足が素早く動いて、斜め後ろでメリィさんに襲い掛かるキリマルの背中に、八極拳の鉄山靠のような体当たりを食らわせる。
「なに?」
大男である俺からの体当たりを受けて、ザトウムシのようにヒョロヒョロと手足の長いキリマルは、吹き飛んで地面に這いつくばった。吹き飛びはしたが刀はしっかりと握っている。
くそ、刀を落としてくれれば良かったのに。
すぐに立ち上がって顔に血管を浮かせて怒る細身の男は、俺に向けて刀を上段に構えてた。クソこえぇ。
「お前は最初か最後に殺すと決めてたんだがよぉ、気が変わった。今殺してやるぜぇ。クハハハハ!」
上段の構えのまま床を滑るようにして、殺人鬼は一気に間を詰めてくる。
「あぁーっと! キリ・・・」
―――ビュッ!
―――ゴン!
「ぎゃっ!」
実況をしようとしたヤンスさんの口に、マグカップが当たった。
キリマルが予め床から拾っていたものを投げて、実況の邪魔をしたのだ。
痛みで口を押さえるヤンスさんは、これで暫くは実況ができないぞ・・・。あのチートのようなサポートがなくなるんだ・・・。いよいよ、やべぇ・・・。
「ヒャァッハーーー!」
脳天唐竹割りのような攻撃に、俺は小盾を向けてタイミングよく弾こうとした。
良いタイミングだ! これなら防げる!
「なーんてな」
キリマルは急に構えを変えて俺の腹を突いた。スッと妖刀は俺の腹に吸い込まれて突き抜けていく。
「うわぁぁぁ! いってぇ!!」
だが、これも想定内。と強がっているが気を失いそうな程痛い。が、耐えられないこともない。
「うぉぉぉ!」
俺はキリマルをそのまま抱きしめた。すると指輪の力で情報が流れ込んでくる。
種族、宇宙の理に囚われし者。なんだそりゃ? 人間だろそこは。いや、人間じゃねぇ、キリマルは悪魔だ! 力12・・・。俺と同じか。意外と力がないんだな。じゃあトウスさんと渡り合えていたのは妖刀のお陰か。妖刀に右手が触れていれば、アマノジャクの力も視れたのに、残念だ。
「オビオ!」
サーカが俺を心配して見ている。涙目だ・・・。意外だな。そこまで俺を心配してくれてるのか、嬉しい。
キリマルが現状を楽しむような声で喚いた。
「さぁどうする、騎士さん達よぉ。今が絶好のチャンスだぜ? 魔法を撃ったらどうだ! だが、この状況で攻撃魔法なんて撃てばよぉ! 俺を抱きしめているオビオまで魔法が及ぶぜ! そしたら大事な仲間を殺す事になるなぁ? ピンク頭のお嬢ちゃんよ! ヒハハ!」
鎧を着終えたメリィさんが祈りを開始した。俺を癒すつもりか。でもお腹に刀が刺さった状態で意味あるのかなぁ、それ。
「回復は止した方が良いと思うがな。ここまでオビオに近いと、俺まで回復する可能性があるぜぇ? いいのか? 獅子人が俺に与えたダメージまで回復しちまうぞ。そうなったら俺は、この気色の悪い抱擁を逃れて真っ先にお前を斬るぜぇ、尼さんよぉ。ハハ!」
それを聞いたメリィさんは、迷った末に祈りを止めてしまった。正解だ。こんな奴、回復なんかしなくていい。
こら! キリマルの糞野郎! 大口開けて笑いながら、刀をグリグリすな!
力が抜けそうになる。それにしても俺はよく耐えてるな・・・。ピーター・・・、まだか・・・。あいつ逃げたんじゃないだろうな・・・。駄目だ・・・。もう力が入らない・・・。
俺は決死の覚悟で行った抱擁を解くと、キリマルに縋る様な形で床に膝を突いた。
「オビオォ!」
サーカが泣きながら近づいてこようとしている。駄目だ・・・、来るな・・・、殺されるぞ。くそ、視界が朧だ。キリマルめ、俺の肝臓グリグリしやがって・・・、普通なら激痛でショック死だぞ。
「あーあ! 嬢ちゃんがワンドを構えるから・・・。オビオは死んでしまったぜ? いやまだ死んでないか! 中々しぶといな! ヒャハハハハ! んぐ!」
やっとか・・・。ピーター!
キリマルは、ピーターがパチンコで飛ばした例のクッキーを口に咥えている。
「モグモグ・・・。なんだこれは・・・。美味くて思わず食っちまったわ。クッキーか? ありがとよ、ちっこいの! 苦し紛れの攻撃だったんだろうが、俺に栄養を与えただけだぜ? ヒヒヒ! さぁそろそろとどめを刺してやるよ、オビオ。肝臓を刺されると、痛くて辛れぇもんなぁ?」
トウスさんの吠える声が聞こえる。キリマルに襲い掛かったんだ。あの吠え方は相当怒ってるぞ。
「おお、怖い声だな! どのみちオビオはあと少しで死ぬ。致命傷だ。祈りも間に合わないだろうよ! 残念だったなぁ! キヒヒヒ!」
消えそうな意識の中で、トウスさんの吠える声と剣戟の音、そしてサーカが啜り泣きをする声が聞こえた・・・。
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