料理をしていたらいつの間にか歩くマジックアイテムになっていた

藤岡 フジオ

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任務完了

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 俺はシャーマンに気付かれないように静かに背中に出した亜空間ポケットの入り口に手を入れて中をまさぐる。

 あった! 手に当たるのは・・・。トマト・・・ではなく、俺が地下牢で手に入れたトマトの見た目をした激辛唐辛子だ!

 俺は欲情し上気したゴブリンシャーマンの顔に、その柔らかい唐辛子を容赦なく塗りつけた。特に目を狙って!

 ゴブリンは一瞬何が起きたか理解できなかったのか、きょとんと前を見た後に目を押さえて叫んだ。

「ギャギャーーーー!」

 うわぁ。痛そう。

 子鬼はのた打ち回りながら俺の体から離れると、魔法のロープが消えて体が自由になった。

 でもサーカはまだ魔法のロープが絡んでいる。人によって魔法の効果時間が違うんだな。確か地下牢でゲルシさんが、俺は魔法耐性が高いとか言ってたし。

 さて散々、俺の大事なぞうさんをサポートスーツの上から弄り倒してくれたゴブリンシャーマンさんよ、覚悟は良いか?

 俺は鉄のお玉をバットのように構えた。そして41世紀の地球人が大好きな20世紀代のアニメのセリフを真似する。

「鉄の力を借りてぇぇ! 今必殺の! 食らえ! お玉の一撃!」

 目から涙を大量に流して起き上がったゴブリンシャーマンの後頭部にお玉をフルスイングすると、ゴーンと音がして小鬼は土下座するように気絶した。

「やったぞ!」

 気絶したゴブリンシャーマンを急いで料理用のタコ糸で縛って拘束する。タコ糸はロープに比べて細くて、心許無いので何重にもグルグル巻きにする。きつく縛った糸の間から顔の肉がはみ出していて不気味だ。

「なんだか縛られたハムみたいになったが、まぁいいか」

 シャーマンを小脇に抱えると、丁度【捕縛】の魔法が解けたサーカを立たせる。

「自分のイチモツは立たないくせに、私を立たせてくれるとは皮肉だな」

 こんな時まで何言ってんだこいつ。この場にサヴェリフェ子爵がいたらシモネタァ! つって叩かれてるぞ。

「さっきまで激しく怯えて泣き喚いてた人の嫌味なんて、全く心に刺さりませーん」

「くっ!」

 へへ。悔しがってら。ざまぁない。

「ほら、塔の入り口に向かうぞ。今ならゴブリン達は鉄傀儡と他の騎士に気を取られてる!」

 後ろからサーカの足音がついて来るのを確認しつつ、俺はゴブリンシャーマンを抱えて一気に塔の外に出た。

 外に出ると鉄傀儡があらかたのゴブリンを倒していた。鉄傀儡は俺よりほんの少し背が高く、見た目は愚鈍そうに見えるがちょこまかと動き回るゴブリン達を確実に叩いて気絶させている。

 傭兵達は傷ついてもフランちゃんが何度でも傷を癒すので、ホブゴブリン達は徐々に押されて次々と地面に這いつくばっていった。

 それでもゴブリンやホブゴブリン達の闘志は消えない。少数になっても逃げようとはしなかった。というか、この異世界に彼らの逃げ場所なんてない。

 でも「彼らだって生き延びようと必死なのかも・・・」という心配は必要ないように思える。ゴブリン達の表情から察するに、自分が死ぬ事よりも相手を打ちのめして殺す事に喜びを感じているように見えるからである。

 とにかく相手の士気をくじかなくては、戦いが収まりそうにない。

「しずまれぃ! ゴブリンどもぉ!」

 俺は敵味方が少しの間睨み合いになったところでボンレスハムみたいになったシャーマンを掲げて、ゴブリン達に見せた。印籠を見せる格さんの気分だ。

「お前たちのリーダーは! これこの通り捕らえたぁ! 大人しく投降しろ!」

 一応大げさに芝居じみた演技で言ってみたものの、多分効果はないだろうな。ゴブリン達は戦いが好きみたいだし。

 が―――。

「ギキャ!?」

 おぉ? ざわついているな。やった! ゴブリン達は武器を捨てている! 効果は抜群だった! どういう事だ? ゴブリンの社会体制がどうなっているのかは知らないが、これ以上犠牲者が増えないのはありがたい!

「おぃ! 料理人如きが! やったじゃないか! やっぱりそのシャーマンが女王だったんだ!」

 近くにいた騎士が戦いが終わる喜びで尻を叩く。

「女王? もしかして蟻とか蜂と似たような社会構造になっているのか?」

「ああ、霧の向こう側のゴブリンはそうだ。こっちのゴブリンはそんな事はないが」

 って事はこのシャーマンがここにいるゴブリン達の母って事もあり得るな・・・。俺もゴブリンの父親の一人になるかもしれなかったってわけだ。・・・うぉ! 寒気がした!

「よし、各自ゴブリンを捕縛しろ!」

 エリムス隊長の命令で騎士達が降参したゴブリン達を魔法で捕らえていく。ボンレスハムのシャーマンは近くにいた騎士が連れて行った。

「なんで皆、戦闘中に【捕縛】の魔法を活用しなかったんだ?」

 俺は魔法が尽きて、ボーっと突っ立っているサーカに訊ねた。

「勿論、魔法で捕らえたゴブリンも多い。でも戦闘中は気が張っていて警戒している分、魔法をレジストされやすいのだ。相手を定めて投げかける魔法は基本的に中距離までだ。素早いゴブリンならばレジストすると、一気にスペルキャスターの懐まで飛び込んでくる可能性がある。我々は戦士に守られながら魔法を放つ、メイジではないからな。なんだって自分でしなければいけない。魔法を撃って、身を守って、反撃して・・・。うっ・・・」

 ふむふむ、樹族の騎士ってのは魔法剣士みたいなもんか・・・。おっと! サーカが気を失った。

 まぁゴブリン相手に奮闘していたし当たり前か。弱気になる前は体力の限界とか気力の限界を無視して戦っていたように見えたし、相当無理をしていたのだろう。

 俺は崩れ落ちるサーカを抱きかかえて、お姫様抱っこした。寝息を立てているサーカの整った顔は、少し可愛く思えた。

(口さえ開かなければ可愛いのになぁ・・・)

「サーカと共に行動するのは大変ではなかったか? オビオ君」

 うっとりしながらサーカの寝顔を見ていたら急に後ろから声がしたので、俺は体を震わせて驚きつつも振り返った。

 そこには指示を終えたエリムス隊長がそこにいた。

 さっきまで鬼の形相で次々とホブゴブリン達を倒していたサーカの兄は、腹違いの妹の寝顔を見て優しい顔をしたように思えた。

「いえ? 寧ろピンチを救ってもらいましたが」

「ほう? その・・・、サーカは途中で泣き喚いたりしていなかったかね?」

「え? あ、はい。突然パニックになっていました」

 エリムス隊長の顔が困惑と心配が入り混じった複雑な表情を見せている。そしてサーカの髪を撫でると個人的な話をするぞという雰囲気で俺を見た。

「こんな事を今、君に話すのは変かもしれないが聞いてくれ」

 やはり感性特化型地球人の俺は勘が良いな。でもこのドタバタとした現状で言うのはどうかな? 今しか話すチャンスがないのだろうか?

「サーカは、我が父が田舎の下級貴族の女と浮気して出来た子だ。サーカの母親は、夫人の一人にしてくれるという父の言葉を信じて、貰ったペンダントを握りしめていつまでも迎えを待ったそうだ。しかし迎えはついぞ来ず、とうとう精神を患ってしまった・・・。サーカは心を患った母親の面倒を見ながらも、周囲からは父なし子という烙印を押され、祖父母から恥と思われて疎外されてきた。それで彼女は耐えきれなくなって、故郷を飛び出して私を頼ってきたのだ」

 そっか、それでサーカは性格がねじ曲がってしまったのか・・・。やべぇ泣きそう。

「サーカはジブリット家の紋章の入ったペンダントを持って、身一つで首都アルケディアまで来たのだが・・・。勿論、名家が得体の知れない田舎貴族の娘をジブリット家は迎え入れる事はなく、彼女を門前払いにした。そして次に彼女は私を頼って紫陽花騎士団の門を叩いたのだ。が、当時の私は操られて、国の英雄でもあったオオガ・ヒジリ殿を傷つけてしまった。当然の如く父に勘当されてしまった。一度は冒険者に身落としたが、私の事情を知ったヒジリ殿の計らいで、王や父の誤解は解けた。が、やはりジブリット家に戻る事は許されていない。今、私は再び紫陽花騎士団の団長には戻れたものの、余裕のある境遇とは言い難い。見ての通り紫陽花騎士団に元々いたベテランの騎士達は、他の団に編入され、我が団にいるのは、若くて練度の低い見習い上がりの騎士ばかりだ。組織としての規模も小さく、私は団長兼隊長なのだ」

 おいおい・・・。基本能力も高く、相手を一瞬で灰にする事の出来る電撃グローブをはめた、パワードスーツの地球人をどうやって倒せたんだよ・・・。余程油断でもしていないと倒せないぞ。倒せたって事は大神聖は相当慢心してたんだろうな。エリートの驕りってやつか? ハハッ!

 ・・・というか、それでも超人を倒したなんて・・・。この隊長すげぇな・・・。

「なので私はジブリット家とはもう関わりがないのだ。しかし彼女は私の言葉を信じていない。ジブリット家の者になるための唯一の手掛かりだと思って、私に必死になって媚び、関わろうとしてくる。ジブリット家で門前払いされて以降、彼女には私しか頼れる者がおらんのだ。しかし・・・何の力もない私に縋ってくる彼女を見ているのは辛くてな・・・。私が出来た事といえば、彼女を騎士団に入団させ、騎士として名を上げるチャンスを与えた事だけだ。サーカは能力自体は高い。これまでも戦場でそれなりの武功を上げてきた。・・・が、王の目に届くような活躍はない。何故ならば、サーカは騎士として致命的な欠点があるからなのだ。魔法を使い切ってしまうと、途端に弱気になって何も出来なくなる。魔法依存症とでも言おうか・・・」

「魔法を使って敵を蹴散らし、やっとたどり着いたボス格の手前で、魔法が尽きて弱気になり、手柄を横取りされてしまうのですね? だからこれといった成果を出せないわけですか・・・」

「そういう事だ。魔法の使いどころを見極めよとは言ってはいるのだが、戦場で出し惜しみをしていると死んでしまうのでな。そうも言ってられん。我々は主に霧の向こう側から来る強力な魔物を退治し、賊の類を装う他国の略奪団を追い払い、王族を狙う暗殺団とも戦う。しかし国滅級の吸魔鬼、強力な悪魔、果ては魔王を退治したオオガヒジリの活躍に比べれば、我らの働きなど取るに足らんものだ。全ての栄光をあの男が奪ってしまうのだ。なのでサーカのような路傍の石が如し騎士に、光が差さすことはない」

「で、俺に何を頼むのです?」

「フフッ。察しが良いな。話が早くて助かる。君はこの任務の成功で、王の片腕である大貴族のウォール家の庇護下に置かれると聞いた。シルビィ様の下、奴隷ではなく、闇側種族の移民として扱われるのだ。これは破格の待遇と言ってもいい。まぁシルビィ様は、オオガヒジリと親しかったのでその影響を受けてオーガには優しいのであろう。更には、君の誠実で義理堅い性質を見抜いていたのかもしれない」

「そんな・・・。俺はただの料理人ですよ?」

「あの方は人を見る目はある。そこで君に頼みたいのだ。サーカを君の供として連れて行ってくれないか?」

「え?」

 連れて行くってどういう事だ?

「恐らく君にはシルビィ様からの監視が付く。いくら保証したとはいえ、名門貴族であるウォール家の名を汚すような行為をされては困るだろうからな」

「その監視役に、サーカを推薦するという事ですか?」

「そうだ」

「でもそれじゃあ、サーカは出世の道を断たれるのではないでしょうか? 俺なんかと一緒に旅なんかしても武功なんて上げられませんよ? というか、エリムス様のやろうとしている事は、サーカの厄介払いじゃないですか!」

 妹思いなところがあったエリムス隊長のこの願いは矛盾がある。もしかしたら何か考えがあっての事かもしれないけど・・・。

 思いつめたような顔をして、隊長が言葉を詰まらせながら口を開いた。

「君は・・・。君は星のオーガなのだろう?」

 洞窟の中で迷った蝶が、岩の隙間から漏れる月光に向かって飛ぶような、心細い顔で、隊長が言った”星のオーガ“が俺には何なのか解らない。

「星のオーガ?」

「君たちの言葉で何と言ったかな・・・。チキュウ・・・。そう、君は地球人。君は地球人だと思ったのだがね」

 俺は驚いたが、よくよく考えればこの人は大神聖と接点がある。大神聖が、彼に地球の存在を知らせていてもおかしくはない。

「どうしてわかったんです?」

「まぁ雰囲気やらでな。君が醸し出す不思議な雰囲気とでもいおうか。それはヒジリ殿と同じく星のオーガのものだ。星のオーガは、関わった者に幸運をもたらすと言われている。サヴェリフェ子爵がそうだったように、貧民を貴族にしてしまうほどの幸運。だから・・・妹を連れて行って欲しい。これは団長としての命令ではない。個人的な頼みだ。どうか妹を連れて行ってやってくれないか?」

 俺がサーカに幸運をもたらすかどうかは解らない。そんな力、俺にあるわけない。

 でも傲慢そうで人に好かれるタイプには見えないエリムス隊長が、頭を下げて頼んでいる。周りに部下の目があるのにだ。彼は妹を思って悩みに悩んだ末、決断したんだ。断れないよ・・・。

 スッと息を吸うと俺は決心する。

「わかりました。貴方の部下の視線もありますし、どうぞ頭をお上げください。もしサーカが監視役に選ばれたなら、俺が責任をもって面倒を見ます。面倒を見ると言っても料理人なんで、ご飯を食べさせてあげる事しかできませんけど・・・」

「すまないな・・・。私にはサーカの心細さが解るのだ。これまで何不自由なく生き、傲慢さと不遜な態度で下々の者に嫌われ、挙句の果て私は落ちぶれた。落ちぶれた時の人々の冷たさに、私は驚き、憤慨し、悔し涙を流したものだ。まぁ身から出た錆なのだがね・・・。なので親族から疎まれ、誰からの支援も受けられずに、ただ一人辛い人生を歩む妹の気持ちが、私には痛いほど解る。寧ろ妹は私より不幸かもしれない。私は落ちぶれた時に、今の妻の支えがあったからな」

 俺が星のオーガだからって、サーカが幸せになる保証なんてない。

 それでも俺に託したくなるほど紫陽花騎士団に未来はないのだろう。いやあるかもしれないが、騎士を育ててベテランにするまでに時間がかかる。その中でずば抜けて能力の高いサーカは、段々と均されて、埋もれてしまうかもしれない。だったら、ということか。

「・・・時間があればもう少し君と話をしていたかったのだが・・・。これを受け取ってくれ」

 そう言ってエリムス隊長は、俺にお金の入った小袋をくれた。

「これは?」

「今任務の君への報酬は身分を保証される、というだけで、現金が支払われる事はない。だから、これを路銀の足しにでもしてくれ」

「え! いいんですか? でもエリムス様にもそれほど余裕があるようには・・・」

 俺は出会った当初から打ち直しをしていない鎧や兜を見て、そう判断した。

「フハハ! 言ってくれる! 私の事はなんとでもなる。気にしなくていい」

 下手に遠慮するのも失礼か。

 俺は深々と頭を下げる。

「では有難く頂戴いたします」

 やった! お金をゲットした! これで食材を買う事ができる!

「急用で私は一足先に城に戻らねばならん。部下と傭兵達に勝利の晩餐をよろしく頼む。皆、君の料理を楽しみにしているだろうからな。では私は行く」

「あの! エリムス様! できれば俺の事、大神聖には内緒にしてくれませんか?」

「なにやら事情があるのだな? 解った。約束しよう」

 エリムス隊長は馬に跨ると、部下数人を連れてすぐに視界から消えていなくなった。

 ひと段落終えて緊張から解放されたせいか、俺の頭に色々な考えがふと浮かんでくる。

(もし俺の置かれている状況が、惑星ヒジリを模したゲームの中ではなく、本当の惑星ヒジリだった場合、大神聖に見つかるのは不味い。故意ではないにしろ、俺はこの星の主の許可なく入星している。移民星法では、俺の状況がどうであれ、入星した時点で罰を受ける事になっているからな。しかしそうなると一つ疑問が浮かぶ。もしここが本当の世界ならば、惑星ヒジリの軌道上で待機している監視船に、俺はとうに見つかっているはずだ。入星してすぐに警告をされていてもおかしくはない。しかしそれがない。という事はここは現実世界の可能性は低い。だが念には念を。何らかの理由で、俺は監視船の目をかい潜っているのかもしれないし・・・)

 俺は何となく足元のエゴマによく似た葉を千切って見つめてから一口齧ってみた。

 微かな苦み、少しオイリーでゴマのような風味。でも紫蘇の香りもする。エゴマと紫蘇のハイブリッドのような味だ。

(とにかく、俺は大神聖か宇宙船カプリコンに見つかるまで、この星の食材を出来る限り味見したいんだ。こんな貴重な経験は一度逃すと次は絶対ないからな。そしてこの星の住人に料理を作って食べさせて、美味いと言わせる。地球人以外に美味しいと言わせた初の料理人という自慢ができるしな。さて、この星での目的は決まった。もう一度整理するか。この世界が現実ならば、自然な流れで入星した事がバレるまで、俺はこの星にいてサーカと旅をしながら料理の研究をする。もしここがゲーム世界の中ならばゲームクリアをして、俺をここに送ったマッドサイエンティスト兄弟に文句を言う)

 色々と決心したらゴブリンに刺された足の傷が痛みだした。ナノマシンの活動が弱っているのかな? 止血はしてくれたものの傷の治りが遅い・・・。いてて、また傷口が開いた。

「あら、オビオ。太ももから血が出ているわぁ。今治してあげるわね」

 おお、我らが天使フランちゃん! 跪いて俺の太腿に手をかざして祈ってくれてる!

「すげぇ・・・。傷がどんどんと塞がっていく・・・。と同時に猛烈にお腹が空いてきた!」

 これは新陳代謝を活発にして傷を治している証拠だ。つまり傷は治るが、体力の消耗が激しい。

「ごめんなさいね。いつもは甘い干し果物を治癒した相手の口に放り込むのだけど、今は切らしているの」

「じゃあ、ちょっと早いけど夕飯の支度を始めますか」

「そうしてくれると嬉しいわぁ。私の癒しのせいで、お腹を空かせている人が沢山いるから」

 俺は気絶しているサーカの面倒をフランちゃんに頼んで、調理機器を亜空間ポケットから出し、その場で食事の準備を始めた。

 既にショウガと酒の入ったお湯で茹でて、臭みと灰汁を抜いてある臓物とスジ肉を、大きな圧力鍋で煮込む事にした。味付けは醤油と味噌と砂糖とみりんと酒とショウガと刻み唐辛子だ。

 野菜をたっぷり入れた味噌汁も作る。

 地球から持ってきたお米も大盤振る舞いだ。貴族に猪肉のホロホロ煮を出した時に喜んでもらえたし、多分和食は皆に気に入ってもらえると思う。

「あ、お姉ちゃん!」

 フランちゃんが姉の帰還に気が付いた。子爵は特に傷を負った様子もなく、ただ疲れたといった感じで、自分の肩を揉んでいる。

「ふ~。塔の裏側もゴブリンが沢山いて大変だったわ・・・。まぁゴブリンを操って、同士討ちにさせたから楽勝だったけど。でも傭兵の何人かが怪我しちゃってさ。フラン、悪いけど後で癒してあげて」

「了解」

「ご苦労様でした、タスネ様」

 俺は失礼かもと思いつつも、自前のテーブルの上で野菜を切りながら子爵に声を掛けた。

「あら? 晩御飯にしては少し時間が早い気がするけど、何を作っているの?」

「内臓とスジ肉の煮込みと、野菜の味噌汁・・・。じゃない、大豆ペーストのスープと炊いたお米、デザートにアケビのゼリーを作ろうと思います」

「鬼イノシシのお肉は、もうないの?」

「ええ、まさか傭兵達があんなにモリモリ食べるとは思ってなかったので・・・」

「まぁ傭兵さんたちは最前線で戦ってくれてるから、お腹の減り方も人一倍なんだよ。騎士達は臓物料理を食べるかなぁ? 臭みが凄いでしょ?」

「その点もバッチリ抜かりはありませんよ!」

「そう。じゃあ楽しみにしているわね!」

 そう言って子爵はエリムス隊長を探しに行ったが、騎士の報告を受けて彼がいない事を知ってまた戻ってきた。

「エリムス様はいないのね」

「なんだか、急用があるとか言ってましたよ」

「ああ、きっと例の件ね。やだなー。私も駆り出されるんだろうなぁ・・・。戦争に」

「戦争?」

「あ! ううん、何でもない。何か手伝おうか?」

「子爵様に何かさせたら、俺は打ち首になるのでは?」

「ならないわよ。子爵っていっても領地もないし、お給金貰ってるしで、名前だけよ」

「じゃあ、お疲れのところ申し訳ありませんが頼みます。アケビの果肉の裏ごししてもらっていいですか? 種が多いから難しいとは思いますけど・・・」




「食前酒うめぇ~~!! こんな爽やかで喉に染み渡るライスワイン飲んだ事ねぇ! もっと飲みてぇぞ!」

 取って置きの日本酒なんで、グラス半分の量で我慢してください。これでも大盤振る舞いしたほうなんだぞ!

「内臓肉の料理って聞いてガッカリしたけど・・・、なんだこれ! 美味いな!」

 犬人が垂れた耳を上げて喜んでくれている。

「正直、俺達は臓物料理を毎日食ってるからな。飽き飽きしていたがこれは別格だ! 甘辛くてコクがあって柔らかい!」

 筋肉粒々の獅子人が一気に平らげて、ペロリと口の周りを舐めた。

「ホカホカのご飯がまた美味いな! 濃い味の料理を食べた後にご飯を口に放り込むと、丁度いい味になるんだわ!」

 地走り族のレンジャーが正解の食べ方を見つける。

「大豆のペーストが入ったスープもうめぇ! これなら野菜嫌いな俺でも幾らでも食えるわ!」

 猫人さん、野菜も肉もバランスよく食べててくださいね。

 普段はならず者でもやってんじゃないかって見た目の獣人達が、俺の料理をガツガツと美味しそうに食べてくれている。ほんと料理人としてはこの”絶賛褒められタイム“の間は、脳汁が溢れだすほど嬉しい。逆に不評だった時は死にたくなるけど。

「げぇ・・・。臓物料理だと?」

 来たよ・・・。サーカさんが。明日まで寝てりゃあいいのに。そんなに臓物料理を嫌がるなよ、食料となってくれた鬼イノシシに失礼だろ。

「もう平気なのか?」

「ふん、お前に心配される程、私はやわではないわ」

 か~~。憎たらしい。もうずっと寝ててくれないかな。寝てると可愛いし。

「まさか臓物料理を、騎士達に出すわけじゃないだろうな?」

 そのまさかですよ。

「食材が無い中でやり繰りしてるんだから、騎士様達にも食べてもらうに決まってるだろ」

 米だって本当は俺の私物なんだから、皆に食わせる義理なんてないんだぞ? でも皆の笑顔が見たいが為に全部使ったんだ。感謝してくれ。

「私は米と、その野菜スープだけでいい」

 な、なんだとぉ~~! 俺のメインディッシュを食べないだとぉ! ぐぬぬぬ!

 俺の悔しがる顔を見てサーカが鼻で笑う。

「フン! 見ろ、他の騎士達もお椀に盛ったものの誰も手を付けていない。誰が臭い臓物料理なんて食うんだ。我々を獣人なんかと一緒にするな!」

 ちょ! 傭兵達が殺意を持ってサーカさんを見てますよぉ!

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「あぁ? 俺たちの事、馬鹿にしてんのか? 騎士様! 俺たちはよぉ。毎日こういうの食って生きてんだ。そりゃあお金がたんまりあれば、血の滴る赤身や霜降り肉を食いたいがよぉ。誰かさん達に搾取されてっから、食えねぇんですわぁな」

 ほーら言わんこっちゃない! 隻眼のライオン丸みたいなのが激おこプンプン丸(死語)じゃないですか!

「おい! サーカ! あのライオンみたいなのを怒らせたぞ! 謝っておけよ」

「はぁ? あれはトラ人だぞ。お前こそ今の発言が奴の耳に入ったらブチ切れられるぞ」

「えっ! そうなの?」

「なんだぁ? オーガのあんちゃんまで俺を馬鹿にするのか? 俺はトラ人だ!」

 おわぁ! 聞こえてたのか! トラ人が憤慨して詰めよってきた。

「ひぇ! 馬鹿になんてしてません! ごめんなさい!」

 本当にトラのような咆哮を上げるので、俺はビビッて両手を合わせて即謝った。

「ええぃ! 屁垂れオーガめ! 聞け! 傭兵長トライン! 私たちは下級騎士でも貴族だ! 高貴な存在である我らが、お前ら貧民と同じ料理なんて食えるわけなかろう!」

「なにぃ!」

 サーカ・・・。なんか弁解するのかと思ったら、逆に火に油注いでるじゃないか! ひぇぇ!

「何度でも言うぞ? 我らはお前ら獣人とは生まれも育ちも違う。お前たち獣人は、樹族の神が土くれから作った下等種。下等種は臭い肉を食って当然なのだ。それともなにか? その下等種が私たち騎士の口に、無理やり臓物を突っ込むとでもいうのか?」

 おいおい! 何でそんなに獣人を見下すんだよ! って騎士達もワンドを構えだしたぞ! 獣人たちも武器を握ったぁ! 一触即発みたいになってるよ!

 この場を収められるのはタスネ子爵とフランちゃんだけだ。あの二人どこいった?こんな時に限っていねぇ。

「なに殺気立ってんのよぉ、アンタたち。なんか立てたいなら、私の裸を見た時だけにしときなさい!(ビシィ!)」

 お! モッコスお姉が下品な事を言いながら間に入ってきた。

「モグモグ」

 なんと! 樹族のモッコスが騎士達に見せつけるようにして、俺のモツ煮込み料理を食べたではないか!

「騎士様達は、こんな美味しい料理を食べないなんてバカよぉ」

「ふん、お前のような捨て子の樹族なら、そういった料理も平気だろうな」

 サーカ、それは言い過ぎィ! ってかモッコスさんは捨て子だったのか。樹族って殆ど貴族みたいだから、モッコスさんが何で平民の獣人と一緒にいるのか不思議に思ってたけど。

「あら! 美味しい料理に捨て子も貴族も獣人も関係ないわよぉ。それに美味しい料理を作ってくれているのは、本来なら私たちの敵種族であるオーガよ? お昼ご飯の時もあんた達、美味しい美味しいって言って、食べていたじゃないの!」

「ぐぅ・・・」

 言葉に瞬発力はあるが、すぐに言いくるめられてしまうサーカの目の前で、モッコスさんはお椀からコラーゲンたっぷりのスジ肉をスプーンですくって、サーカの目の前でプルプル震わせている。

「見てよぉこれ~。あの硬くて食べられないスジ肉がぁ、こぉ~んなにプルップルになるのよぉ? ぷーるぷるぷるぷるぷる」

「ごくり」

 今、喉の音ではなく口でごくりと言いましたね? サーカさん。

「そ、そんなに言うなら私が騎士を代表して食べてやらんでもない。毒見だな、毒見」

 えぇ? 騎士の中でもボッチぽいサーカさんが、騎士を代表するんですか? 異論続出しませんか? 毒見ってなんです? 酷くないですか?

 サーカは口を開けてモッコスが肉を運んでくれるのを待っている。それを見たモッコスお姉ぇが、金髪の癖毛を左右に振ってから、スプーンの上の肉を自分の口に運んだ。

「モグモグ。駄目よぉダメダメ! 女と間接キッスなんて私は嫌ッ! せめてオビオみたいな可愛い系男子の口移しじゃないと! ほら! さっさと自分でよそってきなさいよ。早くしないと獣人たちが次々とおかわりしてるわよぉ?」

「な、なんだと! オビオォ! 早くよそってこい!」

 あんた、自分で要らんと言っておきながらよそってこいだと? あー、もう仕方ねぇな。

 列にきちんと並ぶ獣人達にブーイングを受けながらも、俺は大鍋を挟んだ反対側からもつの煮込みをお椀によそった。

「ほらよ。ちゃんと臭みとか抜いてあるから、心配なく食えるよ」

「よかろう。ではしかと味見をしてやる」

 サーカはトロトロのスジ肉をスプーンで掬って暫く見つめた後、意を決したように口へと運んだ。

 ピンクの前髪の下で、金色の目が大きく見開かれた。

「ん?? んんん! んまーーい!」

 それ以上の言葉はなかったが、不愛想な女騎士の顔に笑みがこぼれるのを見て、騎士達がひそひそと言う。

「おい、あの性格のねじ曲がったサーカが笑顔を見せたぞ。余程美味いに違いない。よし! 俺もこの臓物料理を食ってみるぞ!」

 既にお椀によそってはいたものの、食べるかどうか決めあぐねていた騎士達は一斉に肉を口に運んだ。

「こ、これは・・・。臭みもなにもない。微かな生姜とニンニクの香りと甘辛い味! 一口食べると炊いた米がすすむ! たまらん!」

 それって口内調味といって口の中で味を調節しているんだぜ? 日本地区の人間は遥か昔から食事の時もバランスや調和を無意識に考えているんだ。

 だから41世紀の地球では日本地区に住む者は一番バランスの取れた思考をすると言われている。それは口内調味のお陰かもよ。冗談だけど。

「むぅ・・・、悔しいが美味しい。あのオーガの料理を食べられるのも今日限りか。貧乏貴族でなければ、彼を雇っていたのだがな」

 名も知らぬ騎士さん、嬉しい事言ってくれるねぇ。

「私ならギリギリ奴隷として買い取れるかもしれん。どうかね? うちに来ないかね?」

「おい! 抜け駆けはずるいぞ! だったら私の下へ!」

 きゃはー! 俺を巡って取り合いが始まったよ! 複数の男子に同時に告白された乙女とは、こういう気分なのだろうか?

「馬鹿言ってないで、さっさとご飯すませちゃってよ」

「子爵様!」

 お、タスネ・サヴェリフェ子爵。モッコスお姉が場を収めてから来た・・・。まぁ子爵も忙しい身だし、今頃来たのも偶然だろうけど、争いが収まるまで隠れてたんじゃないだろうな。

「そもそも、オビオはシルビィ様の保護下に置かれているのだから、奴隷として買えるわけないでしょ」

「そ、そうでした・・・」

 騎士達は「名門ウォール家・・・」と呟くと静かになった。

 俺の取り合いで鼻息の荒くなっていた騎士達を沈めてから、子爵は騎士と傭兵に向かって通達する。

「皆さん、ご苦労様! 傭兵さん達は各自自由に解散してよろし。忘れる事はないと思うけど、忘れずにアルケディアの傭兵ギルドでお給金を貰ってくださいね。騎士は塔の内部状況と、残党の確認の為、明日まで野営地で待機。オビオは明日の朝、私達と共にウォール家に報告に行きます」

「はい」

 いよいよ俺は自由の身となる。

 有名貴族の後ろ盾があれば、今後は冒険者に追われる事も無くなるだろう。チッチのくれた赤いバンダナの効果が現実となるのだ。これで堂々と食材を買う事ができる。

 なんだかオラァ、ワクワクしてっぞ!
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