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キリマルのボヤキ
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最悪、永遠に転移して時間を巻き戻せばいいと思うかもしれないが、それは逃げだぜ。
逃げイコール、負けな。
俺は勝負事で負けるのが兎にも角にも嫌いなんだわ。負けると腸が煮えくり返り、ずっとその事ばかりを考えるようになる。
Qから逃げる気はねぇ。
が、俺が奴を倒す事はできねぇ。これは間違いなくな。
奴は死なねぇ存在だからよ。そもそも元から生や死を超越した存在。
俺が出来る事は、オビオを慕って集まった人々に世界の終わりと恐怖と・・・悪魔王の存在を心に刻み込む事だ。
自分で言っておいてなんだが、なんだ? 悪魔王って。海賊王みたいなもんか? 訳のわからん敵を作ってまで、この無能集団のクソどもを偏執病(パラノイア)に追い込まなければならねぇ。
嫌な奴が来たという顔をされても、俺は脅迫スキルを発動させて子羊の群れに喚く。
「半年後に世界の終わりが来る。悪魔王Q様がこの世を消しにくるのだ~。グロロ~。今度は時間の巻き戻しは無しだ、キャミキャミー!」
悪魔の歪んだ声で時間の巻き戻しがどうとか言われても、奴らはキョトンとするだけだ。
だが、俺が恐怖を撒き散らしているって事は理解しているし、その都度(学校の先生に告げ口に行く学級委員長のように)こいつらは色男料理人に告げ口をしに行く。
するといつもオビオがやってきて喧嘩になる。
いい加減にしろ、デタラメを言うな、もう一度俺と勝負しろ、と。
しかし俺はそんなオビオを適当にあしらって笑うだけだった。
(俺ぁタダでコイツラのために魔物を狩って食料にし、養ってるわけじゃあねぇぞ)
「大丈夫だ、みんな!」
俺の脅迫の後に、カリスマとなったオビオは必ず皆を安心させようと根拠のない説得をするが、終末思想は人々の脳裏から拭いさる事はできない。
なぜならこの集団の大勢が、時を戻す前に東の大陸の東端で世界の終わりを見ているからだ。
あれが何かしらの自然現象というには、あまりに異様だった。早い宵闇にしては闇に雲や霞がない。
もし皆が悪魔の目を持っていたならば、水平線の先の海の中に、黒い平面の壁があることに気が付いただろう。
闇まで海が存在していながら、突然“無の壁”にぶつかって消えてしまっているのだ。
魔法の【遠視】で見た者もいたのか、無が迫っているという話は、この集団の根幹で揺るぎねぇ。
一つおかしなことに、ビャクヤの時間巻き戻しは、なぜかサーカがやったのではないかという話になっている。
ビャクヤが大魔法使いなのは皆知っているが、俺という悪魔を使い魔にしている為、悪の魔法使いだと思われているようだ。
姫と呼ばれてちやほやされるサーカは、まんざらでもなさそうに見える。
世界の終わりを一時退けたとして感謝されても、それを否定もしねぇ。うむ、と頷いて手柄を横取りし、白目半笑いをしている。きめぇ。
どの道、あの高慢ちきビッチに現状を説明したところで理解はできねぇだろう。オビオというクマちゃんを最期の日まで抱きしめてりゃあいいんだ。
何が悔しいかって言うと、我が愛しい子孫ビャクヤが、黒のリフレクトマントを着ているせいか黒ローブのメイジだと思われていることだ。
あいつは白ローブを着ていてもおかしくはないほどの善人だが、やたらとシルクハットと仮面、ブーツとマントの姿に拘る。
まぁ仮面とマントは先祖代々引き継ぐ重要なマジックアイテムだから(その話はナンベル・ウィンの作った嘘話のような気はするが・・・)ともかく、ローブを着ねぇのはおかしいだろうが。
「なんでお前はいつもローブを着ねぇんだ?」
俺はついに尋ねた。これまでただの露出狂だと思ってたから気にはしてなかったのだが。
「ふぇッ? 言ってませんでしたかッ? 非効率的だからですッ!」
「へぇ。でもなんで装備しない選択肢がローブなんだ?」
「んんん、ローブは装備キャパシティを多く奪うからですッ! ならばローブを脱いで限界ギリギリまで細々とした装備でッ! 魔法効果を高めた方が良いかとッ! 物理防御はリフレクトマントで補えますのでッ!」
ビャクヤの装備に指輪とか腕輪が多いのはそういうことか。
「なるほどな。格好良さよりも実用性を選ぶ、みたいなものか。まさかそのビキニパンツもマジックアイテムなのか?」
俺は白い幾何学模様と青い肌の下腹部で目立たない、黒いビキニパンツを指差した。
「勿論ッ! スタミナを高めます!」
「じゃあ脱ぐとリンネは不満だろうな。クハハ!」
「ええ、なのでいつも穿いたまま横からチンを出して・・・。って何をッ! 言わせるのかッ! あぁ、リンネに会いたいんごッ!」
下らねぇ話をして気を紛らわしているが、俺の決めた期限までには、この集団が恐怖に震えて妄想に陥るぐらいになってもらわねぇと困る。
そうしないと頭の悪い俺の唯一の作戦が水泡に帰すからな。
どんなに頭を絞ろうが、最善策の汁、一滴すら零れ落ちてこねぇ。
西の大陸の西端までこのペースだと半年はかかるな。その間にオビオとサーカのカリスマで集団は増えるだろう。あの二人は必要だ。
道中、集団を脅し過ぎず、しかしながら心の底に恐怖を刻み続ける。中々難しい仕事だぜ、これは。
次はねぇと言いつつも、西の端からまだニムゲイン島に大転移するからまた半年、猶予が出来るのだがな。
ニムゲイン島に着いてもまだまだやることは多い。必要な絶望や恐怖の為にオビオとサーカを殺す事も考慮しておくか。
逃げイコール、負けな。
俺は勝負事で負けるのが兎にも角にも嫌いなんだわ。負けると腸が煮えくり返り、ずっとその事ばかりを考えるようになる。
Qから逃げる気はねぇ。
が、俺が奴を倒す事はできねぇ。これは間違いなくな。
奴は死なねぇ存在だからよ。そもそも元から生や死を超越した存在。
俺が出来る事は、オビオを慕って集まった人々に世界の終わりと恐怖と・・・悪魔王の存在を心に刻み込む事だ。
自分で言っておいてなんだが、なんだ? 悪魔王って。海賊王みたいなもんか? 訳のわからん敵を作ってまで、この無能集団のクソどもを偏執病(パラノイア)に追い込まなければならねぇ。
嫌な奴が来たという顔をされても、俺は脅迫スキルを発動させて子羊の群れに喚く。
「半年後に世界の終わりが来る。悪魔王Q様がこの世を消しにくるのだ~。グロロ~。今度は時間の巻き戻しは無しだ、キャミキャミー!」
悪魔の歪んだ声で時間の巻き戻しがどうとか言われても、奴らはキョトンとするだけだ。
だが、俺が恐怖を撒き散らしているって事は理解しているし、その都度(学校の先生に告げ口に行く学級委員長のように)こいつらは色男料理人に告げ口をしに行く。
するといつもオビオがやってきて喧嘩になる。
いい加減にしろ、デタラメを言うな、もう一度俺と勝負しろ、と。
しかし俺はそんなオビオを適当にあしらって笑うだけだった。
(俺ぁタダでコイツラのために魔物を狩って食料にし、養ってるわけじゃあねぇぞ)
「大丈夫だ、みんな!」
俺の脅迫の後に、カリスマとなったオビオは必ず皆を安心させようと根拠のない説得をするが、終末思想は人々の脳裏から拭いさる事はできない。
なぜならこの集団の大勢が、時を戻す前に東の大陸の東端で世界の終わりを見ているからだ。
あれが何かしらの自然現象というには、あまりに異様だった。早い宵闇にしては闇に雲や霞がない。
もし皆が悪魔の目を持っていたならば、水平線の先の海の中に、黒い平面の壁があることに気が付いただろう。
闇まで海が存在していながら、突然“無の壁”にぶつかって消えてしまっているのだ。
魔法の【遠視】で見た者もいたのか、無が迫っているという話は、この集団の根幹で揺るぎねぇ。
一つおかしなことに、ビャクヤの時間巻き戻しは、なぜかサーカがやったのではないかという話になっている。
ビャクヤが大魔法使いなのは皆知っているが、俺という悪魔を使い魔にしている為、悪の魔法使いだと思われているようだ。
姫と呼ばれてちやほやされるサーカは、まんざらでもなさそうに見える。
世界の終わりを一時退けたとして感謝されても、それを否定もしねぇ。うむ、と頷いて手柄を横取りし、白目半笑いをしている。きめぇ。
どの道、あの高慢ちきビッチに現状を説明したところで理解はできねぇだろう。オビオというクマちゃんを最期の日まで抱きしめてりゃあいいんだ。
何が悔しいかって言うと、我が愛しい子孫ビャクヤが、黒のリフレクトマントを着ているせいか黒ローブのメイジだと思われていることだ。
あいつは白ローブを着ていてもおかしくはないほどの善人だが、やたらとシルクハットと仮面、ブーツとマントの姿に拘る。
まぁ仮面とマントは先祖代々引き継ぐ重要なマジックアイテムだから(その話はナンベル・ウィンの作った嘘話のような気はするが・・・)ともかく、ローブを着ねぇのはおかしいだろうが。
「なんでお前はいつもローブを着ねぇんだ?」
俺はついに尋ねた。これまでただの露出狂だと思ってたから気にはしてなかったのだが。
「ふぇッ? 言ってませんでしたかッ? 非効率的だからですッ!」
「へぇ。でもなんで装備しない選択肢がローブなんだ?」
「んんん、ローブは装備キャパシティを多く奪うからですッ! ならばローブを脱いで限界ギリギリまで細々とした装備でッ! 魔法効果を高めた方が良いかとッ! 物理防御はリフレクトマントで補えますのでッ!」
ビャクヤの装備に指輪とか腕輪が多いのはそういうことか。
「なるほどな。格好良さよりも実用性を選ぶ、みたいなものか。まさかそのビキニパンツもマジックアイテムなのか?」
俺は白い幾何学模様と青い肌の下腹部で目立たない、黒いビキニパンツを指差した。
「勿論ッ! スタミナを高めます!」
「じゃあ脱ぐとリンネは不満だろうな。クハハ!」
「ええ、なのでいつも穿いたまま横からチンを出して・・・。って何をッ! 言わせるのかッ! あぁ、リンネに会いたいんごッ!」
下らねぇ話をして気を紛らわしているが、俺の決めた期限までには、この集団が恐怖に震えて妄想に陥るぐらいになってもらわねぇと困る。
そうしないと頭の悪い俺の唯一の作戦が水泡に帰すからな。
どんなに頭を絞ろうが、最善策の汁、一滴すら零れ落ちてこねぇ。
西の大陸の西端までこのペースだと半年はかかるな。その間にオビオとサーカのカリスマで集団は増えるだろう。あの二人は必要だ。
道中、集団を脅し過ぎず、しかしながら心の底に恐怖を刻み続ける。中々難しい仕事だぜ、これは。
次はねぇと言いつつも、西の端からまだニムゲイン島に大転移するからまた半年、猶予が出来るのだがな。
ニムゲイン島に着いてもまだまだやることは多い。必要な絶望や恐怖の為にオビオとサーカを殺す事も考慮しておくか。
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