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疑うキリマル
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宗教庁チームはほぼ負けが確定しているにも関わらず、奮戦するリッドに観客は沸きあがる。
弱者に自分の姿を重ねて応援したくなるってのが人間だ。
大鎌を弾き飛ばされて、尻もちをつくダークに、聖騎士見習いの魔剣が天を指す。
ビャクヤはマントで顔を覆ったまま、戦いの行方を見ていない。
リンネは大盾を構えたまま不動だ。お前ら仲間がやられているのに、両腕を組んで余裕を見せる悪魔超人のようだな。
ピーターは自分が司祭を殺した事がバレていないかを気にして、目を忙しく動かして誰かの視線を探っている。少しでも訝しむ者がいれば、邪悪な顔をして相手の目を逸らさせていた。
如何にも正義の騎士って感じの声が辺りに響く。
「くらえ!聖打!」
しかし、革鎧を叩くような音はせず、鉄塊を鉄で叩いたような音が代わりに響いた。
ここでリンネの“庇う”スキルが発動したのだ。
想定範囲内の動き。それにしてもどうやったらあの距離を詰めたのかが不思議でならねぇ。
まぁ魔法の星で、あれこれ理屈を付けていたらヒジリみたいな変人になる。無駄に考えるのは止めておこうか。
「手出しはしないはずじゃないのかね? リンネ君」
聖騎士見習いは小さなアーマーメイジの大盾に、振り下ろした剣を押し付けたままそう言った。
「了解したのはビャクヤだけだよ。私は同意も何もしていないわ」
「だが沈黙はしていた。沈黙は了承したからだろう?」
「そんなのは一方的な考えの押しつけだよ。リッド君は自分の都合の良いように考えるところがあるね。意思表示をしていない相手は敵とみなして、最悪を想定して行動するべきよ」
アーマーメイジとしては経験の少ないリンネだが、場数を踏んできただけの事はある。
「確かにね。僕が甘かった。では」
リッドはリンネの大盾の縁に手をかけて、するりと盾と本体の間に割り込んだ。
「盾や鎧が硬くても!」
聖騎士は剣を捨て、腰の鎧通しを抜く。
「ビャクヤぁ! お前の恋人が危ねぇ!」
俺はリンネの危機をビャクヤに伝えるも、奴は動かない。
あのビャクヤがリンネを心配していないとはどういう事だ? ははぁ? マントで顔を隠して跪くビャクヤは幻影ってことか?
本体は透明化の魔法で、リンネとリッドの近くにいるかもしれねぇな。
リッドは鎧通しで左肩と胸の隙間を狙った。しかし、リンネもいつまでもじっとしているわけではない。
攻撃を回避しようと少し横に動くとリンネの鎧の留め金が、リッドの刺突短剣の先が当たって砕ける。
「チィ。安物なんか買うから」
俺はリンネを救うべく動こうとしたが、体が動かなかった。
「なんだぁ? なんで影縫いをした? ピーター!」
「え? 俺? 俺は何もしてないよ!」
だが、確かに俺の影にダガーが突き刺さっている。これができるのはスカウト系だ。いつの間に?
ピーターが悪巧みをして動けば、全方位を見ることのできる俺の体のクラックが、その様子を捉えているはずだが、それもなかった。
急に転移してきたように見えたダガーが影を刺しているのだが、可能性を考えて近くにいる盗賊のピーターを疑うのは当然だ。
リンネのブレストプレートがずれ落ちて、右肩の留め金だけで止まっており、ベルトの先で揺れている。胸の部分だけ防御力ゼロだ。攻撃されれば簡単にダメージが通る。
「やべぇな。早く影縫のダガーを抜け、ピーター!」
「貸しだからな!」
「いいから早くしろ!」
ダメだ! 間に合わねぇ。ビャクヤは何をしている! 下手すりゃお前の恋人が死ぬんだぞ!
――――が、しかし。
リッドはリンネと盾の間から這い出て、四つん這いになって震えていた。
「ま、負けを・・・認める! ンッ!」
おおぅ、クセェ・・・。
栗の花の匂いがするぜ・・・。リッドの野郎、闘技場の真ん中で射精してやがる・・・。観客の誰もがそれに気が付いていねぇのが救いだな。クハハ! 皆に見守られながらの射精!
きっと見えないところでリンネが、パンチなり魔法なりで反撃したと観客は思っているのだろうが、詳細は謎のままだ。
レフェリーが取り敢えず近くにいたダークに手を貸して立たせると腕を上げる。
「勝者、永遠の・・・。え? なに? 暗黒剛力団?」
ダークは暗黒剛力団と呼べとレフェリーに囁いている。名前なんかどうでもいいだろうが。
「勝者! 暗黒剛力団てれすこ!」
てれすこってなんだぁ? 意味不明な言葉を足しやがって。
わぁぁ! と歓声が上がる。
そして誰もが最後まで粘ったリッドを褒めている。まぁやつの股間はネバネバに粘っているだろうがよ。
それにしてもどうやってリッドを射精させやがったんだ? リンネは!
恋人の前で、他の男のチンコ弄ったのか?
これは良いスキャンダルだ。悪魔が人の弱みにつけ込むのは当たり前の事だからな。脅しの持ちネタとして使わせてもらうぜぇ。
俺はピーターがダガーを影から抜いたのを確認する。
それから獣のような脚で跳躍すると、ドスンとリンネの近くに着地した。
するとリンネはサッと大盾で胸を隠した。
「なんだぁ? なんで胸を隠す?」
「・・・・だもの」
「あ?」
「ブラが丸見えなんだもの!」
「お前、鎧下はどうした?」
「暑いから篭手と脚の部分にしか着けていないわ」
「なるほど、それで・・・」
俺はレフェリーの肩を借りて、腰砕けになりながら出口に向かうリッドを見た。
「流石は早撃ち・・・」
せっかく以前よりも戦闘力が上がったのに、なんともバカバカしい負け方をしたな。リッド。
それにしてもビャクヤはじっとして何をしている? ちょっと頭でも小突きに行くか。
「おい! クソ魔人族!」
ビャクヤの頭に少量の砂を振りかけると、花火線香のような爆発と、髪の焦げる匂いがした。
「ふぉあッ!?」
跪いたままのビャクヤは、慌てて飛び起きた。
「・・・お前、寝てたのか?」
仮面に驚きの表情を浮かべて、ビャクヤは戯ける。
「まさかッ! 吾輩がッ? 試合中に、一体なんで?」
「こっちが聞きてぇわ」
微かに魔法の匂いがする。それがどういう経緯でビャクヤに影響を及ぼしたのかは、わからねぇ。
だが、我が子孫は睡眠系の魔法を受けたのは間違いない。この大魔法使いが、たかだか共通魔法の【眠れ】、或いはメイジの初期魔法【睡眠】で眠らされたのだ。
「なんだか臭うな・・・」
試合がいつの間にか終わった事を喜び、恋人と手を繋いで退場しようとするビャクヤの背中を見ながら俺ぁ、独りごちる。
「確かに。我も気づいていた」
ダークが俺の独り言を拾った。
「へぇ? いつから?」
「リッドがリンネの胸を見た刹那、その悪臭は我が方に漂ってきて、吐き気を誘った!」
こいつとは話が噛み合わねぇ・・・。
「そっちじゃねぇわ、バカタレ」
「?」
「俺様の邪魔をするな。さっさと控室に帰れ」
「御意」
ダークはマスクの下が痒いのか、暫く顎を掻いた後、凄まじい速さの競歩で宿屋に向かった。
「くそ、何なんだ、あいつは」
もう一人の邪魔者、ピーターの気配を探るが、奴はもう闘技場にはいなかった。
「それにしても・・・」
観客が未だに歓声を上げて俺を見送る中、ゆっくり考え事をしながら歩く。
俺に仕掛けられた影縫いといい、魔法で簡単に眠ってしまったビャクヤといい、この試合が一筋縄ではいかないのでは? という疑念が、俺の頭の中で警戒音を鳴らしまくっている。
まさかQの仕業か? 試合に負けたぐらいで、ビャクヤは絶望しないぞ。
一応、念の為オビオチームの戦いを観戦するか・・・。
弱者に自分の姿を重ねて応援したくなるってのが人間だ。
大鎌を弾き飛ばされて、尻もちをつくダークに、聖騎士見習いの魔剣が天を指す。
ビャクヤはマントで顔を覆ったまま、戦いの行方を見ていない。
リンネは大盾を構えたまま不動だ。お前ら仲間がやられているのに、両腕を組んで余裕を見せる悪魔超人のようだな。
ピーターは自分が司祭を殺した事がバレていないかを気にして、目を忙しく動かして誰かの視線を探っている。少しでも訝しむ者がいれば、邪悪な顔をして相手の目を逸らさせていた。
如何にも正義の騎士って感じの声が辺りに響く。
「くらえ!聖打!」
しかし、革鎧を叩くような音はせず、鉄塊を鉄で叩いたような音が代わりに響いた。
ここでリンネの“庇う”スキルが発動したのだ。
想定範囲内の動き。それにしてもどうやったらあの距離を詰めたのかが不思議でならねぇ。
まぁ魔法の星で、あれこれ理屈を付けていたらヒジリみたいな変人になる。無駄に考えるのは止めておこうか。
「手出しはしないはずじゃないのかね? リンネ君」
聖騎士見習いは小さなアーマーメイジの大盾に、振り下ろした剣を押し付けたままそう言った。
「了解したのはビャクヤだけだよ。私は同意も何もしていないわ」
「だが沈黙はしていた。沈黙は了承したからだろう?」
「そんなのは一方的な考えの押しつけだよ。リッド君は自分の都合の良いように考えるところがあるね。意思表示をしていない相手は敵とみなして、最悪を想定して行動するべきよ」
アーマーメイジとしては経験の少ないリンネだが、場数を踏んできただけの事はある。
「確かにね。僕が甘かった。では」
リッドはリンネの大盾の縁に手をかけて、するりと盾と本体の間に割り込んだ。
「盾や鎧が硬くても!」
聖騎士は剣を捨て、腰の鎧通しを抜く。
「ビャクヤぁ! お前の恋人が危ねぇ!」
俺はリンネの危機をビャクヤに伝えるも、奴は動かない。
あのビャクヤがリンネを心配していないとはどういう事だ? ははぁ? マントで顔を隠して跪くビャクヤは幻影ってことか?
本体は透明化の魔法で、リンネとリッドの近くにいるかもしれねぇな。
リッドは鎧通しで左肩と胸の隙間を狙った。しかし、リンネもいつまでもじっとしているわけではない。
攻撃を回避しようと少し横に動くとリンネの鎧の留め金が、リッドの刺突短剣の先が当たって砕ける。
「チィ。安物なんか買うから」
俺はリンネを救うべく動こうとしたが、体が動かなかった。
「なんだぁ? なんで影縫いをした? ピーター!」
「え? 俺? 俺は何もしてないよ!」
だが、確かに俺の影にダガーが突き刺さっている。これができるのはスカウト系だ。いつの間に?
ピーターが悪巧みをして動けば、全方位を見ることのできる俺の体のクラックが、その様子を捉えているはずだが、それもなかった。
急に転移してきたように見えたダガーが影を刺しているのだが、可能性を考えて近くにいる盗賊のピーターを疑うのは当然だ。
リンネのブレストプレートがずれ落ちて、右肩の留め金だけで止まっており、ベルトの先で揺れている。胸の部分だけ防御力ゼロだ。攻撃されれば簡単にダメージが通る。
「やべぇな。早く影縫のダガーを抜け、ピーター!」
「貸しだからな!」
「いいから早くしろ!」
ダメだ! 間に合わねぇ。ビャクヤは何をしている! 下手すりゃお前の恋人が死ぬんだぞ!
――――が、しかし。
リッドはリンネと盾の間から這い出て、四つん這いになって震えていた。
「ま、負けを・・・認める! ンッ!」
おおぅ、クセェ・・・。
栗の花の匂いがするぜ・・・。リッドの野郎、闘技場の真ん中で射精してやがる・・・。観客の誰もがそれに気が付いていねぇのが救いだな。クハハ! 皆に見守られながらの射精!
きっと見えないところでリンネが、パンチなり魔法なりで反撃したと観客は思っているのだろうが、詳細は謎のままだ。
レフェリーが取り敢えず近くにいたダークに手を貸して立たせると腕を上げる。
「勝者、永遠の・・・。え? なに? 暗黒剛力団?」
ダークは暗黒剛力団と呼べとレフェリーに囁いている。名前なんかどうでもいいだろうが。
「勝者! 暗黒剛力団てれすこ!」
てれすこってなんだぁ? 意味不明な言葉を足しやがって。
わぁぁ! と歓声が上がる。
そして誰もが最後まで粘ったリッドを褒めている。まぁやつの股間はネバネバに粘っているだろうがよ。
それにしてもどうやってリッドを射精させやがったんだ? リンネは!
恋人の前で、他の男のチンコ弄ったのか?
これは良いスキャンダルだ。悪魔が人の弱みにつけ込むのは当たり前の事だからな。脅しの持ちネタとして使わせてもらうぜぇ。
俺はピーターがダガーを影から抜いたのを確認する。
それから獣のような脚で跳躍すると、ドスンとリンネの近くに着地した。
するとリンネはサッと大盾で胸を隠した。
「なんだぁ? なんで胸を隠す?」
「・・・・だもの」
「あ?」
「ブラが丸見えなんだもの!」
「お前、鎧下はどうした?」
「暑いから篭手と脚の部分にしか着けていないわ」
「なるほど、それで・・・」
俺はレフェリーの肩を借りて、腰砕けになりながら出口に向かうリッドを見た。
「流石は早撃ち・・・」
せっかく以前よりも戦闘力が上がったのに、なんともバカバカしい負け方をしたな。リッド。
それにしてもビャクヤはじっとして何をしている? ちょっと頭でも小突きに行くか。
「おい! クソ魔人族!」
ビャクヤの頭に少量の砂を振りかけると、花火線香のような爆発と、髪の焦げる匂いがした。
「ふぉあッ!?」
跪いたままのビャクヤは、慌てて飛び起きた。
「・・・お前、寝てたのか?」
仮面に驚きの表情を浮かべて、ビャクヤは戯ける。
「まさかッ! 吾輩がッ? 試合中に、一体なんで?」
「こっちが聞きてぇわ」
微かに魔法の匂いがする。それがどういう経緯でビャクヤに影響を及ぼしたのかは、わからねぇ。
だが、我が子孫は睡眠系の魔法を受けたのは間違いない。この大魔法使いが、たかだか共通魔法の【眠れ】、或いはメイジの初期魔法【睡眠】で眠らされたのだ。
「なんだか臭うな・・・」
試合がいつの間にか終わった事を喜び、恋人と手を繋いで退場しようとするビャクヤの背中を見ながら俺ぁ、独りごちる。
「確かに。我も気づいていた」
ダークが俺の独り言を拾った。
「へぇ? いつから?」
「リッドがリンネの胸を見た刹那、その悪臭は我が方に漂ってきて、吐き気を誘った!」
こいつとは話が噛み合わねぇ・・・。
「そっちじゃねぇわ、バカタレ」
「?」
「俺様の邪魔をするな。さっさと控室に帰れ」
「御意」
ダークはマスクの下が痒いのか、暫く顎を掻いた後、凄まじい速さの競歩で宿屋に向かった。
「くそ、何なんだ、あいつは」
もう一人の邪魔者、ピーターの気配を探るが、奴はもう闘技場にはいなかった。
「それにしても・・・」
観客が未だに歓声を上げて俺を見送る中、ゆっくり考え事をしながら歩く。
俺に仕掛けられた影縫いといい、魔法で簡単に眠ってしまったビャクヤといい、この試合が一筋縄ではいかないのでは? という疑念が、俺の頭の中で警戒音を鳴らしまくっている。
まさかQの仕業か? 試合に負けたぐらいで、ビャクヤは絶望しないぞ。
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