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ウンコウンコ!
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「今日はこれにて! 皆様、お付き合いいただき、ありがと~ござ~い!」
ピーターは皮鎧の下に着ている服の裾を引っ張って広げ、おひねりを強請る。
十歳ほどの子供がこましゃくれた言葉遣いをしているのが可愛いのか、野次馬の大人たちは、散々仕事をした俺を労う事もなく、地走り族の広げた服のたわみにコインを投げ入れている。
コインの殆どが五百銅貨(五百円くらいの価値)だったが、たまに銀色に光るコインも何枚かあった。
客たちを見送ってお辞儀をしたまま、ピーターは顔を歪める。
「計画通り」という文字を添えられたコラに使われる、幼女のような邪悪な顔だ。
「この金は全部俺の物だよ?」
邪悪なるピーター君はまだお辞儀をしたままそう言った。
「はぁ? 俺は散々豚肉のミンチを主婦に作らされたんだが? 見やがれ、この爪につく大量の脂!」
白くヌメヌメと光る爪を、頭を下げたままのピーターの目の前に突きつける。
「俺にキレるのはお門違いさ、キリマル。主婦に文句言いなよ」
普段は臆病なくせに金が絡むと、何たる胆力を見せやがるのか。悪魔の俺が怖くねぇのか?
「確かにな」
俺は敢えて同意しながら、こっそりと素早く、そして容赦なく脂をピーターの革鎧に擦り付ける。
「あの豚みてぇな主婦さえいなければなぁ」
そうぼやいて、俺はさっきまでの出来事を思い返す。
石を粉々に切り刻んだ後、一人の恰幅の良い主婦が豚肉の塊を投げつけてきたので、俺はそれを細切れにした。
すると、その主婦は落下するミンチを上手に包み紙で受け止めたのだ。太っているのに意外と素早くて驚いた。
それを見た他の主婦も真似し初めて、結局俺は豚一匹分の肉をミンチにしただろうか?
勿論主婦は金にシビアなので、おひねりは払わず礼だけを言って立ち去っていった。あいつらもミンチにすりゃあ良かったぜ。
制約が弱かった、転移ばかりしてた頃の旅が既に懐かしい。気に入らねぇ奴は即斬り殺していたのによぉ。
そう思うとコズミックペンの悪戯も悪いものではなかったな。
まぁ過去をいつまでも惜しんでいても仕方がねぇ。俺はようやっと頭を上げたピーターに声をかけた。
「まっとうな手段で金を手にれたんだ、それで宿屋でも借りて仕事でも探すんだな」
お前の手伝いなんてしてやらんぞ。俺がお前の探しているページの上を這い回る蝿だとしても助ける義理はねぇ。
それに早く菓子を買ってかえらねぇとよ。
「そうするよ。これだけのお金を手にれたんだ。銀貨三枚も入っているしね。安宿の相部屋だったら一ヶ月は部屋を借りられるさ」
「良かったな。じゃあな」
俺はピーターに興味を失くして歩き始めた。
誰も警戒しなくなった悪魔の姿のままで、俺は高級菓子を求めて、商店街を歩くと・・・。
焼き菓子屋の前に、見覚えのある顔があった。
(すぐ近くにいるじゃねぇか。糞ピーターが)
ビチビチがそこにいた。
いや、ミチビチオだったか? いや、ミチ・オビオだ。日本人にしても変な名前だな。まぁ中二病のクソ親が付けた俺の名前よりはマシだがよ。
「ヨォ」
オビオは俺と身長が変わらねぇ。まぁ俺がデカくなったからな。
「うわっ! 悪魔!」
流石に悪魔になってから三段階目の姿では、俺が誰かはわからねぇか。
「なんですか?」
黒い癖毛と垂れ目の色男が不審そうに俺を見ている。胸の紋章を見て、俺が契約済みの悪魔だと確認もしていた。
「この店で一番良い焼き菓子を教えてくれねぇかな」
今の姿だと声も歪むので、オビオは俺がキリマルだとは気づいていねぇ。面白い。
「なんで俺に聞いたんですか? 俺もここ初めてですよ?」
「悪魔は様々な世界に行く事が多いからなあ。だから俺ァ、お前がこの世界の地球人なのが分かるんだわ。(嘘だが)地球人ってのはこの星の者よりも、味覚が優れているからよ」
「そうなんだ! やっぱりな! 樹族だけじゃなくて皆全体的に味覚が鈍いんだ? どんなお菓子を選ぼうと思っています?」
「そうだな。年老いた寮母に渡す菓子だからよぉ、あまり油も甘味もしつこくなくて、目の細かいしっとりとした焼き菓子がいいかもな」
俺は適当な事を言う。
「それだったら!」
オビオは無限鞄から、菓子折りにするには丁度良い大きさの木箱を取り出した。そして蓋を開けて中身を見せる。
「ただのレーズンが入ったマドレーヌだけど、良かったら持ってってくださいよ。目の細かい小麦を使って砂糖は控えめ。しっとり感は蜂蜜でだしています」
クハハ! なんという営業妨害だ。焼き菓子屋の前で、焼き菓子をくれるとはな!
「いいのかい?」
「ええ。それだったらいつでも作れますから。俺、コックなんですよ。急に発生した霧に巻き込まれてニムゲイン王国にやってきちゃってさ。でもここは人間ばかりの国。気楽でいいですね。今はクロノさんって人の屋敷で料理人として働いています」
相棒のお嬢ちゃんもそこにいるのか。あの傲慢な樹族は何をして日銭を稼いでいるんだ。こいつが働いているなら何もしてない可能性が高いな。名前は確か・・・。サーカだったか?
「タダで貰うのはやっぱ気が引けるからよぉ。金を払わせてくれや」
俺は銀貨をオビオに握らせた。
「銀貨!! これは貰い過ぎですよ!」
色男は銀貨を見て驚き、俺の黒い大きな手に返そうとしたが、拒否する。
「いや、あんたプロなんだろ? だったらそれに見合う価値がこの菓子にはあるはずだ。プロ意識があるならその金は受け取ってくれねぇと俺が困るな。さもなくば俺ァ、主様に恥をかかせる事になるからヨォ」
キヒヒ。詰まるところ全ての責任はお前にあるというわけさ。さぁ焦れ。そして、たじろげ。
しかし、オビオは銀貨を親指で弾いて空中に上げてからパシッと掴んだ。それから以前会った時には付けていなかった高級そうな赤い革鎧の胸を叩いて得意げな顔をする。
「そういう事なら! 任してよ! 味は俺が保証する! もし何か問題があったら、クロノさんの屋敷まで来てください! クロノさんは有名人だから道を聞けばすぐにわかりますよ。それから俺は道帯夫。オビオに用があると使用人に言えばすぐに出迎えに行きますから!」
チッ! 糞が。そのポジティブさが苛つかせるぜ。まぁいいさ。お前がニムゲインにいる事がわかったんだ。そのうち殺せるかもしれねぇ。
「ああ、ありがとうな。俺は・・・。悪魔だ。名前はねぇ。アクマって呼んでくれ」
「わかった! 銀貨をありがとう! 大事に使わせてもらいますよ! さようならアクマさん!」
オビオは手を振って去っていった。俺も手を振り返すと腰のアマリが話しかけてくる。
「キリマル、勃起している。エッチする?」
「ん? ああ。よくわかったな。股間は外骨格で隠れているのによ」
「キリマルの事なら何でも分かる。オビオを殺したくて勃起した事も」
「正解。よし、帰ったら中出ししまくってやる」
「やった! 久々のエッチ、嬉しい」
アマリは人化をして俺の太くてごつい指先を握り微笑む。
通りすがりの男たちが、急に現れたトランジスタグラマーを横目で見て、生唾をゴクリと飲み込んでいるのがわかった。
(クハハ! アマリはやらんぞ。お前らみたいな糞どもは、家に帰ってアマリの姿を思い出してシコっとけ!)
俺が優越感に浸っていると、残念な事にアマリが道端の犬の糞を見つけてしまった・・・。
「わ! ウンコ! キャハハ! 犬のウンコだぁ! やだー! ウンコ! ねぇ! キリマル! ウンコ!」
それを見た男たちの顔からスーッと劣情が消える。そして足早に去っていった。
アマリはソワソワしながら、その辺にある棒切れを見つけて、半分乾いた芋虫のような黒い塊を刺し、俺に向ける。
「おい! やめろ! 糞が!」
クセェ。棒を刺した穴から生々しい糞の臭いがする・・・。
「糞? だってこれ、ウンコだもの! ウンコ!」
こいつはなぜそこまでウンコの事でテンションが上がるのか・・・。普段の無感情な声は一体どこへいった・・・? ウンコを見て歓喜する感情に全振りしてんのか?
外骨格の中でチンコが急速に柔らかくなっていくのがわかる。
俺は長い溜息をついてから、糞の素晴らしい香りを嗅がないように息を止めて、アマリの手を引き寮へ帰った。
ピーターは皮鎧の下に着ている服の裾を引っ張って広げ、おひねりを強請る。
十歳ほどの子供がこましゃくれた言葉遣いをしているのが可愛いのか、野次馬の大人たちは、散々仕事をした俺を労う事もなく、地走り族の広げた服のたわみにコインを投げ入れている。
コインの殆どが五百銅貨(五百円くらいの価値)だったが、たまに銀色に光るコインも何枚かあった。
客たちを見送ってお辞儀をしたまま、ピーターは顔を歪める。
「計画通り」という文字を添えられたコラに使われる、幼女のような邪悪な顔だ。
「この金は全部俺の物だよ?」
邪悪なるピーター君はまだお辞儀をしたままそう言った。
「はぁ? 俺は散々豚肉のミンチを主婦に作らされたんだが? 見やがれ、この爪につく大量の脂!」
白くヌメヌメと光る爪を、頭を下げたままのピーターの目の前に突きつける。
「俺にキレるのはお門違いさ、キリマル。主婦に文句言いなよ」
普段は臆病なくせに金が絡むと、何たる胆力を見せやがるのか。悪魔の俺が怖くねぇのか?
「確かにな」
俺は敢えて同意しながら、こっそりと素早く、そして容赦なく脂をピーターの革鎧に擦り付ける。
「あの豚みてぇな主婦さえいなければなぁ」
そうぼやいて、俺はさっきまでの出来事を思い返す。
石を粉々に切り刻んだ後、一人の恰幅の良い主婦が豚肉の塊を投げつけてきたので、俺はそれを細切れにした。
すると、その主婦は落下するミンチを上手に包み紙で受け止めたのだ。太っているのに意外と素早くて驚いた。
それを見た他の主婦も真似し初めて、結局俺は豚一匹分の肉をミンチにしただろうか?
勿論主婦は金にシビアなので、おひねりは払わず礼だけを言って立ち去っていった。あいつらもミンチにすりゃあ良かったぜ。
制約が弱かった、転移ばかりしてた頃の旅が既に懐かしい。気に入らねぇ奴は即斬り殺していたのによぉ。
そう思うとコズミックペンの悪戯も悪いものではなかったな。
まぁ過去をいつまでも惜しんでいても仕方がねぇ。俺はようやっと頭を上げたピーターに声をかけた。
「まっとうな手段で金を手にれたんだ、それで宿屋でも借りて仕事でも探すんだな」
お前の手伝いなんてしてやらんぞ。俺がお前の探しているページの上を這い回る蝿だとしても助ける義理はねぇ。
それに早く菓子を買ってかえらねぇとよ。
「そうするよ。これだけのお金を手にれたんだ。銀貨三枚も入っているしね。安宿の相部屋だったら一ヶ月は部屋を借りられるさ」
「良かったな。じゃあな」
俺はピーターに興味を失くして歩き始めた。
誰も警戒しなくなった悪魔の姿のままで、俺は高級菓子を求めて、商店街を歩くと・・・。
焼き菓子屋の前に、見覚えのある顔があった。
(すぐ近くにいるじゃねぇか。糞ピーターが)
ビチビチがそこにいた。
いや、ミチビチオだったか? いや、ミチ・オビオだ。日本人にしても変な名前だな。まぁ中二病のクソ親が付けた俺の名前よりはマシだがよ。
「ヨォ」
オビオは俺と身長が変わらねぇ。まぁ俺がデカくなったからな。
「うわっ! 悪魔!」
流石に悪魔になってから三段階目の姿では、俺が誰かはわからねぇか。
「なんですか?」
黒い癖毛と垂れ目の色男が不審そうに俺を見ている。胸の紋章を見て、俺が契約済みの悪魔だと確認もしていた。
「この店で一番良い焼き菓子を教えてくれねぇかな」
今の姿だと声も歪むので、オビオは俺がキリマルだとは気づいていねぇ。面白い。
「なんで俺に聞いたんですか? 俺もここ初めてですよ?」
「悪魔は様々な世界に行く事が多いからなあ。だから俺ァ、お前がこの世界の地球人なのが分かるんだわ。(嘘だが)地球人ってのはこの星の者よりも、味覚が優れているからよ」
「そうなんだ! やっぱりな! 樹族だけじゃなくて皆全体的に味覚が鈍いんだ? どんなお菓子を選ぼうと思っています?」
「そうだな。年老いた寮母に渡す菓子だからよぉ、あまり油も甘味もしつこくなくて、目の細かいしっとりとした焼き菓子がいいかもな」
俺は適当な事を言う。
「それだったら!」
オビオは無限鞄から、菓子折りにするには丁度良い大きさの木箱を取り出した。そして蓋を開けて中身を見せる。
「ただのレーズンが入ったマドレーヌだけど、良かったら持ってってくださいよ。目の細かい小麦を使って砂糖は控えめ。しっとり感は蜂蜜でだしています」
クハハ! なんという営業妨害だ。焼き菓子屋の前で、焼き菓子をくれるとはな!
「いいのかい?」
「ええ。それだったらいつでも作れますから。俺、コックなんですよ。急に発生した霧に巻き込まれてニムゲイン王国にやってきちゃってさ。でもここは人間ばかりの国。気楽でいいですね。今はクロノさんって人の屋敷で料理人として働いています」
相棒のお嬢ちゃんもそこにいるのか。あの傲慢な樹族は何をして日銭を稼いでいるんだ。こいつが働いているなら何もしてない可能性が高いな。名前は確か・・・。サーカだったか?
「タダで貰うのはやっぱ気が引けるからよぉ。金を払わせてくれや」
俺は銀貨をオビオに握らせた。
「銀貨!! これは貰い過ぎですよ!」
色男は銀貨を見て驚き、俺の黒い大きな手に返そうとしたが、拒否する。
「いや、あんたプロなんだろ? だったらそれに見合う価値がこの菓子にはあるはずだ。プロ意識があるならその金は受け取ってくれねぇと俺が困るな。さもなくば俺ァ、主様に恥をかかせる事になるからヨォ」
キヒヒ。詰まるところ全ての責任はお前にあるというわけさ。さぁ焦れ。そして、たじろげ。
しかし、オビオは銀貨を親指で弾いて空中に上げてからパシッと掴んだ。それから以前会った時には付けていなかった高級そうな赤い革鎧の胸を叩いて得意げな顔をする。
「そういう事なら! 任してよ! 味は俺が保証する! もし何か問題があったら、クロノさんの屋敷まで来てください! クロノさんは有名人だから道を聞けばすぐにわかりますよ。それから俺は道帯夫。オビオに用があると使用人に言えばすぐに出迎えに行きますから!」
チッ! 糞が。そのポジティブさが苛つかせるぜ。まぁいいさ。お前がニムゲインにいる事がわかったんだ。そのうち殺せるかもしれねぇ。
「ああ、ありがとうな。俺は・・・。悪魔だ。名前はねぇ。アクマって呼んでくれ」
「わかった! 銀貨をありがとう! 大事に使わせてもらいますよ! さようならアクマさん!」
オビオは手を振って去っていった。俺も手を振り返すと腰のアマリが話しかけてくる。
「キリマル、勃起している。エッチする?」
「ん? ああ。よくわかったな。股間は外骨格で隠れているのによ」
「キリマルの事なら何でも分かる。オビオを殺したくて勃起した事も」
「正解。よし、帰ったら中出ししまくってやる」
「やった! 久々のエッチ、嬉しい」
アマリは人化をして俺の太くてごつい指先を握り微笑む。
通りすがりの男たちが、急に現れたトランジスタグラマーを横目で見て、生唾をゴクリと飲み込んでいるのがわかった。
(クハハ! アマリはやらんぞ。お前らみたいな糞どもは、家に帰ってアマリの姿を思い出してシコっとけ!)
俺が優越感に浸っていると、残念な事にアマリが道端の犬の糞を見つけてしまった・・・。
「わ! ウンコ! キャハハ! 犬のウンコだぁ! やだー! ウンコ! ねぇ! キリマル! ウンコ!」
それを見た男たちの顔からスーッと劣情が消える。そして足早に去っていった。
アマリはソワソワしながら、その辺にある棒切れを見つけて、半分乾いた芋虫のような黒い塊を刺し、俺に向ける。
「おい! やめろ! 糞が!」
クセェ。棒を刺した穴から生々しい糞の臭いがする・・・。
「糞? だってこれ、ウンコだもの! ウンコ!」
こいつはなぜそこまでウンコの事でテンションが上がるのか・・・。普段の無感情な声は一体どこへいった・・・? ウンコを見て歓喜する感情に全振りしてんのか?
外骨格の中でチンコが急速に柔らかくなっていくのがわかる。
俺は長い溜息をついてから、糞の素晴らしい香りを嗅がないように息を止めて、アマリの手を引き寮へ帰った。
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