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獅子連撃
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俺がオビオに脳天唐竹割りを食らわせようとすると、痰が絡んだような甲高い声が聞こえてきた。
「あぁーっと! キリ・・・」
させるかよ! アホ神が!
「爆ぜろ、ゴブリン!」
俺は構えを解いて素早く足元のマグカップを、ゴブリンの詩人に蹴り投げた。
「ぎゃっ!」
投げたマグカップは上手いことヤンスの口に当たったが、爆発は起こらなかった。
(チッ! やはり神クラスに俺の能力は通じねぇか・・・)
しかし、暫くは実況ができまい。そのまま口を押さえてろや、糞神。
さて続きを再開するか。俺はもう一度上段の構えをとった。
するとオビオは小盾で俺の攻撃を防ぐつもりでいるようだ。咄嗟にパリィの体勢に入った。生意気だなぁ。
その往なそうとする盾ごと叩き割ってやろうか。
「なーんてな!」
上段の構えはフェイント。振り下ろしつつ刀を一旦引いて、オビオの脇腹に突き立てた。
腹に刀が刺さってから、この料理人は左手の小盾で空振りパリィをしやがった。クハハ! 遅ぇんだよ、間抜けが!
「うわぁぁぁ! いってぇ!!」
肝臓を刺されて「いってぇ!」どころじゃないだろ。ショック死してもおかしくない激痛のはずだぞ。このまま刀を抜けば出血でそう長くは持たないしよ。
あの修道騎士に致命傷の癒やしがあれば話は別だが、まぁ間に合わんだろうよ。
しかし、オビオは怯まなかった。雄叫びを上げて俺に抱きついてきやがった!
(こいつただの料理人じゃねぇのかよ! 腐ってもヒジリと同じ未来の地球人ってか!)
くそったれが! 未来の地球人はでけぇし、タフだしで厄介だな・・・。
俺の売りは、凄まじい回避率と命中率と致命傷攻撃だ。それを封じられると弱い。
「オビオ!」
サーカが涙目でオビオを見ている。もう助からねぇとわかってんだな。
一応オビオ&ピーターの寸劇には付き合ってやったんだ。命というお代くらいはもらわねぇとな。泣くな、樹族の嬢ちゃん。そんな怖い顔してワンドを構えると、もっとオビオをいじめたくなる。
「さぁどうする、騎士さん達よぉ。今が絶好のチャンスだぜ? 魔法を撃ったらどうだ! だが、この状況で攻撃魔法なんて撃てばよぉ! 俺を抱きしめているオビオまで魔法が及ぶぜ! そしたら大事な仲間を殺す事になるなぁ? お? やるか? ピンク頭のお嬢ちゃんよ! ヒハハ!」
殺すもなにも、もうすぐオビオは死ぬけどな。と自分でツッコんでみる。
メリィが離れた場所で祈りを開始した。ほぉ、致命傷を癒やす祈りを使えるのか! だが、そうはさせねぇ。脅迫スキル発動だ。
「回復は止した方が良いと思うがな。ここまでオビオと近いと俺まで回復する可能性があるぜぇ? いいのか? 獅子人が俺に与えたダメージまで回復しちまうぞ。(トウスからの肩へのダメージは既に回復しているが)そうなったら俺は、この気色の悪い抱擁を逃れて、真っ先にお前を斬るぜぇ、尼さんよぉ。ハハ!」
メリィの顔に迷いが浮かぶ。そして祈るのをやめた。ハ! 脅迫スキル成功!
そしてさようなら、オビオ。
俺はオビオの腹に突き刺さる刀をグリグリと動かして傷を広げる。今度はヒジリの腹にも同様の事をしたいもんだ!
「うわぁぁぁ!!」
オビオの腕から力が抜けていく。そして奴は俺に縋るようにして床に膝を突いた。
「オビオォォ!」
いいねぇ、恋人が死にゆく者に手向ける絶望の泣き声! オビオは果報者だな。こんな美人樹族に愛されているんだからよぉ! クハハ!
「あーあ! 嬢ちゃんがワンドなんか構えるから・・・・。オビオは死んでしまったぜ? いやまだ死んでないか! 中々しぶといな! ヒャハハハハ! んぐ!」
大口を開けて笑っていると、口の中に何かが飛び込んできた。ピーターがパチンコで飛ばしたクッキーだ。
(はいはい、この痺れクッキーを食えばいいんだろう? ピーター君。お前らの作戦通り、作戦通り)
「モグモグ・・・。なんだこれは・・・。美味くて思わず食っちまったわ。クッキーか? ありがとよ、ちっこいの! 苦し紛れの攻撃だったんだろうが、俺に栄養を与えただけだぜ? ヒヒヒ! さぁそろそろとどめを刺してやるよ、オビオ。肝臓を刺されると辛れぇもんなぁ?」
しぶといオビオに止めを刺そうとするとトウスが激怒して吠えた。体中に怒気を纏っている。
「おお、怖い声! どのみちオビオはあと少しで死ぬ。致命傷だ。祈りも間に合わないだろうよ! 残念だったなぁ! キヒヒヒ!」
オビオもろとも俺を攻撃するつもりか? トウスよ。
「幾度と・・・なく・・・癒せ!【再生】・・・」
トウスが攻撃しようとした手をピタリと止めた。
死んだと思っていたオビオにまだ意識があったからだ。
(はぁ? なに悪あがきしてんだ? 致命傷に再生の魔法なんて効くわけねぇだろうが)
「我が主、運命の神よ、どうかあなたの忠実な下僕の願いを聞き届けたまえ。この者がまだ死すべき運命にない証明を我に!」
オビオの最期の抵抗を見たメリィの目に光が戻る。この地走り族の修道騎士は、俺の脅迫スキルの効果を自力で打ち破って、祈りを再開したのだ。なかなかやるじゃねぇか。
ヒジリが現れるまで、多くの地走り族が信仰していた運命の神カオジーフ。この修道騎士は運命の神の下僕なのだ。だが、その祈りも多分無駄だぞ。
「無駄無駄、お前の祈りは遅すぎた。俺は何度も味方を癒そうとする冒険者を見てきたし、殺してきた。なので回復はタイミングが命だって事を知ってんだわ。俺の経験上、致命傷を受けた者は、二分以内に回復させないと効果は出ねぇ! で、俺がオビオと抱き合ってた時間は余裕で二分以上だ。だからな、その癒しの祈りは無意味なんだよぉ! ヒーーーハハハ」
「祈りは届いたでヤンス」
あ?
俺は集会場の入り口でうずくまっている、瓶底眼鏡の小さなゴブリンがそう囁いてからくしゃみをした。悪魔の耳で聞こえたから間違いねぇ。
まさか、こいつがその運命の神カオジーフだっていうのか? 弱小糞神じゃねぇのか?
オビオは奇跡のを受けたときに現れる“奇跡の光”のエフェクトはなく、普通にすっと立ち上がった。軌跡の回復が効いたのかどうかはわからねぇが、奴は当たり前のように立っているんだわ。
「なにぃ?」
俺は驚きつつも、飛びかかってきたトウスとの激戦を繰り広げているフリをしている。
横目でオビオを見ていると、サーカが鼻水を垂らして泣きながら奴に抱きついた。
「オビオォォ!」
オビオはサーカの鼻水が体につくのを恐れている。
「なぜあんな無茶をした! あの修道騎士とまぐわって情が移ったのは解るが、だからと言って命を張る事はないだろ! たった一度限りのまぐわいなんかで・・・。それに・・・こ、今回のエッチはノーカウントだからな!」
お前らの敵はまだこの通り生きてんだが? なにイチャイチャし始めてんだ。
俺の心の代弁者、邪悪なるピーター君が抱き合う二人に注意する。
「まだ戦闘中だぞ。イチャイチャすんなよ。でもすごいな、オビオ! 流石はトロ・・・、オーガだな」
クハハ! こいつ今、オビオのことをトロールって言いかけたぞ。まぁそれぐらいしぶといからな。
「ピーターも、もう少し早くあれをキリマルに食わせてくれてたらなぁ・・・」
俺の動きを封じるというオビオの命がけ作戦はまぁ良しとしよう。だが都合よく大口開けて笑う俺の口中に、クッキーを放り込むなんてのは運任せにも程があるぜぇ。
だから俺は幼稚な寸劇と言ったんだ。その幼稚な作戦に乗ってやったんだから感謝してくれよ。
ピーターが身震いさせながらオビオに反論する。
「馬鹿言えよ。あの殺人鬼は恐ろしく素早いんだぞ。オビオが動きを止めなかった三枚のクッキーを全て撃ち尽くしてたって」
「クッキー?」
サーカはオビオのマントで鼻水と涙を拭くと、クッキーの事を訊ねた。
「ああ、ほら俺試練の塔前の野営地で、うっかり毒キノコを飾りにしたクッキーを作っちゃっただろ。あのクッキーが残ってたんだ。で、その毒クッキーをピーターがパチンコで飛ばしてキリマルに食べさせた」
「では、そろそろ効果が出てくるのではないか?」
しゃあねぇな。俺の演技力がどれほどのものかは知らねぇが・・・。
恥を捨てて演じてやるよ。
探るような目でこちらを見つめてくるオビオたちの前で、俺は両腕を震わせて見せた。
「チッ! どういうことだぁ! 腕が重たい!(棒読み)」
下手くそだなぁ、俺は。もう少し演技力を磨かねぇと、ブラフに使うにゃ未熟過ぎる。
しかし意外とオビオたちは俺の臭い演技を信じた。トウスが嬉しそうな声を上げる。
「俺ぁなんとなく解るぜ。キリマルはさっき飛んできたクッキーを食べたろ。多分あれのせいだ。やるじゃねぇか! オビオとピーター!」
俺と戦っていたトウスはオビオとピーターの作戦の話は聞こえていなかったのか、なるほどという顔をして感心している。それからあらゆるスキルを発動させているのか、白獅子の毛が何度もブワッと揺れた。
「これは俺の得意技だ。よく見ておけよ、殺人鬼の悪魔! 食らえ! 獅子連撃!」
「あぁーっと! キリ・・・」
させるかよ! アホ神が!
「爆ぜろ、ゴブリン!」
俺は構えを解いて素早く足元のマグカップを、ゴブリンの詩人に蹴り投げた。
「ぎゃっ!」
投げたマグカップは上手いことヤンスの口に当たったが、爆発は起こらなかった。
(チッ! やはり神クラスに俺の能力は通じねぇか・・・)
しかし、暫くは実況ができまい。そのまま口を押さえてろや、糞神。
さて続きを再開するか。俺はもう一度上段の構えをとった。
するとオビオは小盾で俺の攻撃を防ぐつもりでいるようだ。咄嗟にパリィの体勢に入った。生意気だなぁ。
その往なそうとする盾ごと叩き割ってやろうか。
「なーんてな!」
上段の構えはフェイント。振り下ろしつつ刀を一旦引いて、オビオの脇腹に突き立てた。
腹に刀が刺さってから、この料理人は左手の小盾で空振りパリィをしやがった。クハハ! 遅ぇんだよ、間抜けが!
「うわぁぁぁ! いってぇ!!」
肝臓を刺されて「いってぇ!」どころじゃないだろ。ショック死してもおかしくない激痛のはずだぞ。このまま刀を抜けば出血でそう長くは持たないしよ。
あの修道騎士に致命傷の癒やしがあれば話は別だが、まぁ間に合わんだろうよ。
しかし、オビオは怯まなかった。雄叫びを上げて俺に抱きついてきやがった!
(こいつただの料理人じゃねぇのかよ! 腐ってもヒジリと同じ未来の地球人ってか!)
くそったれが! 未来の地球人はでけぇし、タフだしで厄介だな・・・。
俺の売りは、凄まじい回避率と命中率と致命傷攻撃だ。それを封じられると弱い。
「オビオ!」
サーカが涙目でオビオを見ている。もう助からねぇとわかってんだな。
一応オビオ&ピーターの寸劇には付き合ってやったんだ。命というお代くらいはもらわねぇとな。泣くな、樹族の嬢ちゃん。そんな怖い顔してワンドを構えると、もっとオビオをいじめたくなる。
「さぁどうする、騎士さん達よぉ。今が絶好のチャンスだぜ? 魔法を撃ったらどうだ! だが、この状況で攻撃魔法なんて撃てばよぉ! 俺を抱きしめているオビオまで魔法が及ぶぜ! そしたら大事な仲間を殺す事になるなぁ? お? やるか? ピンク頭のお嬢ちゃんよ! ヒハハ!」
殺すもなにも、もうすぐオビオは死ぬけどな。と自分でツッコんでみる。
メリィが離れた場所で祈りを開始した。ほぉ、致命傷を癒やす祈りを使えるのか! だが、そうはさせねぇ。脅迫スキル発動だ。
「回復は止した方が良いと思うがな。ここまでオビオと近いと俺まで回復する可能性があるぜぇ? いいのか? 獅子人が俺に与えたダメージまで回復しちまうぞ。(トウスからの肩へのダメージは既に回復しているが)そうなったら俺は、この気色の悪い抱擁を逃れて、真っ先にお前を斬るぜぇ、尼さんよぉ。ハハ!」
メリィの顔に迷いが浮かぶ。そして祈るのをやめた。ハ! 脅迫スキル成功!
そしてさようなら、オビオ。
俺はオビオの腹に突き刺さる刀をグリグリと動かして傷を広げる。今度はヒジリの腹にも同様の事をしたいもんだ!
「うわぁぁぁ!!」
オビオの腕から力が抜けていく。そして奴は俺に縋るようにして床に膝を突いた。
「オビオォォ!」
いいねぇ、恋人が死にゆく者に手向ける絶望の泣き声! オビオは果報者だな。こんな美人樹族に愛されているんだからよぉ! クハハ!
「あーあ! 嬢ちゃんがワンドなんか構えるから・・・・。オビオは死んでしまったぜ? いやまだ死んでないか! 中々しぶといな! ヒャハハハハ! んぐ!」
大口を開けて笑っていると、口の中に何かが飛び込んできた。ピーターがパチンコで飛ばしたクッキーだ。
(はいはい、この痺れクッキーを食えばいいんだろう? ピーター君。お前らの作戦通り、作戦通り)
「モグモグ・・・。なんだこれは・・・。美味くて思わず食っちまったわ。クッキーか? ありがとよ、ちっこいの! 苦し紛れの攻撃だったんだろうが、俺に栄養を与えただけだぜ? ヒヒヒ! さぁそろそろとどめを刺してやるよ、オビオ。肝臓を刺されると辛れぇもんなぁ?」
しぶといオビオに止めを刺そうとするとトウスが激怒して吠えた。体中に怒気を纏っている。
「おお、怖い声! どのみちオビオはあと少しで死ぬ。致命傷だ。祈りも間に合わないだろうよ! 残念だったなぁ! キヒヒヒ!」
オビオもろとも俺を攻撃するつもりか? トウスよ。
「幾度と・・・なく・・・癒せ!【再生】・・・」
トウスが攻撃しようとした手をピタリと止めた。
死んだと思っていたオビオにまだ意識があったからだ。
(はぁ? なに悪あがきしてんだ? 致命傷に再生の魔法なんて効くわけねぇだろうが)
「我が主、運命の神よ、どうかあなたの忠実な下僕の願いを聞き届けたまえ。この者がまだ死すべき運命にない証明を我に!」
オビオの最期の抵抗を見たメリィの目に光が戻る。この地走り族の修道騎士は、俺の脅迫スキルの効果を自力で打ち破って、祈りを再開したのだ。なかなかやるじゃねぇか。
ヒジリが現れるまで、多くの地走り族が信仰していた運命の神カオジーフ。この修道騎士は運命の神の下僕なのだ。だが、その祈りも多分無駄だぞ。
「無駄無駄、お前の祈りは遅すぎた。俺は何度も味方を癒そうとする冒険者を見てきたし、殺してきた。なので回復はタイミングが命だって事を知ってんだわ。俺の経験上、致命傷を受けた者は、二分以内に回復させないと効果は出ねぇ! で、俺がオビオと抱き合ってた時間は余裕で二分以上だ。だからな、その癒しの祈りは無意味なんだよぉ! ヒーーーハハハ」
「祈りは届いたでヤンス」
あ?
俺は集会場の入り口でうずくまっている、瓶底眼鏡の小さなゴブリンがそう囁いてからくしゃみをした。悪魔の耳で聞こえたから間違いねぇ。
まさか、こいつがその運命の神カオジーフだっていうのか? 弱小糞神じゃねぇのか?
オビオは奇跡のを受けたときに現れる“奇跡の光”のエフェクトはなく、普通にすっと立ち上がった。軌跡の回復が効いたのかどうかはわからねぇが、奴は当たり前のように立っているんだわ。
「なにぃ?」
俺は驚きつつも、飛びかかってきたトウスとの激戦を繰り広げているフリをしている。
横目でオビオを見ていると、サーカが鼻水を垂らして泣きながら奴に抱きついた。
「オビオォォ!」
オビオはサーカの鼻水が体につくのを恐れている。
「なぜあんな無茶をした! あの修道騎士とまぐわって情が移ったのは解るが、だからと言って命を張る事はないだろ! たった一度限りのまぐわいなんかで・・・。それに・・・こ、今回のエッチはノーカウントだからな!」
お前らの敵はまだこの通り生きてんだが? なにイチャイチャし始めてんだ。
俺の心の代弁者、邪悪なるピーター君が抱き合う二人に注意する。
「まだ戦闘中だぞ。イチャイチャすんなよ。でもすごいな、オビオ! 流石はトロ・・・、オーガだな」
クハハ! こいつ今、オビオのことをトロールって言いかけたぞ。まぁそれぐらいしぶといからな。
「ピーターも、もう少し早くあれをキリマルに食わせてくれてたらなぁ・・・」
俺の動きを封じるというオビオの命がけ作戦はまぁ良しとしよう。だが都合よく大口開けて笑う俺の口中に、クッキーを放り込むなんてのは運任せにも程があるぜぇ。
だから俺は幼稚な寸劇と言ったんだ。その幼稚な作戦に乗ってやったんだから感謝してくれよ。
ピーターが身震いさせながらオビオに反論する。
「馬鹿言えよ。あの殺人鬼は恐ろしく素早いんだぞ。オビオが動きを止めなかった三枚のクッキーを全て撃ち尽くしてたって」
「クッキー?」
サーカはオビオのマントで鼻水と涙を拭くと、クッキーの事を訊ねた。
「ああ、ほら俺試練の塔前の野営地で、うっかり毒キノコを飾りにしたクッキーを作っちゃっただろ。あのクッキーが残ってたんだ。で、その毒クッキーをピーターがパチンコで飛ばしてキリマルに食べさせた」
「では、そろそろ効果が出てくるのではないか?」
しゃあねぇな。俺の演技力がどれほどのものかは知らねぇが・・・。
恥を捨てて演じてやるよ。
探るような目でこちらを見つめてくるオビオたちの前で、俺は両腕を震わせて見せた。
「チッ! どういうことだぁ! 腕が重たい!(棒読み)」
下手くそだなぁ、俺は。もう少し演技力を磨かねぇと、ブラフに使うにゃ未熟過ぎる。
しかし意外とオビオたちは俺の臭い演技を信じた。トウスが嬉しそうな声を上げる。
「俺ぁなんとなく解るぜ。キリマルはさっき飛んできたクッキーを食べたろ。多分あれのせいだ。やるじゃねぇか! オビオとピーター!」
俺と戦っていたトウスはオビオとピーターの作戦の話は聞こえていなかったのか、なるほどという顔をして感心している。それからあらゆるスキルを発動させているのか、白獅子の毛が何度もブワッと揺れた。
「これは俺の得意技だ。よく見ておけよ、殺人鬼の悪魔! 食らえ! 獅子連撃!」
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