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人型の限界
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カナリアというウィザードは、ビャクヤ並みに強力なマジックキャスターかもしれねぇが、ビャクヤのように絡み手を使ったり、ヤイバのように待ちカウンターを狙わないタイプだ。
それはこれまで、実戦よりも研究を優先した結果かもしれんな。
攻防に少しでも間と距離が空くと、率先してこちらを視認し、攻撃してくるのはありがてぇ。
どんなに優秀なメイジだろうがなんだろうが、人である以上限界がある。特に動体視力と空間認識能力なんかはそうだ。そしていつかミスをする。
カナリアは残り少なくなった魔法点に焦ったのか、全力を振り絞って、俺を六方から囲む虚無の渦を作り出した。側面と上下。
灰色の渦の向こうで俺の脚と長い髪が粉々に消えていくのを見て、遺跡守は安堵したのか笑った。
「ははははッ! ハァハァ。あんた中々頑張ったけどさぁ! ここまでだね! 遺跡守と対等に戦える盗人は初めて見たよ。樹族国の遺跡守が倒されたと聞いたけど、あれは相手が現人神だったからね」
「そうだな。この時代じゃヒジリ程の力がなくても、現人神になれるんだからよ。そういう意味では俺様も現人神レベルだ。それから! 残念だが、お前が狙ったのは俺の残像だぜ? クハハ! ほうほう、渦の裏側は無害なんだな」
「―――!!」
俺の声に驚いて振り向いたカナリアの顔に、縦斬りをお見舞いするも、当然回避される。
しかし、さっきも言ったようにカナリアが人である以上限界がある。魔法のローブに頼って何度も何度も短いスパンで瞬間的な回避をしていると、常人ってのはァ、どうなるのか。
視覚からの情報に頭が追い付かなくなって、方向感覚や空間認識能力が狂ってくるんだわ。
で、奴は間違えて俺の残像を狙い、大事な虚無の渦を全部使ってしまった。そして今も混乱した頭で、俺の残像の攻撃を回避した。
回避した先で自分が今どんな状況にいるかを確認するために、認識力の落ちた頭で辺りを目で確認する際に、大きな隙が生まれる。
その隙は魔法のローブでもカバーできない。
結局のところ、優秀な魔法の防具も装備者の視覚情報や判断力に依存するからだ。
勿論のこと、俺はその隙を見逃したりはしなかった。
「チェックメイト!」
狙い通りカナリアがほんのコンマ数秒、自分のいる場所を確認している――――、その目先で俺は現れて消えた。
―――ヒュン!
アマリが、カナリアの首の細胞の細胞壁を壊す事なく、綺麗に切り裂いていく。
俺が姿を現した頃には遺跡守の長い黒髪が、おかっぱになって地面に転がっていた。首の付け根からは意外と血は出てないな。もっと噴水みたいに盛大に出てくれても良かったんだがよ。
「キヒヒヒ! 中々楽しい戦いだったぜ!」
俺はまだ残る虚無の渦に石を投げて爆発で消すと、王子を見た。
(さてさて、王子を殺せばミッション終了。これで次の世界や時代に飛ばされて、俺はビャクヤに近づく。或いは次こそがゴールかもしれねぇ。しかしなぁ・・・)
そう、しかし・・・。
コズミックペンのシナリオ通りに動くのは、なんか面白くねぇなんだわ。
「なぁ。おめぇはどうしたい? 王子さんよ」
俺が王子に切っ先を向けていると、トウバがどこからか持ってきた王子の服と鎧を置いた。
「コノハ王子、これを」
「ありがとう、トウバ」
ギンジーが王子に遺跡調査を許可したと言っていたのは議会での話だろうから、トウバが王子の顔を知っていてもおかしくはねぇか。服や装備を持ってくるぐらいの気遣いはするだろうさ。
王子は服を着つつも残念そうな表情でカナリアの首を見てから辺りを見渡している。
「私は・・・。私はここに残る。真実を知りたいのだ。樹族がこれまでに何をして、どういった軌跡を辿り、今があるのかを知りたい」
「って事は遺跡守と残るって事か?」
「情の移った女を嬉しそうに殺した者とは残りたくないが・・・。君が次の遺跡守だろう?」
そうそう悪魔に呪いなんて効くかよ。と言うか、既にアマリに呪われてるようなもんだからな。
「俺が遺跡守? 冗談じゃあねぇ。・・・トウバ、俺が遺跡守になったかどうかちょっくら確認するからよ、ちょっと走って遺跡から出て、また戻ってきてくれ」
本当は自分が遺跡から出るのが一番わかり易いだろうけどな。呪いにかかってりゃ遺跡から出られないだろうしよ。だがめんどくせぇ。
トウバが遺跡を出ようとすれば、俺は遺跡守の呪いの力で勝手に動くはずだ。
「わかった」
トウバは嫌がる事なく走って大部屋の出入り口から出ると、見張りをしていたマサヨシの驚く声が聞こえてきた。トウバは足音がしねぇからな。あの豚野郎じゃなくても驚くさ。
暫くしてからトウバが戻ってくる。
「どうだ? キリマル」
俺は肩を竦めてトウバに答える。
「なんもねぇ。樹族は神殺しの裏切り者だって話を俺から聞いたお前が、外に出てもなんの変化もなかったんだ、遺跡守は俺じゃねぇ」
「どうなっているのだ。呪いの話は嘘だったのか?」
王子は服を全部着終わると立ち上がって、カナリアの首を大事そうに拾うと、それをあるべき場所に置いた。
「これも運命だったのだ。せめて首は体の近くに置いてやろう」
意外と情け深いな、王子様はよ。
「ん~、そろそろ時間か?」
俺が腕時計を見て直ぐにカナリアが何事もなかったように蘇る。彼女は不思議そうに辺りを見渡して立ち上がった。
そして俺を見て慌てて王子の背中に隠れる。
「ぐっ・・・!」
言葉を詰まらせて俺を見るカナリアは、以前とは違う部分がある。
それは俺を見る目が恐怖に染まっているという事だ。
「なんだ! わけがわからん! どうなっている! 誰かが私を騙そうとしているのか?」
王子が少し苛立って喚くと、遺跡守はコノハの背中を抱きしめて震えた。
「私は見たんだ、コノハ王子・・・。死んでから輪廻の太陽へ向かう一つ前の段階で、私は道に迷っていた。暫くして小さなゴブリンの神と出会った。神が言うには、そのキリマルという男は宇宙の理に囚われていながら、宇宙の理の外にいると・・・」
「なんの話だ?」
王子はまだ何かの演劇が続いているのかと疑って、彼女を見て俺を見た。知るかよ、アホが。
「蘇生したばかりで頭が混乱しているのだろうさ。よくある事だ。俺の刀は斬った相手を蘇生する力がある。そして生き返った者は俺を恐れるようになる」
「では今も彼女が遺跡守なのか?」
「ああ。そういう事になる。良かったな、王子の子種を授かりし売女。これで高貴なる恋人と、ずっと一緒にいられるぞ、カナリア姫。俺のお陰で!」
皮肉を言ってから爪を服で磨き、フッと吹く。
「しかし、君たちはどうする? 遺跡守の掟に触れてしまっている。ここからカナリアが出す事はないのでは?」
「また邪魔するなら殺すまでだ。そうそう何度も蘇るとも思えねぇし、試してみてもいいがな?」
震えるカナリアの代わりに、王子が彼女を脇に抱きしめて答えた。
「我が伴侶となる女だ。殺すな」
「知った事か。本当はお前も殺す気で来たが気が変わったんだ。偉そうにするなよ?」
「な・・・なに? 私を殺すだと? 何故だ?」
本当に何も知らないのだな、この男は。王子が遺跡調査に来た隙に、ここぞとばかり跡目争いが始まるとは樹族の王族もせせこましい。
「獣人国レオンでお前は謀反を起こした事になってんだよ。実際はそんな事はなかったがな。だから殺す必要はなくなった。まぁどの道、王子はここから出られないのだから、死んだも同然か。クハハ!」
「私はただ、匿名の手紙でこの遺跡の情報を知ってやって来ただけだ。まぁ、調査に行くと言ったら父上とは言い争いになったがな。だが、お互いに殺すほど憎んではいない」
「意外と鈍い奴だな。お前を殺したがっているのは叔父だ」
「叔父上が? ということは、セリススが王座に座る事を望んでいると? 馬鹿な! こんな事を言うのはなんだが、セリススは母親がわからない落とし子だぞ! ある日突然、叔父上が自分の子だと言って、赤子を抱いて帰って来たのだ。一度甥の血筋を調べようと鑑定魔法で視ようとしたら、どうなったと思う? 魔法の力で阻害されてしまったのだ。なので私は得体のしれない者に王位継承権を与えたくない! 王位継承権は親友に譲る事にしてある」
「誰だ?」
「お前ごとき暗殺者に言うわけがない」
フンと鼻を鳴らす王子に、俺もフンと俺は鼻で笑い返す。誰が王位継承権を持とうがどうでもいい事だからな。
「まぁどうだっていいさ。で、王には何と伝える?」
「寿命が来るその時まで、継承権を誰にも渡さないと言っておいてくれ」
ああ、賢い選択だ。
「ここにいれば王子を殺そうとする暗殺者も尻込みするだろうしな。隣には虚無魔法の使い手もいる。死ぬことはねぇだろうよ。だが、樹族国は混乱するんじゃねぇかなぁ? え?」
ニヤニヤと笑う俺に、王子は鼻に皺を寄せた。
「お前の知ったことではない」
「確かにな」
俺はもう王子に興味がなくなり、シルビィでも助けに行くかと考えたが、一つ引っかかる事がある。妙に鼻がヒクヒクするんだわ。何か臭う。
「王子さんよ、最後に一つ。その逞しい胸毛に埋もれている手紙を見せてはもらえねぇか?」
それはこれまで、実戦よりも研究を優先した結果かもしれんな。
攻防に少しでも間と距離が空くと、率先してこちらを視認し、攻撃してくるのはありがてぇ。
どんなに優秀なメイジだろうがなんだろうが、人である以上限界がある。特に動体視力と空間認識能力なんかはそうだ。そしていつかミスをする。
カナリアは残り少なくなった魔法点に焦ったのか、全力を振り絞って、俺を六方から囲む虚無の渦を作り出した。側面と上下。
灰色の渦の向こうで俺の脚と長い髪が粉々に消えていくのを見て、遺跡守は安堵したのか笑った。
「ははははッ! ハァハァ。あんた中々頑張ったけどさぁ! ここまでだね! 遺跡守と対等に戦える盗人は初めて見たよ。樹族国の遺跡守が倒されたと聞いたけど、あれは相手が現人神だったからね」
「そうだな。この時代じゃヒジリ程の力がなくても、現人神になれるんだからよ。そういう意味では俺様も現人神レベルだ。それから! 残念だが、お前が狙ったのは俺の残像だぜ? クハハ! ほうほう、渦の裏側は無害なんだな」
「―――!!」
俺の声に驚いて振り向いたカナリアの顔に、縦斬りをお見舞いするも、当然回避される。
しかし、さっきも言ったようにカナリアが人である以上限界がある。魔法のローブに頼って何度も何度も短いスパンで瞬間的な回避をしていると、常人ってのはァ、どうなるのか。
視覚からの情報に頭が追い付かなくなって、方向感覚や空間認識能力が狂ってくるんだわ。
で、奴は間違えて俺の残像を狙い、大事な虚無の渦を全部使ってしまった。そして今も混乱した頭で、俺の残像の攻撃を回避した。
回避した先で自分が今どんな状況にいるかを確認するために、認識力の落ちた頭で辺りを目で確認する際に、大きな隙が生まれる。
その隙は魔法のローブでもカバーできない。
結局のところ、優秀な魔法の防具も装備者の視覚情報や判断力に依存するからだ。
勿論のこと、俺はその隙を見逃したりはしなかった。
「チェックメイト!」
狙い通りカナリアがほんのコンマ数秒、自分のいる場所を確認している――――、その目先で俺は現れて消えた。
―――ヒュン!
アマリが、カナリアの首の細胞の細胞壁を壊す事なく、綺麗に切り裂いていく。
俺が姿を現した頃には遺跡守の長い黒髪が、おかっぱになって地面に転がっていた。首の付け根からは意外と血は出てないな。もっと噴水みたいに盛大に出てくれても良かったんだがよ。
「キヒヒヒ! 中々楽しい戦いだったぜ!」
俺はまだ残る虚無の渦に石を投げて爆発で消すと、王子を見た。
(さてさて、王子を殺せばミッション終了。これで次の世界や時代に飛ばされて、俺はビャクヤに近づく。或いは次こそがゴールかもしれねぇ。しかしなぁ・・・)
そう、しかし・・・。
コズミックペンのシナリオ通りに動くのは、なんか面白くねぇなんだわ。
「なぁ。おめぇはどうしたい? 王子さんよ」
俺が王子に切っ先を向けていると、トウバがどこからか持ってきた王子の服と鎧を置いた。
「コノハ王子、これを」
「ありがとう、トウバ」
ギンジーが王子に遺跡調査を許可したと言っていたのは議会での話だろうから、トウバが王子の顔を知っていてもおかしくはねぇか。服や装備を持ってくるぐらいの気遣いはするだろうさ。
王子は服を着つつも残念そうな表情でカナリアの首を見てから辺りを見渡している。
「私は・・・。私はここに残る。真実を知りたいのだ。樹族がこれまでに何をして、どういった軌跡を辿り、今があるのかを知りたい」
「って事は遺跡守と残るって事か?」
「情の移った女を嬉しそうに殺した者とは残りたくないが・・・。君が次の遺跡守だろう?」
そうそう悪魔に呪いなんて効くかよ。と言うか、既にアマリに呪われてるようなもんだからな。
「俺が遺跡守? 冗談じゃあねぇ。・・・トウバ、俺が遺跡守になったかどうかちょっくら確認するからよ、ちょっと走って遺跡から出て、また戻ってきてくれ」
本当は自分が遺跡から出るのが一番わかり易いだろうけどな。呪いにかかってりゃ遺跡から出られないだろうしよ。だがめんどくせぇ。
トウバが遺跡を出ようとすれば、俺は遺跡守の呪いの力で勝手に動くはずだ。
「わかった」
トウバは嫌がる事なく走って大部屋の出入り口から出ると、見張りをしていたマサヨシの驚く声が聞こえてきた。トウバは足音がしねぇからな。あの豚野郎じゃなくても驚くさ。
暫くしてからトウバが戻ってくる。
「どうだ? キリマル」
俺は肩を竦めてトウバに答える。
「なんもねぇ。樹族は神殺しの裏切り者だって話を俺から聞いたお前が、外に出てもなんの変化もなかったんだ、遺跡守は俺じゃねぇ」
「どうなっているのだ。呪いの話は嘘だったのか?」
王子は服を全部着終わると立ち上がって、カナリアの首を大事そうに拾うと、それをあるべき場所に置いた。
「これも運命だったのだ。せめて首は体の近くに置いてやろう」
意外と情け深いな、王子様はよ。
「ん~、そろそろ時間か?」
俺が腕時計を見て直ぐにカナリアが何事もなかったように蘇る。彼女は不思議そうに辺りを見渡して立ち上がった。
そして俺を見て慌てて王子の背中に隠れる。
「ぐっ・・・!」
言葉を詰まらせて俺を見るカナリアは、以前とは違う部分がある。
それは俺を見る目が恐怖に染まっているという事だ。
「なんだ! わけがわからん! どうなっている! 誰かが私を騙そうとしているのか?」
王子が少し苛立って喚くと、遺跡守はコノハの背中を抱きしめて震えた。
「私は見たんだ、コノハ王子・・・。死んでから輪廻の太陽へ向かう一つ前の段階で、私は道に迷っていた。暫くして小さなゴブリンの神と出会った。神が言うには、そのキリマルという男は宇宙の理に囚われていながら、宇宙の理の外にいると・・・」
「なんの話だ?」
王子はまだ何かの演劇が続いているのかと疑って、彼女を見て俺を見た。知るかよ、アホが。
「蘇生したばかりで頭が混乱しているのだろうさ。よくある事だ。俺の刀は斬った相手を蘇生する力がある。そして生き返った者は俺を恐れるようになる」
「では今も彼女が遺跡守なのか?」
「ああ。そういう事になる。良かったな、王子の子種を授かりし売女。これで高貴なる恋人と、ずっと一緒にいられるぞ、カナリア姫。俺のお陰で!」
皮肉を言ってから爪を服で磨き、フッと吹く。
「しかし、君たちはどうする? 遺跡守の掟に触れてしまっている。ここからカナリアが出す事はないのでは?」
「また邪魔するなら殺すまでだ。そうそう何度も蘇るとも思えねぇし、試してみてもいいがな?」
震えるカナリアの代わりに、王子が彼女を脇に抱きしめて答えた。
「我が伴侶となる女だ。殺すな」
「知った事か。本当はお前も殺す気で来たが気が変わったんだ。偉そうにするなよ?」
「な・・・なに? 私を殺すだと? 何故だ?」
本当に何も知らないのだな、この男は。王子が遺跡調査に来た隙に、ここぞとばかり跡目争いが始まるとは樹族の王族もせせこましい。
「獣人国レオンでお前は謀反を起こした事になってんだよ。実際はそんな事はなかったがな。だから殺す必要はなくなった。まぁどの道、王子はここから出られないのだから、死んだも同然か。クハハ!」
「私はただ、匿名の手紙でこの遺跡の情報を知ってやって来ただけだ。まぁ、調査に行くと言ったら父上とは言い争いになったがな。だが、お互いに殺すほど憎んではいない」
「意外と鈍い奴だな。お前を殺したがっているのは叔父だ」
「叔父上が? ということは、セリススが王座に座る事を望んでいると? 馬鹿な! こんな事を言うのはなんだが、セリススは母親がわからない落とし子だぞ! ある日突然、叔父上が自分の子だと言って、赤子を抱いて帰って来たのだ。一度甥の血筋を調べようと鑑定魔法で視ようとしたら、どうなったと思う? 魔法の力で阻害されてしまったのだ。なので私は得体のしれない者に王位継承権を与えたくない! 王位継承権は親友に譲る事にしてある」
「誰だ?」
「お前ごとき暗殺者に言うわけがない」
フンと鼻を鳴らす王子に、俺もフンと俺は鼻で笑い返す。誰が王位継承権を持とうがどうでもいい事だからな。
「まぁどうだっていいさ。で、王には何と伝える?」
「寿命が来るその時まで、継承権を誰にも渡さないと言っておいてくれ」
ああ、賢い選択だ。
「ここにいれば王子を殺そうとする暗殺者も尻込みするだろうしな。隣には虚無魔法の使い手もいる。死ぬことはねぇだろうよ。だが、樹族国は混乱するんじゃねぇかなぁ? え?」
ニヤニヤと笑う俺に、王子は鼻に皺を寄せた。
「お前の知ったことではない」
「確かにな」
俺はもう王子に興味がなくなり、シルビィでも助けに行くかと考えたが、一つ引っかかる事がある。妙に鼻がヒクヒクするんだわ。何か臭う。
「王子さんよ、最後に一つ。その逞しい胸毛に埋もれている手紙を見せてはもらえねぇか?」
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