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洞窟の住人
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「天帝様のためにぃ! しっかりと石を運べぇ! そらそらそらぁ!」
なんだ、あいつらは・・・。俺はどうやら北斗の拳みたいな世界に来たようだ。
まだビャクヤと契約の繋がりがあるにもかかわらず、俺を召喚した馬鹿がいた。
なのでサクッとそいつを殺して、なんとなくこの世界を散策をしていたら、モヒカンの大男が大きな石を運ぶ子供たちを、鞭打つ場面に出くわした。
「あぁ~! 貴様ぁ! なぁ~に見てんだぁ?」
屈強な禿男が俺を睨みながら近づいてくる。俺は何となく弱者のフリをしてみた。
「ひぃぃ! あっしはただの通りすがりの旅人です! 勘弁してください!」
「ほぉ? いい得物を持ってるじゃあねぇか。それにその面構え、ただの旅人じゃあねぇな」
中々勘が良いねぇ。殺すか? いや、もう少し三下を演じてみるか。意外と楽しいな。クハハ!
「へっへっへ。わかりやすか? 実はあっしは盗賊団にいたんでげす。ケンゴロウって男がその盗賊団を壊滅させたもんで、あっしは命からがら逃げてきたんでげす。なんで特に目的もなくフラフラしてたんでさぁ」
「じゃあ子分にでもなるか? あ?」
「え! いいですかい? って誰がなるか! アホがぁ!」
俺はごっこ遊びを止めて、禿野郎の腕を掴んで体内で小爆発を起こし、殺す。
「な、なんだぁ! あいつ! この何もかもが消え果てた時代に、貴重な爆弾を使いやがった! どうせ一発限りの爆弾だろう! 怯むな! 奴を殺せ!」
ダダダダと機関銃の音がする。お前らのその銃や弾も貴重なんじゃないのか? いいのか、俺に使って。っていうか、ここは明らかにファンタジーの世界じゃねぇな。じゃあ俺を召喚した奴は何者だよ。もう殺しちまったからわからねぇが。
さて、どんな攻撃だろうが視界に入れている限り、お前らの攻撃は当たらねぇ。俺は銃弾をひょいひょい躱して、時にアマリで弾く。
「この世界は退屈だな。まだバグだらけのフォールアウトをプレイしているほうがマシだぜ! 死ね! 無残一閃!」
複数人を相手する時に必ず活躍するこの技は、広範囲の水平薙ぎ払いでモヒカンヒャッハーたちの首を刎ねていく。
転がる頭を拾って空中に投げると、爆発の手の能力で頭はホウセンカの種のように弾けた。それを数回繰り返してレイダーを殲滅。
「へ、汚い連発花火だねぇ」
奴隷の子供たちは何が起きたのか理解できていねぇようだ。というか悲鳴を上げるわけでもなく怯えるわけでもなく。目が死んでいるな。自我や意思がねぇのか?
「まぁ、どうでもいいか」
そう言って立ち去ろうとすると体が光り輝き始めた。
「またかよ・・・。ったく。誰だろうがよ、俺を召喚したことを後悔させてやるからな! クハハ!」
砂浜まで船を押してビャクヤは波の押し寄せない場所で、寝転んで荒く息をする。
「ぜぇはぁ・・・。転移魔法を使いまくってからの、小舟の陸揚げは厳しいものがありまんすッ!」
「お疲れ様。一日で半分の距離を進むなんて頑張り過ぎよ。はい、お水」
リンネがどこからか採取してきた――――、水ひょうたんという名の水を貯える瓢箪をビャクヤに差し出した。
「おわ! ひゃっこいッ! わざわざ魔法で冷やしてくれたんですか? ああ、愛しの主様は女神様のようだッ!」
瓢箪の口をナイフで切って、ビャクヤはごくごくと中の水を飲み干した。
「う、うまいッ! 水の中に主様の愛情が溶け込んでいるッ! 生き返るようだッ!」
「大袈裟ね」
リンネはウフフと笑ってから、無人島の浜辺を見渡した。
「さてと、今晩はどこで寝ようかな。波が届かない場所は茂みになってるし・・・」
「んんんなるじ様ッ! あすこにご都合主義の読み物のようにッ! 丁度良い洞窟がッ!」
背の低い茂みの奥にある崖の下に洞窟を見つけて、リンネは手を合わせて喜ぶ。
「わぁ! あそこなら雨が降っても大丈夫そうね」
「魔物の気配が一切しないので大丈夫だとは思いますが、野生生物がいるかもしれません。注意して入りまショウッ!」
「この島って空気の淀みみたいなのを感じないのよね。なんていうか、無というか・・・」
「逆にありがたい事ではないですかッ! さぁ行きませうッ!」
浜辺のヤシの木に船をロープで結びつけると、ビャクヤはリンネの手を引いて洞窟へと向かった。
「ビャクヤは疲れているでしょ? 私が【灯り】の魔法を使うから」
そう言ってリンネは灯りの魔法を使った。
それは魔人族が使う灯りの魔法に比べると薄暗いが、それでも主の気遣いがビャクヤには嬉しかった。
「んんんなるじ様はッ! ほんと優しくなられたッ! んんんツンツンしてた頃が懐かしいッ!」
「馬鹿・・・。私たちもうそんな仲じゃないじゃん。エ、エッチもしたんだし・・・」
「じゃ、じゃあ・・・。リンネって呼んでもいいですかッ!」
「別に私はそれでよかったんだけど? ビャクヤが勝手に主様って呼んでるだけで・・・。そもそも私たちは主従関係ではなかったんだし。対等だよ?」
「リンネ」
ビャクヤの仮面にイケメンっぽい表情が浮かんだ。声も良い声になっている。
「う、いざ言われると恥ずかしい」
「愛している、リンネ」
「うん・・・。私も愛してるよ、ビャクヤ」
「カァーーー! ペッ!(ペッペッペッ・・・・)」
洞窟に誰かが痰を吐く音が響いた。
「誰が来たのかと思えば、バカップルですか・・・」
ビャクヤはマントを広げてリンネを包んで守る。
「誰ですかなッ?」
「私でぃす!」
小人族のような男が全身を光らせた。
「うぉ! 眩しッ!」
ビャクヤが次の一手を警戒して【魔法障壁】を張った。
ビャクヤの用心深さを見て、何者かはクスっと笑っている。
「そんなに驚かなくても大丈夫ですよ、バカップルたち」
どうやら向こうに敵意はないようだ。ビャクヤは戻りつつある視界で相手を見定める。
(ふむふむ。獣人の類かなッ? さしずめヤモリ人といったところかッ!)
灰色の肌に大きな黒目。切り込みを入れただけのような口に胡麻のような鼻腔。つるっとした皺のない頭と体。
「あまり驚かさないでいただきたいッ! ヤモリ人どの!」
「ヤモリ人? 僕は獣人ではない! 神の最後の末裔なんですが?」
(あ、なるほど。洞窟でずっと一人でいるとこうなっちゃいますよねッ! 可哀想にッ! 話を合わせておきますかッ!)
「それは失礼いたしましたッ! お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「ウンモス」
「ウンコスッ?! (この場にアマリちゃんがいなくて良かったんぬッ! アマリちゃんは異様にウンコという言葉に反応するからねッ!)」
「ウンモス、です!」
「重ね重ね失礼をッ! お許しください、ウンコ・・・、ウンモス様」
「で、僕の住処に何しに来たんだい?」
「夜露しのぎの場所を探して来たのデスッ! 他意はありませんぬッ!」
「なんだ、そんな事ですか。じゃあ僕の家に泊っていきなさい」
有難い申し出だが、寝ている間にブスリと刺されたりしないだろうか?
「い、いいんですかッ!? 神の御家にお邪魔などしてもッ!」
「僕は神じゃないですよ。今は神の末裔です」
そう言ってウンモスが案内した先は行き止まりだった。
(やはり、このウンモスって人は狂っているッ! 孤独がッ! 彼を蝕んだッ!)
ウンモスが岩に触れると扉が現れて、銀色の部屋が見えた。
(え? この感じ・・・。彼は本当に神様なのかッ?)
ビャクヤはこの中に【読心】の魔法の使い手が自分以外にいない事を感謝して、誤魔化すように扉に驚いてみせた。
「おお! 隠し扉ッ! 中はさりげなくもなく、ギンギラ銀ですね!」
「なぜ先祖がこんなつるんとした内装を好んだのかは、僕にもわからないです。さぁ座って」
ビャクヤとリンネは床と一つながりになっている椅子に座ると驚いた。
「お尻にフィットする! これなら何時間座っても疲れないわ!」
「こんな魔法は、吾輩も知らないッ!」
彼が神の末裔と言ったのも頷ける気がしてきた。幻影魔法だとしても、これを再現するには本物を知っていなければならない。彼が神のような存在を演出するにしても、想像だけでは無理な物が多い。
(ヒジリ様の書斎でお爺様がくつろいでいる映像をッ! 不思議な装置で見た事がありますがッ! ヒジリ様の書斎もここと同様、無機質な感じだったッ!)
ビャクヤはまじまじと、神の末裔かもしれないヤモリ人を見る。
(彼は明らかに上位者だ。ヒジリ様やサカモト神の類ッ! いや、もしかしたら・・・、それ以上)
一瞬にしてテーブルに並ぶ料理に、ビャクヤは即座に【魔法探知】を唱え。幻ではない事を確認する。
(この数々の豪華な料理は本物だ。今、このウンモスは【食料創造】の魔法を使ってなかったッ! となるとッ! 神ヒジリ様が幼少期の吾輩に教えてくれた、”でゅぷりけーたー“を使ったのかもしれないッ!)
「わぁ~! 凄いご馳走! 美味しそう!」
「久々のお客様で僕も嬉しいです。どうぞゆっくり食べて休んでいってください」
リンネは意外と相手が何者かとかこの料理がどうやって作られたのかを気にしておらず、ロブスターのぷりぷりとした身を頬張った。
「美味しい! 周りが海だから魚介類が新鮮だよ、ビャクヤ!」
「え、ええ。そうですね」
ニコニコとしているリンネを見て笑い返し、嬉しそうにこちらを見ているウンモスを前に、ビャクヤは彼の好意に身を委ねるべきかどうかを考えあぐねていた。
なんだ、あいつらは・・・。俺はどうやら北斗の拳みたいな世界に来たようだ。
まだビャクヤと契約の繋がりがあるにもかかわらず、俺を召喚した馬鹿がいた。
なのでサクッとそいつを殺して、なんとなくこの世界を散策をしていたら、モヒカンの大男が大きな石を運ぶ子供たちを、鞭打つ場面に出くわした。
「あぁ~! 貴様ぁ! なぁ~に見てんだぁ?」
屈強な禿男が俺を睨みながら近づいてくる。俺は何となく弱者のフリをしてみた。
「ひぃぃ! あっしはただの通りすがりの旅人です! 勘弁してください!」
「ほぉ? いい得物を持ってるじゃあねぇか。それにその面構え、ただの旅人じゃあねぇな」
中々勘が良いねぇ。殺すか? いや、もう少し三下を演じてみるか。意外と楽しいな。クハハ!
「へっへっへ。わかりやすか? 実はあっしは盗賊団にいたんでげす。ケンゴロウって男がその盗賊団を壊滅させたもんで、あっしは命からがら逃げてきたんでげす。なんで特に目的もなくフラフラしてたんでさぁ」
「じゃあ子分にでもなるか? あ?」
「え! いいですかい? って誰がなるか! アホがぁ!」
俺はごっこ遊びを止めて、禿野郎の腕を掴んで体内で小爆発を起こし、殺す。
「な、なんだぁ! あいつ! この何もかもが消え果てた時代に、貴重な爆弾を使いやがった! どうせ一発限りの爆弾だろう! 怯むな! 奴を殺せ!」
ダダダダと機関銃の音がする。お前らのその銃や弾も貴重なんじゃないのか? いいのか、俺に使って。っていうか、ここは明らかにファンタジーの世界じゃねぇな。じゃあ俺を召喚した奴は何者だよ。もう殺しちまったからわからねぇが。
さて、どんな攻撃だろうが視界に入れている限り、お前らの攻撃は当たらねぇ。俺は銃弾をひょいひょい躱して、時にアマリで弾く。
「この世界は退屈だな。まだバグだらけのフォールアウトをプレイしているほうがマシだぜ! 死ね! 無残一閃!」
複数人を相手する時に必ず活躍するこの技は、広範囲の水平薙ぎ払いでモヒカンヒャッハーたちの首を刎ねていく。
転がる頭を拾って空中に投げると、爆発の手の能力で頭はホウセンカの種のように弾けた。それを数回繰り返してレイダーを殲滅。
「へ、汚い連発花火だねぇ」
奴隷の子供たちは何が起きたのか理解できていねぇようだ。というか悲鳴を上げるわけでもなく怯えるわけでもなく。目が死んでいるな。自我や意思がねぇのか?
「まぁ、どうでもいいか」
そう言って立ち去ろうとすると体が光り輝き始めた。
「またかよ・・・。ったく。誰だろうがよ、俺を召喚したことを後悔させてやるからな! クハハ!」
砂浜まで船を押してビャクヤは波の押し寄せない場所で、寝転んで荒く息をする。
「ぜぇはぁ・・・。転移魔法を使いまくってからの、小舟の陸揚げは厳しいものがありまんすッ!」
「お疲れ様。一日で半分の距離を進むなんて頑張り過ぎよ。はい、お水」
リンネがどこからか採取してきた――――、水ひょうたんという名の水を貯える瓢箪をビャクヤに差し出した。
「おわ! ひゃっこいッ! わざわざ魔法で冷やしてくれたんですか? ああ、愛しの主様は女神様のようだッ!」
瓢箪の口をナイフで切って、ビャクヤはごくごくと中の水を飲み干した。
「う、うまいッ! 水の中に主様の愛情が溶け込んでいるッ! 生き返るようだッ!」
「大袈裟ね」
リンネはウフフと笑ってから、無人島の浜辺を見渡した。
「さてと、今晩はどこで寝ようかな。波が届かない場所は茂みになってるし・・・」
「んんんなるじ様ッ! あすこにご都合主義の読み物のようにッ! 丁度良い洞窟がッ!」
背の低い茂みの奥にある崖の下に洞窟を見つけて、リンネは手を合わせて喜ぶ。
「わぁ! あそこなら雨が降っても大丈夫そうね」
「魔物の気配が一切しないので大丈夫だとは思いますが、野生生物がいるかもしれません。注意して入りまショウッ!」
「この島って空気の淀みみたいなのを感じないのよね。なんていうか、無というか・・・」
「逆にありがたい事ではないですかッ! さぁ行きませうッ!」
浜辺のヤシの木に船をロープで結びつけると、ビャクヤはリンネの手を引いて洞窟へと向かった。
「ビャクヤは疲れているでしょ? 私が【灯り】の魔法を使うから」
そう言ってリンネは灯りの魔法を使った。
それは魔人族が使う灯りの魔法に比べると薄暗いが、それでも主の気遣いがビャクヤには嬉しかった。
「んんんなるじ様はッ! ほんと優しくなられたッ! んんんツンツンしてた頃が懐かしいッ!」
「馬鹿・・・。私たちもうそんな仲じゃないじゃん。エ、エッチもしたんだし・・・」
「じゃ、じゃあ・・・。リンネって呼んでもいいですかッ!」
「別に私はそれでよかったんだけど? ビャクヤが勝手に主様って呼んでるだけで・・・。そもそも私たちは主従関係ではなかったんだし。対等だよ?」
「リンネ」
ビャクヤの仮面にイケメンっぽい表情が浮かんだ。声も良い声になっている。
「う、いざ言われると恥ずかしい」
「愛している、リンネ」
「うん・・・。私も愛してるよ、ビャクヤ」
「カァーーー! ペッ!(ペッペッペッ・・・・)」
洞窟に誰かが痰を吐く音が響いた。
「誰が来たのかと思えば、バカップルですか・・・」
ビャクヤはマントを広げてリンネを包んで守る。
「誰ですかなッ?」
「私でぃす!」
小人族のような男が全身を光らせた。
「うぉ! 眩しッ!」
ビャクヤが次の一手を警戒して【魔法障壁】を張った。
ビャクヤの用心深さを見て、何者かはクスっと笑っている。
「そんなに驚かなくても大丈夫ですよ、バカップルたち」
どうやら向こうに敵意はないようだ。ビャクヤは戻りつつある視界で相手を見定める。
(ふむふむ。獣人の類かなッ? さしずめヤモリ人といったところかッ!)
灰色の肌に大きな黒目。切り込みを入れただけのような口に胡麻のような鼻腔。つるっとした皺のない頭と体。
「あまり驚かさないでいただきたいッ! ヤモリ人どの!」
「ヤモリ人? 僕は獣人ではない! 神の最後の末裔なんですが?」
(あ、なるほど。洞窟でずっと一人でいるとこうなっちゃいますよねッ! 可哀想にッ! 話を合わせておきますかッ!)
「それは失礼いたしましたッ! お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「ウンモス」
「ウンコスッ?! (この場にアマリちゃんがいなくて良かったんぬッ! アマリちゃんは異様にウンコという言葉に反応するからねッ!)」
「ウンモス、です!」
「重ね重ね失礼をッ! お許しください、ウンコ・・・、ウンモス様」
「で、僕の住処に何しに来たんだい?」
「夜露しのぎの場所を探して来たのデスッ! 他意はありませんぬッ!」
「なんだ、そんな事ですか。じゃあ僕の家に泊っていきなさい」
有難い申し出だが、寝ている間にブスリと刺されたりしないだろうか?
「い、いいんですかッ!? 神の御家にお邪魔などしてもッ!」
「僕は神じゃないですよ。今は神の末裔です」
そう言ってウンモスが案内した先は行き止まりだった。
(やはり、このウンモスって人は狂っているッ! 孤独がッ! 彼を蝕んだッ!)
ウンモスが岩に触れると扉が現れて、銀色の部屋が見えた。
(え? この感じ・・・。彼は本当に神様なのかッ?)
ビャクヤはこの中に【読心】の魔法の使い手が自分以外にいない事を感謝して、誤魔化すように扉に驚いてみせた。
「おお! 隠し扉ッ! 中はさりげなくもなく、ギンギラ銀ですね!」
「なぜ先祖がこんなつるんとした内装を好んだのかは、僕にもわからないです。さぁ座って」
ビャクヤとリンネは床と一つながりになっている椅子に座ると驚いた。
「お尻にフィットする! これなら何時間座っても疲れないわ!」
「こんな魔法は、吾輩も知らないッ!」
彼が神の末裔と言ったのも頷ける気がしてきた。幻影魔法だとしても、これを再現するには本物を知っていなければならない。彼が神のような存在を演出するにしても、想像だけでは無理な物が多い。
(ヒジリ様の書斎でお爺様がくつろいでいる映像をッ! 不思議な装置で見た事がありますがッ! ヒジリ様の書斎もここと同様、無機質な感じだったッ!)
ビャクヤはまじまじと、神の末裔かもしれないヤモリ人を見る。
(彼は明らかに上位者だ。ヒジリ様やサカモト神の類ッ! いや、もしかしたら・・・、それ以上)
一瞬にしてテーブルに並ぶ料理に、ビャクヤは即座に【魔法探知】を唱え。幻ではない事を確認する。
(この数々の豪華な料理は本物だ。今、このウンモスは【食料創造】の魔法を使ってなかったッ! となるとッ! 神ヒジリ様が幼少期の吾輩に教えてくれた、”でゅぷりけーたー“を使ったのかもしれないッ!)
「わぁ~! 凄いご馳走! 美味しそう!」
「久々のお客様で僕も嬉しいです。どうぞゆっくり食べて休んでいってください」
リンネは意外と相手が何者かとかこの料理がどうやって作られたのかを気にしておらず、ロブスターのぷりぷりとした身を頬張った。
「美味しい! 周りが海だから魚介類が新鮮だよ、ビャクヤ!」
「え、ええ。そうですね」
ニコニコとしているリンネを見て笑い返し、嬉しそうにこちらを見ているウンモスを前に、ビャクヤは彼の好意に身を委ねるべきかどうかを考えあぐねていた。
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