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呪いの力
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コロコロと転がって来たビャクヤの頭が、俺の足元にある。
「なんで仮面の表情がにやけてんだ、こいつ・・・。(素顔でも見てやろうか?)」
薄れて向こうが透けて見える手で、ビャクヤの頭を拾い上げてまじまじと見る。
やれやれ・・・。何となくお前の意図が読めたぜ。
やたらと絶望的な雰囲気を出していたのは、そういう事だな?
この変態仮面の策に乗るのは嫌だなと思っていると、リンネが嗚咽を漏らして泣き始めた。
「いや・・・ビャクヤが死んじゃった! ・・・キリマルも消えちゃう!」
あ~あ、お前の考えが読めない大主様は、本気で悲しんでいるぞ・・・。ショックで脚が震えてやがる。
「たかが使い魔が死んだだけで、動揺するとは情けないな、お嬢さん。将来、王宮で働くのだろう? ウィザードの卵がそんな精神薄弱でどうする? 王宮では同僚と足の引っ張り合いで、常に汚い駆け引きをしなければいけないのだぞ? なんなら今夜ベッドの上で駆け引きの仕方を教えてやろうか?」
聖職者であるはずの神殿騎士団の隊長は、リンネの透き通るような白い頬を舐めた。
「ひっ・・・」
驚いて体勢を崩すリンネの腰に、シンベーイは手をまわして支えるふりをして、胸を揉む。
なんとも助平なオッサンだな。シンベーイじゃなくてスケベーイに改名したらどうだ?
「リンネさん!」
ん? 誰かが来たな。あの金髪碧眼ボーイは・・・、聖騎士見習いの・・・。名前はなんだったかな。そうそうリッドだ。何しに来やがった? 握りこぶしなんか作ってどうした?
「リンネさんを離してください、神殿騎士殿!」
お? 愛しのリンネを助けに来たのか? 確かにこのスケベーイは、このままだとリンネを手籠めにしてしまうだろうからな。
「何の話だ? 私は何もしていない。この女が体を寄せてくるのだ」
うむ、白々しい野郎だ。
それにしても俺は中々消えないな・・・。光の柱から出られたりしねぇかな?
遮る光の壁を押したがビクともしなかった。
無理だだ。俺には絶対この壁は壊せねぇ。
「聖職者として、恥ずかしくはないのですか!」
お? 頑張るねぇ? 早漏のリッド君。おチンチンは堪え性がないのに、神殿騎士様に噛みつく根性はあるんだな。
「何の事だね? 聖騎士見習い君。君は将来、我々を裁く立場にあるかもしれないが、今はまだその権限も実力もない。それにこれは彼女が勝手に体を押し付けているのだ。言いがかりは止めてくれ」
スケベーイはリンネを更に引き寄せて尻を揉んだ。
「確かに! 今の僕には力がない! しかし! 父上にこの事を報告したら、貴方たちはどうなるのでしょうね?」
粘るねぇ、リッド君。
「貧乏聖騎士がしゃしゃり出てきたところで、どうという事はないよ。それよりここはまだゾンビがいて危険だなぁ? うっかりと魔法学園の生徒が死んでもおかしくはない」
シンベーイが指を鳴らすと神殿騎士達が剣を抜いてリッドを囲んだ。その外側を余った騎士が野次馬の視界を遮るようにして立っている。
「僕を・・・! 殺す気なんですか?」
「誰が誰を殺すって? 君を殺すのは神殿騎士ではない。剣と鎧を装備したゾンビだ」
「もう、こんな事は止めてください! 神殿騎士様!」
リンネが泣き叫んだ。
「黙れ。使い魔の犠牲を無駄にしてやってもいいのだがね? リンネ君」
どんどんと傲慢になるシンベーイ隊長の上に、突然雷雲が立ち込める。
ん? 誰の魔法だ? リンネは詠唱していないぞ?
黒い雷雲の中で光る稲光に照らされて、辺りを見回す騎士たちの前に小さな闇が現れた。
それはすぐに人の形をとる。
「本当はこのイザコザに関わりたくはなかったのですが・・・。元白ローブのメイジとしては、神殿騎士の悪事を見過ごすことができません。稲妻よ! 悪しき心を持つ騎士たちを穿ち、焼け!」
ほぉ。リッチのルロロがリンネたちを助けようとしているぞ。ルロロが善人のメイジなのは本当だったのか。
「ぎゃああああ!!」
神殿騎士を電流が焼く。焦げ臭い匂いとオゾンの生臭い匂いが辺りに立ち込めて、少し離れた場所にいた僧侶のボィズーが鼻を押さえた。
その僧侶に樹族の険しい顔が向いた。
「貴方も聖職者ならば、何が正しい事かは解りますね?」
攻撃魔法を使ったからなのか、ルロロの変身が解けて、暗い眼窩に光る点のような赤い瞳がボィズーを睨んだ。
「ひぃぃ! リッチ!」
「そうです、私はリッチです。ですが、善なる心までは悪魔に売り渡してはいません。見た目こそこんなですが、私は、あの神殿騎士のような卑怯な生き方はしていない! 彼らを回復させてはなりませんよ、僧侶殿」
「ですが・・・」
「う・・・あ・・・。助けてくれ・・・ボィズー・・・」
先程まで慢心して尊大だったシンベーイは、焼け焦げた姿で地面に横たわり僧侶に助けを求めた。
「確かに、彼らは善人とは言い難い。ですが・・・それでも神の僕である私は、闇の眷属に味方する事はできません。彼らに改心のチャンスを与えたいのです。攻撃したければしてください。私は彼らを助ける」
こいつは臆病ではあるが、信念は絶対曲げないタイプの男だな。時々いるんだわ、俺に殺されるってのに震えながら歯ァ食いしばって睨んでくる奴が。理不尽な死の恐怖には屈しないって顔してよ。この坊主はその類だ。
「今のうちにこちらへ。リンネさん。それから貴方も」
ルロロはリンネとリッドを手招きする。リッドは少しためらったが、リンネと共にルロロのもとへと走った。
「僕は! あの神殿騎士より貴方を信じる! リッチ殿!」
僧侶の祈りで一気に回復していく神殿騎士と対峙するつもりでいるリッドは、祝福されたメイスを抜いて構えた。
「ありがとう、聖騎士見習いさん」
のんびりと成り行きを見守っていたが、俺もそろそろやべぇな。
「頃合いか・・・。なぁ、アマリ。俺は、この悪魔を元の世界へ帰還させる奇跡の祈りには絶対抗えない。そうだな?」
「絶対に抗えない。そしてビャクヤも貴方にそれを意識させた。でもキリマルが今、何を考えているかは解る。その考えが心の隅々まで染みわたるまでもう時間はない。その思考が心と頭を巡りきった時、貴方は手立てを失い、本当に消えてしまう。それは悲しい。急いで」
「ああ。いくぜ? アマリ」
「準備はできている。私は樹族の呪いより生まれでた、神殺しの刀。自分の曲げられた運命や、まき散らす呪いが心底嫌いだった。でも今はその呪いで、愛しい人を助ける事ができる。とても嬉しい」
俺は刀の柄を握る。まだ自分の手の感覚が消えていないかを確かめるようにゆっくりと。
すぅと息を吸って身体中に気合を込めた。そして刀を鞘から抜いた瞬間に、アマリは叫ぶ。
「定められし確率を反転させて、神の奇跡を切り裂け! 我が呪い!」
―――ピュン!
悪魔が絶対に中から打ち破る事のできない光の柱は、持ち主の想いや思考を逆に叶える魔刀の切り裂き音と共に、呆気なく砕け散った。
「ば・・・馬鹿な! あり得ない!」
回復の祈りを施すボィズーは禿げ頭に玉汗を浮かべ、目を見開いて俺を見ている。
「神の奇跡が! 悪魔に破られた! 光の柱の中に捕らえた悪魔の帰還率は100%なのに!」
傷の癒えた神殿騎士の誰かがそう叫ぶと、他の騎士たちの顔が恐怖で引きつる。
「ヒャハハハ! この世に絶対なんてねぇんだよ! バーカ! さぁーて! お前ら、死ぬ準備はできてんだろうな? いや、殺しはしねぇ。全員、達磨にしてやるわ!!」
俺は消えかかっていた体が元に戻りつつあるのを確認してそう叫んだ。
リンネが見ているから手加減はしてやるが、お前ら神殿騎士にはよぉ、骨の髄まで俺様の恐怖を味あわせてやるぜ!
「なんで仮面の表情がにやけてんだ、こいつ・・・。(素顔でも見てやろうか?)」
薄れて向こうが透けて見える手で、ビャクヤの頭を拾い上げてまじまじと見る。
やれやれ・・・。何となくお前の意図が読めたぜ。
やたらと絶望的な雰囲気を出していたのは、そういう事だな?
この変態仮面の策に乗るのは嫌だなと思っていると、リンネが嗚咽を漏らして泣き始めた。
「いや・・・ビャクヤが死んじゃった! ・・・キリマルも消えちゃう!」
あ~あ、お前の考えが読めない大主様は、本気で悲しんでいるぞ・・・。ショックで脚が震えてやがる。
「たかが使い魔が死んだだけで、動揺するとは情けないな、お嬢さん。将来、王宮で働くのだろう? ウィザードの卵がそんな精神薄弱でどうする? 王宮では同僚と足の引っ張り合いで、常に汚い駆け引きをしなければいけないのだぞ? なんなら今夜ベッドの上で駆け引きの仕方を教えてやろうか?」
聖職者であるはずの神殿騎士団の隊長は、リンネの透き通るような白い頬を舐めた。
「ひっ・・・」
驚いて体勢を崩すリンネの腰に、シンベーイは手をまわして支えるふりをして、胸を揉む。
なんとも助平なオッサンだな。シンベーイじゃなくてスケベーイに改名したらどうだ?
「リンネさん!」
ん? 誰かが来たな。あの金髪碧眼ボーイは・・・、聖騎士見習いの・・・。名前はなんだったかな。そうそうリッドだ。何しに来やがった? 握りこぶしなんか作ってどうした?
「リンネさんを離してください、神殿騎士殿!」
お? 愛しのリンネを助けに来たのか? 確かにこのスケベーイは、このままだとリンネを手籠めにしてしまうだろうからな。
「何の話だ? 私は何もしていない。この女が体を寄せてくるのだ」
うむ、白々しい野郎だ。
それにしても俺は中々消えないな・・・。光の柱から出られたりしねぇかな?
遮る光の壁を押したがビクともしなかった。
無理だだ。俺には絶対この壁は壊せねぇ。
「聖職者として、恥ずかしくはないのですか!」
お? 頑張るねぇ? 早漏のリッド君。おチンチンは堪え性がないのに、神殿騎士様に噛みつく根性はあるんだな。
「何の事だね? 聖騎士見習い君。君は将来、我々を裁く立場にあるかもしれないが、今はまだその権限も実力もない。それにこれは彼女が勝手に体を押し付けているのだ。言いがかりは止めてくれ」
スケベーイはリンネを更に引き寄せて尻を揉んだ。
「確かに! 今の僕には力がない! しかし! 父上にこの事を報告したら、貴方たちはどうなるのでしょうね?」
粘るねぇ、リッド君。
「貧乏聖騎士がしゃしゃり出てきたところで、どうという事はないよ。それよりここはまだゾンビがいて危険だなぁ? うっかりと魔法学園の生徒が死んでもおかしくはない」
シンベーイが指を鳴らすと神殿騎士達が剣を抜いてリッドを囲んだ。その外側を余った騎士が野次馬の視界を遮るようにして立っている。
「僕を・・・! 殺す気なんですか?」
「誰が誰を殺すって? 君を殺すのは神殿騎士ではない。剣と鎧を装備したゾンビだ」
「もう、こんな事は止めてください! 神殿騎士様!」
リンネが泣き叫んだ。
「黙れ。使い魔の犠牲を無駄にしてやってもいいのだがね? リンネ君」
どんどんと傲慢になるシンベーイ隊長の上に、突然雷雲が立ち込める。
ん? 誰の魔法だ? リンネは詠唱していないぞ?
黒い雷雲の中で光る稲光に照らされて、辺りを見回す騎士たちの前に小さな闇が現れた。
それはすぐに人の形をとる。
「本当はこのイザコザに関わりたくはなかったのですが・・・。元白ローブのメイジとしては、神殿騎士の悪事を見過ごすことができません。稲妻よ! 悪しき心を持つ騎士たちを穿ち、焼け!」
ほぉ。リッチのルロロがリンネたちを助けようとしているぞ。ルロロが善人のメイジなのは本当だったのか。
「ぎゃああああ!!」
神殿騎士を電流が焼く。焦げ臭い匂いとオゾンの生臭い匂いが辺りに立ち込めて、少し離れた場所にいた僧侶のボィズーが鼻を押さえた。
その僧侶に樹族の険しい顔が向いた。
「貴方も聖職者ならば、何が正しい事かは解りますね?」
攻撃魔法を使ったからなのか、ルロロの変身が解けて、暗い眼窩に光る点のような赤い瞳がボィズーを睨んだ。
「ひぃぃ! リッチ!」
「そうです、私はリッチです。ですが、善なる心までは悪魔に売り渡してはいません。見た目こそこんなですが、私は、あの神殿騎士のような卑怯な生き方はしていない! 彼らを回復させてはなりませんよ、僧侶殿」
「ですが・・・」
「う・・・あ・・・。助けてくれ・・・ボィズー・・・」
先程まで慢心して尊大だったシンベーイは、焼け焦げた姿で地面に横たわり僧侶に助けを求めた。
「確かに、彼らは善人とは言い難い。ですが・・・それでも神の僕である私は、闇の眷属に味方する事はできません。彼らに改心のチャンスを与えたいのです。攻撃したければしてください。私は彼らを助ける」
こいつは臆病ではあるが、信念は絶対曲げないタイプの男だな。時々いるんだわ、俺に殺されるってのに震えながら歯ァ食いしばって睨んでくる奴が。理不尽な死の恐怖には屈しないって顔してよ。この坊主はその類だ。
「今のうちにこちらへ。リンネさん。それから貴方も」
ルロロはリンネとリッドを手招きする。リッドは少しためらったが、リンネと共にルロロのもとへと走った。
「僕は! あの神殿騎士より貴方を信じる! リッチ殿!」
僧侶の祈りで一気に回復していく神殿騎士と対峙するつもりでいるリッドは、祝福されたメイスを抜いて構えた。
「ありがとう、聖騎士見習いさん」
のんびりと成り行きを見守っていたが、俺もそろそろやべぇな。
「頃合いか・・・。なぁ、アマリ。俺は、この悪魔を元の世界へ帰還させる奇跡の祈りには絶対抗えない。そうだな?」
「絶対に抗えない。そしてビャクヤも貴方にそれを意識させた。でもキリマルが今、何を考えているかは解る。その考えが心の隅々まで染みわたるまでもう時間はない。その思考が心と頭を巡りきった時、貴方は手立てを失い、本当に消えてしまう。それは悲しい。急いで」
「ああ。いくぜ? アマリ」
「準備はできている。私は樹族の呪いより生まれでた、神殺しの刀。自分の曲げられた運命や、まき散らす呪いが心底嫌いだった。でも今はその呪いで、愛しい人を助ける事ができる。とても嬉しい」
俺は刀の柄を握る。まだ自分の手の感覚が消えていないかを確かめるようにゆっくりと。
すぅと息を吸って身体中に気合を込めた。そして刀を鞘から抜いた瞬間に、アマリは叫ぶ。
「定められし確率を反転させて、神の奇跡を切り裂け! 我が呪い!」
―――ピュン!
悪魔が絶対に中から打ち破る事のできない光の柱は、持ち主の想いや思考を逆に叶える魔刀の切り裂き音と共に、呆気なく砕け散った。
「ば・・・馬鹿な! あり得ない!」
回復の祈りを施すボィズーは禿げ頭に玉汗を浮かべ、目を見開いて俺を見ている。
「神の奇跡が! 悪魔に破られた! 光の柱の中に捕らえた悪魔の帰還率は100%なのに!」
傷の癒えた神殿騎士の誰かがそう叫ぶと、他の騎士たちの顔が恐怖で引きつる。
「ヒャハハハ! この世に絶対なんてねぇんだよ! バーカ! さぁーて! お前ら、死ぬ準備はできてんだろうな? いや、殺しはしねぇ。全員、達磨にしてやるわ!!」
俺は消えかかっていた体が元に戻りつつあるのを確認してそう叫んだ。
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