嫌童児

かつて彼には弟子がいた──。

修僧界に身を置く僧侶の継実(つぐさね)は子供が嫌いだという。しかしそんな彼は年端もいかぬ少年を弟子に取っていた。
普段は聞き分けの良い弟子の紫陽(しはる)だが、誕生日を前日に控え浮足立っていた。

修僧界の風習に八歳になる弟子には晴れ着を贈るというものがあった。

まだ幼き弟子が引っ張り出したのは果たして晴れ着か、ひっそりと佇む僧堂の奥間に仕舞われていた師匠の慚愧心か。

子供嫌いの僧侶は幼子の魂を供養し続ける。

風ぐるまの回る音だけが、寂れた僧堂の中に年々増えていったとしても────。


※残虐な描写あり 
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