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第六章 ハロウィン戦争編
第百九十九話「復讐 其の六~涙、血と混じり散って~」
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最優先緊急任務:ネフティスNo.2錦野蒼乃と北条銀二の討伐及び『完全蘇生体』錦野智優美の討伐、死器『葬無冥殺之機神鈴白』の討伐
遂行者:錦野蒼乃、北条銀二を除くネフティス全メンバー、アルスタリア高等学園全生徒及び教師
犠牲者:???
パァァァァァンッ――!!
渋谷の空に銃声が鳴り響き、一瞬だけ青空を赤く染めた。甲高い金属音を立てながら薬莢が地面に落ちてころころと足元に転がる。
「……ふぐっ、がはぁっ……!」
心臓を撃たれた北条が大量に血を吐きながら蹲る。その目の前で倒れている者が、もう一人。
「――――蒼乃、ちゃん……?」
「っ……」
「蒼乃ちゃん! しっかりして!!」
「……!!!」
(嘘だろ、蒼乃さんが……死ぬっ……!?)
凪沙さんの膝の上に横たわる蒼乃さんの左胸から、僅かに青い稲妻が散った。爆発の予兆だ。さっき俺が喰らったのと同じ。でも明確に違うのは、蒼乃さんは俺と違って完全な人間だ。この爆発を喰らえば即死だ。だが、これも時間の問題に過ぎなかった。
「蒼乃っ……何故そいつを庇うっ! 何故私の銃弾を受けた!! 何故お前が私の復讐の犠牲にっ――」
「これが……貴方の宿命の……結末です、おとう……さん」
「蒼乃ちゃんもう喋らないで! 傷が悪化する!!」
「凪沙さん……もう、私は……ここまで、です……これも時間の……問題ですっ……! なので……少しだけ、喋らせて……くれま、せんか……?」
「うんっ……ゆっくりでいいよ」
「ありがとう、ございます……凪沙……さん、貴方という存在が……いたからこそ、私は……人のために生きる道を、最期まで……進み続ける事が……できました……! 貴方がいなかったら……私は副総長なんてやってなかった、ですから……」
「ぐすっ……私も、蒼乃ちゃんと一緒じゃなかったらぁ……ここまで来れて無かったっ……! 私の方こそ、ありがとう……蒼乃ちゃんっ!」
「……ふふっ、そんなに顔……くしゃくしゃに……しないで、くださいよ……貴方には、ずっと笑ってて……ほしいから…………ぐっ、ごふっ……」
「蒼乃ちゃん、血がっ……もういいよ、これ以上はもうっ……やめてっ……!!!」
凪沙さんはもう限界だった。今は少しでも休んで元気な状態で帰ってきて欲しい……ただそれだけを思っていた。だが、蒼乃さんはとっくに現実を受け入れているようだ。
「いえっ……旅立つ前に、話して……おきたいんですっ…………凪沙さん、きっとこの戦いが終わったら……ネフティスは、解体されるでしょう……総長も、責任を負って辞任に追われる……ことでしょう……なので、お願いがっ……あります…………」
「……うん、何でも聞くよっ……!」
「凪沙さん……今度は貴方が、ネフティスを……引っ張って、くださいっ……! 正嗣総長と、私の意志を継いで……貴方を筆頭に、この国を……時代を守ってくださいっ……!」
凪沙さんは一瞬驚くも、うんと大きく頷いた。
「蒼乃ちゃんのお願いだもんっ……何だってやるよっ……ぐすっ」
「ありが……とう……凪沙、ちゃん……」
「…………!!!」
初めて、蒼乃ちゃんがため口で私の名前を呼んだ。きっと人にため口で話したのは今回が初めてなのだろう。
「それと……私の神器を、凪沙ちゃんに……受け継いでほしい……」
「何でそんな事言うのっ……まだ私達はこれからでしょ!? 一緒に色んな服を見に行ったり、任務を遂行した後に一緒にどこかおしゃれな喫茶店で美味しいもの食べたりしようよ!! 今さっき蒼乃ちゃんのお願いは何でも聞くって言ったばかりだけどっ……このお願いだけは、聞けない。だって……もっと蒼乃ちゃんと一緒にいたいから!! だからもうお別れみたいな事言わないでよぉ……!!!」
相棒の死を悟り、それを受け入れたくないがあまり、凪沙さんはついに泣き出した。当然だ。誰よりも傍にいて、どんな時も隣に寄り添ってくれた人が突然死ぬなんて、到底受け入れられるわけがない。否定したくなる。俺も、過去に智優美さんを失った時もそうだったから。
「凪沙さんにしか、頼めないんです……だから、受け取って……右の、ホルスターの中に、入っているので……そこから、取ってください……」
「嫌だっ! その銃を私が取ったら……蒼乃ちゃんの居場所が、無くなっちゃうっ……!!!」
顔をくしゃくしゃにしながら幼稚なわがままを言う凪沙さんに、再度蒼乃さんはくすっと笑った。
「凪沙さん……それと、もう一つお願いが……」
何? と言うより速く、蒼乃さんはゆっくりと赤く染まった左手を伸ばし、親指で凪沙さんの頬を伝う涙が溜まった右目の目尻の近くをぐいっと拭った。
「――!」
「――最期に、私に笑顔を……見せて、ください……貴方にしか出せない、太陽のように明るい……無邪気な笑顔を……」
「……っ」
凪沙さんは天を見上げ、左腕の袖で涙を拭った。そしてすぐに蒼乃さんの方を向く。
「――何、そのお願い。いつもの蒼乃ちゃんじゃそんな言葉聞かないよっ」
「……そう、そうやって……ずっと笑って…………生きてください。貴方には大蛇さんや芽依さん、ネフティスの皆がいます……私に生きる道を、教えてくれたように……今度は未来を担う……彼らに教えてあげて……ください……」
「……うん、分かった。ちゃんと伝えるよ。私なりに頑張って伝えるよ!」
「…………ふふっ」
凪沙さんなら必ずやってくれると確信したのか、蒼乃さんは少し余裕じみた笑みを浮かべた。
――しかし、その時は現実の目の前まで迫ってきた。
「……蒼乃ちゃん? どうしたの……身体、冷たくなってきて……」
「凪沙、さん……皆さんに、こう伝えて……ください…………『皆さんに出会えて、共に任務を遂行出来て……幸せでいっぱいでした』……って」
「うぅっ……!!!」
「……さよならです、凪沙さん……私の、唯一人の……相棒――――」
そして、宿命は現実となった――
「……蒼乃ちゃん、蒼乃ちゃん! 蒼乃ちゃん……!! あお……の、ちゃっ……!! ひっくっ……うっ…………うわああああああああああああああ!!!!!!!!」
ゆっくりと目を瞑り、息を引き取った蒼乃さんを強く抱きしめながら凪沙さんは泣き叫んだ。その後ろにいた俺も、蒼乃さんを救えなかった悔しさでいっぱいだった。
「…………っ」
(くそっ、くそっ……くそっ!! 最悪だ……本当に、最悪だ……! 本当にっ……ふざけんなっ!!!)
「蒼乃ちゃんっ……! 返事してよぉ……!! 嫌だあああああ!!!!!」
「……ぐすっ」
こうして俺――黒神大蛇と北条銀二による復讐者同士の死闘は、実質相討ちかつ蒼乃さんが犠牲になるという最悪の結果で幕を閉じた――
――西暦2005年 10月31日 午後14時35分 ネフティスNo.2錦野蒼乃 死亡
遂行者:錦野蒼乃、北条銀二を除くネフティス全メンバー、アルスタリア高等学園全生徒及び教師
犠牲者:???
パァァァァァンッ――!!
渋谷の空に銃声が鳴り響き、一瞬だけ青空を赤く染めた。甲高い金属音を立てながら薬莢が地面に落ちてころころと足元に転がる。
「……ふぐっ、がはぁっ……!」
心臓を撃たれた北条が大量に血を吐きながら蹲る。その目の前で倒れている者が、もう一人。
「――――蒼乃、ちゃん……?」
「っ……」
「蒼乃ちゃん! しっかりして!!」
「……!!!」
(嘘だろ、蒼乃さんが……死ぬっ……!?)
凪沙さんの膝の上に横たわる蒼乃さんの左胸から、僅かに青い稲妻が散った。爆発の予兆だ。さっき俺が喰らったのと同じ。でも明確に違うのは、蒼乃さんは俺と違って完全な人間だ。この爆発を喰らえば即死だ。だが、これも時間の問題に過ぎなかった。
「蒼乃っ……何故そいつを庇うっ! 何故私の銃弾を受けた!! 何故お前が私の復讐の犠牲にっ――」
「これが……貴方の宿命の……結末です、おとう……さん」
「蒼乃ちゃんもう喋らないで! 傷が悪化する!!」
「凪沙さん……もう、私は……ここまで、です……これも時間の……問題ですっ……! なので……少しだけ、喋らせて……くれま、せんか……?」
「うんっ……ゆっくりでいいよ」
「ありがとう、ございます……凪沙……さん、貴方という存在が……いたからこそ、私は……人のために生きる道を、最期まで……進み続ける事が……できました……! 貴方がいなかったら……私は副総長なんてやってなかった、ですから……」
「ぐすっ……私も、蒼乃ちゃんと一緒じゃなかったらぁ……ここまで来れて無かったっ……! 私の方こそ、ありがとう……蒼乃ちゃんっ!」
「……ふふっ、そんなに顔……くしゃくしゃに……しないで、くださいよ……貴方には、ずっと笑ってて……ほしいから…………ぐっ、ごふっ……」
「蒼乃ちゃん、血がっ……もういいよ、これ以上はもうっ……やめてっ……!!!」
凪沙さんはもう限界だった。今は少しでも休んで元気な状態で帰ってきて欲しい……ただそれだけを思っていた。だが、蒼乃さんはとっくに現実を受け入れているようだ。
「いえっ……旅立つ前に、話して……おきたいんですっ…………凪沙さん、きっとこの戦いが終わったら……ネフティスは、解体されるでしょう……総長も、責任を負って辞任に追われる……ことでしょう……なので、お願いがっ……あります…………」
「……うん、何でも聞くよっ……!」
「凪沙さん……今度は貴方が、ネフティスを……引っ張って、くださいっ……! 正嗣総長と、私の意志を継いで……貴方を筆頭に、この国を……時代を守ってくださいっ……!」
凪沙さんは一瞬驚くも、うんと大きく頷いた。
「蒼乃ちゃんのお願いだもんっ……何だってやるよっ……ぐすっ」
「ありが……とう……凪沙、ちゃん……」
「…………!!!」
初めて、蒼乃ちゃんがため口で私の名前を呼んだ。きっと人にため口で話したのは今回が初めてなのだろう。
「それと……私の神器を、凪沙ちゃんに……受け継いでほしい……」
「何でそんな事言うのっ……まだ私達はこれからでしょ!? 一緒に色んな服を見に行ったり、任務を遂行した後に一緒にどこかおしゃれな喫茶店で美味しいもの食べたりしようよ!! 今さっき蒼乃ちゃんのお願いは何でも聞くって言ったばかりだけどっ……このお願いだけは、聞けない。だって……もっと蒼乃ちゃんと一緒にいたいから!! だからもうお別れみたいな事言わないでよぉ……!!!」
相棒の死を悟り、それを受け入れたくないがあまり、凪沙さんはついに泣き出した。当然だ。誰よりも傍にいて、どんな時も隣に寄り添ってくれた人が突然死ぬなんて、到底受け入れられるわけがない。否定したくなる。俺も、過去に智優美さんを失った時もそうだったから。
「凪沙さんにしか、頼めないんです……だから、受け取って……右の、ホルスターの中に、入っているので……そこから、取ってください……」
「嫌だっ! その銃を私が取ったら……蒼乃ちゃんの居場所が、無くなっちゃうっ……!!!」
顔をくしゃくしゃにしながら幼稚なわがままを言う凪沙さんに、再度蒼乃さんはくすっと笑った。
「凪沙さん……それと、もう一つお願いが……」
何? と言うより速く、蒼乃さんはゆっくりと赤く染まった左手を伸ばし、親指で凪沙さんの頬を伝う涙が溜まった右目の目尻の近くをぐいっと拭った。
「――!」
「――最期に、私に笑顔を……見せて、ください……貴方にしか出せない、太陽のように明るい……無邪気な笑顔を……」
「……っ」
凪沙さんは天を見上げ、左腕の袖で涙を拭った。そしてすぐに蒼乃さんの方を向く。
「――何、そのお願い。いつもの蒼乃ちゃんじゃそんな言葉聞かないよっ」
「……そう、そうやって……ずっと笑って…………生きてください。貴方には大蛇さんや芽依さん、ネフティスの皆がいます……私に生きる道を、教えてくれたように……今度は未来を担う……彼らに教えてあげて……ください……」
「……うん、分かった。ちゃんと伝えるよ。私なりに頑張って伝えるよ!」
「…………ふふっ」
凪沙さんなら必ずやってくれると確信したのか、蒼乃さんは少し余裕じみた笑みを浮かべた。
――しかし、その時は現実の目の前まで迫ってきた。
「……蒼乃ちゃん? どうしたの……身体、冷たくなってきて……」
「凪沙、さん……皆さんに、こう伝えて……ください…………『皆さんに出会えて、共に任務を遂行出来て……幸せでいっぱいでした』……って」
「うぅっ……!!!」
「……さよならです、凪沙さん……私の、唯一人の……相棒――――」
そして、宿命は現実となった――
「……蒼乃ちゃん、蒼乃ちゃん! 蒼乃ちゃん……!! あお……の、ちゃっ……!! ひっくっ……うっ…………うわああああああああああああああ!!!!!!!!」
ゆっくりと目を瞑り、息を引き取った蒼乃さんを強く抱きしめながら凪沙さんは泣き叫んだ。その後ろにいた俺も、蒼乃さんを救えなかった悔しさでいっぱいだった。
「…………っ」
(くそっ、くそっ……くそっ!! 最悪だ……本当に、最悪だ……! 本当にっ……ふざけんなっ!!!)
「蒼乃ちゃんっ……! 返事してよぉ……!! 嫌だあああああ!!!!!」
「……ぐすっ」
こうして俺――黒神大蛇と北条銀二による復讐者同士の死闘は、実質相討ちかつ蒼乃さんが犠牲になるという最悪の結果で幕を閉じた――
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