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第六章 ハロウィン戦争編
第百七十八話「戦う覚悟」
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最優先緊急任務:東京都渋谷区に起きた異常事態の調査
遂行者:ネフティス全メンバー
犠牲者:???
東京都渋谷区 白神亜玲澄、武刀正義、丸山雛乃サイド――
俺達は無事、ネフティスNo.5の実力を持つ丸山雛乃を北条の洗脳から解放した。そのまま次の洗脳者を助けようと足を前に踏み込んだその時、思いもしない事態が起きた。
「……おい、なんだあの白いの」
「……? あれは何??」
「白いスカートにかぼちゃの被り物……?」
突如前に現れた謎の存在に三人は困惑した。それもそのはず。この人には足が無い。世に言う幽霊というやつだ。
「ひっ……! ねぇあれ、足が無いよっ……!?」
「おいおい……ほんとにいるのかよ幽霊って」
「いや待て……あんなかぼちゃの被り物した幽霊見たことあるか?」
「いや……無いよ」
「幽霊がコスプレなんてするわけねぇし……」
幽霊の存在自体にも驚きだが、あんな被り物をした幽霊はお伽話でも見たことがない。それに僅かに少女の笑い声があの幽霊の方から聞こえる気がした。もはやこれは幽霊なんてものでは無いかもしれない。
そうなると、やはり……
「つーことは、こいつも北条の魔術……という名の『結界』ってことか?」
「この霊がそうかは分からないが、北条がこれを召喚したとするなら、少なくとも結界は関係していると思う」
……と、自分で言ってみたものの、実際そうかは分からない。本来あれは死器及び使用者である大蛇を封印するために生み出した、本来の神器とはまた違う神器だ。あんな幽霊を召喚する結界なんて見たことがない。
「ォ……ヤツ…………」
「「っ……!!?」」
突如、目の前の幽霊からまた少女の声が聞こえた。ふわふわと浮遊しながらこちらに近づいてく。
「クレナイト……スルヨ……!!」
そして、幽霊は両手からかぼちゃの形をした物体を召喚する。あの被り物と全く同じものだ。
まさか、あれを俺達に被せてっ……!!?
「二人共、構えてっ!」
未知の存在に怯えている俺と正義に対し、雛乃さんは幽霊の真っ正面に弓を構えながら指揮をする。
「今起きてる異常事態……きっとこの幽霊が原因だよ。きっとこれが渋谷の至る所にいると思う」
「でもよぉ、任務はその異常事態の調査だけだろ? 戦う必要あるのか?」
「北条さんが魔術で召喚したというなら話は別だよ、正義君。もしそうならこの幽霊一人一人が私達をこの街ごと破壊しつくす。そうなれば一般民の犠牲も尋常じゃなくなるよ。そのリスクを避けたいなら、今すぐ武器を構えて!」
さっきよりも強い声で、共に戦うために俺達の背中を強く押すように叫ぶ。そうだ、こんな幽霊如きにビビってる場合じゃない。こいつと渋谷区の壊滅……どっちが怖いんだって話だ。
「……正義、剣を抜け」
「……そうするしか、ねぇようだな」
俺が右手で時変剣を召喚し、隣で正義が勢いよく刀を抜き、正面に構える。剣先が幽霊のかぼちゃの被り物を指す。目標はあれの討伐……きっとこれから増えるだろうから、命ある限りあれを倒し続けるといったところだろうか。
「……俺がこいつの注意を引く。その隙に白坊が時間を止めて雛乃パイセンが一撃で仕留める。この俺様のオリジナル作戦で行くぜっ! ついてこいてめぇらぁぁぁ!!!!」
一体どの立場で言ってるのか分からないが、正義が勝手に至ってシンプルな作戦を立てては一人で幽霊に向かって突っ込んだ。俺と雛乃は苦笑いをしながら覚悟を固める。
「はぁ……あの馬鹿め」
「ふふっ……でもこういう人がいると逆にやる気が湧いちゃうわ!」
軽く悪口を吐きながら、俺は正義が引き付けている間に幽霊の後ろに回り込む。雛乃さんは近くのビルの壁に足をつけて素早く登る。
「オカシ……オカシチョーダアアアイ!!!」
「悪りぃな嬢ちゃん……お生憎俺達ゃお菓子持ってねぇんだわっ!!!」
お菓子を求める幽霊を前に、正義は柄を強く握り、刀身を桃色の光に染めた。
こうして俺達も、真のハロウィン戦争に足を踏み入れる事となった。全ては友を死の運命から守るために――
遂行者:ネフティス全メンバー
犠牲者:???
東京都渋谷区 白神亜玲澄、武刀正義、丸山雛乃サイド――
俺達は無事、ネフティスNo.5の実力を持つ丸山雛乃を北条の洗脳から解放した。そのまま次の洗脳者を助けようと足を前に踏み込んだその時、思いもしない事態が起きた。
「……おい、なんだあの白いの」
「……? あれは何??」
「白いスカートにかぼちゃの被り物……?」
突如前に現れた謎の存在に三人は困惑した。それもそのはず。この人には足が無い。世に言う幽霊というやつだ。
「ひっ……! ねぇあれ、足が無いよっ……!?」
「おいおい……ほんとにいるのかよ幽霊って」
「いや待て……あんなかぼちゃの被り物した幽霊見たことあるか?」
「いや……無いよ」
「幽霊がコスプレなんてするわけねぇし……」
幽霊の存在自体にも驚きだが、あんな被り物をした幽霊はお伽話でも見たことがない。それに僅かに少女の笑い声があの幽霊の方から聞こえる気がした。もはやこれは幽霊なんてものでは無いかもしれない。
そうなると、やはり……
「つーことは、こいつも北条の魔術……という名の『結界』ってことか?」
「この霊がそうかは分からないが、北条がこれを召喚したとするなら、少なくとも結界は関係していると思う」
……と、自分で言ってみたものの、実際そうかは分からない。本来あれは死器及び使用者である大蛇を封印するために生み出した、本来の神器とはまた違う神器だ。あんな幽霊を召喚する結界なんて見たことがない。
「ォ……ヤツ…………」
「「っ……!!?」」
突如、目の前の幽霊からまた少女の声が聞こえた。ふわふわと浮遊しながらこちらに近づいてく。
「クレナイト……スルヨ……!!」
そして、幽霊は両手からかぼちゃの形をした物体を召喚する。あの被り物と全く同じものだ。
まさか、あれを俺達に被せてっ……!!?
「二人共、構えてっ!」
未知の存在に怯えている俺と正義に対し、雛乃さんは幽霊の真っ正面に弓を構えながら指揮をする。
「今起きてる異常事態……きっとこの幽霊が原因だよ。きっとこれが渋谷の至る所にいると思う」
「でもよぉ、任務はその異常事態の調査だけだろ? 戦う必要あるのか?」
「北条さんが魔術で召喚したというなら話は別だよ、正義君。もしそうならこの幽霊一人一人が私達をこの街ごと破壊しつくす。そうなれば一般民の犠牲も尋常じゃなくなるよ。そのリスクを避けたいなら、今すぐ武器を構えて!」
さっきよりも強い声で、共に戦うために俺達の背中を強く押すように叫ぶ。そうだ、こんな幽霊如きにビビってる場合じゃない。こいつと渋谷区の壊滅……どっちが怖いんだって話だ。
「……正義、剣を抜け」
「……そうするしか、ねぇようだな」
俺が右手で時変剣を召喚し、隣で正義が勢いよく刀を抜き、正面に構える。剣先が幽霊のかぼちゃの被り物を指す。目標はあれの討伐……きっとこれから増えるだろうから、命ある限りあれを倒し続けるといったところだろうか。
「……俺がこいつの注意を引く。その隙に白坊が時間を止めて雛乃パイセンが一撃で仕留める。この俺様のオリジナル作戦で行くぜっ! ついてこいてめぇらぁぁぁ!!!!」
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