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第六章 ハロウィン戦争編
第百六十九話「禁断奥義」
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緊急任務:ネフティスNo.6北条銀二の討伐、地球防衛組織ネフティスを北条の支配から奪還する
遂行者:黒神大蛇、白神亜玲澄、武刀正義、エレイナ・ヴィーナス、涼宮凪沙、サーシェス、ミスリア、桐雨芽依、アルスタリア高等学院全生徒
犠牲者:エレイナ・ヴィーナス
「……!!」
「おっ君……」
「邪魔な鎖は全部壊した。もう遠慮はいらねぇよ……全部俺に委ねとけ」
姿こそ見えないが、少し強がりながらも過去の俺に吐き捨てながら北条の短剣を指一本で受け止める。間から弾け飛ぶ稲妻で正面がよく見えない。
「……懲りない男だな」
「てめぇに褒められてもちっとも嬉しくねぇよっ!」
軽く人差し指を上げる。すると短剣を持つ左手も同じ方向に持っていかれ、短剣が勝手に振り上げられる。
「ちっ……!」
「この俺を2回も殺したからな。とっておきをくれてやるよ……」
左手で芽依を抱え、右手で指を鳴らす。人差し指から黒く禍々しい魔力が渦を巻きながら生成される。
「ふっ……禁忌魔法は効かぬと学ばなかったのか?」
「……まぁ黙ってみてろ」
そう言った刹那、禁忌魔法が腕に侵食した。
「おっ君……!?」
「目ぇ瞑ってろ、芽依。俺が合図するまでな」
芽依が両手で視界を塞いだのを確認した後
、人差し指に生成された『黒光無象』が漆黒の炎となって俺の右腕を飲み込むように燃え広がる。
「貴様っ、まさか……!」
「今のてめぇに禁忌魔法が通用しねぇのはとっくに承知の上。だが俺の身体が魔力も体力も底尽きた以上、禁忌魔法以外にてめぇを殺す手は無い。だから、俺はこれに賭けることにした」
……そうだ、これはただの禁忌魔法では無い。これは……
「禁忌魔法の根源となる負の力を物理的に魔力として生み出し、禁忌の力を以て対象を外部から直接蝕む――『黒死之光鏡』」
「――――!!!!」
一瞬、目の前が硝子に無数のヒビが入るかのように割れていく。その後、甲高い音と共に視界に広がる街から一気に白い光が差し込んでくる。
「――!!!」
無限に広がる光の先にある何かを掴むかのように、俺は北条に翳した右手を強く握る。
「っ……!!」
――見える。死の景色が。本来なら私の目の前で右手を翳している彼が見るはずだったのに。
まさか禁忌魔法を展開するでは無く、それ自体をただの魔法のように生成し、身体に流し込む事で物理攻撃として当てに行くとは。
「……若者の力は、凄まじいな…………」
視界が白く澄んでいく。決して不快になんて思わない。智優美の敵を取れなかった事への後悔すら、目の前に広がる白い光に包まれて……消えていく。
そして、私はようやく気づくのだ。復讐など、何も残さないのだと――
――元の空間に戻る。伸ばしたままの右手の先には北条の姿などとうに消えていた。右腕を覆った炎も消えており、切り傷が残った素肌が顕になる。
「……もういいぞ、芽依」
「うぅん……何があったのぉ……?」
いつの間にか眠っていたであろう芽依を抱えた左手をその場で離し、一息つく。しかし、本当の戦いはこれからだった――
「ぁ……くっ……!!」
「おっ君……?」
全身の力が根こそぎ抜けていく。全てが底をつき、俺はうつ伏せの状態で倒れた。
「おっ君……! しっかりして、おっ君!!」
どれだけ声をかけようとも、決して届かない。それもそうだ。ボクが来るまでの間、ずっと死と隣り合わせの状態で北条と戦ってきたのだから。
「……まずは、お疲れ様。ゆっくり休んでね、おっ君」
全てを使い果たした彼にまずはゆっくり休ませるべく、近くのビルまでおっ君を引きずりながら歩き、入口の柱に座り込む。ボクの太ももにおっ君の頭を乗せ、優しく撫でる。
「……ここまでよく頑張ったね。すごいね、おっ君。本当に……お疲れ様」
――当然、彼が意識を失っている間に一人の女の子に膝枕をされている事など知るはずは無い。
遂行者:黒神大蛇、白神亜玲澄、武刀正義、エレイナ・ヴィーナス、涼宮凪沙、サーシェス、ミスリア、桐雨芽依、アルスタリア高等学院全生徒
犠牲者:エレイナ・ヴィーナス
「……!!」
「おっ君……」
「邪魔な鎖は全部壊した。もう遠慮はいらねぇよ……全部俺に委ねとけ」
姿こそ見えないが、少し強がりながらも過去の俺に吐き捨てながら北条の短剣を指一本で受け止める。間から弾け飛ぶ稲妻で正面がよく見えない。
「……懲りない男だな」
「てめぇに褒められてもちっとも嬉しくねぇよっ!」
軽く人差し指を上げる。すると短剣を持つ左手も同じ方向に持っていかれ、短剣が勝手に振り上げられる。
「ちっ……!」
「この俺を2回も殺したからな。とっておきをくれてやるよ……」
左手で芽依を抱え、右手で指を鳴らす。人差し指から黒く禍々しい魔力が渦を巻きながら生成される。
「ふっ……禁忌魔法は効かぬと学ばなかったのか?」
「……まぁ黙ってみてろ」
そう言った刹那、禁忌魔法が腕に侵食した。
「おっ君……!?」
「目ぇ瞑ってろ、芽依。俺が合図するまでな」
芽依が両手で視界を塞いだのを確認した後
、人差し指に生成された『黒光無象』が漆黒の炎となって俺の右腕を飲み込むように燃え広がる。
「貴様っ、まさか……!」
「今のてめぇに禁忌魔法が通用しねぇのはとっくに承知の上。だが俺の身体が魔力も体力も底尽きた以上、禁忌魔法以外にてめぇを殺す手は無い。だから、俺はこれに賭けることにした」
……そうだ、これはただの禁忌魔法では無い。これは……
「禁忌魔法の根源となる負の力を物理的に魔力として生み出し、禁忌の力を以て対象を外部から直接蝕む――『黒死之光鏡』」
「――――!!!!」
一瞬、目の前が硝子に無数のヒビが入るかのように割れていく。その後、甲高い音と共に視界に広がる街から一気に白い光が差し込んでくる。
「――!!!」
無限に広がる光の先にある何かを掴むかのように、俺は北条に翳した右手を強く握る。
「っ……!!」
――見える。死の景色が。本来なら私の目の前で右手を翳している彼が見るはずだったのに。
まさか禁忌魔法を展開するでは無く、それ自体をただの魔法のように生成し、身体に流し込む事で物理攻撃として当てに行くとは。
「……若者の力は、凄まじいな…………」
視界が白く澄んでいく。決して不快になんて思わない。智優美の敵を取れなかった事への後悔すら、目の前に広がる白い光に包まれて……消えていく。
そして、私はようやく気づくのだ。復讐など、何も残さないのだと――
――元の空間に戻る。伸ばしたままの右手の先には北条の姿などとうに消えていた。右腕を覆った炎も消えており、切り傷が残った素肌が顕になる。
「……もういいぞ、芽依」
「うぅん……何があったのぉ……?」
いつの間にか眠っていたであろう芽依を抱えた左手をその場で離し、一息つく。しかし、本当の戦いはこれからだった――
「ぁ……くっ……!!」
「おっ君……?」
全身の力が根こそぎ抜けていく。全てが底をつき、俺はうつ伏せの状態で倒れた。
「おっ君……! しっかりして、おっ君!!」
どれだけ声をかけようとも、決して届かない。それもそうだ。ボクが来るまでの間、ずっと死と隣り合わせの状態で北条と戦ってきたのだから。
「……まずは、お疲れ様。ゆっくり休んでね、おっ君」
全てを使い果たした彼にまずはゆっくり休ませるべく、近くのビルまでおっ君を引きずりながら歩き、入口の柱に座り込む。ボクの太ももにおっ君の頭を乗せ、優しく撫でる。
「……ここまでよく頑張ったね。すごいね、おっ君。本当に……お疲れ様」
――当然、彼が意識を失っている間に一人の女の子に膝枕をされている事など知るはずは無い。
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