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第六章 ハロウィン戦争編
第百五十七話「相棒の全力」
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緊急任務:ネフティスNo.6北条銀二の討伐、地球防衛組織ネフティスを北条の支配から奪還する
遂行者:黒神大蛇、白神亜玲澄、武刀正義、エレイナ・ヴィーナス、涼宮凪沙、サーシェス、ミスリア、アルスタリア高等学院全生徒
犠牲者:???
左目のみから流れ落ちる涙。否、それは温かい真紅の雫。充血しているかのように熱くなる。だけど、痛みは一切感じない。むしろ、もっと動ける気がしてきた。
「……ふっ!」
「っ……!?」
――速くなった。凪沙さんの動きが今までと段違いだ。当然これまで左目から流血する事なんて無い。これは一体どういう事なのだろうか。
だけど、それでも私は負けるわけにはいかない――
「……『氷砲玉壊』!」
蒼乃ちゃんの銃口から青白いレーザーが放たれ、半円を描いた。それに留まらず、まるで大剣を振るうかのように四方八方に振り回す。レーザーが直撃した場所は一気に破壊され、凍てつくされ、ビルや様々な建物が巨大な氷柱となって渋谷の街を破壊していく。
「蒼乃、ちゃんっ……!!」
私――涼宮凪沙は雷の如く駆け抜けながら、あらゆる方向から迫るレーザーを避けていく。張り付いた氷の地面を上手く蹴れずに転びそうになるが何とか自慢の体幹で踏みとどまる。それを何度か繰り返しながら確実に蒼乃ちゃんとの間合いを詰めていく。
「今、殺すからね」
再び地を蹴り、雷鳴が迸る。限界まで伸ばした手に持つ雷の槍は蒼乃ちゃんの腹部を貫く。
「くっ……!」
「『神器解放』!!!」
蒼乃ちゃんの腹部を貫通したまま唱える。突如、槍が青白い稲妻と化して蒼乃ちゃんを貫いて上空へと舞い上がる。それはまるで雷竜のように。
「うっ……『神器解放』!」
激痛に悶えながらも、蒼乃ちゃんも同じ術式を唱える。今度はレーザーを放ち続ける彼女の神器『絶氷銃』の冷気が街中に広がり、ハロウィンで賑わっていた風景も氷で白紙にしていく。あっという間に氷の世界が出来上がった。
「これで終わりにしてあげます!」
「うん、終わりにしよう」
上空を舞う雷竜めがけ、蒼乃ちゃんは術式で威力を増した極太レーザーを剣のように振り回す。雷竜は残像すら見えない速さでそれを容易に避け、大きく吠えた。直後、異常とも言える程の雷が渋谷の街に降り注いだ。
「その程度の魔法で!」
蒼乃ちゃんが雷竜に夢中になっている隙に、私は凍てついた地を再び強く蹴って低空飛行をした。右手を後ろに隠し、左手で蒼乃ちゃんを狙う。
「……甘いです!」
突進してからほんの数秒で蒼乃ちゃんは私が迫ってくるのに気づき、左手からもう一丁の銃を持ち、撃ち続ける。左足、右頬、左肩を掠ったその時、銃弾が爆発した。これは前に大蛇君と謎の不良軍団と戦った際に不良達が使ってた銃弾と同じものだ。
「うっ……」
焼き付くように痛い。だけどここで倒れたらおしまい。チャンスはこれっきりだ。だから何発当たろうがそのまま突き進め――!
「はぁぁぁあああああ!!!」
「甘いと……言ったはずです!!」
蒼乃ちゃんの背後から突進してくる雷竜がレーザーに直撃し、全身が凍てつくされた。そして今度は私の方にレーザーが迫ってきた。残り約十五メートル……レーザーに凍らせられる前に間合いを詰め切れるか!
「絶対に……助けるんだからぁぁぁ!!!!」
――ザシュッ、という音と共に、左半身から一気に寒気を感じ始めた。そしてそれは五秒もしないうちに全身へと広がっていって――
遂行者:黒神大蛇、白神亜玲澄、武刀正義、エレイナ・ヴィーナス、涼宮凪沙、サーシェス、ミスリア、アルスタリア高等学院全生徒
犠牲者:???
左目のみから流れ落ちる涙。否、それは温かい真紅の雫。充血しているかのように熱くなる。だけど、痛みは一切感じない。むしろ、もっと動ける気がしてきた。
「……ふっ!」
「っ……!?」
――速くなった。凪沙さんの動きが今までと段違いだ。当然これまで左目から流血する事なんて無い。これは一体どういう事なのだろうか。
だけど、それでも私は負けるわけにはいかない――
「……『氷砲玉壊』!」
蒼乃ちゃんの銃口から青白いレーザーが放たれ、半円を描いた。それに留まらず、まるで大剣を振るうかのように四方八方に振り回す。レーザーが直撃した場所は一気に破壊され、凍てつくされ、ビルや様々な建物が巨大な氷柱となって渋谷の街を破壊していく。
「蒼乃、ちゃんっ……!!」
私――涼宮凪沙は雷の如く駆け抜けながら、あらゆる方向から迫るレーザーを避けていく。張り付いた氷の地面を上手く蹴れずに転びそうになるが何とか自慢の体幹で踏みとどまる。それを何度か繰り返しながら確実に蒼乃ちゃんとの間合いを詰めていく。
「今、殺すからね」
再び地を蹴り、雷鳴が迸る。限界まで伸ばした手に持つ雷の槍は蒼乃ちゃんの腹部を貫く。
「くっ……!」
「『神器解放』!!!」
蒼乃ちゃんの腹部を貫通したまま唱える。突如、槍が青白い稲妻と化して蒼乃ちゃんを貫いて上空へと舞い上がる。それはまるで雷竜のように。
「うっ……『神器解放』!」
激痛に悶えながらも、蒼乃ちゃんも同じ術式を唱える。今度はレーザーを放ち続ける彼女の神器『絶氷銃』の冷気が街中に広がり、ハロウィンで賑わっていた風景も氷で白紙にしていく。あっという間に氷の世界が出来上がった。
「これで終わりにしてあげます!」
「うん、終わりにしよう」
上空を舞う雷竜めがけ、蒼乃ちゃんは術式で威力を増した極太レーザーを剣のように振り回す。雷竜は残像すら見えない速さでそれを容易に避け、大きく吠えた。直後、異常とも言える程の雷が渋谷の街に降り注いだ。
「その程度の魔法で!」
蒼乃ちゃんが雷竜に夢中になっている隙に、私は凍てついた地を再び強く蹴って低空飛行をした。右手を後ろに隠し、左手で蒼乃ちゃんを狙う。
「……甘いです!」
突進してからほんの数秒で蒼乃ちゃんは私が迫ってくるのに気づき、左手からもう一丁の銃を持ち、撃ち続ける。左足、右頬、左肩を掠ったその時、銃弾が爆発した。これは前に大蛇君と謎の不良軍団と戦った際に不良達が使ってた銃弾と同じものだ。
「うっ……」
焼き付くように痛い。だけどここで倒れたらおしまい。チャンスはこれっきりだ。だから何発当たろうがそのまま突き進め――!
「はぁぁぁあああああ!!!」
「甘いと……言ったはずです!!」
蒼乃ちゃんの背後から突進してくる雷竜がレーザーに直撃し、全身が凍てつくされた。そして今度は私の方にレーザーが迫ってきた。残り約十五メートル……レーザーに凍らせられる前に間合いを詰め切れるか!
「絶対に……助けるんだからぁぁぁ!!!!」
――ザシュッ、という音と共に、左半身から一気に寒気を感じ始めた。そしてそれは五秒もしないうちに全身へと広がっていって――
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